PWBAバーバラ・クリスマン・クラシック開幕
シン・リジェーンが予選首位に

新設大会の幕開け、主役に名乗りを上げたシン・リジェーン

2026年のPWBAツアーに新たな大会が加わった。
PWBAバーバラ・クリスマン・クラシック presented by Storm」が、アメリカ・オハイオ州コロンバスのHP Lanesで開幕。108名が出場した予選2ラウンドを終え、マレーシアのシン・リジェーン12ゲーム合計2,753ピン単独首位に立った。

シンは第1ラウンドで1,381ピン、第2ラウンドで1,372ピンを記録。大きく崩れることなく安定したスコアを積み重ね、2位のマディソン・ハンラハン41ピン差をつけた。特に最終12ゲーム目では277をマークし、首位の座を力強く固めている。

今季のシンは、開幕戦「PWBA Bowlers Journal Rockford Open」で優勝。さらに、ここまで出場したすべての大会でカットラインを突破しており、シーズンを通して高い安定感を見せている。新設大会の初代女王を狙ううえで、今回の首位発進は大きな意味を持つ。

 

結果ではなく「再現性」に集中した首位発進

シンの強さを支えたのは、スコアを追いかけすぎない冷静さだった。

試合後、シンは自身のプレーについて次のように語っている。

「スコアについてはあまり気にしていませんでした。ただ、自分のショットを繰り返すことだけを考えていました」

この言葉には、トップ選手らしい成熟した姿勢が表れている。
ボウリングでは、目先のスコアに意識を奪われるほど、投球のリズムや判断が乱れやすい。特に長丁場の予選では、レーンコンディションが時間とともに変化し、序盤に有効だったラインやボール選択が後半には通用しなくなることもある。

そうした状況で求められるのは、派手なビッグゲームだけではない。自分のフォーム、リリース、狙いどころを安定させ、変化に応じて微調整を重ねる力だ。シンはまさにその基本を徹底し、12ゲームを通じて高い水準の投球を維持した。

特に12ゲーム目の277は、単なる高スコア以上の価値がある。予選2ラウンドの最後にビッグゲームを打てたことは、集中力が終盤まで落ちなかった証拠であり、翌日のラウンドへ向けても大きな弾みとなる。

 

上位争い:ハンラハン、クレイマーらが追走

シンを追う2位には、カンザス州ウィチタのマディソン・ハンラハンが入った。12ゲーム合計は2,712ピン。首位との差は41ピンで、まだ十分に逆転を狙える位置につけている。

3位はアラバマ州ウェブのモーガン・クレイマー2,701ピン。4位にはウクライナのダーシャ・コバロワ2,688ピン、5位にはフロリダ州パームベイのクリスタル・エリオット2,685ピンで続いた。

トップ10の顔ぶれは以下の通り。

順位選手名出身合計ピン
1位シン・リジェーンマレーシア2,753
2位マディソン・ハンラハンカンザス州ウィチタ2,712
3位モーガン・クレイマーアラバマ州ウェブ2,701
4位ダーシャ・コバロワウクライナ2,688
5位クリスタル・エリオットフロリダ州パームベイ2,685
6位ブリタニー・スミスアイオワ州アデル2,679
7位ジョーダン・スノッドグラスミシガン州エイドリアン2,672
8位リュ・ソヨン韓国2,662
9位ブリアナ・クレマーサウスカロライナ州クローバー2,644
10位マランダ・パティソンカリフォルニア州レッドウッドバレー2,644

土曜日の第3予選ラウンドへ進出できるのは上位36名。最後の通過枠となる36位には、ミズーリ州ウェンツビルのローレン・ルッソ2,487ピンで滑り込んだ。

ここから先は、単に上位に残るだけでは足りない。第3予選後には上位12名に絞られ、さらに第4予選を経て、最終的にステップラダー決勝へ進めるのはわずか5名だけだ。首位にいるシンであっても、油断は許されない。

 

前大会の悔しさから学んだ「我慢強さ」

シンが今大会で意識しているテーマの一つが、レーン上での忍耐だ。

前戦の「PWBA Lilac City Open」では、シンは予選5位で通過し、1回戦の不戦勝を獲得していた。しかし、その後の自身初戦で敗れ、決勝進出を逃した。好位置につけながら一度のマッチで大会を去る結果となり、本人にとっても悔しさの残る内容だった。

その経験を踏まえ、シンは次のように語っている。

「レーン上でもっと辛抱強くなる必要があります。レーンは変化することがありますが、スペアを確実に取り、試合中に解決策を見つけていかなければなりません

このコメントは、プロボウリングの難しさを端的に示している。
ボウリングは、ストライクを連発する攻撃力だけで勝てる競技ではない。レーンのオイルは投球が進むにつれて変化し、ボールの動きも少しずつ変わっていく。思い通りにポケットを突けない時間帯に、いかに冷静さを保てるか。そこでスペアを確実に拾い、ゲームを壊さずに次のチャンスを待てるかが、勝敗を大きく左右する。

シンは前大会の敗戦を、単なる失敗として終わらせていない。むしろ、その経験を今大会での判断力安定感に変えている。スコアを追いすぎず、自分の投球に集中する姿勢は、その学びの表れといえる。

 

土曜日の展望:36名から12名、そして決勝の5名へ

大会は土曜日に大きな山場を迎える。

午前9時から第3予選ラウンドとして6ゲームが行われ、36名のフィールドは上位12名に絞られる。その後、午後2時から第4予選ラウンドを実施。すべての予選ブロック終了後、上位5名が午後6時30分開始予定のステップラダー決勝へ進出する。

このステップラダー決勝で、「PWBAバーバラ・クリスマン・クラシック presented by Storm」の初代優勝者が決定する。優勝賞金は2万ドル。新設大会の初代女王という称号に加え、シーズン全体の流れを左右する重要なタイトルとなる。

全ラウンドはBowlTVでライブ配信される予定で、世界中のボウリングファンが新たなチャンピオン誕生の瞬間を見守ることになる。

 

シンの鍵は「一投ずつ積み上げる冷静さ」

予選2ラウンドを終えた時点で、シン・リジェーンは最も優勝に近い位置にいる。開幕戦での優勝、今季全大会でのカットライン突破、そして今回の首位発進。これらの結果は、彼女の好調が一時的な勢いではなく、確かな技術安定したメンタルに支えられていることを示している。

ただし、勝負はまだ終わっていない。土曜日のラウンドでは、レーンコンディションのさらなる変化、追い上げる上位陣のプレッシャー、そして決勝進出をかけた緊張感が一気に高まる。首位であっても、一つの判断ミスやスペアミスが流れを変える可能性は十分にある。

だからこそ、シンに求められるのは、本人が語る通り「一歩ずつ進む」姿勢だ。結果を急がず、スコアに振り回されず、目の前の一投に集中する。レーンが変化しても慌てず、スペアを拾いながら解決策を探る。その冷静さを最後まで保てるかどうかが、初代王者への最大の鍵となる。

新設大会の歴史に、最初に名前を刻むのは誰なのか。
首位に立つシン・リジェーンが逃げ切るのか、それとも追う選手たちが逆転劇を見せるのか。PWBAバーバラ・クリスマン・クラシックは、いよいよ優勝争いの核心へと進んでいく。