PBAツアー2026開幕
23歳ルーキーのブランドン・ボンタがタイトル戦300でメジャー制覇
EJ・タケットを撃破

開幕戦が歴史の瞬間になった理由

シーズンの最初の大会は、その年のツアーの空気を決める。2026年PBAツアーの開幕戦「PBAプレーヤーズ・チャンピオンシップ」は、まさにその象徴になった。主役は23歳のルーキー、ブランドン・ボンタプロとしてPBAツアー初出場の大会で、いきなりメジャータイトルを獲得しただけではない。タイトルマッチでパーフェクトゲーム(300)を達成し、相手は3年連続PBAプレーヤー・オブ・ザ・イヤーのEJ・タケット。勝利の価値を最大化する条件が、これ以上なくそろった形だ。

会場はテキサス州アーリントンインターナショナル・トレーニング&リサーチ・センター。新体制の放送環境のもとで幕を開けた2026年のツアーは、初戦から「新しい顔が、最高の形で歴史を作る」という強烈なメッセージを投げかけた。

 

46ゲームの積み上げ、3連勝の上り坂、そして“最も自由だった”300

1)まずは土台:46ゲームを戦い抜き、第4シードを確保

ボンタの快挙は、決勝で突然起きた奇跡ではない。予選は合計46ゲームという長丁場で行われ、彼はそこで決勝ラウンド第4シードを獲得した。短期決戦の一発力だけではなく、コンディションの変化に対応しながらスコアを積み上げる総合力が求められるフォーマットで、最終日に残る資格を勝ち取ったこと自体が、すでに完成度の高さを示している。

第4シードは、決勝ラウンドで連戦を強いられる立場でもある。だが結果的に、その連戦がボンタのリズムを加速させた。勝つたびに緊張が削られ、ショットの精度が上がっていく。そんな上昇曲線を、そのままタイトルマッチまでつなげた。

 

2)マッチ1:ルーキー対決、最初のミスから立て直し

決勝ラウンド初戦の相手は、大学時代に4年間チームメイトだった同じルーキー、スペンサー・ロバージ。序盤は互いに単ピンのスペアミスが出るなど、硬さが見える展開だった。ボンタも第1フレームで2番ピンを外す

しかし、この日のボンタは“ミスの後”が強かった。そこから投球の軌道とテンポを整え、次の9投で7回のストライクを量産。227-173で勝利し、早々に会場の空気を自分のものにしてみせた。ルーキーにありがちな波を、最小限に抑えた試合運びだった。

 

3)マッチ2:実績十分のスベンソンを、連打で切り離す

続く相手は、前季に賞金10万ドルの大会を2度制したイェスパー・スベンソン。格で言えばボンタが挑戦者だが、試合は序盤から高レベルの打ち合いになる。両者が4連続ストライクを並べ、会場の緊張が一段上がった。

分岐点は第5フレーム。両者ともオープンフレームとなったが、スベンソン側は7番ピンが最後まで尾を引いた。終盤の重要局面で7番ピンを複数回残し、細いズレが積み重なる。一方のボンタは、そこから5連続ストライクで一気に決着へ。スコアは253-216。相手のミスに救われたのではなく、自分のストライクで勝負を終わらせた試合だった。

 

4)マッチ3:前年王者ファックの反撃を断ち、タイトルマッチへ

マッチ3の相手はグラハム・ファック2016年の同大会覇者で、前年も開幕戦を制しており、2年連続のシーズンオープナー制覇がかかっていた。経験と実績のある選手が見せる勝負強さは脅威だったが、最終局面で明暗が分かれる。

ファックは最終フレームで3連続ストライクを取ればロールオフに持ち込める状況だった。しかし初球で8番ピンを残し、勝負の糸が切れた。ボンタは247-226で勝利。ルーキーが決勝ラウンドで3連勝し、タイトルマッチへ駆け上がった。

 

5)タイトルマッチ:相手はEJ・タケット、そして300-238

迎えたタイトルマッチの相手はEJ・タケット3年連続PBAプレーヤー・オブ・ザ・イヤーという肩書が示す通り、当代屈指の強者であり、第1シードとして頂点に立っていた。普通なら、ここでルーキーの勢いが試される。

ところがボンタは、勝つだけでなく“歴史を作る勝ち方”をした。スコアは300-238タイトルマッチでのパーフェクトゲーム(300)という最高の締め方で、メジャー制覇とツアー初優勝、そして賞金10万ドルを同時に獲得した。

特筆すべきは、本人のコメントに表れた心理状態だ。ボンタは優勝が確定した後の最終フレームについて、「最後の3つのストライクを投げられると疑いはなかった」「テレビで300を狙うのに緊張はなかった」と語り、むしろ「人生で一番自由だった300」と表現した。勝利の重圧が消えた瞬間に集中がほどける選手もいるが、ボンタは逆だった。“最後の3球”を作業のように正確に遂行し、完璧という結果に落とし込んだ。

 

6)一日で“やりたいこと”を全部やったルーキー

この大会でボンタが達成した要素は、ツアー選手の夢として挙がりやすいものばかりだ。

  • PBAツアー初タイトル

  • メジャー制覇

  • テレビ中継での300

  • 世界トップクラスのタケット撃破

さらに、この300はPBA史上「公式テレビ中継での300」36回目の記録にあたるという。本人は「まだ起きたことを処理できていない」としつつ、「キャリアを終える時、この日を振り返れば、多くの人にはできないことを成し遂げた日として思い出す」と語った。ルーキーの第一歩が、そのまま生涯のハイライトになり得る一日だった。

 

2026年の最初のページは、もう“普通”に戻らない

2026年PBAツアーは、開幕戦から基準が引き上げられた。放送の新体制という節目の年に、23歳の新星メジャーを制しタイトルマッチで300を叩き出し、しかも相手はEJ・タケット。偶然のドラマというより、「予選46ゲームの積み上げ」と「決勝ラウンドで勝つほどに精度が上がる投球」が、最後に最も大きな結果として表面化した印象が強い。

そしてツアーはすぐ次へ進む。今週は「Legendz PBA Pete Weber Missouri Classic」が控え、予選は水曜日に始まり、決勝は3月1日(日)午後4時(米東部時間)にThe CWで放送予定とされている。開幕戦が“出来すぎた一日”で終わるのか、それとも2026年を通じた主役登場の合図なのか。答えは次戦以降のレーンで示される。

 

決勝ラウンド結果/最終順位

決勝ラウンド

  • マッチ1:ボンタ 227-173 ロバージ

  • マッチ2:ボンタ 253-216 スベンソン

  • マッチ3:ボンタ 247-226 ファック

  • 決勝:ボンタ 300-238 タケット

最終順位(賞金)

  • 1位:ブランドン・ボンタ(10万ドル)

  • 2位:EJ・タケット(5万5千ドル)

  • 3位:グラハム・ファック(3万5千ドル)

  • 4位:イェスパー・スベンソン(2万5千ドル)

  • 5位:スペンサー・ロバージ(2万ドル)

最新の順位表(スタンディング)は、こちらで確認できます。

 👉  2026 PBA Players Championship