ベリティ・クローリーが明かす理想のリリースの秘密!
強烈なフックを武器にするトッププロが実践するスイング改善と練習法

記事に入る前に、音声による要点解説をお聞きいただくと、内容が一段と理解しやすくなります。

要点音声解説

本要点音声解説は、「BowlersNetwork」掲載の動画内容をGemini Notebook を用いて生成したものです。

強い回転だけでは勝てない。ベリティ・クローリーが追求する理想のリリース

世界の女子プロボウリング界で活躍するベリティ・クローリー(Verity Crawley)。イングランド出身の彼女は、強烈なフックボールと、無駄な力を感じさせない滑らかなスイングを武器に、世界のトップレベルで戦ってきた。

その美しいリリースは、決して生まれ持った才能だけで完成したものではない。幼少期からの経験、周囲の選手との違いに悩んだ日々、そしてプロツアーで直面した課題を乗り越える中で、少しずつ磨き上げられてきたものだ。

クローリーはボウリング専門番組「The Daily Show」に出演し、自身の競技人生を振り返りながら、リリース技術の進化、ボールモーションの調整方法、日々の練習で意識しているポイントについて詳しく語った。

対談には、世界的な実績を持つキャロリンも参加。トップ選手ならではの視点から、手首の使い方やスイングの再現性、ボールの表面加工などについて意見が交わされた。

今回の対談で特に印象的だったのは、「強い回転を生み出すこと」と「試合で理想的なボールモーションを実現すること」は、必ずしも同じではないという考え方だ。

かつては強烈なフックを最大の武器としていたクローリー。しかし、プロツアーで経験を重ねるにつれて、強い回転だけでは攻略できないコンディションがあることを痛感したという。

そこで彼女が選んだのは、持ち味を捨てることではなかった。

自分のスタイルを維持しながら、回転数、ボールスピード、アクシスローテーションを自在に調整できる技術を身につけること。

その成長の軌跡には、プロ・アマチュアを問わず、すべてのボウラーが上達するための重要なヒントが隠されている。

 

強烈なフックから自在なボールコントロールへ。理想のリリースを築いた技術と練習法

5歳で始まったボウリング人生。原点は家族とジュニアリーグ

ベリティ・クローリーがボウリングを始めたのは、わずか5歳のときだった。

母親と祖母がリーグ戦に参加していたこともあり、彼女にとってボウリングは幼いころから身近な存在だった。

本格的に競技を始めるきっかけとなったのは、兄がボウリング場で開催された誕生日パーティーに参加したことだった。

兄がボウリングを気に入り、その日開催されていたユースリーグに兄妹で加入することになったという。

当時所属していたジュニアクラブは非常に活発で、競技レベルの高い選手が数多く集まっていた。各地の大会へ遠征する機会も豊富で、クローリーは幼いころから競争の激しい環境で経験を積んでいった。

やがて、彼女の中に明確な目標が生まれる。

それが、イングランド代表として国際大会に出場することだった。

現在では世界のプロツアーで戦うクローリーだが、当時はプロボウリングという世界の存在さえ知らなかったという。

彼女にとって競技の頂点とは、イングランド代表のユニフォームを着て世界の舞台で戦うことだった。

その目標に向かって技術を磨き、大会に挑戦する日々が、後の競技人生の基礎を築いていった。

しかし、順調に成長する一方で、クローリーは自身の投球スタイルに大きな葛藤を抱えていた。

 

「自分だけが違う」。強すぎるフックに悩んだジュニア時代

クローリーは幼いころから、ほかの女子選手とは異なるボールモーションを持っていた。

周囲の選手が比較的直線的なラインから投球する中、彼女のボールは大きくフックし、レーンの左側から投げなければならない場面が多かった。

さらに、ボールスピードが遅く、強いフックを十分にコントロールできないという課題もあった。

現在では大きな武器となっている回転力だが、当時の彼女にとっては、むしろ周囲との違いを意識させる要因だった。

イングランド代表に選出されなかった経験も、自信を失うきっかけになった。

自分だけがほかの女子選手と異なるボウリングをしているから、代表に選ばれないのではないか。

そんな思いを抱くこともあったという。

転機となったのが、イングランド代表として国際大会で活躍したザラ・グローバー(現在のザラ・ジャイルズ)との出会いだった。

ザラも強いフックを使うパワープレーヤーであり、クローリーにとって、自分と似たスタイルで成功している存在だった。

実際にザラから指導を受けた時期もあり、その影響は技術面だけにとどまらなかった。

自分と同じように大きくボールを曲げる選手が、世界の舞台で活躍している。

その事実が、彼女の考え方を大きく変えたのである。

「ほかの選手と同じにならなくても、自分のスタイルで成功できる」

この気づきは、クローリーが自分のボウリングに自信を持つための大きな支えとなった。

 

