フィル・ドラムが初代PBA ELITE Regional王者に
新フォーマット初戦で自身初のリージョナルタイトル

PBA ELITE Regional Tourが開幕、新シリーズ最初の王者が誕生

PBAのリージョナル競技に、新たな歴史が刻まれた。

2026年9月12日から13日にかけて、アメリカ・ペンシルベニア州ベツレヘムのSteel City Bowl & Brewsで開催された「PBA ELITE Steel City Bowl & Brews Open presented by USBC」。

新設されたPBA ELITE Regional Tourの記念すべき第1戦で、ニューヨーク州ビンガムトンのフィル・ドラム(Phil Drumm)がオープン部門を制した。

今回の優勝は、ドラムにとってキャリア初となるPBA Regional Tourタイトル。しかも、2027年PBA Tourの優先出場資格を持つ選手が11人参戦した強力なフィールドを勝ち抜いてのタイトル獲得だった。

シニア部門ではロバート・モッケンハウプト(Robert Mockenhaupt)が優勝。全21大会が予定されているPBA ELITE Regional Tourは、オープン部門、シニア部門ともに印象的な戦いでスタートを切った。

今大会を特徴づけたのは、単純なハイスコア勝負ではない。

難しいレーンコンディションへの対応力、長丁場での安定性、そしてマッチプレーで直接相手を倒す勝負強さ。

新シリーズの初戦は、競技ボウリングに求められる総合力が色濃く表れた大会となった。

 

48フィートの難条件を攻略、ドラムが予選8位から頂点へ

予選首位はジェイク・ロリンズ、カットラインはアベレージ199

今大会の最大の特徴のひとつが、48フィートのオイルパターンだった。

PBA ELITE Regional Tour用に設計された3種類のパターンのひとつで、Steel City Bowl & Brewsでは大会を通じてスコアが伸びにくい展開となった。

予選7ゲームで首位に立ったのはジェイク・ロリンズ。

7ゲーム合計1,536ピンを記録し、アベレージは約219.4だった。

一方、最終的に優勝するドラムは1,474ピン。首位のロリンズから62ピン差となる8位で予選を通過した。

さらに今回の難しさを象徴しているのが、予選通過ラインである。

最終通過となったハンター・マチンは7ゲーム合計1,393ピン。アベレージにすると199だった。

現代の競技ボウリングでは高いストライク率が注目されがちだが、この大会では200アベレージを維持すること自体が簡単ではなかった。

つまり選手には、爆発的なスコアを出す能力だけではなく、

ミスを最小限に抑えること

スペアを確実に処理すること

変化するレーンに合わせ続けること

が求められていた。

こうしたコンディションでは、1ゲームの300よりも、大崩れせずにスコアを積み重ね続ける能力が重要になる。

その意味で、ドラムの優勝は非常に象徴的だった。

 

マット・テイラーが300達成、一気に首位へ浮上

日曜日に行われた4ゲームのアドバンサーズラウンドでは、大きく順位が動いた。

存在感を見せたのがマット・テイラーだった。

テイラーは第2ゲームでパーフェクトゲームとなる300を達成。そのスコアを武器に順位を押し上げ、アドバンサーズラウンド終了時点で首位に立った。

また、2026年Harry Golden PBA Rookie of the Year候補となったアレックス・ホートンがロリンズと並んで2位につけた。

そのほか、ジョー・パルシェク、フィル・ドラム、ジェームズ・ベネット、ジュリアン・サリナス、トム・ソースも8ゲームのラウンドロビン・マッチプレーへ進出した。

予選首位だったロリンズ。

300ゲームを記録したテイラー。

上位を維持していたホートン。

この時点では複数の選手に優勝の可能性が残されていた。

しかし、ここから大会の流れを大きく変えたのがドラムだった。

 

ステップラダーなし、総得点で王者を決めるフォーマット

今大会では、一般的なPBA大会で見られるステップラダー形式の決勝は行われなかった。

ラウンドロビン・マッチプレー終了時点の総得点で優勝者を決定する方式が採用された。

つまり、「最後の1ゲームに勝てば優勝」という大会ではない。

予選からアドバンサーズラウンド、そしてマッチプレーまで、すべてのゲームで積み重ねたピン数がタイトル争いに影響する。

さらにマッチプレーでは、対戦相手との勝敗も重要になる。

この方式では、一度のビッグゲームだけで大会を支配することは難しい。

必要なのは、

大会全体を通してスコアをまとめ続ける力

そして、

直接対決で勝利を積み重ねる力

である。

ドラムのゲームスタイルは、このフォーマットに見事に適応した。

 

