瀬戸翔選手が男子アマ初優勝、松永裕美が7年ぶりV
中日杯2026東海オープン閉幕

雨の3日間を締めくくった、歴史的な決勝

中日杯2026東海オープンボウリングトーナメント」が6月26日から28日までの3日間にわたり開催され、すべての日程を終了した。

1970年に第1回大会が行われた東海オープンは、地区オープンとして半世紀を超える歴史を持つ大会である。2026年大会には男子204名、女子132名が出場。男子予選は三重県のアソビックスあさひ、女子予選は愛知県のアソビックスかにえで行われ、準決勝から決勝まではアソビックスあさひを舞台に熱戦が繰り広げられた。

予選を2会場に分けて実施する運営方式は、今大会で3年目を迎えた。男女とも予選10ゲーム、準決勝5ゲームを投球し、上位12名が4名ずつ3グループに分かれてラウンドロビン4ゲームを実施。その後、男女各4名による決勝シュートアウトで優勝者を決定した。

大会初日と2日目は、6月としては異例のダブル台風の影響により雨に見舞われた。それでも会場には多くの観客が足を運び、選手たちの一投一投に大きな声援を送った。最終日の午後には晴れ間ものぞき、決勝の時間を迎える頃には会場の熱気も最高潮に達した。

そして、その期待に応えるように、男子では大会史上初となるアマチュア王者が誕生。女子では、実績豊富なトッププロが7年ぶりの優勝を果たした。新たな歴史と復活の物語が交差する、忘れがたい大会となった。

 

最後の一投まで勝敗が揺れ動いた決勝シュートアウト

男子セミファイナル 1ピン差で原口優馬がトップ通過

男子決勝シュートアウトに進出したのは、藤永北斗、原口優馬、アマチュアの瀬戸翔選手、宮澤拓哉の4名だった。

セミファイナルは、上位2名が優勝決定戦へ進む1ゲームマッチ。序盤から激しいストライク合戦となった。

瀬戸選手と藤永が9本カウントでスタートした一方、宮澤と原口はストライク発進。原口は2フレームもストライクとしてダブルを決めたが、瀬戸選手と藤永もすぐに立て直した。

中盤に入ると、瀬戸選手がストライクを重ねてゲームを主導。原口も5フレームから再びアジャストし、トップ争いに加わった。藤永が3番手につける中、宮澤も追い上げたが、8フレームで痛恨のスプリット。優勝決定戦進出は厳しい状況となった。

終盤、瀬戸選手の連続ストライクが10フレームで止まった一方、原口は最後までストライクをつなぎ切った。最終スコアは原口が268、瀬戸選手が267わずか1ピン差で原口が1位、瀬戸選手が2位となり、優勝決定戦へ進出した。

藤永は238で3位、宮澤は214で4位。ハイスコアが並ぶ緊迫したゲームは、続く優勝決定戦の激闘を予感させる内容だった。

 

男子優勝決定戦 瀬戸翔選手が2ピン差で歴史を塗り替える

男子優勝決定戦は、プロ初優勝を狙う原口と、地元アソビックスあさひを拠点とする瀬戸選手の対戦となった。

原口はストライクでスタート。対する瀬戸選手は薄めのヒットからバケットを残し、静かな立ち上がりとなる。原口も2フレームで厚めのスプリットとなり、両者とも変化したレーンコンディションを探りながらの展開となった。

瀬戸選手は4フレームでストライクを決めたものの、5フレームでは薄めのスプリット。原口も右レーンではストライクを重ねたが、左レーンの攻略に苦しみ、6フレームで厚めのスプリットを出した。

その隙を逃さず、瀬戸選手は6、7フレームでダブル。リードを広げた。しかし、8フレームで再びスプリットとなり、勝負の行方は分からなくなる。

原口は8フレーム、苦戦していた左レーンでメッセンジャーストライクを決めると、9フレームもストライク。力強い雄叫びとともに、試合を一気に最終盤へと持ち込んだ。

ピン差で迎えた10フレーム。原口は1投目、2投目、3投目をすべてストライクとし、最終スコアを198まで伸ばした。瀬戸選手も1投目、2投目をストライク。勝負は、文字どおり最後の1投に委ねられた。

