優勝戦線が激変:ベルモンテ首位、タケット盤石、ファック覚醒
PBAミズーリ決勝進出は誰だ
ミズーリで加速する優勝争い――PBA「ピート・ウェーバー・ミズーリ・クラシック」佳境へ
PBAツアー「2026 PBA Pete Weber Missouri Classic」は、勝負の舞台を予選からマッチプレーへ移した。会場はミズーリ州のBowlero St. Peters。90名が挑んだ予選18ゲームを終え、優勝争いに残ったのは16名だ。
今大会を特徴づけるのは、45フィートの「Dick Weber」オイルパターン。長めのコンディションは、単純な外回り・内回りだけでは通用しにくく、ライン取りの精度と変化への対応力が問われる。そんな条件下で存在感を示しているのが、首位通過のジェイソン・ベルモンテ、昨年覇者のEJ・タケット、そして木曜夜に観客の視線を一気に奪ったグラハム・ファックである。週末の結末は、ここから大きく動く。
首位ベルモンテ、王者タケット、覚醒のファック――3つの“強さ”が交錯する
ベルモンテ、予選トップの説得力――「4,291(+691)」が示す安定と支配
予選18ゲームの総ピンフォールは4,291(+691)。平均は238超。PBAツアー通算32勝のベルモンテが、90人のフィールドを首位で通過した。ボウリングは一度の爆発よりも、長い距離を崩れずに走り切る難しさが際立つ競技だ。特に45フィートの長めのオイルは、レーンの変化に対して微細な調整を怠れば、わずかなズレが連続失点につながる。
それでもベルモンテは“崩れない”。ゲームをまたいで同じ形を再現しつつ、状況に合わせてラインとスピード、回転の配分を変える。その積み重ねが、トップ通過という結果に直結した。
さらに、首位シードには週末の見取り図を有利にする仕組みがある。ラウンド8で敗れても「最上位シードの敗者」はステップラダー決勝の第5シードとして加わるため、ベルモンテは“あと1勝”でテレビ決勝に極めて近づく。強さに加え、勝ち筋が複数ある。首位通過の価値はそこにある。
上位8名に左腕が多数――「コンディションの読み」をめぐる静かな優位
2位にザック・ウィルキンス、3位にパトリック・ドンブロウスキーが続き、上位8名はラウンド24免除でラウンド16から登場する。その上位8名には、ジャスティン・ノウルズ、マット・ルッソ、キャメロン・クロウ、パッキー・ハンラハン、アンソニー・ノイアーといった左投げが並ぶ。
右投げが多数派のツアーでは、左側のレーンは“踏まれ方”やオイルの削れ方が異なり、展開次第で独自の読みが残りやすい。もちろん上位進出は実力の賜物だが、週末のマッチプレーでは「誰がより長く自分の形を保てるか」が効いてくる。左腕勢の存在感は、今大会の重要な背景として押さえておきたい。
タケット、因縁の再戦を4-0で処理――短期決戦の王者らしい“奪い方”
木曜夜、9位〜24位によるラウンド24が始まり、昨年覇者タケットはさっそく貫禄を見せた。相手はドム・バレット。昨年のタイトルマッチ再戦である。だがタケットは、ベスト・オブ・7(先に4勝)のシリーズを4-0でスイープ。相手に流れを渡さず、試合を「長くしない」勝ち方だった。
短期決戦では、拮抗すればするほど一つのスプリット、一つの10番ピンが重くなる。そこを許さない圧力で先手を奪い続けるのは、王者が持つ“勝ち方の型”だ。ラーセン、スティッピッチ、スモールウッド、AJ・チャップマン、ブランドン・ランク、オースティン・グラマーらも勝ち上がり、ラウンド16のカードが出そろった。ここからは上位シード勢が合流し、試合強度は一段上がる。
木曜夜の主役はファック――300、277、290で“勝負の常識”を破る
しかし、会場の空気を決定的に塗り替えたのはグラハム・ファックだった。ファックはレーン29-30でエリック・ジョーンズを相手に、300、277、290を叩き出し、4-0でスイープ。もはや「ミスをしない」ではない。「ストライクを連鎖させ、相手の抵抗を成立させない」試合運びだった。
注目すべきは、ジョーンズ側も高水準だったことだ。242、288、248と十分に勝ちを狙える内容で追いすがり、それでも最後は213で力尽きた。相手が悪いのではなく、ファックが“上限”を超えた。だからこそ、このシリーズは記録以上に記憶に残る。
試合後、ファックは「その瞬間を考え始めると崩れやすい。だから頭をクリアに保つ」と語りつつ、ジョーンズが最後までプレッシャーをかけ続けたことが、むしろ集中を保つ助けになったと振り返った。技術の爆発に加え、メンタルの運用が成熟している。
そして、この爆発が日曜決勝ラウンドと同じ“チャンピオンシップ・ラウンドのペア”で起きた点も重要だ。もしファックがステップラダーまで駆け上がれば、同じ環境で再び“当たり”を再現できる可能性がある。偶然を必然に変えられるか――その答えは金曜に出る。
Match Play Results:Round of 24(結果)
No. 17 ヘイデン・スティッピッチ def. No. 16 リッチー・ティース:4-2
No. 24 オースティン・グラハマー def. No. 9 ライアン・バーンズ:4-3
No. 18 トム・スモールウッド def. No. 15 サントゥ・タフバナイネン:4-3
No. 10 グラハム・ファック def. No. 23 エリック・ジョーンズ:4-0
No. 20 AJ・チャップマン def. No. 13 クリス・プレイサー:4-1
No. 21 ブランドン・ランク def. No. 12 マット・サンダース:4-1
No. 14 EJ・タケット def. No. 19 ドム・バレット:4-0
No. 11 トーマス・ラーセン def. No. 22 TJ・ロック:4-3
これからの視聴ポイント――ラウンド16→8の二段階、そして「第5シード」の罠と救済
スケジュールは明快だ。金曜は正午(東部時間)からラウンド16、夜7時からラウンド8が行われる。ラウンド8の勝者4名が、日曜のステップラダー決勝へ。さらに、ラウンド8で敗れた選手のうち「最上位シードの敗者」が第5シードとして決勝に加わる。つまりベルモンテは、ラウンド16を勝てば“決勝ほぼ確定”に手が届く立場にある。
ラウンド16の注目カードは、ベルモンテ対スティッピッチ、ドンブロウスキー対タケット、そしてハンラハン対ファック。特にハンラハン対ファックは、左腕の読みとファックの爆発力が真正面からぶつかる構図で、今大会の物語を左右する一戦になり得る。
週末の主題は「安定」か「王者の型」か「異常値の再現」か
現時点の優勝争いは、3つの強さの競演だ。予選を支配し、シードの恩恵まで手にしたベルモンテの安定。昨年覇者として短期決戦の勝ち方を体現するタケットの地力。そして、木曜夜に“勝負の常識”を破ったファックの異常値。
ボウリングは一投で空気が変わる。しかし最終的に勝つのは、変化するレーンの中で自分の形を維持し、必要な場面でギアを上げられる選手だ。金曜のマッチプレー2ラウンドは、その資質を最も露骨にあぶり出す。
日曜の決勝(現地時間3月1日、東部時間午後4時開始)に立つのは誰か。安定が勝つのか。王者の型が勝つのか。それとも“一夜の伝説”が週末の現実になるのか。ミズーリのレーンは、すでに佳境の熱を帯びている。