18歳でアメリカへ。予想外の決断が開いたプロへの道

クローリーの競技人生が大きく動いたのは18歳のときだった。

当初、彼女はイングランド国内の大学へ進学する予定だった。アメリカへの留学を目指して、何年も前から準備を進めていたわけではない。

しかし、ヨーロッパユース選手権で好成績を残したことによって、状況は一変する。

アメリカの大学でボウリングを続ける可能性が生まれ、進路の選択肢が一気に広がったのである。

本人によれば、この決断は驚くほど短期間で進んだという。

もし長い時間をかけて考えていたら、アメリカへ渡る決断はしなかったかもしれないと振り返っている。

最終的に進学したのは、フロリダ州のウェバー・インターナショナル大学だった。

そこで4年間にわたり競技を続け、アメリカのボウリング環境に身を置くことになった。

この経験によって、クローリーの競技に対する視野は大きく広がった。

それまで知らなかったプロボウリングの世界を知り、トップ選手たちの技術や試合への向き合い方に触れるようになったのである。

 

ケリー・キューリックへの憧れが、自分のスタイルへの確信に変わる

アメリカでの生活を通じて、クローリーが強く影響を受けた選手がケリー・キューリック(Kelly Kulick)だった。

彼女がキューリックに憧れた理由は、その輝かしい実績だけではない。

キューリックもまた、レーンの左側から強いフックを使って攻略する選手だった。

自分と似た特徴を持つ選手が、世界最高峰の舞台で戦っている。

その姿は、クローリーに大きな刺激を与えた。

彼女はキューリックの投球フォームだけでなく、試合中の考え方やメンタル面にも注目し、積極的にプレーを研究したという。

大学在学中には、キューリックがトレーニングセンターを訪れ、直接会う機会にも恵まれた。

幼いころにザラ・ジャイルズの存在から勇気をもらったように、アメリカではキューリックが新たな目標となった。

この2人に共通していたのは、周囲に合わせて自分のスタイルを変えるのではなく、自分の強みを生かして結果を残していたことだった。

その姿勢は、クローリーの競技人生に深く刻まれることになる。

しかし、プロツアーでは、自分の持ち味を信じるだけでは解決できない技術的な課題も待ち受けていた。

 

プロツアー参戦初年度から好成績。それでも感じた限界

クローリーは女子プロツアー参戦初年度から結果を残した。

序盤の3大会を欠場しながらも新人賞争いで2位となり、テレビ決勝にも複数回進出したという。

新人としては十分に評価できる成績だったが、本人はその裏側で、投球スタイルの限界を感じる場面が少なくなかったと振り返っている。

最大の課題は、ほかの選手と同じラインを使用できないことだった。

クローリーは回転数が多く、強いフックを使うタイプである。

ほかの選手がレーンの右側から直線的なラインを使用している状況でも、彼女は10枚ほど左側から投球しなければならないことがあった。

この違いは、単に立ち位置が異なるという問題ではなかった。

ボウリングでは、使用するラインによってボールが接触するオイルの量や、レーンコンディションの変化が異なる。

ほかの選手が右側のラインを繰り返し使用している間、クローリーは中央付近の比較的オイルが多いエリアを通過することになる。

その結果、ボールが思うように反応せず、理想的な曲がり方を得られない場面があった。

彼女は、2-10や3-6-10などのピンが残る状況についても言及している。

強いフックを投げられることが、必ずしも安定したストライクにつながるわけではない。

特に新しいオイルコンディションでは、ボールを大きく曲げる選手ほどライン選択が難しくなる場合がある。

この経験が、クローリーに大きな転機をもたらした。

「強いフックを持っているだけでは、あらゆるコンディションに対応できない」

プロツアーで継続的に結果を残すためには、投球の選択肢を増やす必要があった。

 

