スウェーデン勢が席巻するStorm Lucky Larsen Masters
EJタケットらPBAスターも予選参戦
2026年PBAツアー最後のタイトル戦がスウェーデンで開幕
2026年のPBA Tour powered by Go Bowlingにおける最後のタイトルイベント「Storm Lucky Larsen Masters」が、スウェーデン・ヘルシンボリのOlympia Bowlingで開幕した。
今大会は、一般的なPBAツアーとは異なる独特の予選方式を採用している。8月29日までに計27の予選スクワッドが行われ、選手は複数のスクワッドに出場しながら、自身のベストスコアを狙うことができる。
予選終了後は、総合上位40名に加えて所定の条件を満たした15名が次のステージへ進出。その後、2段階のAdvancer Roundを経て16名に絞り込まれ、エリミネーション方式のマッチプレーへ進む。
つまり、この大会では一度の失敗が即敗退につながるわけではない。
複数回の挑戦を通じてレーンコンディションを読み、スコアを更新できるかどうかが重要になる。単純な爆発力だけでなく、適応力と修正力が結果を大きく左右する大会と言えるだろう。
その予選序盤で、圧倒的な存在感を放っているのが開催国スウェーデン勢だ。
一方で、EJタケット、カイル・トループ、AJジョンソン、フランソワ・ラボアらPBAを代表する選手も続々と登場。予選中盤に入り、世界トップクラスの選手たちがいよいよ本格的に上位争いへ加わり始めている。
開催国スウェーデン勢が予選序盤を支配
ジェスパー・スヴェンソンが開幕から存在感
最初のSquad 1でトップに立ったのは、スウェーデンを代表するスター、ジェスパー・スヴェンソンだった。
6ゲーム合計1,390、アベレージ231以上を記録。2位のシンガポールのマイク・オンに80ピン差をつけ、開幕から地元ファンの期待に応えるスタートを切った。
スヴェンソンは前年、ディフェンディングチャンピオンとして臨みながらカットを突破できなかった。それだけに今回は、序盤から確実にスコアを残した点に大きな意味がある。
ただし、すぐにそのスコアを大きく上回る選手が現れた。
Squad 2ではスロベニアのトモ・ガベル・ピンテリッチが6ゲーム1,488を記録。アベレージ248という圧倒的な内容で、Final Step 1だけでなく、その先のFinal Step 2まで見える位置につけた。
序盤から1,400台後半が飛び出したことで、今大会の上位争いが非常に高いレベルになることを予感させる展開となった。
U21でもスウェーデンの層の厚さが際立つ
21歳以下限定で行われたSquad 3では、チェコのヤクブ・セドラチェクが1,400でトップ。
2位にはデンマークのソフィー・ケアゴー・ニールセンが1,370で続き、その後にはアルビン・グルストランド、エリック・ラーソン、ルーカス・スヴェンソンと、スウェーデン勢3人が並んだ。
この結果からも見えるのは、スウェーデンの強さが一部のトップ選手だけに依存していないということだ。
若手カテゴリーでも複数の選手が上位に入り、世代を問わず高い競技力を持つ選手が揃っている。
この選手層の厚さこそが、今大会でスウェーデン勢が大きな勢力になっている理由のひとつだろう。
スウェーデン勢が3スクワッド連続首位
Squad 4では、スウェーデンのオシアン・キンナリが1,344でトップとなった。
このスクワッドは全体的にスコアが伸びず、アベレージ211を超えた選手はわずか5人。高スコアを狙うというよりも、難しい状況の中でどれだけミスを抑えられるかが問われる展開だった。
続くSquad 5では一転してスコアが上昇。
1,400以上を記録した選手が5人に達し、その中で首位に立ったのがスウェーデンのノエル・ハグルンド・トルゲルセンだった。合計は1,474。
さらに、2024年大会でジェスパー・スヴェンソンに次ぐ準優勝だったテオドール・サミュエルソンも1,384で5位に入った。
そしてSquad 6では、スウェーデン勢の強さがさらに際立った。
オリバー・ダールグレンが1,416で首位となり、スウェーデン選手が3スクワッド連続でトップを獲得。
しかも、このスクワッドではトップ10のうち9人をスウェーデン勢が占めた。
2位アルビン・リンドベリ、3位キム・ボレビー、4位カール・エクルンドはいずれもアベレージ225以上を記録している。
開催国である以上、レーン環境や会場への慣れという部分で地元勢に一定の利点があることは考えられる。
しかし、トップ10の9枠を占めるという結果は、それだけでは説明しきれない。
ここまでの展開を見る限り、スウェーデン勢は単なる地元有利ではなく、選手層そのものの強さで大会を支配していると言える。
グルストランドとヤンソンが一気に上位へ
日曜日のSquad 7では、カール・エクルンドが再び好投し、1,431で首位。エミル・スヴェンソンも1,413で2位につけた。
Squad 8では元PBA Tourプレーヤーのキム・ボレビーが1,361でトップ。
一方で、チェイス・ナドー、アンドリュー・ホール、ダニエル・ウルバーノ(マキューアン)という米国勢3人もトップ6に入り、ここから徐々にアメリカ勢の存在感も強まり始めた。
そしてSquad 9では、再びスウェーデン勢が強烈なスコアを叩き出した。
アルビン・グルストランドが1,473、マルクス・ヤンソンが1,449を記録。
2人ともカットラインを大きく上回る位置まで順位を押し上げた。
特にヤンソンは2024年USBC Mastersで予選首位に立った実績を持つ選手であり、世界レベルの大会でも結果を残している。
この段階まで来ると、もはや「地元勢が健闘している」という表現では足りない。
予選序盤の主導権そのものを、スウェーデン勢が握っている。
そう言っていい展開だ。