瀬戸選手の運命の3投目はポケットを捉え、9本を倒した。

最終スコアは瀬戸選手が200、原口が198わずか2ピン差で、瀬戸選手が優勝をつかんだ。

23歳、右両手投げの瀬戸選手は、前年大会ではアマチュア2位、総合12位。あと一歩でベストアマを逃した悔しさを胸に、今大会では地元の大声援を力へ変えた。

1970年の第1回大会以来、男子アマチュア選手が東海オープンを制するのは初めて。半世紀を超える大会史に、新たな記録が刻まれた。男子の最終順位は、優勝が瀬戸選手、2位が原口、3位が藤永、4位が宮澤となった。

 

女子セミファイナル 混戦を抜け出した丹羽由香梨と松永裕美

女子決勝シュートアウトには、アマチュアの入江菜々美選手、丹羽由香梨、佐藤まさみ、松永裕美の4名が進出した。

序盤、松永、入江選手、丹羽がストライクでスタート。佐藤は厚めに入り、スプリットからの苦しい立ち上がりとなった。

松永は外からクロスさせるラインを選択し、ダブルを決める。しかし3フレームではスピードが勝ったか、先で十分に曲がらず薄めの7本カウント。佐藤も2フレームでストライクを決めたものの、3フレームで再びスプリットとなり、我慢を強いられた。

入江選手は4フレームまでストライクとスペアを交互に重ねるダッチマン。丹羽は3フレームからダブルを決め、松永に追いついた。

ところが5フレーム、松永が厚めからスプリット。続く丹羽も同じくスプリットとなり、試合は一気に混戦へと突入した。

折り返し以降、松永は6、7フレームでダブルを決めて再び首位へ。丹羽も追走したが、なかなかストライクが続かない。入江選手はスペアで粘り、佐藤も終盤にストライクをつないで勝ち上がりの可能性を残した。

勝負は10フレームまでもつれた。入江選手はスペアカウント。松永は残ったオイルに乗ったか、1投目がノーヘッドの6本カウントとなる。丹羽も9本カウント。佐藤は1投目で鮮やかなストライクを決め、一気に逆転の可能性を広げた。

しかし、佐藤の2投目は6本。ここで勝負が決まり、丹羽と松永が優勝決定戦へ進んだ。

最終スコアは丹羽が190、松永が189、佐藤が186、入江選手が178。上位3名がわずか4ピン差に収まる、大接戦だった。

 

女子優勝決定戦 松永裕美が7年ぶりの涙の優勝

女子優勝決定戦は、地元のカニエJAPAN・アソビックス所属で大会2勝目を狙う丹羽と、東海オープン3勝目を目指す松永の対戦となった。

松永はストライクでスタートし、2フレームもストライク。好調な滑り出しを見せた。一方の丹羽は、2フレーム続けて9本カウントからスペアを重ね、着実にスコアをまとめた。

しかし松永は3フレーム、薄めのヒットから5本を残してオープン。丹羽はスペアでしのぎ、試合を振り出しに戻す。

両者は4フレームでストライクを決めたものの、その後はダブルにつながらない。ゲーム数を重ねて荒れたコンディションの中、ボールの動きを慎重に見極めながら投球を続けた。

丹羽がわずかにリードして迎えた6フレーム。松永のボールはポケットを捉えたように見えたが、不運なピンアクションでスプリットとなる。ところが丹羽も薄めからスプリット。最終戦は一投ごとに流れが入れ替わる展開となった。