リズ・ジョンソンを目指した数年間。そして気づいた本当に必要なこと

プロツアー参戦後、クローリーはリズ・ジョンソンのような直線的なラインを使うボウリングを目指していたという。

毎シーズンのように、自分のボールをもっと曲げずに投球する方法を研究した。

夏のボウリング関連イベントでも、周囲からさまざまな指摘を受けた。

もっと柔らかく投げるべきだという意見や、スイングの最下点付近の動きが急すぎる、ボールを曲げすぎているといった助言である。

同じような特徴を持つダリアという選手とともに、こうした指摘を何度も受けた経験も語っている。

しかし、数年間にわたって改善を続ける中で、クローリーは重要なことに気づいた。

「私はリズ・ジョンソンになる必要はない。ベリティ・クローリーのままでいい」

必要なのは、自分の投球スタイルを完全に変えることではなかった。

強いフックを使う能力は、そのまま大切な武器として残す。

そのうえで、必要なときに直線的なラインを使える技術を身につければよい。

つまり、得意な投球を捨てるのではなく、新しい技術を自分の引き出しに加えるという考え方だった。

この発想の転換によって、彼女のリリース改善は明確な方向性を持つことになった。

 

ボールスピード・回転数・アクシスローテーション。3つの技術改革

クローリーが直線的なラインを投球するために取り組んだのは、主に3つの技術だった。

1つ目は、ボールスピードの向上。

ボールがレーンを進む速度を高めることで、強いフックが発生するタイミングや横方向への移動量を調整しやすくする。

ただし、単純に速く投げればよいというわけではない。

スイングを乱さず、自然な動作の中でボールスピードを高めることが重要になる。

2つ目は、回転数のコントロール。

クローリーはもともと強い回転を使う選手だが、常に最大限の回転を与える必要はないと考えるようになった。

必要に応じて回転数を抑えられれば、レーンコンディションに合わせたボールモーションを作りやすくなる。

特に、直線的なラインを維持したい場面では、過剰な回転を抑える技術が役立つ。

3つ目は、アクシスローテーションの調整。

アクシスローテーションとは、ボールの回転軸の向きに関係する要素であり、レーン上でのボールモーションを左右する重要な技術だ。

クローリーは、横方向の回転成分が大きいリリースでは、レーン奥で横方向への動きが強くなると説明している。

そこで、より縦回転に近いリリースを使い、ボールを早い段階から滑らかに転がす技術を磨いてきた。

これにより、バックエンドでの急激な方向変化を抑え、直線的なラインを維持しやすくなったという。

重要なのは、この3つの要素を組み合わせて使っていることだ。

直線的なラインを投げるために必要なのは、単に回転を弱くすることではない。

ボールスピード、回転数、回転軸を総合的に調整することで、自分のスタイルを維持しながら対応力を高められるのである。

 

リリース直前の過剰な動作が、ボールスピードを落としていた

クローリーが技術改善の中で特に大きな成果を感じたのが、リリース直前の動作を見直したことだった。

以前の彼女は、バックスイングから下りてくるボールに対して、最後の瞬間に強く回転を加えようとしていた。

しかし、その動作がスイングの自然な流れを妨げ、結果的にボールスピードを落としていたという。

ボールがスイングの最下点付近に到達した際、強く回転をかけようとすることで、一瞬動きが鈍くなっていたのである。

そこでクローリーは、リリース直前に無理に回転を加える動きを減らし、より滑らかにボールを送り出す方法へ変更した。

その結果、回転数を抑えることができただけでなく、ボールスピードも向上した。

これは、強い回転を生み出そうとする動作が、必ずしもボールのパワー向上につながるわけではないことを示している。

むしろ、過剰な操作を減らすことで、スイングのエネルギーを効率的にボールへ伝えられる場合がある。

ボールスピードが上がらないと悩んでいる選手にとっても、参考になる考え方だろう。

 

