PBAワールドシリーズXVIIで4王者誕生
世界選手権はタケット4連覇なるか

世界最高峰の舞台で見えた、PBAツアーの現在地

世界のトッププロボウラーが集う「PBA World Series of Bowling XVII」が、Bowlero Brooklyn Parkで開催され、全5タイトルのうち4つのPBAツアータイトルが決定した。チーター、カメレオン、スコーピオン、シャークという4つのアニマルパターン選手権で、それぞれ個性の異なる王者が誕生。残るメジャータイトル「AMF PBA World Championship」は、6月13日にThunderbowl Lanesで決勝が行われる予定だ。

今大会の最大の注目は、3連覇中のEJタケットが前人未到の4連覇に挑むAMF PBA World Championshipである。タケットはトップシードを獲得しており、あと1勝で歴史的快挙に到達する。さらに、その結果は年間最優秀選手争いにも大きく影響する可能性がある。

一方、すでに終了した4つのアニマルパターン選手権では、実力者の復権新鋭の台頭投法の進化、そして逆境からの巻き返しといった、PBAツアーの魅力が凝縮されたドラマが生まれた。

 

4つのタイトルが映し出した、それぞれの勝利の意味

Packy Hanrahan、チーター選手権で圧巻のスコアを連発

PBA Cheetah Championshipを制したのは、Packy Hanrahanだった。

予選では2年目のCam Croweがトップ通過を果たし、12人によるテレビ決勝トーナメントには7人の左投げ選手が進出した。しかし、Croweは初戦でKris Pratherに敗退。混戦が予想された決勝ラウンドで、ひときわ強烈な存在感を放ったのがHanrahanだった。

Hanrahanは決勝の5ゲームで平均263点以上を記録。Chase Nadeau、Zachary Tackett、Kris Prather、Matt Sandersを次々と破り、自身3度目となるPBAツアータイトルを手にした。

チーター・パターンは、短めのオイルパターンとして知られ、外側のラインをどう使うか、変化するレーンにどう対応するかが重要になる。その中で平均263点を超えるスコアを残したことは、単なる好調では片づけられない。精密な投球冷静な判断、そして勝負どころでの爆発力がそろっていたからこその優勝だった。

Hanrahanにとって今回の勝利は、キャリア3勝目という数字以上の意味を持つ。トップ選手が集まるWSOBの舞台で圧倒的な内容を見せたことで、今後のタイトル争いでも無視できない存在であることを改めて証明した。

 

Darren Tang、カメレオン選手権でPBA史に残る快挙

PBA Chameleon Championshipでは、Darren Tangが歴史的な優勝を果たした。

予選トップは、2ハンド投法の象徴的存在であるJason Belmonte。BelmonteはこれまでWSOBで数々の実績を積み上げてきた選手であり、Chameleon Championshipでも過去に3度優勝している。今大会でもMitch Hupé、Kyle Shermanを破り、決勝へ進出。4度目のカメレオン制覇へ向けて、十分な流れを作っていた。

しかし、そのBelmonteを止めたのがDarren Tangだった。TangはRace-to-Two形式のチャンピオンシップマッチでBelmonteをストレートで下し、自身2度目のPBAツアータイトルを獲得した。

この勝利が特別なのは、Tangのキャリアの歩みにある。Tangは長く片手投げの選手として戦ってきたが、昨シーズンから2ハンド投法へ転向した。そして今回の優勝により、PBA史上初めて「片手投げ」と「2ハンド投法」の両方でPBAツアータイトルを獲得した選手となった。

これは単なる戦術変更の成功ではない。自身のスタイルを一度作り上げた選手が、トップレベルで戦い続けるために投法を変え、再び勝利をつかんだという大きな物語である。しかも、その決勝の相手が2ハンド投法を世界に広めたBelmonteだったことは、時代の流れを象徴している。

Tangの優勝は、現代ボウリングにおける技術革新と適応力の重要性を強く印象づけるものとなった。

 

Zach Wilkins、スコーピオン選手権で逆境から頂点へ

PBA Scorpion Championshipを制したZach Wilkinsの優勝は、今大会屈指の逆転劇だった。

Wilkinsは予選開始から3ゲームを終えた時点で、上位争いから遠い位置にいた。しかし、そこから大きく流れを変える。ショットの修正レーンへの対応精神面の立て直しを重ね、最終的には予選トップに浮上した。