終盤、松永は7フレームでストライク。8フレームではダブルを逃したものの、カウント差で2ピンのリードを奪った。

勝負を大きく左右したのは9フレームだった。松永は厚めのボールを押し込み、ストライク。丹羽はラインをやや内側へ移したが、ストライクには届かなかった。

松永は10フレームの2投目も厚めながらストライクを決め、勝利を決定づけた。

最終スコアは松永が189、丹羽が176。松永が2014年、2017年に続く東海オープン3勝目を挙げた。公式戦優勝は、2019年の「第42回STORMジャパンオープン」以来7年ぶり今季初優勝で、自身の通算勝利数を17へ伸ばした。

長い時間をかけてたどり着いた勝利に、松永の目からは涙があふれた。それでも表彰式が始まる頃には、ファンに親しまれてきた明るい笑顔が戻っていた。

女子の最終順位は、優勝が松永、2位が丹羽、3位が佐藤、4位が入江選手。入江選手はベストアマにも選出された。

 

新王者の誕生と名選手の復活が刻んだ大会史

中日杯2026東海オープンは、男子では前例のない快挙が生まれ、女子では実績あるトッププロが復活を遂げる大会となった。

瀬戸翔選手は、プロ選手が並ぶ決勝の舞台で臆することなく攻め続け、大会史上初となる男子アマチュア優勝を達成した。最後の1投まで勝敗が分からない極限の状況で、ポケットを正確に突いた集中力は見事だった。

その勝利は、アマチュアボウラーや次世代を担う若い選手たちに、大きな可能性を示すものでもある。

一方、松永裕美は、難しいレーンコンディションに対して豊富な経験と高い修正力を発揮し、7年ぶりの優勝をつかんだ。東海オープン3勝目、通算17勝目という記録は、長年にわたって第一線で戦い続けてきた証しである。

雨の中で幕を開けた3日間は、最終日に差し込んだ晴れ間のように、瀬戸選手の歴史的快挙と松永の復活優勝によって鮮やかに締めくくられた。

新王者の誕生と、名チャンピオンの再起。

二つの物語が交差した中日杯2026東海オープンは、これからも長く語り継がれる大会となるだろう。

男子上位12名

順位 選手名 所属/用品契約 賞金・表彰
優勝 瀬戸 翔 選手 アソビックスあさひ ベストアマ
第2位 原口 優馬 愛知川ボウル/HI-SP 730,000円
第3位 藤永 北斗 N&K Co.,Ltd./サンブリッジ 380,000円
第4位 宮澤 拓哉 パークレーン高崎/サンブリッジ/上武大学 300,000円
第5位 立花 仁貴 洛陽総合高等学校 220,000円
第6位 山下 昌吾 タチバナボウル 200,000円
第7位 畑 秀明 フリー 160,000円
第8位 安里 秀策 株式会社コロナワールド 150,000円
第9位 川添 奨太 ハイ・スポーツ社 140,000円
第10位 渡邉 航明 新小岩サニーボウル/HI-SP/さくら 120,000円
第11位 平岡 勇人 ラウンドワンジャパン/HI-SP 115,000円
第12位 上田 晋也 フリー 110,000円

女子上位12名

順位 選手名 所属/用品契約 賞金・表彰
優勝 松永 裕美 アメリカンボウリングサービス 1,500,000円
第2位 丹羽 由香梨 カニエJAPAN・アソビックス/HI-SP 700,000円
第3位 佐藤 まさみ ダイトースターレーン/ABS 360,000円
第4位 入江 菜々美 選手 名古屋グランドボウル ベストアマ
第5位 近藤 菜帆 ALSOK愛知株式会社 215,000円
第6位 本間 由佳梨 宮崎県スポーツ協会/株式会社ボウルスター 200,000円
第7位 太 琳華 株式会社グランドボウル/株式会社ボウルスター 160,000円
第8位 石田 万音 アルゴセブン/HI-SP 150,000円
第9位 中島 瑞葵 フリー/ABS 140,000円
第10位 坂倉 凜 カニエJAPAN・アソビックス 120,000円
第11位 梶田 愛子 選手 東名ボール アマ第2位
第12位 三浦 美里 ラウンドワンジャパン 110,000円
女子 ベストアマ
入江菜々美選手(名古屋グランドボウル)
総合 4位