
PBA50ツアーの友情と栄誉:ブライアン・デニス氏が「ディック・ウェバー・スポーツマンシップ賞」を死後受賞
静かなる英雄に贈られた栄誉
2025年のPBA50ツアーにおいて、最も品格と誠実さを体現した選手に贈られる「ディック・ウェバー・スポーツマンシップ賞」が、故ブライアン・デニス氏に贈られることが決定しました。この賞は、PBA50ツアーにおいてシーズン半分以上に出場した選手たちによる投票によって選出されるもので、今年はデニス氏の名前が選ばれました。
感動に包まれた受賞と、友情の物語
■ デニス氏の死とその影響
ブライアン・デニス氏は、2025年7月7日に52歳で急逝しました。このニュースは、PBAコミュニティ全体に衝撃を与え、特にPBA50ツアーの仲間たちに深い悲しみをもたらしました。
亡くなる3週間前には、PBA50シニア・U.S.オープンでトップシードを獲得し、決勝戦まで進出。結果的に敗れはしましたが、それが彼の最後のPBA50ツアー出場試合となりました。
■ 妻・ルネーさんの思い
受賞の知らせを聞いた妻・ルネー・デニスさんは、「思わず泣いてしまった」と語っています。
「ブライアンはとても謙虚で静かな人でした。こんな賞をいただけるなんて、本当に感動的で心温まる出来事でした」と、夫の人柄を涙ながらに回想しました。
■ 親友マーク・クラークの快挙
デニス氏の親友・マーク・クラーク氏は、彼の死後に開催された「PBA50 ワールドシリーズ・オブ・ボウリング」で、デニス氏に捧げる形で初優勝を果たしました。
大会冒頭では、クラーク氏が始球式として一投を投げ、デニス氏への敬意を示しました。
その後、クラーク氏はシーズン最高のパフォーマンスを見せ、5つのタイトル戦のうち4つでマッチプレーに進出。そして、PBA50ワールド選手権でトップシードとして決勝に進出します。
決勝の相手はクリス・バーンズ選手。勝利のためには最終フレームで3連続ストライクが必要な場面で、クラーク氏は自らにこう言い聞かせました。
「ブライアンのように投げよう」
その思いを胸に、すべてのショットを完璧に投げ切り、見事初タイトルを獲得しました。
バーンズ選手も、最後のフレームを急いで投げ終え、トーナメントの最初と最後の一投をクラーク氏(とデニス氏)に委ねるという粋な計らいを見せました。
■ 友情の証として掲げられるバナー
クラーク氏の優勝記念バナーは、デニス氏の好きだった色「カロライナブルーと白」で飾られます。この色は、二人の友情と永遠の記憶を象徴するものとなるでしょう。
PBAの歴史に刻まれるブライアン・デニス氏の精神
ブライアン・デニス氏は、その穏やかな人柄と誠実な態度によって、PBAの歴史に名を刻みました。
彼の精神は、親友クラーク氏の優勝という形でも生き続け、多くの人々の心に深く刻まれています。
今回の受賞者と表彰内容は以下のとおりです:
ディック・ウェバー・スポーツマンシップ賞:ブライアン・デニス(死後受賞)
PBA50 プレイヤー・オブ・ザ・イヤー:ジョン・ジャナウィッツ(2年連続受賞)
PBA50 ルーキー・オブ・ザ・イヤー:トム・ドハティ
PBA60 プレイヤー・オブ・ザ・イヤー:パーカー・ボーンIII
また、ディック・ウェバー・スポーツマンシップ賞の候補者としては、パーカー・ボーンIII氏、サミー・ベンチュラ氏、トム・アドコック氏、ジェフ・ジョンソン氏、ドナルド・ホーグ氏が名を連ねました。
デニス氏の功績と人柄は、これからもPBAコミュニティに語り継がれていくことでしょう。