縦回転を強めることで、バックエンドの動きを滑らかにする

クローリーが回転数とともに重視しているのが、アクシスローテーションの調整だ。

強い横回転を使えば、レーン奥で大きな方向変化を生み出せる場合がある。

しかし、オイルコンディションによっては、その動きが過剰になり、狙ったラインを維持できなくなることもある。

そこで彼女は、より縦回転に近いボールロールを身につけるための練習を重ねた。

横方向への回転成分を抑えることで、ボールがレーン奥で急激に向きを変える傾向を減らし、滑らかな動きを得やすくなる。

また、ボールが早い段階から転がる状態へ移行しやすくなるため、バックエンドでの反応をコントロールするうえでも役立つ。

クローリーにとって重要なのは、常に縦回転で投球することではない。

大きく曲げたい場面では強いフックを使用し、直線的なラインを維持したい場面では回転軸を調整する。

レーンコンディションに合わせて回転方向を使い分けることが、安定したボールモーションを生み出す鍵となる。

これは、特に回転数の多いボウラーにとって重要な技術といえる。

 

フレアの少ないボールを組み合わせ、直線的なラインを維持する

クローリーの技術改善は、リリースだけにとどまらない。

使用するボールの特性についても、直線的なラインを維持するための工夫を重ねてきた。

彼女が挙げたのが、フレアが比較的小さいボールを使用するという選択肢だった。

フレアとは、ボールが回転する際に回転軸が移動し、表面に付着するオイルリングの位置が変化していく現象を指す。

一般的に、フレアの大きさはボールがレーン上でどのように反応するかに関係する。

クローリーは、回転数やアクシスローテーションを調整するだけでなく、ボール自体の特性も組み合わせることで、より直線的なラインを使用しやすくなったと説明した。

特に、新しいオイルコンディションでは、この組み合わせが重要になるという。

また、以前は新しいコンディションでウレタンボールを多く使用していたことにも触れている。

ウレタンボールは、彼女が直線的なラインを使用するための選択肢のひとつだった。

一方、対談で言及したシーズンはウレタンを使用できず、本人も出場大会が少なかったため、ウレタンを使用しない環境での経験はまだ十分ではないと説明した。

この発言からも、プロツアーで戦うためには、ルールや使用できるボールの変化に合わせて、新しい対応方法を探し続ける必要があることが分かる。

 

キャロリンが解説する表面加工とボール選択の重要性

対談では、キャロリンがボールの表面加工についても詳しく説明した。

特に取り上げられたのが、ショートオイルパターンなど、レーン奥で強いフックが発生しやすいコンディションへの対応だった。

こうした状況では、ボールがレーン奥までエネルギーを保持しすぎると、バックエンドで急激に方向を変える場合がある。

そこでキャロリンは、早い段階からオイルに反応する強めのボールを使用し、表面加工によってボールの反応を調整する方法を紹介した。

レーン奥に到達する前に適度にエネルギーを消費させることで、急激な方向変化を抑え、滑らかなボールモーションを得やすくするという考え方だ。

これは、一見すると意外に感じられるかもしれない。

曲がりすぎるのであれば、単純に曲がりの弱いボールを選ぶべきだと考える選手もいるだろう。

しかし、キャロリンが説明した方法では、あえて早い段階で反応するボールを使用することで、レーン奥での急激な動きを抑えることを狙っている。

重要なのは、ボールがどこで反応し、どのようにエネルギーを使っているかを理解することだ。

さらにキャロリンは、ボウリング場によってレーン素材やオイルの種類が異なる点についても言及した。

古いタイプのシンセティックレーンでは、ボールが早い段階から強く反応することもある。

そのため、同じオイルパターンであっても、ボウリング場が変われば最適な対応が異なる場合がある。

ボールの種類、表面加工、リリースを組み合わせて考えることが、現代のボウリングにおける重要な対応力となる。

 

試合中の最大の武器は、手の位置とリリースを変えられること

ボールの表面加工は重要だが、試合中にいつでも変更できるわけではない。

大会のルールによっては、競技中の表面加工が制限されることもある。

そのため、キャロリンは試合前の準備と試合中に行える調整を分けて考える必要があると説明した。

試合前には、使用するボールや表面状態を整えておく。

一方、試合中にレーンコンディションが変化した場合には、手の位置やリリースを調整することでボールモーションを変化させる。

ここでクローリーが強調したのが、同じ手の位置でも、すべてのボウラーに同じ効果が生まれるわけではないという点だった。

手の大きさや力の入れ方、ボールの持ち方などが異なれば、同じ動作を意識しても結果は変わる。

そのため、トップ選手のリリースをそのまま模倣するだけでは、必ずしも同じボールモーションを得られるとは限らない。

クローリーは、練習中に指の位置や手の中でボールの重さを感じる場所を変えながら、自分に適したリリースを探してきたという。

その積み重ねが、試合中に素早くボールモーションを変化させる能力につながっている。

重要なのは、単に手の形を変えることではない。

どのような手の使い方をすれば、どのような回転とボールモーションが生まれるのかを理解することである。

 

