片手投げは現代ボウリングで生き残れるのか
PBAレジェンドが語る、両手投げ時代の「パワー」と「技術」

記事に入る前に、音声による要点解説をお聞きいただくと、内容が一段と理解しやすくなります。

要点音声解説

本要点音声解説は、「BowlersNetwork」掲載の動画内容をNotebookLM を用いて生成したものです。

両手投げの台頭で変わるプロボウリング

プロボウリングはいま、大きな転換期を迎えている。

高い回転数と球速を生み出す両手投げの選手が世界のトップシーンで活躍し、若い世代でも両手投げを選ぶ選手が急増している。鋭い入射角から強烈なピンアクションを引き出す投球は、現代ボウリングを象徴するスタイルになりつつある。

その一方で、親指をボールに入れて投げる従来の片手投げには、長い歴史の中で磨かれてきた再現性繊細な調整力がある。回転数では両手投げに及ばなくても、球速を落とす、回転を抑える、狭いラインを正確に通すといった技術は、難しいレーンコンディションで大きな武器になる。

では、両手投げが主流となるパワーゲームの時代に、片手投げは今後もトップレベルで戦い続けられるのだろうか

この問いについて、PBA通算13勝、メジャータイトル1勝の実績を持つランディ・ピーターソン氏が、キャロリン・ドリン=バラード氏、ジェイ・フェティグ氏との対談で率直な見解を語った。

議論は、片手投げと両手投げの比較にとどまらない。ボールの進化、オイルパターン、ストリングピン、若手選手の育成、さらにプロボウリングにおける感情表現まで、競技の未来を左右する幅広いテーマへと発展した。

 

パワーだけでは決まらない現代ボウリングの勝敗

かつて最も重視されたのは「同じ投球を繰り返す力」

ピーターソン氏が第一線で活躍していた時代、選手に最も求められていたのは、同じ投球を何度も正確に繰り返す再現性だった。

当時のボールは、現在のリアクティブボールほど大きく曲がらなかった。用具の反応が穏やかだったため、投球方向やリリースのタイミングが少しずれるだけでも、そのまま失投につながりやすかった。

選手たちは、スタート位置、助走のテンポ、スイングの軌道、リリース、ボールを通す位置までを毎回そろえることに神経を注いだ。ピーターソン氏によれば、レーン上のボードに硬貨を置き、それを狙うような精密な練習も行われていたという。

現在のボウリングでも再現性は不可欠だが、当時はボールの性能によってミスを補える余地が少なかった。ストライクを継続するためには、選手自身の身体技術を高い水準で安定させる必要があったのである。

ボールの動きを変えたい場合も、現在のように何種類ものボールを使い分けるのではなく、リリースや球速を調整して対応した。回転軸を変える、手の向きを変える、前へ押し出すように投げる、あえて回転を抑えるといった工夫が、レーン変化への主要な対策だった。

用具に選択肢が少なかったからこそ、一つのボールを多様に操る技術が求められた。その経験が、片手投げの選手が持つ「タッチ」の原点になっている。

 

リアクティブボールが競技の常識を変えた

ボウリングの戦い方を大きく変えたのが、リアクティブボールの登場である。

従来のプラスチックやウレタン系のボールに比べ、リアクティブボールはオイル上では滑りやすく、摩擦の強い場所に入ると大きく向きを変える。そのため、選手はレーンの内側から外側へボールを送り出し、奥で鋭くポケットへ戻す投球が可能になった。

ボールが大きく曲がるようになると、ストライクの出し方そのものも変化した。単にポケットへ正確に当てるだけでなく、入射角を作り、ボールの力をピンへ効率よく伝えることが重視されるようになった。

この変化によって、高回転の選手は大きな利益を得た。回転数が高ければボールの曲がりを作りやすく、ポケットに入った後も力が失われにくい。ピン同士の衝突も激しくなり、多少薄めや厚めに入った投球でもストライクになる可能性が高まる。

ただし、用具の進化は競技を単純に簡単にしたわけではない

高性能ボールが同じ場所を何度も通れば、そのライン上のオイルは急速に変化する。最初は理想的に曲がっていたボールが、数フレーム後には手前から反応しすぎたり、逆に奥で曲がらなくなったりすることもある。

