リズ・ジョンソンが歴史的快挙
女子初のPBA50タイトルを獲得
ボウリング界のレジェンドが、新たな扉を開いた
女子プロボウリング界を代表するリズ・ジョンソンが、キャリアに新たな歴史を刻んだ。
2026年の「PBA50サウスショア・クラシック」で、ジョンソンは決勝戦に進出したブライアン・ルクレアを227対224で破り、優勝。女子選手として初めてPBA50のナショナルタイトルを獲得する快挙を成し遂げた。
ジョンソンは同年、女子ツアーにおけるキャリア獲得賞金が100万ドルを突破したばかり。さらに今大会の直前には、「Go Bowling U.S. Women’s Open」で56ゲームを投げ抜き、10位に入っていた。
その激戦から10日もたたない中で、再び大会に出場し、今度は歴史的優勝を達成した。体力、技術、集中力のすべてが求められる過酷な状況でつかんだタイトルだけに、その価値は極めて大きい。
30年以上にわたって第一線で戦い続けてきたジョンソン。今回の勝利は、単なる通算タイトルの追加ではない。性別やカテゴリーの枠を超え、ボウリング界の歴史を塗り替えた象徴的な優勝となった。
最後の一投まで分からなかった歴史的決勝
優勝に必要だった「7ピン」
優勝決定戦は、最終フレームまでもつれる緊迫した展開となった。
ジョンソンは第10フレームの初球で9本を倒し、残った1本を確実にスペア。次の投球で7本以上倒せば優勝という状況を迎えた。
手にしていたのは、大会全23ゲームを通して使い続けてきたボールだった。
ジョンソンは迷いなくアプローチに入り、勝負の一投を放った。投球後には片膝をつき、ボールの行方を見守った。倒れたのは9本。優勝が決まった瞬間、ジョンソンは右拳を強く握り締めた。
最終スコアは227対224。わずか3ピン差で、ボウリング史に残る勝利をつかみ取った。
試合後、ジョンソンは大会を次のように振り返っている。
「素晴らしい1週間でした。大会を通して、自分の“Aゲーム”を展開できました」
特に大きかったのは、自分の投球ラインと判断を最後まで信じられたことだったという。
「自分が投げている場所を信頼できました。最近は、あのエリアをあまり使っていませんでしたが、自分のショットと直感を信じることができました。アクセルを全開にしなければならない展開でした」
経験豊富なジョンソンであっても、普段とは異なるレーンの使い方には難しさがあった。それでも、長年培ってきた判断力を生かし、迷いなく投げ切ったことが、歴史的勝利につながった。
右レーンでストライク、左レーンでは我慢
決勝では、左右のレーンでボールの反応に明確な違いが見られた。
ジョンソンは右レーンとの相性が良く、第2、第4、第6、第8フレームでストライクを記録。一方の左レーンでは、第1、第3、第7フレームで、10番ピンが残るフラットテンとなった。
右レーンでは積極的に得点を伸ばし、左レーンではスペアを確実に拾って失点を防ぐ。異なるコンディションに応じてゲームを組み立てた冷静さが光った。
一方、対戦相手のルクレアは苦しい立ち上がりとなった。
第1フレームでは、ポケットを捉えながら7番ピンと10番ピンが残る難しいスプリットとなり、オープンフレームでスタート。それでも、その後はダブルとスペアで立て直し、第6フレームから第9フレームまで4連続ストライクを記録した。
終盤に一気に追い上げ、ジョンソンへ強烈なプレッシャーをかけたルクレア。しかし、第10フレームの初球は厚く入り、3番ピンが残った。
ルクレアはスペアを取り、最後の投球でストライクを決めて224。あとはジョンソンの結果を待つしかなかった。
勝敗を左右する一投で必要なピンを確実に倒したジョンソンの精神力は、まさにレジェンドと呼ぶにふさわしいものだった。
高スコアを並べ、トップシードを獲得
ジョンソンの強さは、優勝決定戦だけで発揮されたわけではない。
ブラケット方式のマッチプレーでは、237、248、258、234と安定して高いスコアを記録。力強い投球を続け、ステップラダー決勝のトップシードを獲得した。
トップシードの選手は優勝決定戦から登場するため、ジョンソンは最後の1試合に集中できる有利な立場を手にした。しかし、長い予選とマッチプレーを勝ち抜いた後に、わずか1試合で優勝が決まるトップシード特有の難しさもある。
試合開始直後から流れをつかめるとは限らず、相手はすでにレーンで複数試合を投げている。そうした条件の中でも、ジョンソンは冷静にレーンを読み、勝利に必要な投球を積み重ねた。