ドラムが7勝1敗、唯一の敗戦から5連勝

ドラムはマッチプレー序盤から着実に勝利を重ねた。

最初の2試合を勝利すると、ジョー・パルシェクとの対戦では225-246で敗れた。

しかし、結果的にこれがドラムにとって最後の敗戦となった。

そこからドラムは一気に加速する。

残り5試合をすべて勝利。

マッチプレーを7勝1敗で終え、最終的には2位に133ピン差をつけて大会を制した。

この数字は、ドラムの優勝内容を考えるうえで非常に重要である。

決して予選から圧倒していたわけではない。

予選順位は8位。

途中では敗戦も経験している。

それでもレーン変化への対応を続け、マッチプレー後半で勝利を重ね、最終的には大きなリードを築いた。

「最初から一番強かった選手」ではなく、「大会が進むほど強くなった選手」が優勝した。

ドラムのタイトル獲得を最も端的に表すなら、この言葉になるだろう。

 

2位以下は大混戦、ドラムの133ピン差が際立つ

オープン部門の上位は次の結果となった。

1位 フィル・ドラム 4,231
2位 アレックス・ホートン 4,098
3位 ジョー・パルシェク 4,087
4位 マット・テイラー 4,085
5位 ジュリアン・サリナス 4,052

注目すべきなのは、2位から4位までの差だ。

ホートンが4,098。

パルシェクが4,087。

テイラーが4,085。

2位から4位までわずか13ピン差という大接戦だった。

その一方で、優勝したドラムは2位ホートンに133ピン差をつけている。

つまり、2位以下が僅差で競り合うなか、ドラムだけが一歩抜け出した形だ。

マッチプレー終盤の5連勝が、どれほど大きかったのかが分かる。

今回の優勝により、ドラムは自身初となるPBA Regional Tourタイトルを獲得するとともに、優勝賞金10,000ドルを手にした。

そして何より、PBA ELITE Regional Tour史上最初のオープン部門王者として、その名前を残すことになった。

 

シニア部門はモッケンハウプトが予選から首位をキープ

オープン部門のドラムが「追い上げ型」の優勝だったのに対し、シニア部門のロバート・モッケンハウプトは、まったく異なる勝ち方を見せた。

モッケンハウプトは予選7ゲームで1,444ピンを記録して首位スタート。

その後の4ゲームを加えた11ゲーム終了時点でも首位を維持した。

さらに、シニア部門では最初の11ゲームを通じて唯一200を超えるアベレージを維持した選手だった。

難しい48フィートのコンディションのなかで、この安定感は際立っている。

しかし、モッケンハウプトの優勝が簡単に決まったわけではない。

マッチプレーではブライアン・ルクレアが猛追。

試合を重ねるごとに差を縮め、最終ポジションラウンドを前に、その差はわずか27ピンとなった。

勝利ボーナスが30ピンだったため、事実上、最後の直接対決でタイトルの行方が決まる状況となった。

 

最終決戦258-203、モッケンハウプトが初代シニア王者に

最後の直接対決で、モッケンハウプトは一気にギアを上げた。

結果は、

モッケンハウプト 258-203 ルクレア

55ピン差で直接対決を制し、PBA ELITE Regional Tour初代シニア部門王者となった。

予選から首位を守り続けながら、最後は追い上げてきたライバルとの直接対決を高いスコアで制する。

オープン部門のドラムとはまったく異なる形だが、こちらも新シリーズ初戦にふさわしい優勝だった。

モッケンハウプトには優勝賞金5,000ドルが贈られた。

 

新シリーズ初戦が示した「本当に強い選手」の条件

PBA ELITE Regional Tourの第1戦は、単なる新大会のスタート以上の意味を持つ戦いとなった。

オープン部門では、予選首位のジェイク・ロリンズ、300ゲームを達成したマット・テイラー、上位争いを続けたアレックス・ホートンなど、多くの選手が大会の主役となった。

しかし、最後にタイトルを手にしたのはフィル・ドラムだった。

予選8位から順位を上げ、マッチプレーでは7勝1敗。

唯一の敗戦後には5連勝を記録し、最終的には2位に133ピン差をつけた。

そこにあったのは、一発のビッグゲームだけではない。

難しいコンディションで大崩れしない安定性。

レーン変化を読み続ける対応力。

直接対決で勝ち切る勝負強さ。

そして、

大会後半になってもパフォーマンスを落とさない持続力。

PBA ELITE Regional Tour第1戦は、こうした総合力こそが競技ボウリングで勝つために重要であることを改めて示した。

シニア部門でも、モッケンハウプトが予選から首位を維持しながら、最後は27ピン差まで迫ったルクレアとの直接対決を258-203で制している。

勝ち方は違っても、両者に共通していたのは、大会終盤の最も重要な局面で最高のパフォーマンスを発揮したことだった。

PBA ELITE Regional Tourは、今回を皮切りに全21大会が予定されている。次戦はサウス、ノースウェストの各リージョンへと舞台を移していく。

フィル・ドラムとロバート・モッケンハウプトから始まったPBA ELITE Regional Tour。

新しいフォーマットのなかで、これからどんな選手が頭角を現し、どのようなドラマが生まれるのか。

リージョナルツアーから次のPBAスターが誕生する可能性も含め、今後のシリーズから目が離せない。