サイモンセン首位発進!
2026 U.S.オープン予選初日、233.88でリーダーボード頂点へ

サイモンセンが首位発進2026 U.S.オープン予選が開幕

ボウリング界屈指のメジャー大会「Go Bowling U.S. Open」が、インディアナポリスのロイヤル・ピン・ウッドランドで幕を開けた。予選第1ラウンド(火曜)の主役となったのは、ラスベガス在住のアンソニー・サイモンセン8ゲーム合計1,871ピン、アベレージ233.88という圧倒的な数字で、108人中1位に立った。

U.S.オープンでの活躍は、彼にとって決して“たまたま”ではない。29歳のツーハンド右利きは、同大会でトップ5入り通算7回2022年優勝で象徴的なグリーンジャケットをすでに一度獲得している。観客がリーダーボード最上段に彼の名を見ても驚かなかったのは、これまでの実績が信頼そのものだからだ。

しかし今回の首位発進は、単なる“得意大会での平常運転”以上の意味を持つ。本人が語ったのは、今季序盤の苦戦。「良いブロック(まとまった高スコアの流れ)を作れず、最初から追いかける展開が続いていた」という。だからこそ、この初日の貯金は、今大会だけでなくシーズン全体を押し上げる起点にもなり得る。

 

233.88の説得力。首位の中身、追走勢、そして過酷な大会設計

1)スコア列が示した爆発力立て直し

サイモンセンの初日8ゲームは、246、246、213、266、191、223、217、269。240台が2本、260台が1本、そして最後は269で締める。派手さだけならもっと尖った並びもあり得るが、U.S.オープンで重要なのは崩れを最小化し、次のゲームで取り返す能力だ。

この日の彼は、191という落ち込みを挟んでも流れを失わず、すぐに223→217→269と持ち直してみせた。難条件での回復の早さは、優勝候補が優勝候補たる所以でもある。

初日のレーンは40フィートのラウンド1オイルパターン。距離や濃淡がわずかに変わるだけでストライク率もミスの形も変化する中、最も高い平均値を残した事実は「読み」「選択」「修正」が噛み合った証明と言っていい。

 

2)36ピン差の2位1ピン差の3位。追う側も強い

2位には2018年王者のドム・バレット(イングランド)が1,835で続き、首位との差は36ピン。3位はジェイソン・スターン(ニューヨーク州ロチェスター)が1,834で、バレットとはわずか1ピン差の僅差だ。初日から上位争いが締まっているのは、U.S.オープンらしい。

4位に入ったのはマレーシアのトゥン・ハキム。今大会初日唯一のパーフェクトゲーム(300)を達成し、合計1,817を記録した。300のインパクトは絶大だが、U.S.オープンは一撃の派手さより、複数日にわたる適応力が問われる。トゥン・ハキムがこの勢いを、コンディションが変わる2日目以降でも維持できるかは大会の見どころだ。

5位はイーサン・フィオーレ(フロリダ州バルリコ)とマイケル・デイビッドソン(オハイオ州ヴァーサイユ)が1,773で並んだ。初日トップ5だけ見ても国籍・地域が多彩で、U.S.オープンが世界のメジャーとして機能していることがよくわかる。

 

3)「36位タイ」が一気に重くなる。カットラインのドラマ

順位表で、今後最も注目を集めそうなのが36位タイだ。ジェイク・ピーターズ(ネバダ州ヘンダーソン)と、2025年準優勝のアンドリュー・アンダーソン(ミシガン州ホリー)が、ともに1,656で初日を終えた。ここが金曜のラウンド4へ進む最終枠に当たるため、カットライン攻防の中心地点になる。

U.S.オープンは「上位にいること」だけでなく落ちないことが価値になる大会だ。上位争いが華やかに見える一方で、36位前後は一投が順位を大きく動かす。ピン1本、スペア1つの重さが、他大会より露骨に増幅されるのがU.S.オープンの怖さでもあり面白さでもある。

 

