アンダーソン&マッカーシー組が首位発進
盟友の訃報に揺れたPBA・PWBA混合ダブルス初日
乳がん撲滅への思いをつなぐ伝統大会が開幕
米テキサス州ヒューストンのコッパーフィールド・ボウルで、ストームPBA・PWBA「ストライキング・アゲインスト・ブレストキャンサー」混合ダブルスの予選初日が行われた。
今大会は、長年PWBAツアーで活躍したルーシー・ボノーをたたえ、乳がんとの闘いを支援する目的で開催されている。ボノーは、大会創設者ドナ・コナーズの親しい友人でもあった。
第1回大会が行われた2000年以降、X Out Breast Cancer Foundationは乳がん対策のために100万ドルを超える資金を集めてきた。トップ選手が競うナショナルタイトルイベントであると同時に、選手、関係者、ファンが支援の輪を広げる特別な大会でもある。
今大会には150組を超えるチームがエントリー。初日に実施されたA、Bの2シフトには、合わせて80組が出場した。
例年、会場は再会の喜びや懐かしい思い出に満ちた温かな雰囲気に包まれる。しかし今年の初日は、PBAツアー通算8勝を誇るジェイコブ・バターフが32歳で急逝したとの知らせを受け、深い悲しみの中で進行することになった。
アンダーソンとマッカーシーが3127ピンで首位
チーム平均223超の安定した投球
予選初日を終えて首位に立ったのは、アンドリュー・アンダーソンとエリン・マッカーシーのペアだった。
両選手は40フィートのオイルパターンでそれぞれ7ゲームを投球し、14ゲーム合計3127ピンを記録。チーム平均は223を超え、変化するレーンコンディションに対して高い対応力を示した。
2位には、デオ・ベナードとロシオ・レストレポのペアが入った。首位との差はわずか27ピン。予選後半を前に、上位争いは早くも接戦となっている。
Aシフトをトップで終えたのは、スチュ・ウィリアムズとジョシー・バーンズのペア。14ゲーム合計3083ピンをマークし、総合でも上位につけた。
経験と信頼が生んだウィリアムズ&バーンズの連携
ウィリアムズとバーンズは、過去にもダブルス大会でペアを組んだ経験がある。さらにウィリアムズは、PWBAツアーでボール担当スタッフを務めており、女子選手の投球やボールの動きを間近で見てきた。
ウィリアムズによれば、バーンズが優勝した2025年USBCクイーンズをはじめ、複数のPWBAメジャー大会で彼女の投球を観察した経験が、今回の好成績につながったという。バーンズの好むボールリアクションや、レーン変化に対する判断の傾向を理解していたことが、ペアとしての強みになった。
バーンズも、長く一緒に投げることで互いの状態を読み取れるようになると説明。第2ゲームを終えた時点で、ウィリアムズが落ち着き、自信を持って投げていることが分かったという。
一方、自身の投球については、動作の感覚は良かったものの、ボールの反応が必ずしも理想どおりではなかったと振り返った。それでも必要以上に修正せず、ペア全体の流れを保つことを優先した。
ウィリアムズは、自分には実際の投球力以上にレーンを読む力があると分析している。そのうえで、自分の提案を信頼し、ためらうことなく変更を試せるバーンズの姿勢が、ペアとして戦いやすい理由だと語った。
混合ダブルスでは、個々の技術だけでなく、相手の状態を見極め、ボール選択や投球ラインについて共通認識を持てるかが重要になる。両者の好スタートは、経験によって築かれた信頼関係の成果といえる。
前年王者ヴァイは新パートナーで10位
前年王者のクリス・ヴァイは、前回大会をともに制したブリアナ・コテと出場する予定だった。しかしコテは緑内障手術からの回復途中にあり、今大会への出場を見送った。
ヴァイは代わって、同大会で4度の優勝経験を持つシャノン・プラウスキーとペアを結成。A、B両シフト終了時点で3003ピンを記録し、10位につけている。
急きょ結成されたペアではあるものの、プラウスキーは大会を熟知する実力者だ。現時点では首位と124ピン差だが、今後の投球次第では十分に順位を上げられる位置にいる。
JRクレモンズとマリア・ブラノワのペアは、14ゲーム合計2906ピンで20位。全体の半数が投球を終えた段階で、準決勝進出圏を狙えるポジションを確保した。
首位のアンダーソンを襲った盟友の訃報
