PBA ELITEセントラル第3戦で激戦!
グラハム・ファが20勝目、アドコックは強豪を撃破し優勝!

PBA ELITEセントラル第3戦、一般・シニア両部門で実力者が頂点に

米国インディアナ州フォートウェインの「David Small’s Pro Bowl West」で開催された「PBA ELITE Regional Tour Central Regional 3」は、一般部門とシニア部門の両カテゴリーで、経験豊富な実力者が存在感を示す大会となった。

一般部門では、2026年PBAツアーの年間ポイントランキング8位に入ったグラハム・ファ(Graham Fach)が優勝。アドバンサーズラウンドとマッチプレーで平均242.3ピンという圧巻の成績を残し、PBAリージョナルツアー通算20勝目を達成した。

一方、シニア部門ではトム・アドコック(Tom Adcock)が、マイク・マチューガ、ミカ・コイブニエミ、トム・ドーティら強豪を抑えて優勝。自身2度目となるシニアリージョナルタイトルを獲得した。

両選手に共通していたのは、優れた技術だけでなく、自らの戦略に対する揺るぎない自信だった。

ファは得意とするウレタンボールを生かした安定感のある投球を展開。アドコックは過去の反省から戦略を見直し、37フィートのオイルパターンを攻略した。

さらに今大会は、12月に開催される「PBA Regional Players Invitational(RPI)」への出場権争いという点でも重要な意味を持っていた。

トップ選手の実力、ベテランの経験、そして次世代を担う若手の勢いが交錯した今大会。その激戦の模様と、2人の優勝者が語った勝利の背景を振り返る。

 

グラハム・ファが圧巻の勝利、アドコックは経験と戦略で頂点へ

グラハム・ファが平均242.3ピンの好成績で通算20勝目

2026年のPBAツアーで年間ポイントランキング8位に入り、クリス・シェンケル年間最優秀選手賞の候補にも選ばれたグラハム・ファ。その好調ぶりは、リージョナルツアーでも健在だった。

今大会では、アドバンサーズラウンドからマッチプレーにかけて平均242.3ピンを記録。さらに、8試合のマッチプレーを6勝2敗で終え、優勝賞金7,500ドルを獲得した。

ファが今回の大会で重視したのは、自身の最大の武器と考えるウレタンボールを生かしたレーン攻略だった。

ウレタンボールは一般的に、リアクティブボールと比較してバックエンドでの急激な方向転換を抑えやすく、ボールの軌道をコントロールしたい場面で有効な選択肢となる。

ただし、その効果はオイルパターンや投球ライン、ボールの表面状態によって大きく異なる。単にウレタンボールを使用すれば有利になるわけではない。

重要なのは、自分の投球スタイルとレーンコンディションを理解し、ボールの特性を最大限に引き出すことだ。

ファは今回、自身の長所を明確に理解したうえで戦略を組み立て、難しい局面でもその方針を維持した。

特に印象的だったのは、技術面だけでなく精神面の安定が勝利につながったことだ。

優勝後、ファはELITEリージョナル大会について、通常の地域大会以上に選手層が厚く、賞金額も大きいため、プレッシャーが増すと説明している。

そのうえで、今回の成功には自分自身を信じ続けたことが大きく影響したと振り返った。

試合中は終始落ち着いて投球でき、ショットの精度も安定していたという。自分の能力に対する自信が揺らぐことはなかった。

強豪が集まる大会では、わずかなミスや判断の遅れが順位を大きく左右する。そうした環境で平均242.3ピンを記録したことは、ファの高い技術力だけでなく、試合運びの安定性を示す結果といえる。

リージョナル通算20勝という節目は、長年積み重ねてきた経験と、現在の充実した競技力が結びついた価値あるタイトルとなった。

 