練習はストライクを出すためだけではない。目的を持った反復練習の重要性

今回の対談で、クローリーとキャロリンが共通して強調していたのが、練習の目的を明確にすることだった。

多くのボウラーは、練習でもストライクやスコアを意識しがちだ。

しかし、リリース技術を改善するための練習では、必ずしもストライクを狙う必要はない。

例えば、手の位置による回転方向の違いを確認したいのであれば、その動作だけに集中する練習を行う。

助走や投球ライン、スコアなど、複数の要素を同時に意識する必要はない。

キャロリンは、30分間を使って、手からボールが離れる感覚や回転の違いを確認する練習も有効だと説明した。

こうした練習では、何本のピンが倒れたかよりも、狙った動作を再現できたかが重要になる。

クローリーも、リリースだけに集中できるドリルを積極的に取り入れているという。

通常の助走を省略することで、複数の動作を同時に考える必要がなくなり、リリースの変化を把握しやすくなる。

練習の質を高めるために重要なのは、投球数ではなく、何を改善するために投げているのかを理解すること。

トッププロであっても、すべての練習でストライクを追い求めているわけではない。

むしろ、技術を細かく分解し、一つひとつの動作を丁寧に確認する時間を大切にしているのである。

 

ファウルラインドリルでリリースの感覚を磨く

クローリーが取り組んでいる練習のひとつに、ファウルライン付近でリリース動作を確認するドリルがある。

この練習の目的は、助走全体の動作からリリース部分を切り離し、ボールが手から離れる瞬間の感覚を確認することだ。

通常の投球では、助走のタイミング、身体のバランス、スイング、リリース、フォロースルーなど、多くの要素が同時に関係する。

そのため、リリースに問題があっても、何が原因なのかを特定しにくい場合がある。

そこで助走を簡略化し、手の使い方だけに集中する。

クローリーは、指の位置や手の中でボールを支える感覚を変えながら、実際のボールロールにどのような違いが生じるかを確認している。

例えば、より縦回転に近いリリースを試す場合には、手の位置を調整したうえでボールを送り出し、その回転方向を観察する。

反対に、横方向の回転成分を増やしたい場合には、別の手の使い方を試す。

こうした練習を繰り返すことで、感覚と実際のボールモーションを結びつけていく。

重要なのは、単に新しいリリースを試すことではない。

そのリリースによって何が変わったのかを、自分自身で理解できるようになることである。

なお、今回の対談ではドリルの具体的な足の配置や投球回数までは説明されていないが、リリースの違いを把握するための練習として、その重要性が繰り返し語られていた。

 

動画撮影とカラフルなボールで回転方向を可視化する

クローリーが推奨しているもうひとつの方法が、練習中の動画撮影だ。

人間の感覚だけでは、回転方向のわずかな違いを正確に把握することが難しい場合がある。

自分では縦回転を強めたつもりでも、実際にはそれほど変化していない可能性もある。

そこで動画を撮影し、ボールが手から離れる瞬間や回転方向を確認する。

クローリーは、その際に複数の色が混ざったボールを使用すると、回転の違いを見分けやすいと説明した。

具体例として挙げたのが、ピンクと黒の色が混ざった「Perfect GEM」だった。

単色の暗いボールでは、回転方向の違いが視覚的に分かりにくい。

一方、色の模様がはっきりしているボールであれば、回転の向きや変化を確認しやすくなる。

こうした方法によって、リリース時の感覚と実際のボールロールを結びつけられる。

自分が行った動作と、その結果として生まれたボールモーションを正しく理解することが、技術習得の精度を高める。

これは特別な設備がなくても取り入れやすい、実践的な練習方法といえる。

 

