父子ペアが0-2から大逆転
PBAダブルス「Roth/Holman」波乱の初戦
父子が挑む大舞台、PBAダブルス戦線が一気に熱を帯びる
米メイン州ポートランドのBayside Bowlで開催中の「Owen’s Craft Mixers PBA Roth/Holman Doubles Championship」は、32チームによるシングルエリミネーション初戦(ラウンド32)を終え、トーナメントは16チームへ絞り込まれた。形式はベーカー方式のダブルスで、各対戦は最大7ゲームのうち先に4勝したチームが勝ち上がる。さらに本大会を特別なものにしているのが、左右のレーンでオイルパターンが異なる点だ。左レーンは42フィートのRoth、右レーンは38フィートのHolman。1試合の中で難度の異なる条件を同時に攻略しなければならず、技術だけでなく判断力と連携が問われる。
その舞台で強烈な存在感を放ったのが、父子ペアのライアン・バーンズ/クリス・バーンズ組だ。序盤0-2の劣勢から、修正と噛み合わせで一気に流れを反転。スコアで相手をねじ伏せるだけではなく、レーンへの向き合い方そのものを変え、逆転でラウンド16進出を決めた。
上位シードの安定、波乱の連鎖、そして“修正で勝つ”バーンズ親子
1. 順当勝ちと番狂わせが同居したラウンド32
初戦は、優勝候補が力を示す一方で、上位シードが消える波乱も起きた。トップ2シードのEJ・タケット/マーシャル・ケント組、ブーグ・クロル/ケブン・ウィリアムズ組はいずれも危なげなく勝利し、格の違いを印象づけた。
ところが3位と4位のシードは、ともに初戦で敗退。アンソニー・サイモンセン/ドム・バレット組はルーキーのCJ・ペトリン/アレックス・ホートン組に競り負け、ブランドン・ボンタ/TJ・ロック組はネイト・ガルシア/ジュリアン・サリナス組にスイープを喫した。強者でも一瞬のズレが命取りになるのが、この大会の怖さだ。
2. 左右で別物のレーン条件が、戦術を“会話”に変える
このイベントでは、左と右でオイルパターンが違う。つまり「自分のラインを作る」だけでは足りない。どちらがより難しいのか、誰がどちらを担当すべきか、途中で入れ替えるべきか。こうした意思決定が、1投ごとに結果へ直結する。しかもベーカー方式では、個人戦よりも一投の価値が大きく、連続ストライクがそのまま試合の景色を変える。ここで勝ち上がるチームは、技術の高さに加えて、修正の速さと意思疎通の質が高い。
3. バーンズ親子の逆転劇:0-2からの「切り替え」が勝負を決めた
ライアン/クリス組は、サム・クーリー/ロニー・ラッセル組との一戦で出遅れた。第1ゲームは196と伸びず、とりわけ右レーンでストライクが出ない。第2ゲームも198-195で落とし、0-2。数字だけ見れば、内容も流れも相手に渡っていた。
それでも試合が終わらなかったのは、親子が難しさの所在を早期に特定し、手を打てたからだ。ライアンは右レーンが厳しいことを早い段階で感じ取り、レーンの入れ替えを提案。決断が遅れたことも含めて率直に語りつつ、入れ替え後に1ゲームかけて感覚を合わせると、そこから一気に加速したという。
反撃の内容が、また鮮烈だ。299、278、256、219と高スコアを連ねて4連勝。苦しい序盤を“耐えた”のではなく、修正を起点に相手を置き去りにした。流れとは偶然の産物ではなく、再現性のある作業で引き寄せられる――そんなことを証明する勝ち方だった。
さらにこの試合は、競技の外側にある物語も濃い。クリスは、息子とこの舞台に立つことを夢見ていなかったと語り、ライアンの台頭が自身のツアー継続の理由になったと明かす。ライアンも「殿堂入りの父と投げられる」特別さを言葉にした。技術と戦術に加え、互いを尊重し合うコミュニケーションが、ここ一番の判断を支えていることが伝わってくる。
4. 進出チームと今後の見どころ:王者経験者も安泰ではない
勝ち上がった顔ぶれを見ると、実力者が揃う。パッキー・ハナハン/ミッチ・ヒュペ、マット・オーグル/ショーン・ラッシュ、イェスパー・スヴェンソン/カイル・トゥループらもラウンド16へ進んだ。
一方で、敗退のインパクトも大きい。ディフェンディングチャンピオンのビル・オニールは新パートナーのグラハム・ファックと組んだがスイープ負け。さらに2021年と2024年の覇者であるアンドリュー・アンダーソン/クリス・プレイサーも初戦で姿を消した。「勝った経験」だけでは乗り切れない条件設定が、ここにある。
そしてバーンズ親子の次戦は、2017年と2020年にこのイベントを制したスヴェンソン/トゥループ組。逆転勝ちの勢いと、王者経験の重みがどうぶつかるのか。ラウンド16屈指の注目カードになる。
5. 観戦導線:配信とテレビ決勝の条件を整理
大会は、テレビ決勝へ進むまでの道のりが明確だ。テレビ中継のチャンピオンシップラウンドは米国時間4月19日(日)16:00にThe CWで放送予定。それ以前の試合はBowlTVでライブ配信される。さらに、米国時間4月17日(金)19:00開始のラウンド8を勝ち抜いた4チームだけがテレビ決勝へ進出。決勝は単発勝負を勝ち上がり、最後に「Race-to-Two」でタイトルを争う。トーナメントの緊張感を、最も濃い形で味わえる設計になっている。
勝敗を分けるのは技術ではなく「修正力」と「連携の精度」