現代の選手には、正確な投球を繰り返す能力だけでなく、レーン変化を読み、立ち位置、狙い、球速、リリース、使用するボールを素早く調整する判断力が必要になった。

再現性が重視された時代から、再現性と変化への対応力を同時に求められる時代へ。ピーターソン氏は、その両方を経験した世代だからこそ、現代ボウリングの変化をより鮮明に捉えている。

 

両手投げが生み出す圧倒的な回転数と入射角

両手投げの最大の特徴は、高い回転数を生み出しやすいことだ。

片手投げでは、リリース時に親指を先に抜き、その後に中指と薬指で回転を与える。一方、両手投げでは親指を使わず、反対側の手でボールを支えながら助走とスイングを行う選手が多い。

このフォームでは、リリース時に手首や指を強く使いやすく、若い選手でも比較的早い段階で高回転のボールを投げられる。両手でボールを支えられるため、腕力だけに頼らず、下半身や体幹を使って大きな力を生み出せることも普及の理由の一つだ。

ピーターソン氏は、高回転と球速を持つ選手ほど「ポケットが広い」と指摘する。

これは、狙った一点に完全に投げ込めなくても、ストライクにつながる可能性が高いという意味である。薄めに入った場合でも、強いピンアクションによって残ったピンを倒せることがある。厚めに入った場合でも、ボールの勢いがピンを押し切ることがある。

片手投げの選手が正確な一点を狙う必要がある場面でも、両手投げの高回転選手は、ある程度の幅を持ったラインでストライクを出せる。長いゲーム数を戦う予選では、この許容範囲の広さが大きなアドバンテージになる。

もちろん、両手投げであれば簡単に勝てるわけではない。高回転のボールは反応が大きいため、わずかなリリースミスが大きな曲がりの差になる。オイルが変化した際には、強い回転がかえって扱いにくさを生むこともある。

それでも、ストライクを量産する能力という点で、両手投げが現代ボウリングにおける強力な武器であることは否定できない。

 

片手投げに残された最大の武器は「タッチ」

両手投げがパワーで優位に立つ一方、ピーターソン氏は片手投げの最大の長所として「タッチ」を挙げた。

ここでいうタッチとは、単に柔らかく投げることではない。球速、回転量、回転軸、リリースの方向を細かく調整し、レーンの状態に合わせてボールの反応を変える総合的な技術を指している。

例えば、レーン外側に強い摩擦がある場合、高回転のボールは急激に曲がりすぎることがある。そのような状況では、回転を抑え、ボールを前へ送るような投球が必要になる。

親指を入れる片手投げでは、ボールを安定して保持しやすく、リリース時の回転量を意図的に減らすことができる。手首をあまり使わず、いわゆるデッドハンドに近い投球をすれば、ボールの横回転を抑え、直線的な軌道を作ることも可能だ。

一方、両手投げの選手は、回転を増やすことには長けていても、大幅に減らすことは簡単ではない。もちろん、トップ選手の中には回転数や球速を自在に変えられる選手もいる。しかし、高回転を前提に組み立てられたフォームで、ボールの反応を極端に抑えるには高度な技術が必要になる。

片手投げは、大きく曲げることも、曲がりを抑えることもできる。レーンの内側を大きく使うだけでなく、外側の狭いラインを直線的に攻める選択肢も持っている。

この幅の広さこそ、パワーだけでは解決できないコンディションで生きる片手投げの強みである。

 

片手投げが回転数だけを追う危うさ

現代の片手投げ選手の多くは、両手投げに対抗するため、さらに回転数を増やそうとしている。

対談では、ドム・バレット選手やビル・オニール選手のような実績ある片手投げ選手でさえ、高回転の両手投げ選手に追いつくため、より多くの回転を求めているという話が紹介された。

確かに、回転数が増えればボールの曲がりは大きくなり、入射角も作りやすくなる。両手投げの選手が使う深い内側のラインにも対応しやすくなり、ピンアクションの強化も期待できる。

しかし、片手投げの選手が回転数だけを追い求めることには危険もある

無理に手首を使えば、リリースの再現性が下がる可能性がある。球速と回転数のバランスが崩れれば、ボールが手前から曲がりすぎたり、ポケットへ到達する前に力を失ったりすることもある。

