PBA ELITEリージョナル第2戦、6人の王者が誕生!
パーカー・ボーンIIIが通算90勝の偉業達成、若手2選手も初優勝
ベテランの偉業と新世代の躍進が交差したPBA ELITEリージョナル
アメリカのプロボウリング界で、ベテランの底力と若手選手の躍進が際立つ熱戦が繰り広げられた。
2026年のPBA ELITEリージョナルツアー第2戦が東部(East)、中部(Central)、南西部(Southwest)の3地区で開催され、一般部門とシニア部門を合わせた6人のチャンピオンが誕生した。
今回の大会で特に注目を集めたのが、東部シニア部門を制したパーカー・ボーンIII(Parker Bohn III)だ。今回の優勝によってプロ通算90タイトル、リージョナル通算42タイトルを達成。自身が目標に掲げる通算100勝まで、残り10勝に迫った。
一方、東部一般部門では26歳のヘイデン・スティピッチ、中部一般部門ではブライス・オリバーが、それぞれ自身初となるリージョナルタイトルを獲得。次世代のPBAを担う若手選手たちが、その可能性を強く印象づけた。
また、今大会では東部と中部の4部門すべてを左投げ選手が制覇するという興味深い結果が生まれた。対照的に、南西部では右投げの2選手が最終戦の激戦を勝ち抜き、優勝を手にしている。
各地区の優勝者は以下の通り。
地区 | 一般部門優勝 | シニア部門優勝 |
|---|---|---|
東部 | ヘイデン・スティピッチ | パーカー・ボーンIII |
中部 | ブライス・オリバー | マイケル・ハギットJr. |
南西部 | A.J.チャップマン | トム・ドーティ |
今回のリージョナル大会は、12月に開催されるPBA Regional Players Invitational(RPI)への出場権、さらには2027年のPBAツアー出場資格にもつながる重要な戦いとなった。
それぞれ異なる展開で決着した3地区の優勝争いを詳しく振り返る。
3地区で繰り広げられた激戦と6人のチャンピオン
東部シニア部門:パーカー・ボーンIIIがプロ通算90勝の偉業を達成
東部地区のシニア部門では、長年にわたり世界のプロボウリング界を牽引してきたパーカー・ボーンIIIが、再びその実力を証明した。
ボーンIIIはマッチプレーを6勝2敗で終え、優勝賞金5,000ドルを獲得。今回の勝利によって、プロ通算90タイトル、リージョナル通算42タイトルという輝かしい記録を達成した。
ボーンIIIにとって、通算90勝は単なる節目ではない。
約2年前から自身のタイトル数を意識し、プロ通算100勝という大きな目標を掲げてきた。今回90勝に到達したことで、いよいよ残り10勝へのカウントダウンが始まった。
しかし、今回の優勝でボーンIIIが何よりも喜んでいたのは、息子ジャスティン・ボーンの活躍だった。
ジャスティンは一般部門で5位に入り、12月のRPIへの出場権を獲得。ボーンIIIは自身の優勝を誇りに思いながらも、息子が大きな舞台への切符をつかんだことに、より大きな喜びを感じていると語った。
偉大な記録に挑み続ける父と、その背中を追いながら成長する息子。 今回の東部地区大会は、ボーン親子にとって忘れられない一戦となった。
また、シニア部門では大会開催に携わったジェフ・リピックも奮闘した。
リピックは準優勝によってRPIへの出場権を獲得。大会運営を支える立場でありながら、選手としても最後まで優勝争いを演じた。
最終的には、リピック夫妻からボーンIIIへ優勝トロフィーと賞金が手渡され、記念すべき90勝目に華を添える形となった。
東部一般部門:26歳のヘイデン・スティピッチが初優勝
東部一般部門では、左投げのヘイデン・スティピッチが自身初となるリージョナルタイトルを獲得した。
26歳のスティピッチは、マッチプレーを5勝3敗で終え、2位ジェームズ・ベネットに220ピン差をつけて優勝。賞金9,500ドルを手にした。
今回の初優勝を支えたのは、大会前の入念な準備と、試合中の的確なボール選択だった。
スティピッチは、同じ左投げのアンソニー・ノイヤーと親交が深く、大会前にはノイヤー一家が運営するインペリアル・レーンズで練習を重ねていた。