Kegelトレーニングセンターで実践するレーザー練習

クローリーは、Kegelトレーニングセンターの設備を利用した練習にも取り組んでいる。

その中で注目されたのが、レーザーを使用して投球ラインを確認するトレーニングだった。

レーザーによってレーン上に基準となるラインを示し、ボールがそのラインに沿って送り出されているかを確認する。

クローリーは、この練習について、ボールが実際にどのような軌道を通過しているのかを視覚的に把握するためのものだと説明した。

興味深いのは、助走開始時点ではボールの位置とレーザーのラインが一致していないように見えることだ。

しかし、彼女の助走にはドリフトが含まれている。

最初のステップとクロスオーバーステップによって身体の位置が変化し、リリース時にはレーザーのラインとボールの方向が一致するようになっているという。

これは、投球ラインを考える際に、立ち位置だけでなく助走全体の動きを考慮する必要があることを示している。

クローリーは、自分が感覚だけでなく視覚情報も重視する選手だと語った。

実際にボールがレーザーの示すラインを通過する様子を見ることで、投球方向をより明確に把握できるという。

レーザー設備は一般的なボウリング場で簡単に利用できるものではない。

しかし、自分の立ち位置、助走による移動、リリース方向を一体として理解することは、すべてのボウラーにとって重要な考え方だ。

 

手首はニュートラル。重力を利用して自然に振る

クローリーのリリースを語るうえで欠かせないのが、手首の使い方である。

彼女のバックスイングを観察すると、手首は極端に曲げられておらず、自然なニュートラルポジションを維持している。

クローリーは、その理由について、手首の力で無理にボールを支えたくないからだと説明した。

手首を強く曲げ、ボールの下に入り込もうとすれば、握る力や筋力をより多く必要とする。

しかし、彼女が理想としているのは、できるだけリラックスした状態で重力を利用してスイングすることだった。

ボールを力任せに持ち上げるのではなく、自然なスイングの流れに任せる。

これが、滑らかなリリースを実現するための基本的な考え方になっている。

キャロリンも、この考え方に強く賛同した。

筋力だけに頼らなくても、効率的な身体の使い方によって十分なパワーを生み出せるという。

特に、スイングの途中で無理に手首を操作しないことは、自然なボールの動きを維持するうえで重要になる。

パワーを生み出すために、必ずしも強い筋力や過剰な手首の動きが必要なわけではない。

クローリーのスイングは、そのことを示す好例といえる。

 

バックスイングの高さを決めるのは、腕の振りだけではない

対談では、クローリーとキャロリンのバックスイングの高さについても興味深い説明があった。

キャロリンは、自身のバックスイングが肩の高さ程度であるのに対し、クローリーのスイングはそれより高く見えると話した。

しかし、クローリーによれば、その違いには上体の前傾角度が関係しているという。

キャロリンは比較的上体を起こした姿勢で助走する一方、クローリーは上体を大きく前傾させている。

そのため、バックスイングが高く見える側面があると説明した。

つまり、バックスイングの高さだけを比較しても、スイング全体の特徴を正しく理解できるとは限らない。

腕の振り方だけでなく、上体の角度や身体全体のバランスも関係しているのである。

また、クローリーはバックスイングの頂点でも、できるだけリラックスした手首の状態を保っている。

この自然な動作によって、重力を利用したスイングを継続しやすくなる。

理想のバックスイングを考える際には、高さだけでなく、身体の姿勢とスイングの流れを総合的に見ることが重要だ。

 

力まないスイングが、投球の再現性を高める

クローリーとキャロリンが共通して重視していたのが、投球動作の再現性だった。

ボウリングでは、同じような投球を何度も繰り返す能力が求められる。

特に大会では、長時間にわたって安定したショットを続けなければならない。

そのため、毎回の投球で手首を強く曲げたり、ボールを強く握ったりする動作は、力加減のばらつきを生む可能性がある。

クローリーは、毎回まったく同じ強さでボールを握ることができるのかと問いかけた。

強く握る動作を繰り返す場合、微妙な力の違いがスイングやリリースに影響することが考えられる。

一方、できるだけリラックスしてスイングすれば、余計な操作が減り、自然な動作を繰り返しやすくなる。

キャロリンも、再現性は安定した投球に欠かせない要素だと説明した。

ただし、その再現性は試合中に突然身につくものではない。

日々の練習で動作を繰り返し、意識しなくても自然に行える状態まで習得することが重要になる。

クローリー自身は、手首をニュートラルに保つことを再現性向上のために意識的に選んだわけではないと語っている。

それでも、過度な力を使わない動作が、結果として再現性の向上につながる可能性については認めていた。

毎回同じ力を加えようとするよりも、余計な力を加えずに同じ動作を繰り返せる状態を目指す。

この発想は、リリースの安定性に悩む選手にとって重要なヒントになるだろう。

 