4)Cスクワッドの観察アドバンテージ。準備が勝負を分けた

サイモンセンが初日Cスクワッドだった点も見逃せない。A・B・Cの3スクワッドが同一パターンで投げるこの大会では、後に投げる組ほど先行組の攻め方や失敗例を観察できる。サイモンセン自身も「誰がスコアを作り、誰がトラブルに陥ったかを見られたことで、自分のプランを決めやすかった」と語っている。

ただし、その“見てから決める余裕”は永遠ではない。Cスクワッドはラウンド2(水曜)で2番手、予選最終日(木曜)には先頭で投げる。つまり、レーン変化の起点となる立場に回る日が来る。初日の首位は大きな貯金だが、同時に「次は観察なしで正解を出す」試験が待っている。

 

5)ウッドランドは自分を信じやすい場所

サイモンセンがウッドランドを「特別」と語る理由は、単なる相性の良さに留まらない。プロとアマの両方で成功体験を重ね、ここで恋人と出会い、さらに両親を亡くした後にこの地で複数のタイトルを獲ったという個人的な物語が重なっている。「ウッドランドが自分にとって持つ意味を超える場所はないかもしれない」という言葉には、会場が精神面に与える確かな作用がにじむ。

U.S.オープンのように判断ミスが即失点につながる大会では、迷いを減らす信頼できる土台が大きい。彼にとってウッドランドは、技術を支える心の足場になっている。

 

6)大会システムが示す真理:「強い」だけでは足りない

今大会は、3日間で予選24ゲームを実施し、レーンコンディションは3種類。108人から36人へ絞られた後、その36人が第4のオイルパターンで8ゲームを追加し、32ゲーム総計で上位24人がラウンドロビン形式のマッチプレーへ進む。

さらにマッチプレーでは、勝利ごとに30ピンのボーナスが加算され、最終的に56ゲーム総計で上位5人がステップラダーファイナルへ。決勝は日曜午後4時(米東部時間)からThe CWで生中継され、予選とマッチプレーはBowlTVで配信される。

ここにU.S.オープンの本質がある。予選のピンフォールだけでは足りない。コンディション変化に適応し、カットを越え、最後は勝負のマッチプレーで勝ち切る必要がある。「上手い」ではなく「強い」ことを、複数の角度から証明させる設計だ。

 

7)連覇を狙う王者タケット。歴史がかかる防衛

そして忘れてはいけないのが、昨年王者EJ・タケット(インディアナ州ブラフトン)の存在だ。初日は12位で1,730。2025年大会は決勝でアンダーソンを238-184で下し、3年で2度目のU.S.オープン制覇を成し遂げた。さらに2025年シーズンは4勝(メジャー2勝)を挙げ、クリス・シェンケルPBAプレーヤー・オブ・ザ・イヤー3年連続で受賞している。

タケットが今回狙うのは、ウッドランドでの連覇、そしてU.S.オープンでは1995・1996年にデーブ・ヒューステッドが達成して以来となるタイトル防衛。首位のサイモンセンと現王者タケットが同じ会場で火花を散らす構図は、初日から大会の物語を濃くしている。

 

首位は通過点。サイモンセンは、攻略の最良の入り口を掴んだ

サイモンセンの首位発進は、数字が派手なだけではない。難条件での修正力、スクワッド順を味方につける観察眼、そしてウッドランドという自分を信じやすい場所での落ち着き。複数の要素が噛み合って生まれた、説得力のある1日だった。

ただし、U.S.オープンは序盤が良いだけでは勝てない。3つのコンディションを渡り、カットラインの揺れを乗り越え、マッチプレーで勝ち点(ボーナス)を積み上げ、最後にステップラダーで勝ち切って初めて、緑のジャケットに手が届く。初日の貯金は間違いなく大きいが、それは“ゴール”ではなく、最も良い形の入口に過ぎない。

水曜朝8時(米東部時間)から予選ラウンド2が再開し、全スクワッドはフレッシュオイルで臨む。首位のサイモンセンがこのまま突き抜けるのか。王者タケットが連覇と歴史に挑むのか。そして、36位ラインを巡るサバイバルがどんなドラマを生むのか。U.S.オープンは、ここからが本番である。

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 👉  2026 Go Bowling U.S. Open