
姫路 麗 & 藤永北斗が頂点に!劇的決着のGlicoセブンティーンアイス杯
30年ぶりの静岡開催、注目集まる大会に
2024年、「Glicoセブンティーンアイス杯」第12回プロアマボウリングトーナメントが、静岡県浜松市の浜松毎日ボウルにて2日間にわたり開催されました。静岡でのJPBA(日本プロボウリング協会)公式大会は実に30年ぶりとあって、ボウリングファンのみならず地元の注目も集めました。
決勝ステップラダーが行われた最終日は、前日の雨も上がり、会場は試合が進むにつれて観客で満席に。大会を通して、難度の高いオイルパターンが選手たちを苦しめ、予選から「難しい…」という声が多く聞かれました。試合は最後まで展開が読めない、まさに白熱の2日間となりました。
激戦のステップラダー、頂点に立ったのは…
男子の部:藤永北斗が粘りの勝利で今季2勝目
男子の部は、予選8ゲーム・準決勝6ゲームを戦い抜いた上位4名が決勝へと駒を進めました。
1位通過:江川司(57期・GENDA GiGO Entertainment)
2位通過:藤永北斗(61期・N&KCo.,Ltd./STEEL SPORTS)
3位通過:和田秀和(48期・ボウルアロー八尾/ABS)
4位通過:永野すばる(40期・相模原パークレーンズ)
まず行われた4位決定戦では、和田秀和と永野すばるが対戦。序盤から互角の展開ながら、和田が要所でダブル(2連続ストライク)を決めて優勢に。永野も粘りを見せましたが、最後は和田が振り切って勝利。
続く3位決定戦では、藤永北斗と和田が対戦。藤永は序盤からストライクを重ね、リズム良く試合を運びました。5フレームでスプリットを出すも、その後の冷静なカバーが勝負を分けました。和田もストライクを重ねて追い上げましたが、藤永が要所を締めて勝利。和田はここで敗退となりました。
そして迎えた優勝決定戦は、江川司 vs 藤永北斗の左投げ同士の対戦。両者ともに序盤からストライク合戦を繰り広げ、5フレームまで全く互角。しかし、6フレームで江川が痛恨のスプリット。藤永は落ち着いた投球で差を広げ、後半も安定した試合運びで逃げ切りました。
藤永北斗はこの勝利により、開幕戦に続く今季2連勝、通算4勝目を達成。現在、男子プロの中でも勢いに乗る存在となっており、次戦以降のシーホースカップや東海オープンでも注目の選手です。
女子の部:姫路麗、激戦を制して通算34勝目
女子の決勝ステップラダーに進出したのは、以下の4名。
1位通過:石田万音(55期・アルゴセブン/ハイ・スポーツ社)
2位通過:大根谷愛(45期・E-BOWLトマト西宮)
3位通過:山田幸(48期・ボウルアロー/ABS)
4位通過:姫路麗(33期・フリー)
まずは4位決定戦、姫路麗 vs 山田幸。姫路は序盤のリードを許すも、中盤から怒涛の追い上げ。9フレームで1ピン差まで迫り、最終10フレでのミスを突いて逆転勝利を収めました。
続く3位決定戦は大根谷愛との一戦。大根谷が5連続ストライクでリードを築くも、10フレでまさかのスプリット。姫路も一瞬のチャンスを逃さず、1投目ストライク、2投目のビッグ5を3本取り、わずか1ピン差で再逆転勝利。この試合は観客の間でも最も盛り上がった1戦となりました。
そして最終の優勝決定戦:石田万音 vs 姫路麗。序盤、石田はスプリットでつまずき、姫路がリードを奪います。中盤には姫路が安定感のある投球で差を広げ、3マーク差を維持。一時は石田がボールチェンジで流れを変えかける場面もありましたが、再びスプリットで失速。姫路は要所でストライクを重ね、10フレームをオールウェイ。そのままリードを守り切り、今大会初優勝、自身通算34勝目を挙げました。
この勝利により、姫路麗はJPBA女子プロ歴代優勝回数ランキングで単独5位へと浮上。2024シーズンはこれまで勝ちきれない試合が続いていましたが、ここにきて勢いを取り戻した形となりました。
●女子の部
■準決勝
首位通過を果たしたのは石田万音(アルゴセブン/ハイ・スポーツ社)。前半3ゲームで226・194・228の648ピンを記録すると、後半も188・199・197=584ピンでしっかりと加点し、通算2,879ピン(アベレージ205.64)で堂々のトップ通過となりました。
2位は大根谷愛(E-BOWLトマト西宮)。前半を232・185・212=629ピンでまとめ、後半も200・182・189=571ピンと安定感ある投球で、合計2,853ピンを記録。
3位には山田幸(ボウルアロー/ABS)。準決勝で184・174・264というハイスコアゲームを含む622ピンで前半を滑り出すも、後半は202・155・194とやや伸び悩み551ピン。
4位には姫路麗(フリー)。予選では12位通過ながら、準決勝で257・225・156の638ピンと強烈な立ち上がりを見せ、後半も202・245・170=617ピンでまとめ、通算2,848ピンまで押し上げました。平均209.16という高いアベレージで逆転決勝進出を果たしました。
惜しくも5位となった秋光楓(StarLike/アイビーボウル越谷)は、後半に245・206・225の676ピンと猛追を見せたものの、通算2,820ピンでわずかに及ばず。
●男子の部
■準決勝
首位通過を果たしたのは江川司(GENDA GiGO Entertainment)。予選から高い安定感を維持し、準決勝では619・681の合計1,300ピンを記録。特に後半の3ゲームは、248・227・206と確実にスコアを重ね、通算3,110ピンで堂々の1位通過を果たしました。
2位には藤永北斗(N&KCo.,Ltd./STEEL SPORTS)が入りました。準決勝前半で667ピン、後半も629ピンと安定した内容で、通算3,088ピン。無駄のない投球と正確なアジャストで、準決勝を通して大崩れのない見事な試合運びを披露しました。
3位には和田秀和(ボウルアロー八尾/ABS)がランクイン。前半3ゲームで255・232・235と怒涛のスコアラッシュで722ピンを記録し、最終的には通算3,086ピンで決勝進出。
4位に滑り込んだのは永野すばる(相模原パークレーンズ)。準決勝前半を589ピンで終えるも、後半3ゲームで238・236・196の計670ピンと盛り返し、合計3,062ピンでTV決勝への切符を掴みました。
その他、日置秀一や藤井信人、アマチュアの齋藤大哉選手(3,055ピン)も高スコアを叩き出し、わずかな差で決勝進出を逃す接戦に。特に藤井は4ゲーム目に298ピンを叩き出す爆発力を見せ、会場を沸かせました。
実力と精神力が光った2日間、次なる戦いへ
本大会は、技術だけでなく精神力も問われるタフなコンディションでの戦いとなりました。男子は藤永北斗が連勝で波に乗り、女子は姫路麗が王者としての貫録を見せつける結果に。両者ともに今後のシリーズでの活躍が期待されます。
特に姫路は、6月の東海オープン、7月の六甲クイーンズオープン、そして大岡産業レディース「THE OPEN」とビッグタイトルが続く中で、4位・3位との歴代記録争いにも注目が集まります。
2日間にわたる熱戦が幕を下ろした静岡の浜松毎日ボウル。試合後に晴れ渡った空は、まるで選手たちの今後の活躍を祝福しているかのようでした。今大会をきっかけに、2025シーズンのボウリング界もますます盛り上がりを見せていくことでしょう。