EJタケット、史上初の4連覇へ王手
PBAワールド決勝9名が決定
66ゲームの激闘を制し、タケットが頂点に最接近
PBAワールドシリーズ・オブ・ボウリングXVIIのメジャー最終戦、AMF PBAワールドチャンピオンシップは、ついにステップラダー決勝へ進出する9名が出そろった。舞台となったのは、ミネアポリスのBowlero Brooklyn Park。長く過酷な66ゲームを終え、トップシードを獲得したのは、今大会でも圧倒的な存在感を放ったEJタケットだった。
タケットは5種類の異なるオイルパターンを攻略し、平均227点を超えるハイアベレージを記録。追撃するメジャー王者たちを振り切り、決勝ではあと1勝でタイトルに届く位置につけた。
このトップシード獲得には、単なる予選首位以上の意味がある。タケットは現在、ワールドチャンピオンシップ3連覇中。もし今回も頂点に立てば、PBAツアー史上初となる同一大会4年連続優勝を達成する。しかも、それがメジャー大会で実現するとなれば、ボウリング史に残る偉業となる。
タケットが築いた主導権、崩せなかったライバルたち
今大会は、4つのアニマルパターン選手権の予選スコアを含む総合戦として行われた。レーンコンディションは変化し続け、選手には対応力、集中力、体力、そして勝負どころでの決定力が求められた。
その中でタケットは、スコーピオン選手権の予選中にワールドチャンピオンシップ全体の首位へ浮上。そこから36ゲーム以上にわたり、一度もトップの座を明け渡さなかった。長丁場の大会で首位を守り続けることは、単にスコアが高いだけでは不可能だ。レーンの変化を読み、ボール選択を調整し、プレッシャーのかかる場面でミスを最小限に抑える総合力が必要になる。
最終順位では、タケットが15,301ピン、平均227.29で首位。2位にはクリス・ヴァイ、3位にビル・オニール、4位にクリス・プラザーが入った。この上位4名は、6月13日午後1時からCBSおよびParamount+で放送されるチャンピオンシップラウンドへの出場権を獲得している。
一方、5位から9位に入ったジェイソン・ベルモンテ、ブランドン・ボンタ、ザック・ウィルキンス、ジェイソン・スターナー、ダレン・タンは、同日午前11時からCBS Sports Networkで放送されるステップラダー準決勝に出場する。ここを勝ち抜いた選手だけが、上位4名の待つチャンピオンシップラウンドへ進むことができる。
決勝の舞台は、ミシガン州アレンパークのThunderbowl Lanes内にあるStrobl Arena。世界屈指の実力者たちが、今季メジャー最終戦のタイトルを懸けてぶつかる。
歴史的偉業を狙うタケットの現在地
EJタケットにとって、今回のワールドチャンピオンシップはキャリアの中でも特別な意味を持つ大会だ。現在、彼はPBAツアーのポイント、獲得賞金、平均スコアでトップに立っている。すでにシーズンを通して最高レベルの安定感を見せており、今大会で優勝すれば、4年連続となるクリス・シェンケルPBA年間最優秀選手賞の有力候補となる。
ただし、タケットの今季は決して順風満帆な優勝続きだったわけではない。プレイヤーズチャンピオンシップとUSBCマスターズでは、いずれも首位で決勝に進みながら、タイトルマッチで敗れて準優勝に終わっている。だからこそ、今回のトップシードは本人にとっても大きなチャンスであると同時に、最後の1勝を取り切るための試練でもある。
タケットは「優勝のチャンスを確実に得られる位置に自分を置くことが、常に目指している場所だ」と語っている。一方で、「まだ仕事は終わっていない」とも強調した。首位通過の価値を理解しながらも、タイトルを手にするまでは満足しない。その姿勢こそ、彼が現在のPBAを代表する選手であり続ける理由だろう。
ヴァイ、ベルモンテが見せた猛追
タケットが長く首位を守ったとはいえ、決して楽な展開ではなかった。特にクリス・ヴァイは、大会を通じて常に上位を維持し、タケットに最も近い位置でプレッシャーをかけ続けた。
ヴァイは最終ゲームを前に、タケットとの差を36ピンまで縮めた。ポジションラウンドではタケットとの直接対決となり、勝利すればトップシードを奪う可能性も残されていた。しかし、最後はタケットが237対226で勝利。ヴァイはわずか11ピン差で首位には届かなかったものの、堂々の第2シードを確保した。
ジェイソン・ベルモンテもまた、タケットを脅かした一人だ。水曜夜のマッチプレーでは、300点と267点を続けて叩き出し、一時はタケットとの差を34ピンまで詰めた。世界最高峰の大舞台でパーフェクトゲームを出し、流れを一気に引き寄せたあたりは、さすが通算メジャー最多勝を誇る王者である。