自分を信じる姿勢が生んだ勝利、家族と分かち合う通算20勝目

ファは2026年シーズンを通じて、決めた方針を守ることや、自らの判断と行動に責任を持つ姿勢を特に重視してきたという。

レーンコンディションが変化し、思い通りの投球ができなくなったとき、選手は用具や投球ラインの変更を迫られる。

しかし、周囲の選手の動きに影響されすぎたり、一度の失投で判断を大きく変えたりすれば、本来の強みを失う危険性もある。

ファが大切にしてきたのは、試合の状況を冷静に判断しながら、自分の強みを信じてプレーすることだった。

そうした取り組みが、今回の安定したパフォーマンスにつながったと考えられる。

また、優勝後には家族への思いも語った。

10月28日は長子の誕生日で、すでに家族でお祝いを済ませていたが、今回の優勝によって再び祝福する機会ができたことを喜んでいた。

厳しいプロツアーを戦い続ける選手にとって、家族の存在は大きな支えとなる。

記念すべき通算20勝目は、ファ自身の競技人生にとって重要な節目であると同時に、家族と喜びを分かち合える特別な勝利となった。

 

ライアン・バートンが279ピンで猛追、一般部門は最後まで激戦

ファが優勝した一般部門では、後続選手も最後まで激しい順位争いを繰り広げた。

前回のセントラル第2戦を制したライアン・バートン(Ryan Burton)は、最終ゲームで279ピンを記録する猛追を見せ、2位に浮上した。

3位にはブライアン・ロビンソン、4位にはヘイデン・ヘイル、5位にはザック・タケットが入った。

一般部門・最終順位トップ5

順位

選手名

優勝

グラハム・ファ

2位

ライアン・バートン

3位

ブライアン・ロビンソン

4位

ヘイデン・ヘイル

5位

ザック・タケット

バートンが最終ゲームで見せた279ピンは、PBA ELITEリージョナルツアーの競争の激しさを象徴するものだった。

一方、優勝したファも、現在のリージョナルツアーに集まる若手選手のレベルの高さを実感している。

ファは、才能ある若手選手たちが夢を追いながら結果を残していることを高く評価。地域大会で成功を積み重ねる経験は、将来的に全米規模のPBAツアーで活躍するための重要な土台になると考えている。

また、競技が絶えず進化していることにも言及した。

若手選手が新しい技術や投球スタイルを持ち込み、ファ自身やブライアン・ロビンソンのような経験豊富な選手が競争に加わることで、ツアー全体のレベルが引き上げられている。

PBA ELITEリージョナルツアーは、単なる地域大会ではなく、次世代のスター選手が実力を磨き、トップレベルへの飛躍を目指す重要な舞台となっている。

 

シニア部門はトム・アドコックが優勝、37フィートのオイルパターンを攻略

シニア部門で優勝したトム・アドコックにとって、今回の勝利は特別な意味を持つものだった。

前回出場したミッドウェスト第1戦では3位に終わり、自身の戦略を十分に実行できなかったことを反省していた。

その経験を踏まえ、今回は周囲の選手の投球に惑わされず、自分の判断を信じて戦うことを重視した。

大会で使用されたオイルパターンは37フィート。

比較的短いオイルパターンでは、レーン外側を利用した投球やボールスピードの調整など、状況に応じた攻略が重要になる。

アドコックは前回の反省から、PBAの伝説的選手であるノーム・デューク(Norm Duke)の映像を見直したという。

ノーム・デュークは、ショートパターンにおいてレーン外側のガター付近を利用し、ボールをコントロールする高度な技術で知られている。

一方、ユージーン・マキューン(Eugene McCune)は、強いボールスピードを生かした投球を得意とする選手だ。

アドコックは、この2人の異なるアプローチに着目した。

自分には、レーン外側を使う繊細なコントロールと、スピードによる攻略の両方を実行できる能力があると考え、その強みを生かすことに集中したのである。

実際、練習開始直後からボールの動きに好感触を得ており、十分に勝負できるという確信を持って試合に臨んだ。

結果として、終盤に追い上げを見せたマイク・マチューガを抑え、自身2度目となるシニアリージョナルタイトルと優勝賞金3,150ドルを獲得した。

今回の勝利は、単に優れた技術を発揮した結果ではない。

過去の失敗を分析し、自分に最適な戦略を再構築したことが、強豪を上回る結果につながったのである。

 

