金子萌夏が悲願の初優勝
六甲クイーンズを制し、新たな一歩を刻む
今年も六甲を熱くした、選手と観客の2日間
「第42回六甲クイーンズオープントーナメント」が、2日間にわたる熱戦の末に幕を閉じた。
毎年、六甲の舞台を熱くするのは、天気や気温だけではない。会場に詰めかける多くの観客の視線と声援が、選手たちの集中力をさらに研ぎ澄ませ、独特の緊張感を生み出している。今年も初日から多くの来場者が見守るなか、プロボウラー85名、アマチュア選手10名、計95名が出場。女子ボウリング界の頂点を目指し、激しい戦いを繰り広げた。
今大会のオイルパターンは41フィート。幅を大きく使って攻めるというよりも、狭いラインを正確に投げ切るコントロール力と、レーン変化を見極める冷静さが求められるコンディションだった。予選、準決勝、ラウンドロビン、そして決勝ステップラダーへと進む例年通りの進行ながら、各ラウンドではハイゲームとローゲームが順位を大きく動かし、最後まで先の読めない展開となった。
その激戦を制したのは、55期・金子萌夏。予選から好調を維持し、ラウンドロビンで再びトップに立つと、決勝ステップラダーでも落ち着いた投球を披露。同期である石田万音との優勝決定戦を制し、ついに待望の初優勝をつかみ取った。
「やっと勝てました。」
優勝後のその一言には、これまで幾度も上位に進出しながら、あと一歩届かなかった悔しさと、それを乗り越えた喜びが凝縮されていた。
ラウンドロビンで揺れた順位、4名が決勝ステップラダーへ
首位を奪い返した金子萌夏、地元の期待を背負う石田万音
決勝ステップラダーへ進出したのは、1位通過の金子萌夏、2位通過の石田万音、3位通過のキム・ソヒョン、4位通過の坂倉凜の4名だった。
金子は予選から安定した内容で大会をリードし、ラウンドロビンでも再び首位を奪取。大会を通じて大きく崩れる場面が少なく、勝負どころで確実にスコアをまとめる強さが光った。
2位通過の石田万音は、地元・神戸出身の選手として大きな注目を集めた。会場の声援を背に受けながら、昨年3位の悔しさを晴らすべく、優勝決定戦進出を狙う位置につけた。
終盤の爆発力を見せたキム・ソヒョン、1ポイント差で滑り込んだ坂倉凜
3位通過のキム・ソヒョンは、ラウンドロビン終盤に289をマークし、一気に順位を押し上げた。爆発力を持つ選手らしく、流れをつかんだときの迫力は抜群だった。
そして4位には坂倉凜が滑り込んだ。ポジションマッチで敗れたものの、わずか1ポイント差でステップラダー進出を決める劇的な展開。まさに最後の最後まで気の抜けない順位争いだった。
4位決定戦:キム・ソヒョンが坂倉凜を退ける
最初の対戦となった4位決定戦は、キム・ソヒョンと坂倉凜の一戦。坂倉はスペアスタート、キムはストライクスタートと、立ち上がりから流れに差が生まれた。キムは2フレームを挟んでダブルを決め、序盤からリードを奪う。対する坂倉は、レーンの先の動きが合わず、なかなかストライクに恵まれない。5フレームでオープンを出し、苦しい展開となった。
しかし、キムにも隙はあった。7フレームでノーヘッドの、オープンフレーム。差はワンマーク強まで縮まり、坂倉にも反撃の可能性が残った。だが、8フレームで坂倉に不運なチョップが出て再びオープン。終盤9フレームでようやくストライクを奪い笑顔を見せたものの、キムは最後まで主導権を手放さなかった。冷静にゲームを締めたキムが勝ち上がり、次戦で石田に挑むこととなった。
3位決定戦:石田万音がキム・ソヒョンを下し、優勝決定戦へ
続く3位決定戦は、石田万音とキム・ソヒョンの対戦。石田はストライクスタート、キムは厚めに入りオープンスタートとなり、序盤から石田がリードを奪った。石田は中ほどから外へ向けるライン、キムは外目からやや内向きに投げるラインを選択。両者の攻め方の違いも、見どころの一つとなった。