さらに深刻なのは、片手投げ本来の長所を失うことだ。

両手投げと同じライン、同じ球質、同じパワーを目指せば、構造的に不利な競争を強いられる場合がある。片手投げが両手投げの模倣に終始すれば、球速を落とす技術、回転を抑える能力、狭いラインを正確に通す技術といった独自の価値が薄れてしまう。

片手投げが生き残るために必要なのは、パワーを捨てることではない。必要な回転数と球速を身につけながら、状況に応じてそれらを減らせる能力を磨くことだ。

最大値の高さだけでなく、調整できる範囲の広さこそが、片手投げの競争力になる。

 

勝敗を左右するオイルパターン

片手投げと両手投げの優劣を考える上で、見落とせないのがオイルパターンの存在である。

ボウリングのレーンには、ボールとレーンの表面を保護し、適切な滑りを生み出すためにオイルが塗られている。プロ大会では、その長さ、量、左右の配分が細かく設定される。

オイルが長ければ、ボールはレーン奥まで滑りやすい。短ければ早い段階で摩擦が生まれ、ボールは手前から曲がりやすくなる。中央に多く外側に少ないパターンと、全体に均等に近いパターンでも、選手が選ぶラインは大きく異なる。

ピーターソン氏は、PBAツアーにおける両手投げの優位性は、投球スタイルだけでなく、オイルパターンにも深く関係していると考えている。

レーンの内側へ深く入り、外側へ大きくボールを送り出すラインが有効なパターンでは、高回転の選手ほど有利になりやすい。特に、左側から右方向へ大きく投げ、ガター付近からポケットへ戻すような展開では、両手投げの回転数と球速が強力な武器になる。

さらに、レーンの手前部分が傷み、ボールを空中へ浮かせるロフト投球が必要になった場合も、強い回転と球速を持つ選手が優位に立ちやすい。

一方、外側の狭いラインを正確に通す必要があるパターンや、回転を抑えて摩擦に過剰反応させない投球が求められる状況では、片手投げのタッチが生きる。

つまり、両手投げが常に有利なのではない。大会側がどのようなオイルパターンを用意するかによって、求められる能力と有利なスタイルは大きく変わる。

 

多様な選手を生かす大会設計が必要

仮に、すべての大会で似たようなオイルパターンが採用されれば、同じタイプの選手ばかりが有利になる。

高回転の選手が内側から大きく曲げる展開が続けば、片手投げの選手も同じラインを選ばざるを得ない。しかし、回転数で劣る選手が同じ攻め方をすれば、ボールをポケットまで戻せないことがある。

反対に、直線的な投球だけが有利なパターンを続ければ、両手投げのダイナミックなパワーを生かす場面が減り、競技としての魅力も偏ってしまう。

プロツアーで本当に問われるべきなのは、単一の能力ではない

大きく曲げる技術、真っすぐ投げる技術、球速を変える能力、回転数を調整する能力、スペアを確実に取る精度、そしてレーン変化を読む判断力。多様な条件を用意してこそ、総合力の高い選手が評価される。

片手投げか両手投げかという二者択一ではなく、それぞれのスタイルが異なる場面で力を発揮できる大会設計が求められる。

ピーターソン氏の主張は、両手投げの強さを否定するものではない。競技環境の設定次第で、どの能力が評価されるかが変わるという指摘である。

 

ストリングピンはパワーゲームを変えるのか

対談では、ストリングピンが競技へ与える影響についても議論された。

ストリングピンとは、各ピンの上部にひもが取り付けられた設備である。倒れたピンを機械がひもで引き上げるため、従来のフリーフォール式に比べて構造が簡素で、保守や運営の負担を抑えやすいとされる。

一方、競技者の間では、従来のピンとは倒れ方が異なるという声がある。ひもが付いていることで、ピンが横方向へ大きく飛ぶ動きが制限される場合があるためだ。

フリーフォールピンでは、高回転のボールがポケットに入るとピンが激しく飛び、離れた位置に残ったピンを倒すことがある。いわゆるメッセンジャーは、高回転選手のストライクを支える要素の一つだ。

