ニュー・フイフェンがPWBAノーザンコロラド制覇
前週の雪辱を果たした6度目の栄冠
同じ展開、違う結末。ニューがつかんだ価値ある勝利
シンガポールのニュー・フイフェンが、PWBAノーザンコロラド・オープンで見事な優勝を飾った。舞台となったのは、ハイランドパーク・レーンズ。決勝では、カリフォルニア州ロングビーチ出身のステファニー・ザバラを228対202で下し、自身6度目となるPWBAタイトルを獲得した。
今回の勝利は、ニューにとって単なる通算勝利数の上積みではない。そこには、前週の悔しさを乗り越えた意味があった。
前週のPWBAボウラーズ・ジャーナル・ロックフォード・オープンで、ニューは予選を首位で通過しながらも、ステップラダーを勝ち上がってきたマレーシアのシン・リジェーンに決勝で敗れていた。そして今大会でも、ニューは24ゲームの予選を終えて第1シードを獲得。決勝の相手を待つ立場となった。
そこへ第4シードのザバラがステップラダーを勝ち上がってくる。状況は、まるで前週の再現だった。だが、結末は違った。ニューはプレッシャーを正面から受け止め、序盤から主導権を握る力強いボウリングで、今度こそタイトルを手にした。
序盤から攻め切ったニュー、勝負を分けた7フレーム目
決勝戦のニューは、立ち上がりから迷いがなかった。最初の6フレームで5つのストライクを決め、ザバラに対して早い段階でリードを築いた。
特に印象的だったのは、メッセンジャーが決まった場面だ。ピンが横から飛び、残りピンを倒す劇的なストライクに、普段は感情を大きく表に出さないニューが、珍しくリアクションを見せた。
試合後、ニューはその場面についてこう振り返っている。
「私はあまり感情を表に出すタイプのボウラーではありません。プレッシャーと不安を強く感じていました。あれは、自分をリラックスさせるための表現でした」
このコメントは、決勝の舞台がどれほど重圧の大きいものだったかを物語っている。第1シードとして待つ立場は、一見有利に見える。しかし、ステップラダーを勝ち上がってきた相手には試合感と勢いがある。しかもニューにとっては、前週に似た展開で敗れていた記憶も残っていたはずだ。
それでもニューは崩れなかった。自分の投球を信じ、ポケットを突き続けた。
一方のザバラも、決して内容が悪かったわけではない。序盤からスペアを確実に拾い、ミスを最小限に抑えながら試合を進めていた。しかし、7フレーム目で痛恨のスプリットが発生。この一投が流れを大きく左右した。
ザバラは最終的に202で準優勝。賞金9,000ドルを獲得したが、ニューの安定感を崩すには至らなかった。
ニューは勝負が決まるまで大きくラインを外すことなく投げ切り、228でフィニッシュ。優勝賞金18,500ドルとともに、キャリア6度目のPWBAタイトルを手にした。
安定感を支える身体づくりと自信の回復
近年のニューは、PWBAツアーで際立った安定感を見せている。2024年以降、チャンピオンシップラウンド進出は9回。その間に6つのタイトルを獲得し、2025年にはPWBA年間最優秀選手にも選ばれている。
この継続的な強さの背景には、身体面での不安を克服してきた努力がある。
ニューは、自身の変化について次のように語っている。
「この3シーズンほどで、自信が増しました。以前のように『もし滑って膝が痛くなったらどうしよう』と心配することがなくなりました。その恐怖は消えました。自分の身体が十分に強いと分かっているからです。これまで取り組んできたことがあるので、今は自分なら対応できると感じています」
ボウリングは、静かで繊細な競技に見える。しかし実際には、下半身の安定、膝への負担、助走のリズム、リリース時のバランスなど、身体全体の連動が結果を大きく左右する。特に膝に不安があれば、スライドや踏み込みに迷いが生まれ、投球の再現性にも影響する。
ニューがここ数年で勝ち切る力を高めているのは、技術だけの成果ではない。身体への信頼を取り戻したことが、プレッシャーの中でも思い切って投げられる土台になっている。
メンタル面の進化が生んだ「勝ち切る力」
ニューの成長は、フィジカル面だけにとどまらない。今大会で特に際立っていたのは、精神面での成熟だった。
ニューはこう話している。
「すべてを意図的に行い、ルーティンを守ることが大切です。頭の中を通る一つひとつの思考も、意図的であるようにしています」
この言葉には、トップ選手としての現在地がよく表れている。
ボウリングでは、投球のたびに状況が変わる。レーンコンディション、相手のスコア、残りフレーム、ピンアクション、自分の感覚。そのすべてを受け止めながら、次の一投に集中しなければならない。
