
シンガポールのニュー・ホイ・フェン
全米女子オープン制覇で歴史的快挙!
アジアの星、アメリカで輝く
2025年6月、ネブラスカ州リンカーンのサンバレー・レーンで開催された全米女子オープン(U.S. Women’s Open)で、シンガポールのニュー・ホイ・フェン選手が見事な逆転劇を見せ、キャリア2度目のメジャータイトルと通算5勝目を手にしました。この優勝により、ニュー選手はPWBA(プロ女子ボウリング協会)殿堂入りの資格を満たすこととなり、彼女の名は世界ボウリング史に刻まれることとなりました。
4連勝の激闘と記録的パフォーマンスの全貌
驚異のトータルスコアと最多ピン記録
今回の優勝で注目すべきは、ステップラダー形式での4試合合計スコア1,026ピンという前例のない記録。これは、PWBAツアーが2015年に再始動して以降の最多得点記録であり、従来の記録であったブライアナ・コーテ選手の1,022ピン(2022年BVLクラシック)を上回りました。
ニュー選手は「第2ラウンドのコンディションと似ていたので、ストライクを作るラインに自信があった」と語っており、難易度の高い41フィートのオイルパターンに対して正確かつ冷静に対応できたことが、彼女の強さの証しでした。
第1戦:メアリッサ・キャリー戦(スコア:246-189)
最初の対戦相手は、インディアナ州出身のメアリッサ・キャリー選手。この試合は、キャリー選手にとって初のステップラダー出場でした。ニュー選手は序盤から5連続ストライクを記録し、勢いをつけました。キャリー選手は途中で2回のオープンフレームを出してしまい、スコアは189にとどまりました。一方のニュー選手は落ち着いた投球で246ピンをマークし、快勝。
キャリー選手は5位入賞で13,000ドルを獲得しました。
第2戦:クリスタル・エリオット戦(スコア:228-183)
次の相手は、2024年のPWBA新人王に輝いたフロリダ州出身のクリスタル・エリオット選手。この試合中、左レーンのコンディションが急激に変化し始めたことが勝敗を分ける鍵となりました。
ニュー選手は早い段階でその変化に気づき、よりクリーンな転がりを得られるボールに変更。この判断が功を奏し、ポケットミスはわずか1回。一方、エリオット選手はポケットを捉えることができず、スコアは183にとどまりました。
ニュー選手は228ピンで勝利し、3回戦へと駒を進めました。
エリオット選手は4位で17,000ドルを獲得。
準決勝:ローレン・ルッソ戦(スコア:262-174)
準決勝の対戦相手は、2024年PWBAサザン・インディアナ・オープン優勝者であるローレン・ルッソ選手。スコアの競り合いが予想されましたが、試合はニュー選手の一方的な展開となりました。
ルッソ選手は前半6フレーム中3回のオープンフレームを出してしまい、リズムをつかめずに苦戦。一方のニュー選手は、序盤から連続ストライクを重ねるパーフェクトに近い投球で、最終スコアは262ピンと圧倒的。
ルッソ選手は174ピンで敗れ、3位で22,000ドルを獲得しました。
決勝戦:ジョーダン・スノッドグラス戦(スコア:290-190)
決勝戦の相手は、ミシガン州エイドリアン出身のジョーダン・スノッドグラス選手。彼女は2025年シーズンに3大会連続で決勝進出し、PWBAプレイヤー・オブ・ザ・イヤー争いのトップを走る実力者です。
しかしこの決勝戦、ニュー選手のパフォーマンスは圧巻でした。序盤に1本のハイフラッシュ4ピンを残したものの、そこから怒涛の11連続ストライク。スコアは堂々の290ピンを記録し、スノッドグラス選手の追撃を完全に封じました。
スノッドグラス選手は190ピンで準優勝、賞金30,000ドルを獲得。
この結果により、ニュー選手は今季3勝目を挙げ、PWBAプレイヤー・オブ・ザ・イヤー争いでも逆転で首位に立ちました。
殿堂入り視野に、さらなる挑戦へ
今回の全米女子オープン制覇によって、ニュー・ホイ・フェン選手はPWBA通算5勝(うちメジャー2勝)を達成し、PWBA殿堂入りの資格を取得。本人も「33歳で殿堂入り資格を得られるとは思わなかった」と感慨深く語りました。
今後のツアーについては、ニュー選手は次戦のPWBAアニバーサリー・オープン(グリーンベイ)には不参加を表明。代わりに、母国シンガポール代表として国際大会に出場し、8月のツアー選手権週に照準を合わせる予定です。
次回大会情報:
PWBAアニバーサリー・オープン
開催日:2025年7月8日(グリーンベイ)
決勝ステップラダー:7月13日(CBS Sports Networkにて放送)
シンガポールから世界へ、そして歴史へ。ニュー・ホイ・フェン選手の快進撃は、ボウリングファンだけでなく、スポーツの世界に新たな刺激を与えるものでした。今後の活躍にも、大いに期待が寄せられています。
大会の詳細情報は公式サイト(U.S. Women’s Open)をご確認ください。