サイモンセン首位発進
Go Bowling U.S. Open初日、1871ピンで主導権

USオープン開幕、最初の8ゲームで主役候補が浮上

ボウリング界の“マラソン”とも呼ばれる「Go Bowling U.S. Open」が、米インディアナ州インディアナポリスのロイヤル・ピン・ウッドランドで開幕した。今大会はシーズン2つ目のメジャーで、優勝賞金は10万ドル108人のトップボウラーが、40フィートのオイルパターンという共通条件の下、長丁場の予選を戦い抜く。

その初日、8ゲームの予選ラウンド1で存在感を示したのがアンソニー・サイモンセンだ。通算1871ピン(+271)アベレージ233超で首位に立ち、序盤から“グリーンジャケット”争いの中心にいることを証明した。だが本人が強調したのは、派手な手応えというより「ようやく良いスタートのブロックをまとめられた」という現実的な安堵だった。シーズン序盤は出だしに苦しんできた分、この8ゲームの貯金が次の一手を落ち着いて選ぶ余白になる。

 

首位発進の中身、僅差の追走、そして“観察”が生んだ差

1)「追いかけない」戦い方へ──首位がもたらす心理的アドバンテージ

U.S. Openの怖さは、難条件であること以上に、長丁場ゆえに“焦り”が連鎖しやすい点にある。序盤で遅れると、毎ゲーム高スコアを義務のように追い、ライン変更や攻めの判断が過剰になりがちだ。

サイモンセンは、まさにその反対側に立った。「数字を追いかける必要がない」「230を毎回出して追いつくのではなく、レーンが許すスコアを積み上げればいい」。これは首位発進の余裕であると同時に、U.S. Openを知る者の現実主義でもある。大崩れを避け、好機に確実に伸ばす。その“体力配分”ができる位置を、初日で手にした。

 

2)Cスクワッドの利点──A・Bの“答え合わせ”を見てから最適解へ

今大会の特徴は、A・B・Cの3スクワッドが同じパターンで毎日投球することだ。サイモンセンはCスクワッドで投げたことについて「自分にとっては良かった」と振り返る。先に投げたA・Bの選手たちが、どの攻めで得点し、どの判断で崩れたのかを観察できたからだ。

象徴的なのは、ディフェンディングチャンピオンのEJ・タケットが好発進とは言えない状況でも、サイモンセンが「レーン上でやっていることが気に入った」と評価している点である。スコアではなく、球質や入射角、対応の仕方を読み取り、自分の方針に落とし込む。さらに「ここに立ち続ければ、いずれレーンが自分の必要とする状態に移行する」と見立て、急がず待つ決断まで含めて戦略化した。長丁場で効いてくるのは、こうした“過不足のない判断”だ。

 

3)上位は僅差、300も飛び出す──首位だけでは語れない混戦模様

首位サイモンセンに続くのはドム・バレット1835ピンで2位。3位のジェイソン・スターナーは、わずか1ピン差で背後につける。4位にはマレーシアのトゥン・ハキムが入り、この日は唯一のパーフェクトゲーム(300)を記録。5位はイーサン・フィオレだ。初日終了時点で「抜け出した」というより、第一集団が形成された段階であり、2日目以降のレーン変化と適応力次第で順位は大きく入れ替わる余地がある。

一方、Aスクワッドのトップはラフィク・イスマイル1765ピン(アベレージ220.63)。同じAスクワッドでは、タケットが1730ピンで、2024年王者カイル・トゥループ(1725ピン)を僅差で上回った。タイトル経験者が着実に射程にいる構図は崩れていない。ここから問われるのは爆発力以上に、“悪いゲームを小さくまとめる技術”だ。

 

4)ウッドランドで強い理由──実績と“場所の記憶”が判断を支える

サイモンセンにとってロイヤル・ピン・ウッドランドは、相性の良い会場という言葉では収まりきらない。2016年USBCマスターズ優勝2022年U.S. Open優勝をこの会場で果たし、さらに大会が2022年に同会場へ戻って以降、毎年ファイナル進出という実績を持つ。

しかし本人の言葉が示すのは、数字以上の重みだ。「ここで恋人と出会った」、そして「両親を亡くした後、ほどなくしてここでタイトルを獲った」。競技者にとって会場は、単なる舞台ではない。成功と喪失、時間の層が折り重なる場所は、難条件でも判断の軸をぶらしにくい。初日の首位発進は、技術と経験、そして“戻って来られる場所”の強度が噛み合った結果と言える。

 

5)大会の流れと注目トピック──金曜から本格的な淘汰へ

予選は水曜日にラウンド2木曜日にラウンド3を実施し、金曜日にアドバンサー/キャッシャーラウンドマッチプレーへ進む。マッチプレーは土曜日夜まで行われ、日曜日のチャンピオンシップラウンドに進む5人が確定。決勝ステップラダーは、現地時間3月8日(日)午後4時(ET)からThe CWで生中継予定だ。

また、タケットとトゥループはHBOのドキュメンタリーシリーズ「Born to Bowl」にも登場し、3月16日(月)にHBOおよびHBO Maxで公開(初回配信)される。競技の熱量と、選手の物語が同時に立ち上がるタイミングでのメジャー開催となった。

 

首位は通過点、勝負は“崩れない8ゲーム”を積む者に微笑む

ラウンド1を終え、最初の主導権を握ったのはサイモンセンだ。アベレージ233超の1871ピンは、U.S. Openの難しさを踏まえれば破格であり、本人が語る通り「数字を追いかけずに済む」位置を確保した意味は大きい。Cスクワッドで観察から入った判断、ウッドランドで積み上げてきた圧倒的な実績、そして会場への個人的な結びつき。そのすべてが首位発進を裏打ちしている。

ただし、U.S. Openは初日で勝負が決まる大会ではない。スターナーが1ピン差で追うように上位は僅差で詰まり、トゥン・ハキムの300が示す通り、一撃で流れは変わる。ここから先に問われるのは、派手な伸びよりも、崩れそうな局面をどう最小失点でしのぐかという総合力だ。

予選ラウンド2・3を経て、金曜からはより直接的な淘汰が始まる。サイモンセンが“特別な場所”で強さを貫くのか。あるいはタケットトゥループら歴代王者が主導権を奪い返すのか。長丁場のメジャーは、まだ序章にすぎない。

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 👉  2026 Go Bowling U.S. Open