ラッセルがPBAシャーク選手権首位通過
タケットはワールド4連覇へ前進
ベテランの復活と王者の挑戦が交差するWSOB XVII
ミネソタ州ブルックリンパークのBowlero Brooklyn Parkで開催されている「PBA World Series of Bowling XVII」は、4つ目のアニマルパターンタイトルイベントとなるPBAシャーク選手権の予選を終え、決勝ラウンドに進出する12名が決定した。
48フィートのシャークオイルパターンで最も存在感を示したのは、46歳のロニー・ラッセルだった。10ゲーム合計2,366ピン、アベレージ236.6を記録し、堂々のトップ通過。クリス・ヴァイ、パトリック・ドンブロウスキー、ブランドン・ボンタとともにトップ4に入り、決勝ラウンドでは1回戦免除のアドバンテージを手にした。
一方、PBAワールドチャンピオンシップでは、3年連続王者のEJタケットが40ゲーム終了時点で総合首位に立っている。チーター、カメレオン、スコーピオン、シャークの4パターン合計で9,042ピン、アベレージ226.05を記録。史上初となるワールドチャンピオンシップ4連覇へ向け、絶好の位置で次のラウンドへ進む。
シャーク選手権は単独タイトルであると同時に、ワールドチャンピオンシップの総合順位を左右する重要な一戦でもある。ラッセルの復活劇、タケットの歴史的挑戦、そして複数パターンで安定感を見せるヴァイの存在。WSOB XVIIはいよいよ、タイトル争いとメジャー制覇への流れが重なり合う山場を迎えている。
PBAシャーク選手権 予選トップ12
10ゲームで行われたPBAシャーク選手権予選では、上位12名が決勝ラウンドへ進出した。上位4名は1回戦免除となり、タイトル獲得へ向けて有利なポジションに入る。
| 順位 | 選手名 | ピンフォール | アベレージ |
|---|---|---|---|
| 1 | ロニー・ラッセル | 2,366 | 236.6 |
| 2 | クリス・ヴァイ | 2,337 | 233.7 |
| 3 | パトリック・ドンブロウスキー | 2,318 | 231.8 |
| 4 | ブランドン・ボンタ | 2,310 | 231.0 |
| 5 | EJタケット | 2,299 | 229.9 |
| 6 | ヘイデン・スティピッチ | 2,290 | 229.0 |
| 7 | トビアス・ボーディング | 2,282 | 228.2 |
| 8 | パッキー・ハンラハン | 2,281 | 228.1 |
| 9 | トミー・ジョーンズ | 2,265 | 226.5 |
| 10 | アレックス・ホートン | 2,259 | 225.9 |
| 11 | カイル・シャーマン | 2,254 | 225.4 |
| 12 | ミッチ・ヒュペ | 2,253 | 225.3 |
ラッセルは2位のヴァイに29ピン差をつけて首位通過。10ゲームを通して平均236点台を維持した内容は、長いシャークパターンに対して高い再現性と判断力を示したものだった。
特に注目されるのは、ディフェンディングチャンピオンのEJタケットが5位に入ったことだ。タケットはシャーク選手権2連覇中であり、今年も優勝候補の中心にいる。しかしトップ4にはわずかに届かず、決勝ラウンドでは初戦から投げることになった。
また、12位のミッチ・ヒュペと13位のザック・タケットの差はわずか16ピン。EJタケットの弟であるザックは惜しくもカットラインに届かず、兄弟対決の実現は持ち越しとなった。EJは、弟と全国放送の舞台で対戦できれば特別な瞬間になったはずだと語っている。
ロニー・ラッセル、苦悩の先に見せた首位通過
今回のシャーク選手権で最も大きな物語を作ったのは、ロニー・ラッセルだ。
PBAツアー通算4勝を誇るラッセルは、2010年代半ばに存在感を放った実力者である。しかし近年は思うような結果を残せず、今季のポイントランキングは71位。過去3シーズンも71位、66位、59位と上位争いから遠ざかっていた。精神的にも肉体的にも厳しい時間が続き、かつてのように毎週ツアーで優勝争いに絡む状況ではなかった。
その中でラッセルは、今季限りでフルタイムのツアープロとしての活動を退く意向を周囲に伝え始めていた。今後もメジャー大会に出場する可能性は残すものの、毎週のツアー競技からは距離を置く考えだという。