試合中は考えすぎない。練習で身につけた感覚を自然に使う

最後にキャロリンが強調したのが、練習と試合における意識の違いだった。

練習では、手の位置やリリースの感覚、ボールの回転方向などを細かく確認する。

しかし、試合中まで同じようにすべての動作を意識していては、自然な投球を妨げる可能性がある。

キャロリンは、試合が始まったら、手の位置が正しいか、リリースの感覚が良かったかといったことを細かく考えすぎないと説明した。

競技中は、目の前のレーンコンディションを読み取り、必要な調整を判断しながら投球する。

そのためには、基本的な投球動作を練習によって十分に身につけておく必要がある。

クローリーも、リラックスした動作を繰り返すことで、無意識のうちに自然なスイングができるようになるという考え方を示した。

ここで重要になるのが、目的を持った反復練習だ。

単に多くのゲームを投げるのではなく、改善したい技術を明確にし、その動作を繰り返す。

そうして身につけた技術が、試合中に自然と発揮されるようになる。

練習では動作を理解するために考え、試合では身につけた技術を信頼して投球する。

この区別こそ、安定したパフォーマンスを発揮するために重要な考え方だ。

 

ベリティ・クローリーの技術から学ぶ、上達するための5つのポイント

今回の対談には、プロ・アマチュアを問わず、多くのボウラーが取り入れられる考え方が含まれている。

特に重要なのは、次の5つだ。

1. 自分の投球スタイルを否定せず、強みを生かすこと。 周囲と同じフォームを目指すのではなく、自分の特徴を理解し、それを武器にする。

2. 回転数だけでなく、ボールスピードやアクシスローテーションも調整できるようにすること。 さまざまなコンディションに対応するためには、複数の技術が必要になる。

3. 過剰な力を使わず、自然なスイングを身につけること。 無理に回転を加えようとする動作が、かえってボールスピードや再現性を損なう場合がある。

4. ストライクを狙わない練習も積極的に取り入れること。 リリースや回転方向など、特定の技術だけに集中する時間が上達につながる。

5. 練習で動作を理解し、試合では自然に再現できる状態を目指すこと。 技術を意識しなくても実行できるまで繰り返すことが、安定した投球の基礎となる。

これらに共通しているのは、自分の投球を正しく理解し、必要な技術を段階的に増やしていくことの重要性だ。

トッププロのフォームを見て、その動作をそのまま真似するだけでは十分ではない。

なぜその動きをしているのか、どのようなボールモーションを生み出しているのかを理解することが、本当の意味での技術習得につながる。

 

理想のリリースとは、自分の武器を生かしながら変化に対応できる技術

ベリティ・クローリーのボウリング人生は、自分のスタイルを信じることと、新しい技術を習得することの大切さを示している。

幼少期から強いフックを武器にしてきた彼女は、周囲と異なる投球スタイルに悩みながらも、自分と似た特徴を持つトップ選手の姿から自信を得た。

しかし、プロツアーに参戦すると、強いフックだけでは対応できない状況にも直面した。

そこで彼女が選んだのは、自分のスタイルを捨てることではなく、回転数、ボールスピード、アクシスローテーションを調整する新たな技術を加えることだった。

さらに、力みに頼らない自然なスイング、手首のニュートラルポジション、動画やドリルを使った練習など、さまざまな方法によってリリースの精度を磨いてきた。

今回の対談から学べるのは、理想のフォームがすべての選手に共通しているわけではないということだ。

大切なのは、自分の身体や投球スタイルを理解し、必要なボールモーションを生み出すための技術を増やしていくことである。

そして、そのためには毎回ストライクを狙うだけではなく、明確な目的を持って練習に取り組む必要がある。

優れたリリースとは、単に強い回転を生み出す技術ではない。レーンコンディションに応じて必要な回転とボールモーションを安定して生み出せる技術である。

自分の強みを磨きながら、新しい選択肢を増やし続ける。

ベリティ・クローリーが語った成長の過程には、競技レベルを問わず、すべてのボウラーが参考にできる上達のヒントが詰まっている。

ボウラーズ・マート

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