その勢いは決勝でも止まらなかった。Kris Prather、Zach Weidman、Jesper Svenssonを破り、自身2度目のPBAツアータイトルを獲得。さらに、2026年シーズンで最初の複数回優勝者となった。

スコーピオン・パターンは、ミスの許容範囲が狭く、選手の総合力が問われる難しいコンディションだ。序盤の出遅れを引きずれば、そのまま大会から姿を消してもおかしくない。しかしWilkinsは、苦しい状況を受け入れ、そこから試合を組み立て直した。

この優勝は、技術だけでなくメンタルの強さを証明する勝利だった。調子が良いときに勝つことも重要だが、うまくいかない状況から修正して勝ち切ることは、トップ選手としてさらに大きな価値を持つ。

Wilkinsはこの勝利により、年間最優秀選手争いでも存在感を一気に高めた。シーズン後半に向けて、彼の名前はますます注目されることになるだろう。

 

Alex Horton、シャーク選手権でルーキー旋風を加速

PBA Shark Championshipでは、22歳のルーキー、Alex Hortonが鮮烈な優勝を飾った。

Hortonは前月のPBA Tournament of ChampionsでZach Wilkinsを破って優勝したばかり。その勢いを保ったまま今大会に臨み、Tobias Börding、Chris Via、Patrick Dombrowski、Ronnie Russellを破って、わずか16日間で2つ目のタイトルを獲得した。

ルーキーが短期間で2勝を挙げること自体が驚異的だが、Hortonの場合は内容も印象的だった。Shark Championshipは長めのオイルパターンで行われることが多く、パワーだけでは勝ち切れない。ボール選択ラインの見極めレーン変化への対応など、総合的な判断力が求められる。

その難しい舞台でHortonは、経験豊富な選手たちを相手に堂々と勝ち上がった。若さや勢いだけではなく、すでにトップレベルで通用する技術と勝負強さを備えていることを示したと言える。

この結果により、Hortonは年間最優秀新人賞争いの中心に立っただけでなく、年間最優秀選手争いにも加わる可能性を見せた。今後のPBAツアーにおいて、彼が新世代の顔となる可能性は十分にある。

 

世界選手権の焦点:EJタケット、前人未到の4連覇へ

4つのアニマルパターン選手権が終わり、次に注目されるのがAMF PBA World Championshipだ。

決勝には、トップシードのEJタケットをはじめ、Chris Via、Bill O’Neill、Kris Pratherといった実績十分の選手が名を連ねる。さらに、Jason Belmonte、Brandon Bonta、Zach Wilkins、Jason Sterner、Darren Tangの5選手がプレーインラウンドで最後の決勝枠を争う。

プレーインラウンドは6月13日午前11時、決勝は同日午後1時に行われる予定だ。タケットは3連覇中の王者として、あと1勝で4連覇という前人未到の記録に到達する。

しかし、その道のりは決して簡単ではない。Belmonteは経験と実績で群を抜く存在であり、TangやWilkinsは今大会でタイトルを獲得した勢いがある。Via、O’Neill、Pratherも大舞台での勝ち方を知るメジャーチャンピオンだ。

タケットが王者として歴史を作るのか。それとも、新たな挑戦者がその牙城を崩すのか。6月13日の決勝は、今季PBAツアーの行方を占う重要な一戦になる。

 

ベテラン、新鋭、進化する投法が交差したWSOB XVII

PBA World Series of Bowling XVIIは、現代ボウリングの多様性と競争の激しさを示す大会となった。

Packy Hanrahanは圧倒的なスコアで実力を見せつけ、Darren Tangは投法転向を成功させてPBA史に残る快挙を達成した。Zach Wilkinsは逆境から立ち上がり、シーズン複数勝利一番乗りを果たした。そしてAlex Hortonは、ルーキーとは思えない勝負強さで2勝目を挙げ、新世代の台頭を強く印象づけた。

その一方で、EJタケットは世界選手権4連覇という歴史的挑戦に臨む。若手の勢い実力者の意地投法の進化、そして絶対王者の挑戦。WSOB XVIIは、PBAツアーの現在と未来を同時に映し出す大会となっている。

6月13日のAMF PBA World Championship決勝は、単なる大会最終戦ではない。PBAの歴史に新たなページが刻まれる瞬間になるかもしれない。