スノッドグラス、因縁のシンを撃破
バーバラ・クリスマン・クラシック制覇

新設大会の歴史に名を刻んだスノッドグラス

2026年のPWBAツアーで、ジョーダン・スノッドグラスが大きな節目となる勝利をつかんだ。

ミシガン州エイドリアン出身のスノッドグラスは、オハイオ州コロンバスのHP Lanesで開催された「2026 PWBAバーバラ・クリスマン・クラシック presented by Storm」で優勝。決勝ではマレーシアのシン・リ・ジェーンを250対198で破り、自身通算7個目となるPWBAタイトルを獲得した。

今大会は、ボウリング用品メーカーStormの共同創業者であり、ボウリング界に長年大きな影響を与えてきたバーバラ・クリスマンの名を冠した初開催の大会である。その記念すべき第1回大会で頂点に立ったことは、スノッドグラスにとって単なるツアー1勝以上の意味を持つものだった。

さらに、この勝利はシーズンの重要なタイミングで生まれた。PWBAツアーはこの後、メジャー大会であるU.S. Women’s Openへと向かう。大舞台を前に、自身の状態が上向いていることを証明したスノッドグラスにとって、今回の優勝は大きな自信となるはずだ。

 

圧巻の決勝と、2年前の雪辱

今回の決勝カードには、見逃せない因縁があった。スノッドグラスとシン・リ・ジェーンが前回チャンピオンシップラウンドで対戦したのは、2024年のPWBAツアーチャンピオンシップ決勝。当時もスノッドグラスは第1シードとしてタイトルマッチで待ち受けていたが、勝利を手にしたのはシンだった。

シンはその勝利で自身4勝目、さらに同年2つ目のメジャータイトルを獲得。その勢いのまま、2024年のPWBA年間最優秀選手にも選ばれている。スノッドグラスにとって、シンは過去に大舞台で苦杯をなめさせられた相手だった。

そして今回のコロンバスでも、状況はよく似ていた。スノッドグラスは再び第1シードとして決勝に進出し、タイトルマッチの相手を待つ立場となった。一方のシンは第2シードとしてステップラダー決勝に登場。準決勝では、2026年シーズンで3大会連続のチャンピオンシップラウンド進出を果たしていたシャノン・プルハウスキーと対戦した。

準決勝のシンは、まさに圧巻だった。9フレーム中7つのストライクを奪う力強い投球を披露し、序盤にオープンフレームを出したプルハウスキーを一気に突き放した。プルハウスキーはストライクを連ねることができず188で終了。対するシンは256をマークし、好調な状態でタイトルマッチへ駒を進めた。

しかし、決勝では流れが大きく変わる。

シンは準決勝の勢いを維持できず、ストライクとスペアを交互に重ねる展開となった。大きく崩れたわけではないものの、連続ストライクで主導権を握る展開には持ち込めなかった。

一方のスノッドグラスは、序盤から試合を支配した。第1フレームから6連続ストライクを決め、タイトルマッチの空気を一気に自分のものにする。第7フレームではビッグ4スプリットを残したが、そこで流れを失わなかった。すぐに立て直し、その後さらに3つのストライクを重ねて、最終スコアは250。シンの198を大きく上回り、堂々の優勝を飾った。

スノッドグラスはこの勝利で賞金2万ドルを獲得。準優勝のシンは1万ドル、3位のプルハウスキーは7,500ドルを手にした。

試合後、スノッドグラスは現在の手応えについてこう語っている。

「シーズンのこの時期は、自分のベストなボウリングをしたいタイミングです。そして今、自分はベストな状態で投げられていると感じています。ルーティンが良く、ショットメイキングも良く、スペアも良い。この3つに集中できれば、それが自分を前に進ませてくれます」

この言葉からも分かるように、今回の優勝は一時的な爆発力だけでつかんだものではない。試合全体を通じて、自分のリズム、狙い、修正能力を高いレベルで維持できていたことが大きな勝因だった。

スノッドグラスは、レーンコンディションへの対応についても冷静に分析している。自分の投球ラインを前に保ち、ミスの傾向を把握したうえで、十分に左へ移動してホールドを見つけたという。ボールが正しく反応する感覚をつかんでからは、安定したルーティンに入りやすくなった。

特筆すべきは、全25ゲームを同じボールで投げ切った点だ。多くの選手がコンディションの変化に応じてボールを替える中で、スノッドグラスは同じボールを使い続け、自分の感覚と反応を信じた。その一貫性が、決勝での落ち着きにもつながった。

 

