ベナードとタケットが首位快走
PBAノーム・デューク・オープンは決戦ラウンドへ

予選12ゲーム終了、主役候補が鮮明に

ペンシルベニア州シンキングスプリングのラッキーストライク・シンキングスプリングで開催されている「The Magnum Ice Cream Company PBA Norm Duke Open」は、予選12ゲームを終え、勝負の輪郭がはっきりしてきた。

Aスクワッドでは、22歳のテキサス出身デオ・ベナード2,679ピン、プラス279で首位に立った。Bスクワッドでは、EJタケット2,765ピン、プラス365という圧倒的なスコアを記録し、後続に165ピン差をつけてトップを守っている。

今大会の特徴は、決勝戦まで選手をA、Bの2スクワッドに分けて進行する独自のフォーマットにある。それぞれのスクワッドで勝ち残った選手がステップラダー決勝へ進み、最後はAスクワッドの勝者とBスクワッドの勝者がチャンピオンシップマッチで対戦する。

大会名に冠されたノーム・デュークは、18歳でPBAツアー初優勝を飾った史上最年少タイトルホルダー。その名を背負う大会で、若手の台頭トップスターの貫禄が同時に浮かび上がっている。

 

ベナード、難コンディションを制してAスクワッド首位へ

Aスクワッドをリードしたのは、デオ・ベナードだった。12ゲーム合計2,679ピンで、2位ザック・ウィルキンスの2,659ピンを20ピン上回った。3位にはブランドン・ボンタ、4位にジェイソン・スターナー、5位にアレックス・ホートンが続いている。

今大会で使用されているのは、39フィートのデューク・オイルパターン。スコアが伸びにくく、ライン取りスペアメイクの正確さが強く求められるコンディションだ。ベナードはこの難しさを受け入れ、派手な打ち合いではなく、我慢強くポケットを突き続けるボウリングで首位に立った。

ベナードは「一番強いウレタンボールを投げ、ボールを自分の前に保つことを意識している」と語っている。さらに、予想以上にスコアが低い展開についても「低いスコアの試合は好きだ。全米オープンのような大会に感じる」と前向きに受け止めた。

特に印象的なのは、「取れるスペアをまだ一度も外していない」と話している点だ。ストライクを重ねる爆発力はもちろん重要だが、タフなレーンでは小さなミスをどれだけ避けられるかが勝敗を分ける。ベナードの首位浮上は、攻めの強さだけでなく、ミスを最小限に抑える冷静さによって支えられている。

Aスクワッドの通過争いでは、カム・クロウプラス2で最後の枠をつかんだ。その背後では、ティム・グルーンドラーとジェイソン・ベルモンテが最後まで追い上げた。

特にベルモンテの動きは劇的だった。第1ラウンド終了時点では66位で、カットラインから163ピン離れていた。しかし水曜夜の5ゲームで一気に順位を上げ、一時は通過圏内へ浮上する。ところが最終ゲームで157にとどまり、最後はわずか5ピン届かなかった。世界的名手でさえ一投に泣く。それほど今大会のコンディションは厳しい。

ベナードにとって、この大会は特別な意味を持つ。彼は2024年、20歳でPBAツアー初優勝を飾った。今回勝てば、わずか2年で2つ目のタイトルを手にすることになる。

ノーム・デュークは18歳で初優勝したものの、2勝目までにはさらに8年を要した。そう考えると、ベナードがこの大会で2勝目を狙う構図には、世代を超えた物語性がある。

ベナードは、子どもの頃に憧れたボウラーとしてノーム・デュークジェイソン・ベルモンテの名前を挙げている。そのデュークの名を冠した大会で優勝争いに加わっていることを、「最高にクールなこと」と表現した。若き挑戦者は、憧れの舞台で自らのキャリアを大きく前へ進めようとしている

 

タケット、Bスクワッドで別格の安定感

Bスクワッドでは、EJタケットが存在感を際立たせた。12ゲーム合計2,765ピン、プラス365。2位のブレット・ロイドは2,600ピンで、その差は165ピンに広がっている。3位にはチェイス・ナドー、4位にジョシュア・マクキャンドレス、5位にエリック・ジョーンズが入った。