だが、その決断がかえってラッセルの投球を軽くした。
本人は、過度な期待を持たず、余計なプレッシャーを背負わずにレーンへ向かえたことが好結果につながったと振り返っている。最後のゲームではトップ4入りとワールドチャンピオンシップ通過がかかる緊張感のある場面だったが、同じボックスで投げた仲間たちの存在もあり、落ち着いてプレーを続けることができた。
ラッセルにとって今回の首位通過は、単なる予選1位ではない。2016年以来となるPBAタイトル獲得へ向けた大きなチャンスであり、キャリアの終盤にもう一度自分の力を証明する舞台でもある。
クリス・ヴァイ、複数パターンで際立つ安定感
2位通過のクリス・ヴァイも、今大会で高く評価されるべき選手の一人だ。
ヴァイは複数のアニマルパターン選手権で決勝進出を果たした10名のうちの1人であり、その中でも2大会でトップ4シードを獲得した唯一の選手となった。スコーピオン選手権でも2位通過しており、終盤の2パターンで抜群の安定感を見せている。
本人は、スコーピオンとシャークで似たエリアを使えたこと、そして自身のボールラインナップへの理解が進んでいることを好成績の要因に挙げている。多くの選手が頻繁に新しいボールを投入する中、ヴァイは既存の道具を的確に使いこなし、必要なタイミングで素早くアジャストすることで結果を出している。
WSOBのような複数パターンで争われる大会では、瞬発力だけでなく、状況を読み続ける総合力が求められる。ヴァイの強さは、派手な爆発力よりも、崩れにくさと判断の速さにある。ワールドチャンピオンシップでも、タケットを追う有力候補の一人といえる。
EJタケット、シャークでは5位もワールド選手権は首位
EJタケットはシャーク選手権で5位通過となり、トップ4に与えられる1回戦免除を逃した。それでも、ワールドチャンピオンシップ全体では40ゲーム終了時点で総合首位。王者としての強さは揺らいでいない。
タケットはシャーク選手権の2年連続王者であり、今年も大会の中心人物だ。本人はこの日の投球について、ポケットをコントロールし、良いショットを投げ続けることを重視していたと語っている。前半ブロックでは内容に対してスコアが伸びきらなかったものの、休憩中に新しいボールをドリルし、夜のブロックではそのボールを主に使用。最終的にはボンタが終盤にストライクを重ねたことで、トップ4入りには届かなかった。
しかし、ワールドチャンピオンシップでは別の物語が進んでいる。
タケットは4つのオイルパターンを通じて9,042ピンを積み上げ、2位ヴァイに51ピン差をつけて首位。今後は42フィートのアンソニーパターンで競技が行われ、さらに10ゲームを経て、16名によるラウンドロビン・マッチプレーへと進む。
タケットが狙うのは、ワールドチャンピオンシップ4連覇という歴史的快挙だ。同一PBAツアーイベントを4年連続で制することは極めて異例であり、実現すればPBA史に残る偉業となる。本人も、現在の位置に満足しつつ、日を追うごとにショットメイクの質が上がっている手応えを口にしている。
PBAワールドチャンピオンシップ 40ゲーム終了時点トップ20
| 順位 | 選手名 | ピンフォール | アベレージ |
|---|---|---|---|
| 1 | EJタケット | 9,042 | 226.05 |
| 2 | クリス・ヴァイ | 8,991 | 224.78 |
| 3 | ブランドン・ボンタ | 8,898 | 222.45 |
| 4 | ジェイソン・スターナー | 8,884 | 222.10 |
| 5 | ビル・オニール | 8,864 | 221.60 |
| 6 | クリス・プレイサー | 8,851 | 221.28 |
| 7 | ダレン・タン | 8,832 | 220.80 |
| 8 | ジェイソン・ベルモンテ | 8,825 | 220.63 |
| 9 | トーマス・ラーセン | 8,804 | 220.10 |
| 10 | ライアン・バーンズ | 8,800 | 220.00 |
| 11 | トミー・ジョーンズ | 8,779 | 219.48 |