その練習で手応えを感じていたのが、レーン手前のオイルをロフトによって回避する投球だった。
スティピッチは、本番でも似たコンディションであれば十分に勝負できると考えていたという。
しかし、試合が進むにつれてレーンへの対応が求められ、途中で急きょボールを変更することになった。
そこで選択したのが、ブラックハンマー(Black Hammer)だった。
この変更が功を奏し、終盤には安定したボールリアクションを確保。優勝へ向けて着実にリードを広げた。
スティピッチは、相手のスコアに合わせて試合を進めることを基本方針とし、リードが140ピンまで広がった段階で勝利への手応えを感じたという。
レーンコンディションを見極める観察力、状況に応じたボール変更、そして冷静な試合運び。 それらがかみ合った結果、待望の初タイトルが生まれた。
東部一般部門の最終順位は以下の通り。
順位 | 選手 |
|---|---|
優勝 | ヘイデン・スティピッチ |
2位 | ジェームズ・ベネット |
3位 | ディラン・バウアーズ |
4位 | マイケル・ウェバー |
5位 | ジャスティン・ボーン |
中部一般部門:ブライス・オリバーがマッチプレー8戦全勝で圧勝
ミシガン州のJAX 60で開催された中部地区第2戦では、ブライス・オリバーが圧倒的な強さを見せつけた。
左投げの両手投げスタイルを武器とするオリバーは、マッチプレーで8戦全勝を記録。2位トレイ・ヘンリクスマイヤーに314ピンという大差をつけ、自身初のリージョナルタイトルを獲得した。
優勝賞金は7,000ドル。
オリバーにとって2026年は、競技人生の大きな転機となる年だ。
年初にはTeam USA Trialsで優勝を経験。さらに前週のブラフトン大会では11位に入り、PBAの競技環境で着実に経験を積んでいた。
そして迎えた今回の中部地区第2戦。
前週を上回る結果を目指して大会に臨んだオリバーは、マッチプレーで一度も敗れることなく頂点に立った。
PBAツアーに出場することさえ夢だったというオリバーは、PBAチャンピオンを名乗れるようになったことへの大きな喜びを表現した。
今回の優勝で特筆すべきは、単に8戦全勝という記録だけではない。
2位に314ピン差をつけた圧倒的な得点力と、試合を通じて高いパフォーマンスを維持した安定感が、オリバーの強さを際立たせた。
今後、より大きな舞台でどこまで活躍できるのか、期待が高まる結果となった。
中部一般部門の最終順位は以下の通り。
順位 | 選手 |
|---|---|
優勝 | ブライス・オリバー |
2位 | トレイ・ヘンリクスマイヤー |
3位 | ベイリー・マブリック |
4位 | ジョセフ・マーツ |
5位 | アイザイア・シャノン |
中部シニア部門:マイケル・ハギットJr.が通算10度目のリージョナル優勝
中部地区のシニア部門では、マイケル・ハギットJr.が接戦を制し、リージョナル通算10タイトル目を獲得した。
左投げのワンハンドスタイルで戦うハギットJr.は、最終ゲームでカールトン・チェンバースの激しい追い上げを受けた。
しかし、勝負を決定づけるポジションラウンド終盤で4連続ストライクを記録。リードを守り抜き、優勝を決めた。
今回の戦いで大きなポイントとなったのが、最終ゲームで使用された57番・58番レーンの難しさだった。
ハギットJr.によれば、57番レーンは会場内のほかのレーンとは異なる特徴を持っており、簡単に高得点を狙える状況ではなかったという。
そのため、無理にスコアを伸ばそうとするのではなく、ミスを最小限に抑えながらリードを守ることが求められた。
そんな難しい状況で、最も重要な場面にストライクを重ねたことが勝敗を分けた。
マッチプレー成績は6勝2敗で、優勝賞金は3,000ドル。
ハギットJr.は前年のRPIシニア部門を制しており、今回の大会ではRPI連覇に挑戦するための出場権を獲得することを大きな目標としていた。
その目標を達成したことで、タイトル防衛に向けた挑戦が本格的に始まる。