マチューガ、コイブニエミ、ドーティら強豪を撃破した価値あるタイトル

今大会のシニア部門には、PBAやPBA50で豊富な実績を持つ選手が多数出場した。

シニア部門・最終順位トップ5

順位

選手名

優勝

トム・アドコック

2位

マイク・マチューガ

3位

ミカ・コイブニエミ

4位

トム・ドーティ

5位

ロン・ハート

特にマチューガ、コイブニエミ、ドーティは、それぞれ異なる投球スタイルと豊富な試合経験を持つ実力者だ。

アドコック自身も、今回の出場選手のレベルの高さを強く意識していた。

優勝後には、これほど多くの才能ある選手が集まった大会で勝てたことを、特別な成果として受け止めていると語っている。

シニアカテゴリーでは、長年培ってきた経験が大きな武器になる一方、身体的な負担への対応やレーンコンディションの変化を見極める能力も重要になる。

若い頃と同じパワーやスピードを維持することが難しくなっても、経験に裏打ちされた判断力や投球技術によって、高い競争力を発揮することは可能だ。

アドコックは今回、ノーム・デュークとユージーン・マキューンの異なる投球スタイルからヒントを得て、自分に合った攻略法を見つけ出した。

そして、強豪がそろうフィールドで、その戦略を最後まで実行した。

ボウリングで勝つために重要なのは、他人の投球をそのまま模倣することではなく、自分の能力を正確に理解し、最も効果的な方法を選択することだ。

アドコックの優勝は、その重要性を改めて示す結果となった。

 

アドコックが語った競技人生の転機、2027年はフル参戦を見送る可能性も

優勝後のインタビューで、アドコックは感情をあらわにする場面もあった。

その背景には、長年の友人たちへの思いと、今後の競技生活に関する複雑な心境があった。

今回の会場となったボウリングセンターを運営するデビッド・スモールは、これまで112回ものプロトーナメント開催に携わってきた人物だ。

アドコックにとって、スモールやジョシュ・ソロモンら親しい友人が見守る会場で優勝できたことは、大きな喜びだった。

特にスモールとは長年の親交があり、彼がボウリングセンターを引き継ぎ、改装に取り組んできた経緯も知っている。

そうした思い入れのある場所でタイトルを獲得できたことが、今回の優勝をさらに特別なものにした。

一方で、アドコックは自身の身体的な状態についても率直に語っている。

長年の競技生活による負担が蓄積し、日常的に身体の痛みを感じているという。

そのため、2027年はPBA50ツアーへのフルタイム参戦を見送る可能性が高いことを明かした。

現時点では、シニア・マスターズとスーパー・シニア・クラシックへの出場を予定しているが、身体の状態や状況が変われば、再び積極的にツアーへ参戦する可能性も残している。

長年競技を続けてきたベテラン選手にとって、身体の状態と競技への情熱のバランスを取ることは容易ではない。

それでも、今回の優勝は、アドコックが依然としてトップレベルで戦える能力を持っていることを証明した。

競技人生の転機を迎えるなかで獲得した今回のタイトルは、単なるシニアリージョナル2勝目以上の価値を持つものとなった。

 

次戦はラスベガスへ、アドコックが連続優勝に意欲

今大会で競技生活に区切りをつけるわけではない。

アドコックは次週、ネバダ州ラスベガスの「South Point Bowling Plaza」で開催されるウェスト第3戦への出場を予定している。

次戦でも今回と同じ37フィートのオイルパターンが使用されることから、セントラル第3戦で成功した攻略法を再び実践する絶好の機会となる。

アドコックは、この会場で過去に良い成績を残してきたことにも自信を持っている。

さらに、ウェスト地区ではまだリージョナルタイトルを獲得していないため、新たな地域での優勝を強く意識しているという。

ただし、次戦も今回と同等、あるいはそれ以上に強力な選手が集まると予想している。

シニアリージョナル2勝目を挙げた勢いを維持し、異なる地域でも優勝を達成できるか。

アドコックの次なる挑戦にも注目が集まる。

 

12月のRPI出場権も決定、次のステージを目指す選手たち

今回のセントラル第3戦は、優勝争いに加えて12月開催のPBA Regional Players Invitational(RPI)出場権争いでも重要な大会となった。