タケットは水曜日の予選第2ラウンドでさらにリードを拡大した。大会平均は230を超え、単なる首位通過にとどまらない価値を持つ内容となっている。

その理由は、PBAツアーのシングルシーズン平均記録への挑戦にある。現在の記録は、ジェイソン・ベルモンテが2017年に残した229.39。タケットは過去2シーズンにわたってこの記録に迫ってきたが、あと一歩届かなかった。今大会で230を超える平均を維持していることは、タイトル争いだけでなく、シーズン全体の記録更新にも大きな意味を持つ。

Bスクワッドで最後の通過枠を守ったのは、アンドリュー・ホールだった。水曜日に28歳の誕生日を迎えたホールは、節目の日に粘りを見せ、カットライン上で次のラウンド進出を決めた。

タケットの強さは、爆発力と安定感が同居している点にある。タフなレーンでは、わずかなミスが連鎖してスコアを大きく落とすことも珍しくない。それでもタケットは高い水準でスコアをまとめ、Bスクワッドの中で一人抜け出した

ただし、ここから先は状況が変わる。エリミネーションラウンドでは、予選で積み上げた優位があっても、ひとつのラウンド、ひとつのゲームで流れが変わる。タケットがこのまま優勝候補筆頭として走り切るのか。それとも、追う選手たちがプレッシャーをかけるのか。Bスクワッドの展開も緊張感を増している。

 

ベルモンテの敗退が示した「一投の重み」

今大会を語るうえで、ジェイソン・ベルモンテのカット落ちは大きなトピックだ。

ベルモンテは第1ラウンド終了時点で66位。カットラインから163ピンも離れており、厳しい立場に置かれていた。それでも水曜夜のラウンドで猛追し、5ゲーム終了時点では通過圏内へ入った。しかし、最後の1ゲームで157に沈み、最終的にはカットラインまで5ピン届かなかった

この結果は、今大会の難しさを象徴している。世界最高峰の選手であっても、わずかな失投わずかな読み違いが致命傷になる。特に低スコア傾向の大会では、ビッグゲームで一気に差を詰められる一方、ロースコアの1ゲームで順位を大きく落とす危険もある。

ベナードが「取れるスペアを外していない」と語ったことの価値は、ここにある。今大会では、ストライクを続ける力だけでは不十分だ。残ったピンを確実に処理し、オープンフレームを避け、感情を乱さずに次の投球へ向かう力が求められる。

ベルモンテの猛追と失速は、これから始まるエリミネーションラウンドに向けた警告でもある。首位に立つベナードやタケットであっても、最後まで安全圏はない。勝負は、ここからさらに鋭さを増していく。

 

今後のスケジュールと勝ち上がりの条件

大会は6月18日木曜日からエリミネーションラウンドへ入る。

午前11時から行われる第1ラウンドでは、各スクワッド32名が6ゲームを投げ、上位16名が次へ進む。午後6時からの第2ラウンドでは、さらに6ゲームを行い、各スクワッドの上位8名まで絞られる。

6月19日金曜日には、第3エリミネーションラウンドとして4ゲームが行われる。このラウンドで各スクワッド上位4名が決まり、グループ別ステップラダー決勝へ進出する。

テレビ中継ラウンドは、6月21日日曜日CBS Sports Networkで放送される予定だ。正午からAスクワッドのステップラダー、午後2時からBスクワッドのステップラダー、午後4時からチャンピオンシップマッチが行われる。すべてのテレビ中継ラウンドは、ペンシルベニア州ベツレヘムのSteel City Bowl and Brewsで開催される。

このフォーマットでは、各スクワッド内の戦いを勝ち抜くことが第一関門となる。ベナードとタケットが首位を守ったまま決勝まで進めば、若き勢い絶対的な安定感がぶつかる魅力的な対戦が実現する。

一方で、ステップラダー形式では下位シードの選手が勢いに乗って勝ち上がることも多い。予選順位が有利に働くことは間違いないが、それだけで優勝が保証されるわけではない。最後に必要なのは、短期決戦で勝ち切る集中力だ。

 

PBAエリートリーグも同時に佳境へ

今週末は、ノーム・デューク・オープンだけでなく、「PBA Elite League: Battle of the Brands presented by Beatbox」も大詰めを迎える。