チームUSAで5年間ともに戦ったバターフ
首位に立ったアンダーソンにとって、この日は好成績だけでは語れない、つらい一日となった。
アンダーソンは2018年から2023年までの5年間、バターフとともにチームUSAで活動。2021年IBFスーパー世界選手権では男子トリオの金メダル獲得に貢献した。
代表チームで多くの時間を共有した仲間の突然の死を受け、アンダーソンは自身のSNSでバターフを追悼した。
アンダーソンは、バターフほど優しい人物にはなかなか出会えないと振り返り、彼が心から人を愛する人物だったとつづった。さらに、自身が深く打ちのめされていることを明かし、周囲の大切な人を気にかけてほしいと呼びかけた。
競技会場では、選手たちがスコアを競う一方で、亡くなった仲間への思いを抱えながら投球を続けた。アンダーソンとマッカーシーが記録した3127ピンは、技術的に優れた結果であるだけでなく、強い感情を抱えた状況で残されたスコアでもある。
タケットとサイモンセンが予選後半に登場
タケットはシーズン平均記録の更新を視野
予選後半には、EJタケットやアンソニー・サイモンセンをはじめ、PBAツアーを代表する選手たちが登場する。
タケットはディアンドラ・アスバティとペアを組む。今季は438ゲームを投げ、平均229.79を記録して大会を迎えた。
PBAツアーのシーズン平均記録は、ジェイソン・ベルモンテが2017年に記録した229.39。タケットは大会開始時点でこの数字を上回っており、混合ダブルスの優勝争いとともに、記録更新の行方にも注目が集まる。
ベルモンテの記録を上回るために必要なスコアとして、7ゲームなら1433ピン、11ゲームなら2351ピン、23ゲームなら5104ピンが示されている。
大会の結果が、タケットのシーズンを象徴する記録にも直結するだけに、一投ごとの重要性はさらに高まりそうだ。
サイモンセンは4年間で3度目の優勝を狙う
サイモンセンは、ダニエル・アーバノとペアを組み、過去4年間で3度目となる大会制覇を目指す。
両者は2023年と2024年に連覇を達成。さらにアーバノは、2021年にタケットとのペアでも優勝しており、この大会で豊富な実績を持つ。
ダブルス競技では、トップ選手同士が組めば自動的に好成績を残せるわけではない。互いの投球スタイルを理解し、レーン変化に関する情報を共有しながら、適切な判断を重ねる必要がある。
すでに複数回の優勝を経験しているサイモンセンとアーバノは、連携面でも大きな強みを持つ。首位争いに加わる可能性の高い有力候補の一組といえるだろう。
上位40組が準決勝へ 大会方式を解説
全選手は予選で7ゲームを投球する。4つの予選シフトがすべて終了した時点で、上位40チームが日曜日の準決勝に進出する。
準決勝では各チームがさらに4ゲームを投球し、その後、上位12チームが総当たり形式のマッチプレーに進む。
優勝チームは、マッチプレー終了時点の総ピン数によって決定される。一般的なPBA大会で見られるステップラダー方式の決勝は実施されない。
競技はベーカーフォーマットではなく、ペアを組む2選手がそれぞれシングルゲームを投球し、両者のスコアを合算してチームの得点とする方式だ。
すべてのラウンドはBowlTVでライブ配信される予定となっている。
勝敗を超えた思いが交差する大会
大会初日は、アンダーソンとマッカーシーの安定した投球によって幕を開けた。3127ピンというスコアは、優勝争いに向けた申し分のないスタートだ。
しかし、会場を包んでいたのは競技の興奮だけではない。32歳で亡くなったバターフの訃報は、多くの選手や関係者に深い悲しみをもたらした。
乳がんとの闘いを支援するために始まったこの大会は、もともと人と人とのつながりを象徴するイベントである。それだけに、仲間を失った悲しみもまた、競技に関わるすべての人々の間で共有されることになった。
勝利を目指して投げること。亡き仲間を思うこと。そして乳がんと闘う人々を支援すること。さまざまな思いが交差する中で、大会は次のラウンドへ進んでいく。
予選後半にはタケットやサイモンセンら実績豊富な選手も登場し、順位争いは一層激しさを増す。アンダーソンとマッカーシーが首位を守るのか、それとも歴代王者や有力ペアが追い上げるのか。競技の行方とともに、大会が発信する支援と連帯のメッセージにも注目したい。
