
2025年PBAツアー総まとめ
驚きと感動に包まれた名シーズンを振り返る
記録と記憶に残る2025年のPBAツアー
2025年のPBA(プロボウラーズ・アソシエーション)ツアーは、これまでになく多彩なドラマが展開されたシーズンでした。絶対王者の安定感、次世代スターの台頭、そして意外な選手のブレイクまで、見どころ満載の1年でした。
今回は、公式表彰とは異なる、ファンや関係者の間で語り継がれるであろう「非公式アワード」に基づき、2025年シーズンのハイライトを振り返ります。プレイヤーの挑戦と進化、そして新たな国際的潮流まで、この1年のボウリング界に起こった重要な出来事を掘り下げてご紹介します。
2025年PBAツアーを彩ったプレイヤーと出来事たち
最優秀選手賞(Most Outstanding Player):EJ・タケット
もはや説明不要の存在、EJ・タケットが今年もPBAの中心に君臨しました。高い安定性と圧倒的な競技力で、他を寄せ付けない成績を残しました。まさに「キング・オブ・PBA」と呼ぶにふさわしい一年となりました。
準最優秀選手賞:アンドリュー・アンダーソン
タイトル2勝、メジャー大会のリード、USBC全種目イーグル獲得と、多方面で輝いたのがアンドリュー・アンダーソン。特筆すべきはEJ・タケットを3度テレビマッチで破った点で、そのうち2回は決勝戦という大舞台での勝利。競技外では、彼が応援するデトロイト・ピストンズがNBAプレーオフに進出するなど、幸運続きの一年となりました。
後半戦の王者:イェスパー・スヴェンソン
シーズン前半は不調だったスウェーデンのイェスパー・スヴェンソンですが、後半に怒涛の追い上げを見せました。
6大会中4大会でトップ7入り
トーナメント・オブ・チャンピオンズ優勝
PBAプレーオフ制覇
PBAエリートリーグ優勝に貢献
と、まさに“アイスマン”の逆襲と呼ぶにふさわしい活躍でした。
最も大胆な決断賞:ダレン・タン
今季最も話題となった技術的挑戦が、ダレン・タンの投球スタイル転向です。片手投げから両手投げへのシフトというキャリアを左右する決断を、シーズン途中で断行しました。
イリノイ大会7位、ネバダ大会16位、TOCで12位
地域大会2勝(うち1勝はEJ・タケットを下しての優勝)
と結果も伴い、その柔軟性と適応力が高く評価されました。
最も驚かせた選手:ティム・フォイ・ジュニア
長年、地域大会で安定した成績を残してきたティム・フォイ・ジュニア。しかし今季は、
年間ポイントランキング5位
テレビ決勝進出6回(EJ・タケットに次ぐ数字)
と、ツアーレベルでも通用する力を証明しました。タイトルは未だありませんが、同業者からの評価と尊敬をしっかり獲得しています。
最も期待される大学キャリア:ランドン&グリフィン・ジョーダン兄弟
ジョーダン兄弟は、ボウリング界の未来を担う逸材です。
ランドンは全米オープン予選ステップラダー進出
グリフィンはPBAジュニア全米選手権を制覇
この秋から、2人はサバンナ芸術工科大学に進学し、競技活動を継続します。彼らのツアー本格参戦は一時休止となりますが、その間も注目され続ける存在です。
最も印象的なTVデビュー:イーサン・フィオーレ
20歳のイーサン・フィオーレは、テレビ初登場となった試合で初フレームでスペアミスという出だしから、
10投中8回ストライク
EJ・タケットとの死闘で7度のストライク成功(延長戦突入)
史上最長のロールオフを演出
さらに、その直後にPBAプレイヤーズ選手権で優勝し、史上4番目の若さでメジャー優勝者に。未来のスター候補がまた一人現れました。
最も信じられない瞬間:ゲイリー・ヘインズのマスターズ優勝
発電所勤務の一般人であるゲイリー・ヘインズが、USBCマスターズで奇跡の優勝を遂げました。
レーントラブルによる長時間中断を乗り越え
パッキー・ハンラハン、シモンセンら強豪を撃破
最後の2投で人生を変えるストライクを連発
比喩ではなく、「リアル・ホーマー・シンプソン」とも言われたこの優勝は、今季最もドラマティックな瞬間の一つでした。
最高のストーリー:マレーシア代表の躍進
2025年は、マレーシア勢が世界に衝撃を与えた年でもありました。
トゥン・ハキムがPBA初優勝(チャメレオン選手権)
ティミー・タン、ラフィク・イスマイルがファイナル進出
アーマド・ムアズがワールドシリーズで準決勝進出
さらに前年にはシン・リー・ジェーンがPWBA年間最優秀選手に選ばれており、マレーシアの躍進は偶然ではなく実力の結果といえるでしょう。
進化と多様性がもたらすボウリング界の新時代
2025年のPBAツアーは、単なる記録争いを超えた、人間ドラマと挑戦の連続でした。ベテランの強さ、新世代の台頭、国際勢の台風の目化――それらすべてが重なり合い、かつてないほど「見応えのある」シーズンとなりました。
この波は、2026年以降のPBAにも確実に波及していくはずです。ジョーダン兄弟やフィオーレのような若手の進化、マレーシア勢のさらなる台頭など、ボウリング界は次なるステージへと歩み始めています。
今後もこのスポーツの進化と広がりから目が離せません。