ランディ・ワイスが悲願のPBA50初優勝
父の日に家族と分かち合った歓喜

娘の誕生日を優先した翌週、最高の結末が待っていた

PBA50ツアー「デビッド・スモールズ・チャンピオンシップ・レーンズ・クラシック」で、ランディ・ワイスが待望の初タイトルを獲得した。

優勝決定戦では第1シードのマイク・マチューガを203対191で下し、PBA50ツアー初優勝を達成。2024年のPBA50ルーキー・オブ・ザ・イヤーに輝き、リージョナルでも数々の実績を積み重ねてきたベテランが、ついにナショナルタイトルを手にした。

この勝利をさらに特別なものにしたのが、家族の存在だった。

ワイスは前週の「2026 PBA50ファイアレイク・クラシック」を欠場している。理由は、娘ロザリンさんの9歳の誕生日を祝うためだった。そして迎えた翌週、父の日の週末に優勝。ロザリンさんと息子のギャビンさんが見守る前で、長年追い続けてきた夢を実現した。

競技者としての悲願と、父親としての喜びが重なった、忘れられない一日となった。

 

重圧を乗り越え、最後まで主導権を握った決勝戦

10フレーム目、勝利を確信した瞬間

優勝決定戦で、ワイスは序盤から試合の主導権を握った。

第1フレームで3番、6番、10番ピンを確実にスペアとすると、第2フレームでストライク。続く第3フレームでは8番ピンを処理し、その後は3連続ストライクを奪った。

一方、PBA50ルーキーシーズンを戦うマチューガは、3連続スペアで試合に入った後、ダブルを記録して追走。しかし、第6フレームで4番、6番、7番ピンが残る難しいスプリットを出し、オープンフレームとしてしまう。

ワイスにも苦しい場面はあった。第7フレームで3番、10番ピンのスプリットを処理できず、オープンとなる。それでも、この日高い安定感を見せていた右レーンでは、8投連続となるストライクを記録。続くフレームもスペアでまとめ、再び流れを引き寄せた。

マチューガは第7フレームと第9フレームで投球が右に流れ、それぞれ2番、4番、5番、8番ピン、2番、4番、5番ピンを残した。いずれもスペアにしたものの、追い上げるにはストライクが必要な状況だった。

10フレーム目の第1投ではポケットを正確に捉えたが、7番ピンが残った。スペアを取った後の最終投球は9本で、最終スコアは191となった。

ワイスが優勝するために必要だったのは、10フレーム目の第1投で8本以上を倒すことだった。

放たれたボールを見届けるように、ワイスは右方向へ歩き出した。10番ピンは残ったものの、倒れたのは9本。優勝に必要な条件を満たした瞬間、ワイスは両拳を強く握り締め、全身で喜びを表した。

直後にはロザリンさんがレーンへ駆け出し、父親の胸に飛び込んだ。そこへギャビンさんも加わり、家族3人で歴史的な瞬間を分かち合った。

 

天国の母にささげた初タイトル

優勝後、ワイスは長年背負ってきた重圧から解放された心境を明かした。

ようやく肩の荷が下りた気分です。本当にうれしい。ただ、母にもここで見ていてほしかった。母は、私がこの夢を実現できるように人生をささげてくれました。きっと天国で喜んでくれていると思います」

ワイスにボウリングを教え、幼いころから競技を支えてきたのが母親だった。

「ボウラーだったのは母です。私が生まれたころから、毎日のようにボウリングへ連れて行ってくれました」

今回の優勝は、自身の努力が実を結んだだけではない。夢を支え続けてくれた母親への、何より大きな恩返しでもあった。

 

勝因は「感情を抑え、一投に集中すること」

ワイスは初タイトルを獲得できた最大の要因として、感情をコントロールし、目の前の一投に集中できたことを挙げた。

同時に、決勝で対戦したマチューガへの敬意と感謝も口にしている。

ワイスが初めて通常のテレビ決勝に出場した際、精神面について助言を与えたのがマチューガだったという。

頭の中のスピードを落とし、集中を保つためのアドバイスをくれたのが彼でした。だからマチューガにも感謝しなければなりません。本当に手ごわい選手です」

優勝を争った相手に感謝を伝える姿からは、勝敗を超えた選手同士の信頼と敬意が感じられる。

 