また、前週の中部地区第1戦を制したミカ・コイブニエミは3位に入賞。連続優勝こそ逃したものの、安定した実力を示した。
順位 | 選手 |
|---|---|
優勝 | マイケル・ハギットJr. |
2位 | カールトン・チェンバース |
3位 | ミカ・コイブニエミ |
4位 | マイケル・クラークJr. |
5位 | ラリー・バーブル |
南西部一般部門:A.J.チャップマンが最終戦258点で劇的な逆転優勝
テキサス州のエメラルド・ボウルで開催された南西部地区第2戦では、一般部門とシニア部門の両方で最終第19ゲームのポジションラウンドが優勝の行方を左右した。
一般部門で主役となったのは、A.J.チャップマンだった。
最終局面を迎えた時点で、ステュー・ウィリアムズはチャップマンに約30ピンのリードを保っていた。
しかし、チャップマンは終盤に入って調子を上げ、4位から2位まで浮上。直前のゲームで279点をマークした同じレーンペアで、優勝を懸けた直接対決に臨むことになった。
そして迎えた最終ゲーム。
チャップマンは開始から6連続ストライクを記録し、258点をマーク。 ウィリアムズを逆転し、見事に優勝を飾った。
マッチプレー成績は6勝2敗、獲得賞金は9,000ドル。
チャップマンは2026年、ザック・ウィルキンスとペアを組んで出場したPBAロス/ホルマン・ダブルス選手権で、自身初のPBAタイトルを獲得している。
今回の優勝は、その勢いが一過性のものではないことを印象づける結果となった。
本人は、使用したボールが非常に良いリアクションを示し、終盤に高得点を連続して記録できたことが逆転につながったと振り返っている。
また、チャップマンは大会前にテキサス州を離れ、アイオワ州へ戻る予定であることを明かしていた。
新たな環境へ移る直前にタイトルを獲得できたことは、今後の競技生活に向けた大きな自信となったようだ。
4位からの追い上げ、279点に続く258点、そして最終戦での逆転優勝。 チャップマンの勝利は、最後まで優勝を諦めない姿勢と、勝負どころで高得点を生み出す力を象徴するものだった。
南西部一般部門の最終順位は以下の通り。
順位 | 選手 |
|---|---|
優勝 | A.J.チャップマン |
2位 | ステュー・ウィリアムズ |
3位 | スペンサー・ロバージ |
4位 | ダラス・レオン |
5位 | アダム・アトキンス |
南西部シニア部門:トム・ドーティが激戦を制し優勝
南西部地区のシニア部門では、トム・ドーティがブライアン・ポゴールとの接戦を制して優勝した。
ドーティは最終戦開始時点で約40ピンのリードを持っていたものの、勝利までの道のりは決して平坦ではなかった。
今大会を通じて、オープンフレームを作らない安定したゲーム展開を武器としていたドーティは、最終ゲームでも7フレームまでミスなく進めていた。
ところが、その後に難しい3-4-6-7-10スプリットを残してしまう。
このスプリットは見事にカバーしたものの、第9フレームでは2-4番ピンのスペアを取り損ね、対戦相手に逆転の可能性を与えてしまった。
一方のポゴールも、ボール変更によって反撃のきっかけをつかみ、連続ストライクで追い上げていた。
ドーティにとっては、勝利をほぼ手中に収めていた状況から、一転して緊張感のある終盤を迎えることになった。
しかし、ポゴールもオープンフレームを記録し、逆転のチャンスを生かすことができなかった。
最終的にはドーティがリードを守り抜き、優勝賞金5,000ドルを獲得した。
ドーティは試合後、十分なリードを持っていたにもかかわらず、自身のミスによって相手にチャンスを与えてしまったことを振り返った。
それでも、最後までリードを維持して勝ち切ったことは、経験豊富なベテランならではの強さを示したといえる。
今後も可能な限りPBA ELITEリージョナル大会に出場する意向を示しており、ネブラスカ州リンカーンで開催される中西部地区第1戦への参戦も予定している。
南西部シニア部門の最終順位は以下の通り。
順位 | 選手 |
|---|---|
優勝 | トム・ドーティ |