しかし、ベルモンテは終盤に順位を落とし、最終的には5位で準決勝からの出場となった。それでも、彼にとって下位シードからの逆襲は決して未知の道ではない。2023年のトーナメント・オブ・チャンピオンズでは、第6シードから6連勝し、最後はタケットを破って優勝している。今回もまた、通算16個目のメジャータイトルを狙い、ステップラダーを一段ずつ登ることになる。
オニールとプラザー、経験と集中力で上位へ
3位に入ったビル・オニールは、マッチプレーで圧倒的な強さを見せた。14勝2敗というフィールド最高成績を残し、420ボーナスピンを獲得。このボーナスが順位争いで大きな意味を持った。
オニールは一時トップ5圏外に落ちたものの、終盤に246、228、259、210、248と高水準のスコアを並べ、再び上位へ浮上した。特にベルモンテから2勝を挙げたことは大きく、最終的に第3シードを手にした。
オニールの強さは、長年の経験に裏打ちされた修正力にある。難しいセンターであっても、レーンごとの情報を積み重ね、自分の投球ラインとボールリアクションを信じて投げ切る。本人は肉体的な疲労を口にしていたが、それでも勝負どころで結果を出すあたりは、三度のメジャー制覇を誇る実力者らしい。
4位のクリス・プラザーも、終盤に大きく順位を上げた。大会の多くの時間を5位または6位で過ごしていたが、最後の2ゲームで258、257を記録し、どちらもマッチ勝利。ベルモンテをかわして、チャンピオンシップラウンドへ自動進出できる最後の枠をつかんだ。
プラザーは、準決勝側のステップラダーに回るのではなく、上位4名のショーに直接入りたいという明確な目標を持っていた。その執念が、終盤の集中力につながった。極限状態の中で「エリートレベルのショット」を投げ切ったことが、4位浮上の決め手となった。
9位争いを制したダレン・タンの勝負強さ
準決勝進出ラインとなる9位争いも、最後まで緊張感に満ちていた。ポジションラウンド突入時点では、ミッチ・ヒューペが9位。パトリック・ドンブロウスキーが3ピン差、ダレン・タンが4ピン差、ライアン・バーンズが40ピン差で追う展開だった。
この状況で、タンは10フレームに大きな勝負を迎える。ヒューペとドンブロウスキーを上回るには、ダブルが必要だった。わずかなミスが敗退に直結する場面で、タンは見事に2連続ストライクを決め、9位で準決勝進出を果たした。
タンは昨シーズンから両手投げに転向したばかりの選手だ。その変化の途上にありながら、メジャー大会の最終局面で必要なショットを投げ切ったことは、彼の成長を象徴している。9位という順位以上に、勝負どころでの強さを証明した価値ある通過だった。
注目は6月13日、歴史が動くか
AMF PBAワールドチャンピオンシップのステップラダー決勝は、6月13日にThunderbowl Lanesで行われる。午前11時から準決勝、午後1時からチャンピオンシップラウンドが予定されている。
最大の焦点は、もちろんタケットの4連覇だ。彼がトップシードから1勝を挙げれば、PBAツアー史に残る前人未到の記録が誕生する。
しかし、その道は決して平坦ではない。2位のヴァイは大会を通じて安定感を見せ、最後までトップシード争いを演じた。オニールは経験とマッチプレーでの勝負強さを兼ね備える。プラザーは終盤の爆発力を持つ。そして準決勝側には、ベルモンテという最大級の脅威が控えている。
さらに、ブランドン・ボンタはルーキーシーズンとしては異例の快進撃を見せており、ザック・ウィルキンスも直近で初優勝とトーナメント・オブ・チャンピオンズ準優勝を経験して勢いに乗る。スターナー、タンも含め、誰が勝ち上がっても不思議ではない顔ぶれだ。
タケットの時代か、新たな逆襲劇か
AMF PBAワールドチャンピオンシップは、EJタケットがどれほど現在のPBAで突出した存在であるかを改めて示す大会となった。66ゲームを通じて首位を守り、平均227点超を記録し、歴史的4連覇へあと1勝。数字だけを見ても、その支配力は圧倒的だ。
だが、ボウリングのステップラダー決勝は、予選順位だけで勝者が決まる舞台ではない。たった1ゲームの中で流れは変わり、1フレーム、1投、1ピンが運命を左右する。だからこそ、トップシードのタケットにも油断は許されない。
タケットが前人未到の4連覇を達成し、PBAの歴史に新たな章を刻むのか。それとも、ベルモンテ、ヴァイ、オニール、プラザーらがその偉業を阻み、新たなドラマを生み出すのか。
6月13日、Thunderbowl Lanesのレーン上で、今季メジャー最終戦の答えが出る。 PBAの歴史が動く瞬間を、世界中のボウリングファンが見守ることになる。