ラウンド32は、上位シードの安定と番狂わせが同時に起きた。つまり実力差だけでは説明できない条件の難しさが、確かに存在する。左右で別物のオイルパターン、ベーカー方式の一投の重み、そして一発勝負のトーナメント。ここでは、強さとは単なる球威や回転数ではなく、変化に気づき、選択し、修正を実行する速さで測られる。
バーンズ親子は、その本質を最も分かりやすく示した。0-2の劣勢から、難所を見極め、入れ替えを決断し、感覚を合わせ、スコアで押し切る。そこには親子だからこそ成立する呼吸もあれば、競技者としての冷静さもある。次戦は、王者経験を持つスヴェンソン/トゥループ組。勢いと実績がぶつかる一戦は、この大会が持つ攻略戦としての魅力をさらに浮き彫りにするはずだ。
Round of 32 Results (Best-of-7 Baker Doubles)
- No. 1 EJ Tackett / Marshall Kent def. No. 32 Jimmy Clark / Joe Colcord, 4–2
- No. 16 Tomas Käyhkö / Trevor Roberts def. No. 17 Matt Russo / Nick Pate, 4–0
- No. 24 Alec Keplinger / Michael Davidson def. No. 9 Andrew Anderson / Kris Prather, 4–2
- No. 8 Eric Jones / Deo Benard def. No. 25 Cam Crowe / Nate Stubler, 4–3
- No. 29 Nate Garcia / Julian Salinas def. No. 4 Brandon Bonta / TJ Rock, 4–0
- No. 13 Matt Ogle / Sean Rash def. No. 20 Thomas Larsen / Brian Robinson, 4–3
- No. 12 Mitch Hupé / Packy Hanrahan def. No. 21 AJ Johnson / Tommy Jones, 4–3
- No. 28 Sean Lavery-Spahr / Anthony Lavery-Spahr def. No. 5 Graham Fach / Bill O’Neill, 4–0
- No. 2 Boog Krol / Keven Williams def. No. 31 Charlie Mitchell / Arturo Quintero, 4–1
- No. 15 Santtu Tahvanainen / Ethan Fiore def. No. 18 Chris Via / Darren Tang, 4–2
- No. 10 Ryan Barnes / Chris Barnes def. No. 23 Sam Cooley / Ronnie Russell, 4–2
- No. 7 Jesper Svensson / Kyle Troup def. No. 28 Tun Hakim / Nate Purches, 4–2
- No. 30 CJ Petrin / Alex Horton def. No. 3 Anthony Simonsen / Dom Barrett, 4–3
- No. 14 Zach Wilkins / AJ Chapman def. No. 19 Spencer Robarge / Jake Peters, 4–2
- No. 11 Tim Foy Jr. / Kevin McCune def. No. 22 Justin Knowles / Jakob Butturff, 4–2
- No. 27 Brad Miller / Kyle Sherman def. No. 6 Patrick Dombrowski / Bailey Mavrick, 4–2
Round of 16 Matchups (Scheduled)
Friday, April 17 — 11 a.m. ET
- No. 1 Tackett / Kent vs. No. 16 Käyhkö / Roberts
- No. 8 Jones / Benard vs. No. 24 Keplinger / Davidson
- No. 13 Ogle / Rash vs. No. 29 Garcia / Salinas
- No. 12 Hupé / Hanrahan vs. No. 28 Lavery-Spahr / Lavery-Spahr
Friday, April 17 — 3 p.m. ET
- No. 2 Krol / Williams vs. No. 15 Tahvanainen / Fiore
- No. 7 Svensson / Troup vs. No. 10 Barnes / Barnes
- No. 14 Wilkins / Chapman vs. No. 30 Petrin / Horton
- No. 11 Foy Jr. / McCune vs. No. 27 Miller / Sherman
最新の順位表(スタンディング)は、こちらで確認できます。
👉 2026 Owen’s Craft Mixers PBA Roth/Holman Doubles Championship