歴代の名選手に並ぶ通算7勝目

今回の優勝により、スノッドグラスはPWBA通算7勝に到達した。この数字は、シャノン・プルハウスキー、ケリー・キューリック、パム・バックナー、ジュディ・サウターらと並ぶものだ。

特にキューリック、バックナー、サウターはPWBA殿堂入りを果たしている名選手であり、キューリックは今年殿堂入りしたばかりである。そうした偉大な選手たちとタイトル数で肩を並べたことは、スノッドグラスのキャリアにおいて大きな意味を持つ。

スノッドグラス自身も、その価値を深く理解している。

「彼女たちは本当にこの競技の偉大な選手たちです。そこに並べるのはとても素晴らしいことです。6勝目にたどり着くまで時間がかかりましたし、7勝目にも時間がかかると思っていました。でも、ラッキーNo.7を取ることができました。本当にうれしいです」

勝利を積み重ねることの難しさを知っているからこそ、7勝目の重みは大きい。今回の優勝は、スノッドグラスが現在のPWBAツアーにおいて確かな存在感を持つ選手であることを改めて示した。

 

家族と亡き兄への思いを胸に

このタイトルは、スノッドグラスにとって個人的にも特別なものだった。現地コロンバスには家族が駆けつけ、優勝の瞬間をともに分かち合った。

スノッドグラスは、家族が応援に来ることの難しさにも触れている。日常の予定や仕事がある中で、全員が時間を作るのは決して簡単ではない。それでも自分を支えるために足を運んでくれる家族への感謝を、彼女は率直に語った。

また、スノッドグラスのジャージには、亡き兄への思いも込められている。ユニフォームには天使の羽白血病啓発リボンがあしらわれており、兄の記憶を胸に戦っている。

スノッドグラスにとって、ボウリングは兄と一緒に楽しんだ大切なものだった。兄の名前を天使の羽に込めたジャージを身にまとい、家族の前で新設大会の初代女王となった今回の勝利は、競技者としてだけでなく、一人の人間としても忘れがたい瞬間になったはずだ。

 

ステップラダー決勝の流れ

今大会のステップラダー決勝は、韓国のリュ・ソヨンとオリビア・ファーウェルの対戦で幕を開けた。リュは、PWBA史上初めてチャンピオンシップラウンドに進出した韓国人選手。対するファーウェルは、28歳の誕生日に自身初タイトルを狙っていた。

序盤は接戦となったが、ファーウェルがダブルを重ねて流れをつかむ。リュは第5、第6フレームでストライクを奪ったものの、その後は伸び切れず182で終了。ファーウェルが220をマークして勝ち上がった。リュは5位となり、賞金5,550ドルを獲得した。

続く第2試合では、ファーウェルがシャノン・プルハウスキーと対戦した。ここでプルハウスキーは、最初の8フレームで7つのストライクを奪う見事な立ち上がりを見せる。ファーウェルも粘ったが、いくつかのコーナーピンを倒し切れず227で終了。プルハウスキーは245を記録し、準決勝へ進出した。ファーウェルは4位で賞金6,500ドルを獲得している。

準決勝ではシンがプルハウスキーを256対188で下し、決勝へ進出。そして最後は、待ち受けていた第1シードのスノッドグラスが250対198でシンを破り、初代女王の座を射止めた。

大会の全ラウンドはBowlTVでライブ配信され、ファンはバーバラ・クリスマンの名を冠した新設大会の歴史的な瞬間を見届けた。

 

U.S. Women’s Openへ向けて、最高の弾み

2026年PWBAバーバラ・クリスマン・クラシックは、ジョーダン・スノッドグラスの強さと完成度を示す大会となった。

第1シードとして待つ重圧。過去に大舞台で敗れた相手との再戦。新設大会の初代女王を懸けた特別な決勝。そうした要素が重なる中で、スノッドグラスは序盤から6連続ストライクを決め、最後まで主導権を渡さなかった。

今回の優勝で、彼女は通算7勝目に到達し、PWBAの歴代タイトルリストで名選手たちと肩を並べた。それはキャリアの新たな節目であり、同時に今後のさらなる飛躍を予感させる勝利でもある。

PWBAツアーは次戦、6月9日からインディアナポリスの歴史あるRoyal Pin Woodlandで開催される「Go Bowling U.S. Women’s Open」へ向かう。メジャー大会を前に、自身のルーティン、ショットメイキング、スペアに確かな手応えを得ているスノッドグラス。コロンバスで見せた安定感と勝負強さを、次の大舞台でも発揮できるか。

バーバラ・クリスマン・クラシック初代女王となったスノッドグラスの戦いは、ここからさらに注目度を増していく。