石田は序盤にダブルを決めたものの、3フレームで2本残りをチョップし、流れを完全にはつかみ切れない。一方のキムは2フレームから追い上げ、4フレームでストライクを奪うが、ダブルにはつながらなかった。石田は5フレームからターキーを決め、徐々に差を広げていく。
キムにとって鍵となったのは左レーンだった。右レーンではストライクの感触があったものの、左レーンで思うように合わせられない。7フレームではノーヘッドのオープンとなり、追い上げには厳しい状況に追い込まれた。さらに9フレームではビッグ5が残り、勝負あり。石田が勝ち上がり、優勝決定戦の舞台へ進んだ。
優勝決定戦:金子萌夏と石田万音、55期同期対決の最終章へ
迎えた優勝決定戦は、金子萌夏と石田万音による55期の同期対決。金子は初優勝を懸け、石田は昨年3位の雪辱を果たすために挑む。ともに強い思いを抱えた一戦は、今大会の締めくくりにふさわしい緊張感に包まれた。
金子はストライクスタート。石田は厚めに入り、9本カウントからのスタートとなった。両者とも中から外へ向ける似たライン取りだったが、金子のほうがやや狭いラインを正確に突いていた印象だ。2フレームで金子は7-10スプリットに見舞われるが、ここで流れを失わなかったことが大きかった。
3フレームから金子はダブルを決め、再び主導権を握る。対する石田は、レーンコンディションに苦しみながらボールチェンジを重ね、何とかスペアで耐える展開。4フレームでもまだ手探りの様子があり、思うようにストライクを重ねられない。
5フレーム、金子に流れを引き寄せる一投が生まれる。ピンが転がって10ピンを倒し、ターキーを達成。技術に加え、勝負どころで運も味方につけた金子が、一気に優勝へ近づいた。石田は再びボールを替え、7フレームでストライクを奪うが、残された道はほぼオールウェイ。ここからは一投も落とせない状況となった。
8フレーム、金子はストライクを逃したものの、石田にとっては反撃のために必ずストライクが欲しい場面だった。しかし、しっかり投げたように見えた一投は薄めに入り、5本カウントからのオープン。ここで勝負の流れは決定的となった。
金子は9フレームもスペアでまとめ、最後まで大きく崩れなかった。石田は追いつくことができず、そのまま金子萌夏の初優勝が決定。何度も上位に残りながら勝利に届かなかった金子が、六甲の舞台でついにタイトルをつかんだ。
「やっと勝てました」に詰まった、勝者の重み
金子萌夏の初優勝は、単なる初タイトルという結果以上に、大きな意味を持つ勝利だった。
今大会の金子は、序盤から安定した戦いを見せ、ラウンドロビンでも首位を奪い返した。そして最後のステップラダーでは、難しいコンディションの中でも自分の投球を貫き、勝負どころで流れを引き寄せた。2フレームの7-10スプリット、石田の追い上げ、優勝決定戦ならではの重圧。そのすべてを受け止めながら、最後まで冷静に投げ切った姿は、初優勝にふさわしい内容だった。
一方で、石田万音の戦いぶりも大会を大いに盛り上げた。地元・神戸出身の選手として声援を背負い、3位決定戦を勝ち上がって優勝決定戦へ進出。決勝ではレーンコンディションへの対応に苦しんだものの、最後まで勝利への姿勢を崩さなかった。キム・ソヒョンの終盤での爆発力、坂倉凜のわずか1ポイント差でのステップラダー進出も含め、今大会は最後まで見応えのある展開が続いた。
「やっと勝てました。」
金子の言葉は、勝利の喜びだけでなく、そこに至るまでの悔しさや努力を感じさせるものだった。勝てそうで勝てない時間を経験した選手だからこそ、この一勝には深い重みがある。六甲クイーンズオープンという大舞台でつかんだ初タイトルは、金子萌夏にとって大きな自信となり、今後のキャリアを切り開く重要な一歩になるはずだ。