感情に流されれば、わずかなズレが生まれる。焦れば、ラインを外す。守りに入り過ぎれば、ストライクを重ねるチャンスを逃す。
だからこそ、ニューが語る「意図的であること」は重要だ。投球動作だけでなく、考え方そのものをコントロールする。自分のルーティンに戻る。必要以上に結果を追わず、目の前の一投に集中する。
前週とよく似た状況で、今回は勝ち切った。その事実こそ、ニューのメンタル面の進化を最も明確に示している。
ザバラの快進撃。第4シードから決勝へ
敗れたザバラも、今大会で大きな存在感を示した。第4シードからステップラダーを勝ち上がり、決勝まで進出した内容は高く評価されるべきものだった。
最初の相手は、スウェーデンのノーラ・ヨハンソン。2025年以降、3度目のチャンピオンシップラウンド進出となったヨハンソンは、ツアー初の両手投げ優勝者を目指していた。
ヨハンソンは試合開始直後にスプリットを出したものの、その後はザバラに食らいついた。ポケットを外すことなく投げ続けたが、10番ピンが残る場面が続き、ストライクを連ねることができなかった。
その隙を逃さなかったのがザバラだった。試合中盤から5連続ストライクを決め、流れを一気に引き寄せる。結果は234対201。ヨハンソンは5位で賞金5,150ドルを獲得した。
次にザバラが対戦したのは、オハイオ州デイトンのシャノン・プルハウスキー。2025年シーズン終盤に2連勝を飾り、その中にはシーズン最終戦のツアーチャンピオンシップ優勝も含まれていた。通算5勝、メジャー3勝を誇る実力者である。
しかし、この試合でもザバラは勢いを止めなかった。最初の5フレームをすべてストライクでスタート。プルハウスキーは中盤までダブルを作れず、6フレーム終了時点で45ピンのビハインドを背負った。
ザバラはその後もストライクを重ね、257対221で勝利。プルハウスキーは4位となり、賞金6,150ドルを獲得した。
準決勝の相手は、ミシガン州エイドリアンのジョーダン・スノッドグラス。通算7勝目を狙う強豪との一戦だった。
この試合は、互いに10番ピンに苦しむ展開となった。序盤はどちらもストライクを続けられず、我慢比べのような試合運びとなる。その後、両者がダブルを取り合ったが、7フレーム目でスノッドグラスにオープンフレームが出たことで、ザバラが終盤に抜け出した。
ザバラは205で勝利。スノッドグラスは188で3位となり、賞金7,500ドルを手にした。
こうしてザバラは3試合を勝ち抜き、決勝でニューに挑んだ。優勝には届かなかったものの、強豪を連破して決勝へ進んだ戦いぶりは、今後のツアーでも大きな自信になるはずだ。
国際勢が主役となる2026年シーズン
2026年のPWBAツアーは、開幕から国際勢の存在感が際立っている。ここまで2大会を終えて、いずれもアメリカ国外の選手が優勝している。今回のニューの勝利により、3年連続でアメリカ国外出身の選手が年間最優秀選手に輝く可能性も見えてきた。
近年のPWBAでは、アメリカ国内の選手だけでなく、アジアやヨーロッパ出身の選手たちが確実に結果を残している。ニュー・フイフェン、シン・リジェーン、ノーラ・ヨハンソンといった選手たちは、ツアーの競争力と多様性を高める存在になっている。
その中でもニューは、勝利数と安定感の両面で一歩抜けた存在だ。予選から高いレベルを維持し、第1シードを獲得し、決勝でも勝ち切る。これは簡単なことではない。
上位に進む力だけでなく、最後の1試合で結果を出す力がある。今回の優勝は、ニューが現在の女子プロボウリング界を代表する選手の一人であることを、改めて証明するものとなった。
ラスベガスのUSBCクイーンズへ。ニューは勢いを持ってメジャーへ向かう
PWBAノーザンコロラド・オープンは、ニュー・フイフェンの強さと成長を鮮明に示す大会となった。
前週と似た展開。第1シードとして待つ重圧。ステップラダーを勝ち上がってきた相手の勢い。そうした難しい条件が重なる中で、ニューは序盤から自分のボウリングを貫き、最後まで主導権を渡さなかった。
この勝利を支えたのは、正確な投球技術だけではない。身体への不安を乗り越えた自信、ルーティンを守る精神力、そして一投ごとに意図を持つ集中力。そのすべてがかみ合ったからこそ、キャリア6度目のタイトルにつながった。
次なる舞台は、ラスベガスのゴールドコースト・ボウリングセンターで5月13日から19日まで開催されるUSBCクイーンズ。2026年最初のメジャー大会であり、シーズン全体の流れを左右する重要な大会となる。
ニューはノーザンコロラドで得た勝利の勢いを持って、ラスベガスへ向かう。国際勢がツアーを揺さぶる中、彼女がメジャーの舞台でも主役となるのか。2026年のPWBAツアーは、早くも大きな見どころを迎えている。