RPIは、PBAリージョナルツアーで好成績を残した選手が集まり、さらに上の舞台を目指す大会である。

今回の結果により、一般部門では以下の5選手がRPIへの出場権を獲得した。

一般部門・RPI出場権獲得選手

  • ザック・タケット

  • ディーン・バーゴ

  • エマニュエル・マクファーソン

  • ホルヘ・ロドリゲス

  • ウィル・ビドゥリッチ

また、シニア部門では以下の2選手が出場権を獲得した。

シニア部門・RPI出場権獲得選手

  • ロン・ハート

  • ラリー・バーブル

RPIへの出場は、リージョナルツアーで結果を残してきた選手にとって、自身の実力をさらに高いレベルで試す貴重な機会となる。

特に、PBAツアーでの活躍を目指す選手にとって、地域大会で実績を積み重ねることは重要なステップだ。

今大会では、ファのようにすでに全国レベルで実績を持つ選手が優勝する一方、ほかの選手たちもRPIへの出場権を獲得し、次の挑戦へとつなげた。

PBA ELITEリージョナルツアーは、タイトルを争う場所であると同時に、選手たちの将来を切り開く重要な舞台でもある。

 

PBA ELITEリージョナルツアーが示す新たな競争環境

PBA ELITEリージョナルツアーは、従来の地域大会以上に競争力の高い選手が集まり、賞金や将来の出場機会を懸けて戦う舞台として存在感を高めている。

今大会でも、全国レベルで活躍する選手、豊富な経験を持つベテラン、そして飛躍を目指す若手が同じフィールドで競い合った。

こうした環境では、単に高いスコアを出す能力だけでなく、試合全体を通じて安定したパフォーマンスを維持する能力が重要になる。

特にマッチプレーでは、対戦相手のスコアや試合展開によってプレッシャーが変化する。

そのなかで自分の投球を維持し、適切なタイミングでレーンアジャストを行うことが勝敗を左右する。

ファは、得意とするウレタンボールを軸に、安定した投球と精神的な強さを発揮した。

一方、アドコックは、自分の経験を振り返り、過去の失敗から学んだ戦略を実行することで勝利をつかんだ。

2人のアプローチは異なるものの、共通していたのは、自分の強みを理解し、それを最大限に生かすという明確な考え方だった。

ボウリングは、パワーや回転数、ボールの性能だけで勝敗が決まる競技ではない。

レーンコンディションの理解、用具の選択、投球ラインの調整、精神面の安定、そして試合の流れを読む判断力が総合的に求められる。

さらに、競技レベルが高くなるほど、選手自身が持つ技術をどれだけ正確に再現できるかが重要になる。

今回の大会は、こうしたボウリングの奥深さを改めて示すものとなった。

また、ファが評価する若手選手たちの成長も見逃せない。

新しい世代が台頭する一方で、ベテラン選手たちも経験と技術を磨き続けている。

世代を超えた競争が激しくなることは、PBAリージョナルツアー全体の競技水準を押し上げる大きな要因となるだろう。

 

ファの通算20勝とアドコックの復活劇、PBA ELITEの戦いは次のステージへ

PBA ELITEリージョナルツアー・セントラル第3戦は、グラハム・ファとトム・アドコックという2人の実力者が、それぞれの強みを最大限に発揮して優勝を飾った。

ファは得意のウレタンボールを生かし、平均242.3ピンという高水準の投球でリージョナル通算20勝目を達成。2026年のPBAツアーでも上位に名を連ねた選手として、その実力を改めて証明した。

一方のアドコックは、前回大会の反省を生かして37フィートのオイルパターンを攻略。マチューガ、コイブニエミ、ドーティら経験豊富なライバルを抑え、シニアリージョナル通算2勝目を挙げた。

特にアドコックにとっては、今後のフルタイム参戦を見直す可能性があるなかでの優勝だっただけに、競技人生の節目を象徴する特別なタイトルとなった。

両選手の勝利から学べるのは、優れた技術を持つだけではなく、自分の強みを理解し、状況に応じた戦略を選択し、それを最後まで信じて実行することが勝利への重要な鍵になるということだ。

また、今大会では12月のRPI出場権を獲得する選手も決まり、次のステージへ向けた戦いも本格化している。

今後のPBA ELITEリージョナルツアーでは、デラウェア州、フロリダ州、ネバダ州で新たな大会が予定されている。

ベテランの経験と若手の勢いが交錯するなか、次にタイトルを獲得するのは誰なのか。

ファはリージョナル通算勝利数をさらに伸ばすのか。そして、アドコックは次戦のウェスト第3戦でも勝利を重ねられるのか。

PBA ELITEリージョナルツアーは、選手たちの経験、技術、戦略、そして未来への挑戦が交錯する舞台として、ますます目が離せない展開を迎えている。