女子プロボウリング界では、若い世代の台頭がますます存在感を増している。金子萌夏、石田万音、坂倉凜ら同世代の選手たちが上位でしのぎを削る構図は、今後のツアーをさらに面白くしていくだろう。
六甲で生まれた新たな女王、金子萌夏。悲願の初優勝を果たした彼女が、この勝利をどのように次の舞台へつなげていくのか。女子の次戦でも、その投球と成長から目が離せない。
| 順位 | 選手名 | 所属 | 賞金 |
|---|---|---|---|
| 優勝 | 金子 萌夏 | 相模原パークレーンズ | 2,000,000円 |
| 第2位 | 石田 万音 | アルゴセブン/HI-SP | 1,000,000円 |
| 第3位 | キム・ソヒョン | フジ取手ボウル | 620,000円 |
| 第4位 | 坂倉 凜 | カニエJAPAN・アソビックス | 500,000円 |
| 第5位 | 太 琳華 | 株式会社グランドボウル/株式会社ボウルスター | 360,000円 |
| 第6位 | 近藤 菜帆 | ALSOK愛知株式会社/HI-SP | 310,000円 |
| 第7位 | 松永 裕美 | ABS | 280,000円 |
| 第8位 | 名和 秋 | 株式会社コロナワールド | 260,000円 |
| 第9位 | 中島 瑞葵 | フリー/ABS | 200,000円 |
| 第10位 | 姫路 麗 | フリー | 170,000円 |
| 第11位 | 崎山 穂花 | タチバナボウル | 150,000円 |
| 第12位 | 寺下 智香 | 神戸六甲ボウル/サンブリッジ | 130,000円 |
| 第13位 | 佐藤まさみ | ダイトースターレーン/ABS | 120,000円 |
| 第14位 | 川口富美恵 | パピオボウル | 110,000円 |
| 第15位 | 横山 実美 | 平和島スターボウル | 105,000円 |
| 第16位 | 桑藤 美樹 | 株式会社スポルト/ABS | 100,000円 |
| 第17位 | 久保田彩花 | 相模原パークレーンズ | 95,000円 |
| 第18位 | 三上 彩奈 | 株式会社Star Like/STAR LIKE BOWL | 90,000円 |
| 第19位 | 松尾 星伽 | ラウンドワンジャパン/ABS | 85,000円 |
| 第20位 | 堀井 春花 | J-Bowl御坊/HI-SP | 80,000円 |
| 第21位 | 飯田 菜々 | サンスクエアボウル | 75,000円 |
| 第22位 | 小久保実希 | ジョイナスボウル/HI-SP | 70,000円 |
| 第23位 | 宇山 侑花 | 桃園シティボウル/ABS | 68,000円 |
| 第24位 | 渡辺 莉央 | ITカンファー株式会社/HI-SP | 66,000円 |
| 第25位 | 中村 心 | 株式会社グランドボウル/株式会社ボウルスター | 64,000円 |
| 第26位 | 内藤真裕実 | フリー/サンブリッジ | 62,000円 |
| 第27位 | 原野 萌花 | フラワーボウル/HI-SP | 60,000円 |
| 第28位 | 野仲 美咲 | ココレーン | 58,000円 |
| 第29位 | 倉田 萌 | フリー/HI-SP | 56,000円 |
| 第30位 | 森 彩奈江 | N&KCo.,Ltd./ABS | 54,000円 |
| 第31位 | 前屋 瑠美 | フリー | 52,000円 |
| 第32位 | 森田 和紀 | ForestBear | 50,000円 |
ベストアマ