2位 | ブライアン・ポゴール |
3位 | ディノ・カスティーヨ |
4位 | クリス・ウォーレン |
5位 | リック・ベナード |
6人の優勝者が示した、勝利をつかむための条件
今回の3地区の大会を振り返ると、6人の優勝者はそれぞれ異なる強みを発揮していた。
ブライス・オリバーは、マッチプレー8戦全勝という圧倒的な安定感で優勝。
ヘイデン・スティピッチは、試合途中のボール変更を成功させ、変化するレーンコンディションに対応した。
A.J.チャップマンは終盤に高得点を連発し、逆転優勝を達成。
マイケル・ハギットJr.は、難しいレーンコンディションのなかで勝負どころを逃さず、4連続ストライクでタイトルを引き寄せた。
パーカー・ボーンIIIは、長年にわたって培ってきた技術と経験を結果に結びつけ、プロ通算90勝という偉業を達成した。
そしてトム・ドーティは、終盤にミスがありながらも大きな崩れを防ぎ、接戦を制している。
これらの結果から見えてくるのは、優勝に必要なのはストライクを量産する攻撃力だけではないということだ。
レーンの変化を読み取る力、状況に合わせてボールを変更する判断力、スコアを安定させるスペア能力、そして勝負どころで実力を発揮する精神的な強さ。
こうした要素が組み合わさって初めて、長丁場の大会を勝ち抜くことができる。
特にマッチプレーでは、単に高得点を出すだけでなく、相手の動向やスコア差を把握しながら試合を進める必要がある。
今回の6人のチャンピオンは、「高得点を出す力」と「勝ち切る力」は必ずしも同じではないことを、それぞれの戦い方で示した。
12月のRPIが2027年PBAツアーへの重要な分岐点に
今回のPBA ELITEリージョナルツアーには、地区大会のタイトル争い以上に重要な意味がある。
各大会では、PBAツアーの優先出場資格を持たない選手のうち、各部門の上位5名に12月のPBA Regional Players Invitational(RPI)への自動出場権が与えられる。
さらに、RPIでは2027年PBAツアーの優先出場資格3枠が用意されている。
つまり、リージョナル大会で結果を残すことが、翌年のPBAツアーで戦うための重要なステップとなる。
今回の大会でも、ジャスティン・ボーンがRPIへの出場権を獲得したほか、前年のRPIシニア王者マイケル・ハギットJr.が連覇への挑戦権を手にした。
一方、初優勝を飾った若手選手たちにとっても、今回の成功は今後のキャリアを切り開く大きなきっかけとなるだろう。
リージョナル大会での勝利が、PBAツアーの未来を変える可能性を持っている。
それこそが、PBA ELITEリージョナルツアーの競技としての価値を一層高めている。
通算100勝を目指すボーンIIIと、新世代が切り開くPBAの未来
2026年のPBA ELITEリージョナルツアー第2戦は、3地区でそれぞれ異なる魅力を持つ戦いが展開された。
最大の話題となったのは、パーカー・ボーンIIIによるプロ通算90タイトル達成だ。
長年トップレベルで戦い続けながら、なお通算100勝という大きな目標に挑む姿勢は、プロボウリング界における継続的な努力と競技への情熱を象徴している。
その一方で、ヘイデン・スティピッチとブライス・オリバーが初のリージョナルタイトルを獲得し、若手選手たちの成長も鮮明となった。
さらに、A.J.チャップマンの劇的な逆転優勝、マイケル・ハギットJr.の勝負強さ、トム・ドーティの経験を生かした優勝など、各地区で見応えのある戦いが繰り広げられた。
今回の結果が示しているのは、ベテランの経験と若手の勢いが競い合うことで、PBAリージョナルツアーの競技レベルが高められているということだ。
そして、これからの最大の焦点は12月のRPIとなる。
2027年PBAツアーの優先出場資格を懸けた戦いでは、今回活躍した選手たちが再び重要な役割を担う可能性がある。
通算100勝への挑戦を続けるパーカー・ボーンIIIと、新たな歴史をつくろうとする若手選手たち。
世代を超えた競争が、今後のPBA ELITEリージョナルツアーをさらに盛り上げていくことになりそうだ。