タケットが率いるMotivチームは、6チームによるステップラダー決勝でトップシードを獲得している。Hammer、Storm、900 Global、Brunswick、Roto Gripのいずれかとコミッショナーズカップを懸けて対戦する予定だ。

個人戦で圧倒的なパフォーマンスを見せるタケットが、ブランド対抗戦でもチームを頂点へ導けるのか。この点も、週末の大きな見どころになる。

PBAツアーのテレビ中継シーズンを締めくくるタイミングで、個人戦とチーム戦の両方がクライマックスを迎える。選手にとってもファンにとっても、濃密な週末になることは間違いない。

 

Aスクワッド上位10名

順位 選手 スコア
1 デオ・ベナード 2,679(+279)
2 ザック・ウィルキンス 2,659(+259)
3 ブランドン・ボンタ 2,617(+217)
4 ジェイソン・スターナー 2,616(+216)
5 アレックス・ホートン 2,607(+207)
6 トーマス・カユホ 2,602(+202)
7 TJロック 2,585(+185)
8 ビル・オニール 2,579(+179)
9 カイル・トゥループ 2,578(+178)
10 ブーグ・クロル 2,548(+148)

 

Bスクワッド上位10名

順位 選手 スコア
1 EJタケット 2,765(+365)
2 ブレット・ロイド 2,600(+200)
3 チェイス・ナドー 2,585(+185)
4 ジョシュア・マクキャンドレス 2,583(+183)
5 エリック・ジョーンズ 2,582(+182)
6 AJジョンソン 2,570(+170)
7 ライアン・バートン 2,569(+169)
8 アンソニー・サイモンセン 2,555(+155)
9 アンドリュー・アンダーソン 2,524(+124)
10 サントゥ・ターバナイネン 2,519(+119)

 

今後の主な日程

日付 時間 内容
6月18日 木曜日 午前11時 エリミネーション第1ラウンド、各スクワッド上位16名が通過
6月18日 木曜日 午後6時 エリミネーション第2ラウンド、各スクワッド上位8名が通過
6月19日 金曜日 午前11時 エリミネーション第3ラウンド、各スクワッド上位4名がステップラダーへ
6月20日 土曜日 午後1時 PBAエリートリーグ、プレーイン・ステップラダー
6月20日 土曜日 午後3時 PBAエリートリーグ、ステップラダー決勝
6月21日 日曜日 正午 Aスクワッド・ステップラダー
6月21日 日曜日 午後2時 Bスクワッド・ステップラダー
6月21日 日曜日 午後4時 チャンピオンシップマッチ

 

若き挑戦者か、絶対的エースか

予選12ゲームを終えたPBAノーム・デューク・オープンは、対照的な二人を中心に進んでいる。

Aスクワッド首位のデオ・ベナードは、難しいコンディションの中で冷静さを失わず、確実なスペアメイクを武器に上位へ抜け出した。22歳という若さ、2024年の初優勝、そして憧れだったノーム・デュークの名を冠した大会で2勝目を狙うという背景が、彼の戦いに大きな物語を与えている。

一方、Bスクワッド首位のEJタケットは、現在のPBAツアーを代表する存在として圧倒的な安定感を見せている。後続に165ピン差をつける内容は、優勝候補筆頭と呼ぶにふさわしい。さらにシングルシーズン平均記録の更新も視野に入っており、今大会での一投一投には記録面でも重みがある。

ただし、ここからはサバイバルだ。エリミネーションラウンド、そしてステップラダー決勝では、ひとつのミスが流れを変える。ベルモンテがわずか5ピン差でカットを逃した事実は、この大会に安全圏が存在しないことを示している。

ベナードが若さと冷静さで頂点へ駆け上がるのか。タケットが実力者としての完成度を見せつけるのか。それとも、追う選手たちが流れをつかみ、新たな主役として名乗りを上げるのか。

ノーム・デュークの名を冠した大会は、いよいよ本格的な勝負の局面に入った。勝者に求められるのは、爆発力だけではない。難コンディションを受け入れる忍耐力スペアを取り切る精度、そして最終盤でも揺るがない精神力だ。PBAツアーのテレビ中継シーズンを締めくくる舞台で、誰が最後にそのすべてを証明するのか。注目の週末が始まる。