| 12 | パッキー・ハンラハン | 8,764 | 219.10 |
| 13 | キャム・クロウ | 8,751 | 218.78 |
| 14 | ザック・ワイドマン | 8,746 | 218.65 |
| 15 | ミッチ・ヒュペ | 8,736 | 218.40 |
| 16 | トーマス・カユコ | 8,732 | 218.30 |
| 17 | カイル・シャーマン | 8,719 | 217.98 |
| 18 | スペンサー・ロバージ | 8,715 | 217.88 |
| 19 | サントゥ・タハヴァナイネン | 8,697 | 217.43 |
| 20 | ザック・ウィルキンス | 8,693 | 217.33 |
ワールドチャンピオンシップの構図は、タケットを中心に進んでいる。2位のヴァイ、3位のボンタ、4位のスターナー、5位のオニールが追う展開だが、今後の10ゲームとマッチプレーで順位は大きく動く可能性がある。
また、8位にはジェイソン・ベルモンテがつけている。現在はタケットの背中を追う立場だが、マッチプレーに入れば一気に流れを変える力を持つ選手だ。メジャー大会の終盤でベルモンテが上位にいることは、他の選手にとって決して軽視できない要素となる。
一方、前週のTournament of Championsを制した22歳のアレックス・ホートンは、シャーク選手権では10位で決勝進出を果たしたものの、ワールドチャンピオンシップではカットラインに10ピン届かなかった。本人はスペアミスを悔やみながらも、再びテレビ決勝に立てることへの感謝を語っている。
PBAシャーク選手権 決勝ラウンド組み合わせ
PBAシャーク選手権の決勝ラウンドは、5月12日にCBS Sports Networkで放送予定。準決勝ラウンドでは複数の試合が同時進行で行われ、勝者がチャンピオンシップラウンドへ進む。タイトルマッチはRace-to-Two方式で争われる。
| 試合 | 組み合わせ |
|---|---|
| Game 1 | パッキー・ハンラハン vs トミー・ジョーンズ、EJタケット vs ミッチ・ヒュペ |
| Game 2 | トビアス・ボーディング vs アレックス・ホートン、ヘイデン・スティピッチ vs カイル・シャーマン |
| Game 3 | ロニー・ラッセル vs ハンラハン/ジョーンズの勝者、ブランドン・ボンタ vs タケット/ヒュペの勝者 |
| Game 4 | クリス・ヴァイ vs ボーディング/ホートンの勝者、パトリック・ドンブロウスキー vs スティピッチ/シャーマンの勝者 |
最大の注目カードは、EJタケット対ミッチ・ヒュペの初戦だ。タケットが勝ち上がれば、4位シードのブランドン・ボンタと対戦する山に入る。ディフェンディングチャンピオンでありながら初戦から気の抜けない相手が続くため、序盤から高い集中力が求められる。
ラッセルにとっては、1回戦免除をどう生かすかが鍵になる。久々のタイトル獲得へ向けて、体力面と精神面の負担を抑えた状態で登場できることは大きい。ただし相手は、パッキー・ハンラハンかトミー・ジョーンズ。どちらが勝ち上がっても経験豊富な強敵であり、首位通過の勢いをそのまま勝利へつなげられるかが問われる。
ベテランの意地か、王者の歴史か
PBAシャーク選手権は、ロニー・ラッセルの首位通過によって一気にドラマ性を増した。引退を意識しながらも、プレッシャーから解き放たれたベテランが48フィートのシャークパターンで最高の投球を見せたことは、今大会を象徴する出来事のひとつだ。
一方で、ワールドチャンピオンシップ全体ではEJタケットが主導権を握っている。シャーク選手権では5位通過となったものの、40ゲームを通じた総合力では他をリード。4年連続のワールドチャンピオンシップ制覇という歴史的挑戦は、現実味を帯びてきた。
ラッセルが2016年以来のタイトルをつかむのか。タケットがシャーク連覇とワールド選手権4連覇へ向けて加速するのか。それともヴァイ、ボンタ、ドンブロウスキー、ホートンらが流れを変えるのか。
PBAシャーク選手権の決勝ラウンドは、単独タイトルの行方だけでなく、WSOB XVII全体の勢力図を占う重要な一戦となる。ベテランの意地と王者の歴史的挑戦が交差する舞台から、目が離せない。