しかし、ストリングピンでは、同じような派手なピンアクションが起こりにくい場合がある。

ピーターソン氏は、ストリングピンを使用した大会を振り返り、両手投げや高回転の選手が、フリーフォール式ほど大きな優位性を得ていなかったと語った。

高回転で知られるEJ・タケット選手も、ストリングピンではストライクを出すために、より正確かつ厚めにポケットを捉える必要があると話していたという。

フリーフォール式では、多少薄めに入っても、飛んだピンが残りのピンを倒してくれることがある。ストリングピンではその助けを得にくいため、ポケットを正確に捉える技術がより重要になる

パワーの差が完全になくなるわけではないが、ストリングピンは、片手投げと両手投げの差を一定程度縮める可能性がある。

 

競技性と施設運営をどう両立するか

ストリングピンの議論は、ピンアクションの違いだけでは終わらない。背景には、ボウリング場の経営という現実的な問題がある。

従来型のピンセッターは多くの部品で構成され、定期的な整備が欠かせない。専門知識を持つ技術者の確保も難しくなっている。維持費が増え続ければ、経営を続けられず、閉鎖を選ぶボウリング場が増える可能性もある。

ストリングピンによって運営負担を軽減できるのであれば、地域のボウリング場を存続させるための現実的な選択肢になり得る。

ピーターソン氏は、プロ大会ではフリーフォールピンを使用し、家族や初心者が楽しむレクリエーション用途ではストリングピンを活用する案を示した。

一つの施設内に両方の設備を設けられれば、競技者とレジャー利用者の双方に対応できる。競技性を重視するリーグでは従来型のピンを使用し、家族連れや初心者向けのレーンではストリングピンを使うというすみ分けも考えられる。

重要なのは、どちらか一方を正しいと決めつけることではない

まず人をボウリング場へ呼び込み、競技に触れる機会を増やすことが、スポーツの存続には欠かせない。気軽に遊びに来た人がボウリングの楽しさを知り、やがて本格的なリーグや大会へ進む可能性もある。

競技者の理想と施設経営の現実を両立させることが、これからのボウリング界には求められる。

 

現代のプロボウリングに足りない「感情」

対談では、技術や設備だけでなく、プロボウリングの見せ方についても意見が交わされた。

過去のPBAでは、選手がストライクを決めた直後に大きく叫び、拳を振り、感情を前面に出す場面が数多く見られた。対戦相手との緊張関係が画面越しにも伝わり、それが試合の物語を生んでいた。

ピーターソン氏自身も、試合中に強い感情を表現する選手として知られている。勝負所でストライクを決めれば全身で喜び、失投すれば悔しさを隠さない。その姿が、多くのファンに強い印象を残した。

一方、現代の選手は試合後に対戦相手と抱き合い、互いの健闘をたたえることが多い。スポーツマンシップとしては好ましいが、ピーターソン氏は、かつてのような緊張感や対立の物語が薄れていると感じている。

もちろん、すべての選手が派手に振る舞う必要はない。静かに集中し、淡々と投げることが、その選手らしさである場合もある。

しかし出演者たちは、普段は冗談や挑発を交わし、強い競争心を見せる選手が、テレビ中継では必要以上に感情を抑えているのではないかと指摘した。

 

感情表現は競技を伝えるための重要な要素

プロスポーツの観客は、技術だけを見ているわけではない。

選手同士の関係、過去の因縁、勝利への執念、失敗から立ち直る姿など、人間的な物語にも引きつけられる。感情表現は、その物語を視聴者へ伝える重要な手段である。

ボウリングは、野球やサッカーのように選手同士が直接ぶつかる競技ではない。基本的には、一人ずつレーンに立ち、自分の投球を行う。

そのため、選手が感情をほとんど表に出さなければ、試合の緊張感や重要な局面が視聴者に伝わりにくい。

ストライクを決めた瞬間の雄たけび、失投後の悔しさ、対戦相手の好投に対する反応。こうした表情や動きがあることで、観客は試合の流れを直感的に理解できる。

ピーターソン氏が求めているのは、選手に不自然な演技をさせることではない。実際に感じている感情を、過度に隠さず表現してほしいということだ。

強さに加えて人柄や個性が伝われば、ファンは選手を応援する理由を見つけやすくなる。競技の魅力を広げるためには、技術の高さだけでなく、選手一人ひとりの物語を見せることも必要だ。