米国勢とPBAチャンピオンたちも参戦
大会が進むにつれて、PBAファンにとって馴染みのある名前も続々と登場した。
Squad 10では米国のチェイス・ナドーが1,335で2位。アンドリュー・ホール、アンドリュー・アンダーソンもトップ10に入り、アメリカ勢が上位へ食い込み始めた。
さらにSquad 11では、デンマークのカーステン・ハンセンが圧巻の内容を見せる。
ゲームスコアは245、248、235、267、245、243。
6ゲームすべて235以上という抜群の安定感で、合計1,483を記録した。
2位とは101ピン差。
この時点で大会全体2番目に高いシリーズとなり、高得点と安定感を同時に示した完成度の高いパフォーマンスだった。
ハンセンはPBA Tour通算2勝を誇り、2019年Storm Lucky Larsen Masters、2020年PBA Scorpion Championshipの優勝者でもある。
また、ディフェンディングチャンピオンのショーン・ラッシュもこのスクワッドで大会初登場。初回は1,297だった。
しかし、この大会では一度のスコアだけで判断することはできない。
複数回の予選に出場できるため、初回で十分な数字を出せなかったとしても、レーンコンディションを分析し、次の機会にスコアを更新できる可能性がある。
言い換えれば、この方式では「初回の強さ」以上に「修正できる強さ」が問われる。
それがStorm Lucky Larsen Masters特有の面白さでもある。
EJタケット、カイル・トループ、AJジョンソンが始動
8月25日に行われたSquad 12、13では、さらに注目度の高い選手が登場した。
Squad 12ではスウェーデンのウィリアム・ベルグレンが初戦260から勢いに乗り、1,422で首位。
この結果により、Squad 12終了時点で総合9位につけた。
PBA Tour通算6勝のフランソワ・ラボアも大会初登場。245、257と好スタートを切り、最終的に1,352を記録した。
続くSquad 13では、スウェーデンのマティアス・オッティングがアベレージ242以上、合計1,456を記録。
このスコアにより、Squad 13終了時点で総合5位へ浮上した。
そしてこのスクワッドには、EJタケット、AJジョンソン、カイル・トループというPBAを代表する3人も登場した。
中でも注目は、3年連続PBA Player of the YearのEJタケットだ。
タケットは初スクワッドから1,372を記録し、Squad 13で3位。
トループは1,326で7位、ジョンソンは1,308で8位だった。
トループは2018年大会、ジョンソンは2023年大会のStorm Lucky Larsen Masters優勝者でもあり、この大会で勝つために必要なものを知っている選手たちでもある。
特にタケットが初回から1,372をまとめたことは興味深い。
複数回挑戦できる方式では、最初の段階である程度安全圏に近いスコアを残せれば、その後はより積極的にスコア更新を狙うことができる。
つまり今後は、単にカットラインを意識するだけではなく、最終ステージを見据えてどこまでスコアを引き上げられるかという戦いになっていく。
今大会のポイントは「誰が最も修正できるか」
ここまでの結果を見ると、上位には1,400台のスコアが次々と並んでいる。
しかし、この大会で本当に重要なのは一度だけ大きなシリーズを出すことではない。
27の予選スクワッドが用意され、複数回挑戦できる形式だからこそ、選手は投球を重ねながらレーンの変化や自身のラインを把握していくことができる。
その中で求められるのは、
「どこに立つか」
「どこを通すか」
「どのボールを選ぶか」
「どのタイミングで変化に対応するか」
といった細かな判断の積み重ねだ。
一度高いスコアを記録していても、その後のコンディションで同じ攻め方が通用するとは限らない。
逆に、最初は伸び悩んでいた選手が、数回の挑戦を経て突然大きなスコアを出すことも十分にあり得る。
だからこそ、現在の順位は重要でありながらも、まだ最終的な力関係を決定するものではない。
Storm Lucky Larsen Mastersは、予選そのものが長い戦略戦になっている。
スウェーデン勢の牙城をPBAトップ選手が崩せるか
2026 Storm Lucky Larsen Mastersの予選序盤は、明確にスウェーデン勢中心の展開となっている。
ジェスパー・スヴェンソンに始まり、ノエル・ハグルンド・トルゲルセン、オリバー・ダールグレン、カール・エクルンド、アルビン・グルストランド、マティアス・オッティングらが次々と好スコアを記録。
中でも、ひとつのスクワッドでトップ10のうち9人をスウェーデン勢が占めた結果は、今大会における開催国の強さを強烈に印象づけた。
一方で、戦いはまだ予選段階にすぎない。
EJタケット、カイル・トループ、AJジョンソン、フランソワ・ラボア、ショーン・ラッシュらPBAのトップ選手が登場し始めたことで、ここから順位が大きく動く可能性は十分にある。
特に注目したいのは、複数回挑戦できる大会方式の中で、誰が最も早く正解を見つけるのかという点だ。
一発の爆発力だけでは足りない。
レーンを読み、投球を修正し、ボール選択を変え、必要であれば攻め方そのものを組み直す。
その積み重ねによって最終的にスコアを伸ばせる選手こそが、上位へ生き残っていく。
現在はスウェーデン勢が大きくリードしている。
しかし、EJタケットら世界トップクラスの選手がここからどこまでスコアを引き上げるのか。
そして、開催国勢がその勢いを最後まで維持できるのか。
2026年PBAツアー最後のタイトルを懸けたStorm Lucky Larsen Mastersは、ここからさらに面白くなる。
本当の勝負は、まだ始まったばかりだ。