USBCスーパーシニアクラシック開幕
ボーンIIIが圧巻の1,529ピンで主役に
初日から大会の空気を変えた名手の快投
2026年のUSBCスーパーシニアクラシックが、ラスベガスのサムズタウン・ボウリングセンターで開幕した。シニア世代の実力者たちが集うこの大会で、初日から強烈な存在感を放ったのが、ニュージャージー州ジャクソン出身のパーカー・ボーンIIIだ。
62歳のボーンは第1ラウンドの6ゲームで合計1,529ピンを記録。これは大会史上3番目に高い6ゲーム合計であり、2024年にドン・ブリーデンが樹立した大会記録まで、わずか10ピンに迫る圧巻のスコアだった。平均スコアは254.8。初日終了時点で2位に74ピン差をつけ、堂々の単独首位に立った。
単なる好スタートではない。大会記録に迫る数字、安定したゲーム運び、そしてレーン変化への対応力。ボーンの初日は、優勝候補としての説得力を十分に示す内容だった。
6ゲームで見せた圧倒的な安定感
ボーンの初日は、立ち上がりからすさまじかった。
最初の3ゲームは268、246、279。いきなり793シリーズを叩き出し、フィールド全体に強烈なインパクトを与えた。後半も勢いは大きく落ちず、262、226、248でまとめ、6ゲーム合計1,529ピン。大崩れするゲームがなく、終始高いレベルでスコアを積み重ねた点が際立っている。
ボウリングでは、1ゲームだけのビッグスコアよりも、複数ゲームにわたって高水準を維持することの方が難しい。特にトーナメントでは、投球が進むにつれてレーンコンディションが変化していく。オイルの移動や削れ方によって、序盤に有効だったラインが突然使えなくなることも珍しくない。
その中でボーンは、序盤と中盤以降でラインを調整しながらスコアを伸ばした。本人によると、最初は5枚目付近を使い、レーン奥では2、3、4枚目あたりを通すイメージで投球していたという。手からボールをきれいに離し、レーンの形にボールを預ける。シンプルに聞こえるが、これは高い再現性と繊細な感覚がなければ成立しない。
数ゲーム後にはボールを変更し、それに合わせてやや内側へ移動。アロー付近では8、9枚目、レーン奥では4、5、6枚目付近を使う形に切り替えた。この判断が当たり、後半も高スコアを維持することに成功した。
初日のボーンに見られたのは、経験に裏打ちされた冷静さだった。攻めるべき場面では迷わず攻め、変化を感じれば素早く修正する。長年トップレベルで戦ってきた選手だからこそできる、完成度の高い試合運びだったと言える。
サムズタウンとの相性と、残された課題
ボーンにとって、サムズタウン・ボウリングセンターは決して unfamiliar な場所ではない。これまでもこの会場で好成績を残し、高スコアの予選ラウンドを何度も経験してきた。
一方で、本人は「ここで多くの成功を収めてきたが、勝ち切る方法はまだ見つけられていない」と語っている。つまり、今回の首位発進は大きな前進であると同時に、まだ達成すべきゴールの途中でもある。
ボーンほどの実績を持つ選手であっても、トーナメントで最後に勝つことは簡単ではない。予選でどれだけ良いスコアを出しても、キャッシャーズラウンド、マッチプレー、ステップラダー決勝と進むにつれて、求められるものは少しずつ変わっていく。長丁場を戦い抜く体力、変化するレーンへの対応、そして一発勝負での精神力。そのすべてがそろって初めて、優勝に手が届く。
今回のボーンにとって最大のテーマは、「好調を維持すること」ではなく、「好調を勝利に変えること」だろう。
追う選手たち:ムーア、ラーティカイネンらも好位置
首位のボーンを追う2位には、テキサス州パリスのチャールズ・ムーアが入った。6ゲーム合計は1,455ピン。特に終盤の256、267、257という締めくくりは見事で、後半にかけて調子を上げた内容だった。最低スコアも212にとどめており、安定感ではボーンに劣らない。
3位には、フィンランドのティモ・ラーティカイネンが1,448ピンで続いた。昨年大会で7位タイに入った実力者で、親指をボールに入れない独特の投球スタイルを持つ右投げの選手だ。初日は269のハイゲームを記録し、すべてのゲームで213以上をマーク。国際勢として、今大会でも上位争いに絡む可能性を十分に示した。
4位にはジョー・フルナーIIIが1,420ピン、5位には2023年大会王者のジョン・マルサラが1,410ピンで続いている。206人が出場するフィールドの中で、実力者たちがしっかり上位に顔を出した形だ。
また、ドワイト・バーンズは第1ラウンド唯一の300ゲームを達成。合計1,359ピンで14位につけており、今後の展開次第ではさらに順位を上げる可能性がある。ディフェンディングチャンピオンのジェームズ・キャンベルは1,333ピンで24位タイ。連覇を狙うには、2日目以降の巻き返しが必要になる。
予選突破ラインと今後の大会形式
大会は金曜日に予選第2ラウンドへ進む。選手たちは合計12ゲームを投げ、その時点で上位52人が土曜日のキャッシャーズラウンドへ進出する。初日終了時点で52位に位置しているのは、ハワイ州ミリラニのダニエル・ミヤモトで、スコアは1,280ピン。ここから予選通過ラインをめぐる争いも激しくなりそうだ。
キャッシャーズラウンドでは、進出者がさらに6ゲームを投球。18ゲームの合計ピンで上位12人がマッチプレーへ進む。マッチプレーでは、奇数シードの選手がグループ1、偶数シードの選手がグループ2に分かれ、それぞれ6人で直接対決を行う。
このラウンドでは、各勝利に30ピンのボーナスが加算される。つまり、単純にスコアを積み上げるだけではなく、相手に勝つことが順位を大きく左右する。ここからは、安定感に加えて勝負どころで打ち切る力がより重要になる。
各グループのトップ選手は、日曜日のメインステップラダー決勝へ進出。さらに各グループの2位から4位の選手にも、グループステップラダーを勝ち上がってメイン決勝へ進むチャンスが残されている。
優勝賞金は8,000ドル、準優勝は6,550ドル。PBA60世代のトップ選手たちにとって、名誉と賞金の両方がかかった重要な一戦だ。
ボーンは今度こそ「勝ち切る」ことができるか
初日を終えた時点で、パーカー・ボーンIIIは間違いなく大会の主役になった。6ゲーム合計1,529ピンという数字は、単なる好調を超えた圧巻のパフォーマンスであり、優勝候補としての存在感を強く印象づけた。
しかし、スーパーシニアクラシックはまだ始まったばかりだ。予選第2ラウンド、キャッシャーズラウンド、マッチプレー、そしてステップラダー決勝。ここから先は、スコアを出す力だけでなく、勝負を締め切る力が問われる。
ボーン自身も、今後の鍵としてフレッシュな42フィートのレーンコンディションへの対応を挙げている。早い段階で攻略法を見つけられれば、その後のブロックでも優位に進められる。逆に、対応が遅れれば、初日のリードは一気に縮まる可能性もある。
経験、技術、会場との相性。ボーンには勝つための材料がそろっている。あとは、それを最後の一投まで維持できるかどうかだ。
大会記録に迫る初日首位発進は、優勝への大きな一歩となった。パーカー・ボーンIIIが今度こそサムズタウンで「ミッション完了」を果たすのか。今大会の行方は、彼の投球を中心に動いていくことになりそうだ。
