イェスパー・スベンソン、悲願のPBAプレーオフ優勝!
再起を果たし栄冠に輝く

リベンジを誓った1年、その頂点へ

2024年、ボウリング界に感動をもたらした男がいる。
スウェーデン出身のプロボウラー、イェスパー・スベンソンだ。昨年のPBAプレーオフで惜しくも準優勝に終わった彼が、1年越しのリベンジを果たし、見事に今季のプレーオフチャンピオンに輝いた。
舞台はミシガン州アレンパークにあるサンダーボウルレーンのストロブル・アリーナライバルであるEJタケットを3勝1敗で下し、悲願のタイトルを手にした。

激戦の軌跡とスベンソンの快進撃

■ 王者タケットとの頂上決戦

イェスパー・スベンソンのプレーオフ優勝は、単なる勝利ではなく、強敵との真っ向勝負の末に手にした栄冠だった。決勝戦の相手は、今季圧倒的な成績で年間ポイントランキング1位を獲得したEJタケット。タケットは今シーズンすでに4勝を挙げ、PBA年間最優秀選手(Player of the Year)の3年連続受賞がほぼ確実とされていた圧倒的な存在だ。

そんな強敵を前に、スベンソンは冷静かつ戦略的にゲームを進めた。決勝戦は「3勝先取」で勝敗が決まる形式で行われ、左右で異なるオイルパターン(左レーン:37フィートの「Bat」、右レーン:44フィートの「Hardwick」)が設定されていた。

第1ゲームは217-208でスベンソンが僅差で先制。第2ゲームでは終盤に4連続ストライクを決める勝負強さを見せ、225-220で連勝。2ゲーム合計の差はわずか14ピンという接戦だったが、スベンソンの冷静さと精密な投球が際立った

第3ゲームでは、巻き返しを狙うタケットが怒涛の8個のストライクを放ち、246-216で反撃に成功。勢いを取り戻したかに見えたが、第4ゲームでは再びスベンソンが安定した投球を見せスプリットを避けながら2本のシングルピンを確実にカバー。終盤には決定的なストライクを放ち、246-226で勝負を決めた

一投一投に集中して、自分を信じて投げた」と語るスベンソンの姿には、昨年準優勝の悔しさを乗り越えた強さと成長がにじみ出ていた。

 

■ 波乱のプレーオフ、苦しみから生まれた勝利

スベンソンの快進撃は、決して順風満帆ではなかった。彼は今シーズンのランキングで7位と、決して優勝候補の筆頭ではなかった。だが、トーナメントが進むにつれてその真価を発揮する。

1回戦では左利きの技巧派ボウラーヤコブ・バターフを撃破。準々決勝では、今シーズン安定した成績を誇るアンドリュー・アンダーソンに勝利し、準決勝へ進出。ここで対戦したのは、勢いに乗っていたクリス・ヴィアだったが、スベンソンは248という高スコアを叩き出して勝負を決めた

興味深いのは、スベンソンが準決勝までの6ゲームで平均スコア206点と、決して抜群の内容ではなかったという事実だ。本人も「調子が良いとは言えなかったが、運も味方した」と率直に語っている。しかしその中でも、繊細な対応力と環境への順応力で、徐々に調子を上げていった

同じレーン、同じパターンで何度も投げれば、必ず上達できる。それを自分自身でも証明できた」と、実戦を通じての進化を自ら分析している。

 

■ 信頼の絆と戦略の勝利

今回の勝利において、もう一つ見逃せない要素がある。それは、スベンソンとStormツアー代表ティム・マックとの強固な信頼関係だ。試合後、スベンソンは「ティミーが言うことなら、どんなにクレイジーなことでも全て信じて従える」と語っており、二人が事前の練習から作り上げた戦略が試合の中で見事に機能した。

特に左右で異なるレーンコンディションという難条件の中で、どのボールを使い、どのラインを狙うかといった綿密なゲームプランがスベンソンの安定したパフォーマンスを支えた

 

■ タケットの強さと限界

一方のEJタケットも、トップシードの実力を十分に発揮した。準々決勝ではアンソニー・サイモンセンを、準決勝ではグラハム・ファックを下し、万全の状態で決勝へ進出。特に、3ゲーム目で見せた8ストライクは、彼の爆発力と技術の高さを証明するものであった。

だが、第4ゲームでの2つのスペアが命取りとなった。本人も「ほんの少しのズレが、流れを変えてしまう。それがボウリングの怖さだ」と語り、敗戦を冷静に受け止めていた

挫折を糧に、勝利を掴んだスベンソン

昨年の準優勝という悔しさを胸に、1年越しのリベンジを果たしたイェスパー・スベンソン。
今シーズン、彼はトーナメント・オブ・チャンピオンズとプレーオフという2つの大舞台でタイトルを手にし、名実ともに世界トップクラスのボウラーとしての地位を確立した。

一方で、敗れたEJタケットも「ボウリングとはそういうもの。あと少しが届かなかった」と前向きなコメントを残し、
6月のPBAツアーファイナルズへの再挑戦に意欲を見せている。

今後のPBAツアーも、スベンソンとタケットの熱きライバル関係から目が離せない。

 

【PBAプレーオフ最終結果(上位抜粋)】

順位選手名賞金
1位イェスパー・スベンソン$100,000
2位EJタケット$50,000
3位タイグラハム・ファック / クリス・ヴィア$30,000
5位タイアンドリュー・アンダーソン 他4名$15,000

ボウリング界の熱いシーズンはまだまだ続く。
PBAツアーファイナルズは6月7日〜8日開催予定。
新たなドラマの幕開けに注目だ。