ハギットが2連勝、ルクレアが決勝へ
ステップラダーでは、第4シードのマイケル・ハギットが存在感を示した。
オープニングマッチでは、クリス・ウォーレンと対戦。ウォーレンがダブルとスペアで順調に試合を始めたのに対し、ハギットはストライク、スペアに続いて5連続ストライクを記録し、主導権を握った。
ウォーレンも中盤に3連続ストライクを決めて追い上げたが、第7、第8フレームが連続スペアとなり、差を縮め切れなかった。ハギットは終盤も大きく崩れず、239対215で勝利した。
続く第2試合では、ロランド・セベレンと対戦。両者ともダブルとスペアでスタートし、序盤から接戦となった。
ハギットは第7フレームでオープンフレームを出したものの、セベレンも第8フレームでオープン。流れを取り戻したハギットは、直後に3連続ストライクを決め、219対184で勝利した。
しかし、第3試合ではルクレアが実力を発揮する。
ルクレアはストライクを重ね、ハギットを244対191で圧倒。PBA50ツアー通算5勝を誇る実力者が、ジョンソンとの優勝決定戦へ駒を進めた。
そして迎えた決勝で、ジョンソンがルクレアの追い上げを振り切り、女子選手初となるPBA50ナショナルタイトルを手にした。
2026年の目標は「26 in ’26」
ジョンソンは2026年シーズンの目標として、「26 in ’26」を掲げている。
これは、2026年中にPWBAツアー通算26勝目を挙げるという意味だ。
今回のタイトルはPBA50での優勝であり、PWBAの通算勝利数には含まれない。それでも、本人にとって予想外かつ大きな成果となったことは間違いない。
ジョンソンは、自身の長いキャリアについて次のように語った。
「30年以上にわたって、ボウリングを仕事として続けてこられたことを、とても幸運に思っています。これからも、まだ長く続けられることを願っています。できる限り、この競技を続けていきたいです」
数々のタイトルを獲得し、殿堂入りも果たしているジョンソンだが、その競技への情熱は衰えていない。
今後もPBA50ツアーのアクロン・クラシック、バド・ムーア・プレイヤーズ・チャンピオンシップ、ジョニー・ペトラグリアBVLトーナメント・オブ・チャンピオンズなどに出場する予定だ。
さらに、8月11日から18日に開催されるPWBAツアー・チャンピオンシップ・ウィークにも参戦する。
PBA50で歴史をつくった勢いを、PWBA通算26勝目へとつなげられるか。ジョンソンの2026年シーズンは、今後さらに注目を集めることになりそうだ。
性別や年齢を超えて証明した、真のトップアスリートの力
リズ・ジョンソンがPBA50サウスショア・クラシックで成し遂げた優勝は、ボウリング界にとって大きな意味を持つ。
女子選手として初めてPBA50のナショナルタイトルを獲得したことはもちろん、30年以上にわたりトップレベルで戦ってきた選手が、現在も進化し続けている事実に価値がある。
直前の大会で56ゲームを投げた後も、高い集中力と競技力を維持した。今大会では全23ゲームを同じボールで戦い、左右で異なるレーンコンディションにも対応。最終フレームでは、優勝の懸かった極度の重圧をはねのけた。
今回の勝利は、単に技術だけでつかんだものではない。
長年の経験、正確な判断力、自分を信じる強さ、そして勝負どころで力を発揮する精神力。そのすべてが組み合わさった結果だった。
ジョンソンは、すでに数多くのタイトルと記録を持つ殿堂入り選手である。それでもなお、誰も成し遂げていなかった記録に挑み、新たな歴史をつくった。
PBA50での歴史的優勝を果たした今も、「26 in ’26」という目標は残されている。
リズ・ジョンソンの伝説は、完成したのではない。今もなお、更新され続けている。
2026年PBA50サウスショア・クラシック最終順位
1位 リズ・ジョンソン 7,500ドル
2位 ブライアン・ルクレア 4,000ドル
3位 マイケル・ハギット 3,200ドル
4位 ロランド・セベレン 2,500ドル
5位 クリス・ウォーレン 2,000ドル
ステップラダー決勝結果
第1試合
マイケル・ハギット 239-215 クリス・ウォーレン
第2試合
マイケル・ハギット 219-184 ロランド・セベレン
第3試合
ブライアン・ルクレア 244-191 マイケル・ハギット
優勝決定戦
リズ・ジョンソン 227-224 ブライアン・ルクレア