準決勝では世界王者を圧倒

準決勝でワイスが対戦したのは、2026年PBA50世界選手権王者のトム・ドーティだった。

ワイスは最初の3投をすべてストライク。一方のドーティは、第1フレームで10番ピンをスペアにし、第2フレームでは2番、4番、10番ピンのスプリットを見事に処理した。第3フレームでボールを変更すると、そこからダブルを記録して試合を立て直した。

ワイスは第4フレームで7番ピンをスペアとしたが、第5フレームではポケットを捉えながら7番、10番ピンが残る不運なスプリットとなり、オープンフレームを喫した。

しかし、ドーティも第6フレームで4番、6番、7番、10番ピンが残り、オープン。第7フレームで再びボールを変更し、そこから3連続ストライクを奪ったものの、最終スコアは204にとどまった。

対するワイスは終盤に5連続ストライクを記録。246という高得点をマークし、世界王者を246対204で退けた。

この試合で見せた圧倒的なフィニッシュが、初優勝への勢いを決定づけた。

 

初のステップラダー決勝に挑んだドーハン・ジュニア

第4シードのピート・ドーハン・ジュニアは、今回が自身初のステップラダー決勝進出だった。

ブラケット方式のマッチプレーでは第17シードから勝ち上がり、ロランド・セベレン、ブラッド・アンジェロ、ジャック・ジュレックを次々と撃破。オープニングマッチでは、同じフロリダ州を拠点とするダン・ノールトンと対戦した。

ドーハン・ジュニアはストライク、スペア、スペアで試合を開始。その後、4連続ストライクを記録して大きくリードした。第8フレームでスプリットを出したものの、最後を4連続ストライクで締め、229をマークした。

ノールトンは第1フレームと第3フレームでオープン。終盤4投のうち3投をストライクとしたが、179にとどまり、ドーハン・ジュニアが初戦を突破した。

続く第2試合では、ドーハン・ジュニアがドーティと対戦した。

ドーティはダブルで試合を開始。一方のドーハン・ジュニアは4連続スペアの後、第5フレームで初ストライクを記録した。接戦のまま終盤へ進んだが、ドーハン・ジュニアは第6フレームでオープンを出し、苦しい展開となる。

10フレーム目、逆転にはダブルが必要だった。しかし第1投で6番、10番ピンが残り、勝負が決した。ドハーティが190対178で勝利し、準決勝へ駒を進めた。

 

最終順位と試合結果

大会の最終順位と獲得賞金は以下の通り。

1位 ランディ・ワイス 7,500ドル
2位 マイク・マチューガ 4,000ドル
3位 トム・ドハーティ 3,200ドル
4位 ピート・ドーハン・ジュニア 2,500ドル
5位 ダン・ノールトン 2,000ドル

ステップラダー決勝の試合結果は以下の通り。

第1試合:ピート・ドーハン・ジュニア 229-179 ダン・ノールトン
第2試合:トム・ドハーティ 190-178 ピート・ドーハン・ジュニア
準決勝:ランディ・ワイス 246-204 トム・ドハーティ
優勝決定戦:ランディ・ワイス 203-191 マイク・マチューガ

 

長年追い続けた夢は、新たな挑戦の始まりへ

ワイスは2024年にPBA50ルーキー・オブ・ザ・イヤーを受賞し、同年のリージョナル・プレーヤーズ・インビテーショナルでも優勝している。リージョナルタイトルは通算13勝。1990年代後半には、ブラッド・アンジェロ、トミー・ジョーンズとともにワールド・チーム・チャレンジ・グランド・チャンピオンシップも制した。

それでも本人にとって、今回のPBA50ナショナルタイトルは、ボウリング人生で最大級の成果だという。

これは、人生を通じてずっと成し遂げたいと思ってきたことです。これが始まりにすぎないことを願っています。今はかなり良いボウリングができています。ひとつ勝てたので、これからさらにタイトルを重ねていきたいです」

家族との時間を大切にし、母親から受け継いだ夢を追い続け、長年の挑戦を実らせたワイス。

今回の優勝は、単なる1勝ではない。何度も挑戦しながら届かなかった舞台で、自分自身の感情と向き合い、最後まで冷静さを失わなかった末につかんだ勝利である。

そして、レーン上に駆け寄った子どもたちと抱き合った光景は、このタイトルの意味を何より雄弁に物語っていた。

PBA50ツアーは次戦、インディアナ州ハモンドで開催されるサウスショア・クラシックへと続く。初タイトルという大きな壁を乗り越えたワイスが、ここからどこまで勝利を積み重ねるのか。新たな挑戦が始まる。