 

若い世代では両手投げがすでに主流

番組終盤では、「ボウリングの未来は両手投げのものになるのか」という問いが提示された。

ピーターソン氏が担当したU18、U15世代の大会では、男子選手のおよそ75%が両手投げだったという。女子では両手投げの割合が男子ほど高くなかったものの、若い世代で急速に普及していることは明らかだ。

子どもにとって、重いボールを片手だけで安定して振ることは難しい。両手で支えれば、ボールを落とす不安が減り、身体全体を使って投げやすくなる。

また、比較的早い段階で高い回転数を得られるため、ボールが大きく曲がる楽しさや、ストライクを出す爽快感も味わいやすい。

トップ選手に両手投げが多い現在、子どもたちが映像やSNSを通じてそのフォームを目にする機会も増えている。両手投げは特殊なスタイルではなく、最初から選択肢の一つとして認識されるようになった

今後、男子の競技ボウリングでは両手投げが多数派になる可能性が高い。女子でも指導法や身体の使い方に関する知識が広がれば、選手数はさらに増えると考えられる。

 

それでも片手投げが消えない理由

両手投げが多数派になったとしても、片手投げが完全に消えるとは限らない

ボウリングでは、全員が同じ球質を持つことが必ずしも有利ではない。多くの選手が同じラインを使えば、その場所のオイルは急速に変化する。

高回転の両手投げ選手が内側のラインに集中した場合、片手投げの選手が異なる角度や球速で攻めることで、変化の少ないラインを利用できる可能性がある。

また、長い予選や難しいコンディションでは、ストライクの爆発力だけでなく、ミスを減らす能力が重要になる。スペアを確実に取り、スコアを崩さない選手が最終的に上位へ残る大会も少なくない。

少数派の投球スタイルは、対戦相手にとって対応しにくい存在にもなり得る。

両手投げが一般化し、多くの選手が似た軌道や球質を持つようになれば、直線的で回転量の少ない片手投げが、むしろ独自性を発揮する可能性もある。

片手投げの価値は、回転数が少ないという一点だけでは判断できない。

球速を変えられること、回転を減らせること、狭いラインを正確に使えること、長い試合でも安定した投球を続けられること。こうした総合力があれば、片手投げは今後もトップレベルで十分に戦える。

 

片手投げが生き残る鍵は、両手投げをまねないこと

現代のプロボウリングが、両手投げを中心としたパワーゲームへ進んでいることは間違いない。

若い世代では両手投げが急速に普及し、高い回転数と球速を武器にする選手が増えている。現在の高性能ボールや、一部のオイルパターンも、強い回転と大きな入射角を持つ選手に有利に働く。

しかし、片手投げが時代遅れになったわけではない

片手投げには、回転を抑える技術、球速を調整する能力、直線的なラインを正確に使う技術、そして同じ投球を繰り返す再現性がある。これらは、パワーだけでは攻略できないレーンコンディションで大きな力を発揮する。

片手投げが生き残るために必要なのは、両手投げと同じパワーだけを追い求めることではない

必要な回転数と球速を身につけながら、状況に応じてボールの動きを小さくできること。大きく曲げるだけでなく、曲げずに攻められること。最大出力だけでなく、調整できる幅を広げることが重要になる。

競技を運営する側にも、多様な投球スタイルが活躍できる環境づくりが求められる。異なる特徴を持つオイルパターンを用意し、単一の能力だけで勝敗が決まらない大会を設計する必要がある。

さらに、フリーフォールピンとストリングピンの共存、レジャー層と競技層のすみ分け、選手の個性や感情を伝える中継づくりも、ボウリングの未来を左右する。

両手投げが、これからのボウリング界の中心になる可能性は高い。

それでも、片手投げが持つ価値は失われない。パワーだけでは解決できない局面がある限り、再現性、調整力、そして繊細なタッチは重要な武器であり続ける。

片手投げの未来は、両手投げにどこまで近づけるかでは決まらない。

片手投げにしかできないことを、どこまで磨き上げられるか。

その答えが、現代のパワーゲームを生き抜く鍵になる。

ボウラーズ・マート

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