わずかなフィッティング変更で回転数が40rpm以上アップ
ボウリングで見直したいスパンとピッチの重要性
記事に入る前に、音声による要点解説をお聞きいただくと、内容が一段と理解しやすくなります。
要点音声解説
本要点音声解説は、「ZVL Bowling」掲載の動画内容を整理・補足して、Gemini Notebook を用いて生成したものです。
回転数が360rpm台から400rpm超へ 変わったのはフォームではなかった
ボウリングで回転数を増やしたいと考えたとき、多くのボウラーはリリースや手首の使い方、スイング、助走など、フォームの改善を思い浮かべるだろう。
しかし今回紹介する事例では、フォームを大きく変えたわけではないにもかかわらず、回転数が40rpm以上増加したという。
最初に計測した回転数は、およそ360〜370rpm。その数週間後に再び測定すると、回転数は40rpm以上上昇し、400rpmを超える水準まで変化していた。
その間に大きく変えたのは、スイングでもリリース練習でもない。
見直したのは、ボールが手にどのようにフィットしているかという「フィッティング」だった。
具体的には、
リングフィンガーのグリップサイズ
親指のインサートシステム
サムホールのピッチ
といった、ごく細かな部分である。
一見すると小さな変更に思えるが、手とボールが直接接するフィッティングは、リリースのタイミングや指にかかる圧力、ボールを保持できる時間などに大きな影響を与える。
今回のケースは、回転数を増やしたいなら、フォームだけでなく「そもそもボールが自分の手に合っているか」を確認することが重要だと改めて気づかせてくれるものだ。
わずかなフィッティング変更がリリースを変えた
リングフィンガーのグリップがわずかに大きかった
最初に見直されたのが、フィンガーグリップのサイズだった。
従来使用していたリングフィンガーのグリップが、実際の指に対してわずかに大きかったという。
そこで、グリップサイズをわずか1/64インチ小さく変更した。
数字だけを見れば、ほとんど誤差にも感じられるほど小さな違いだ。しかし、この変更によってリングフィンガーがボールに対してより自然に働くようになった。
ボウリングでは、中指と薬指がまったく同じ働きをしているわけではない。
フィッティングによっては中指に強く圧力がかかることもあれば、反対に薬指へ負担が集中することもある。
今回のケースでは、やや中指に頼りすぎる状態になっていた。そこでリングフィンガーのグリップを適正なサイズへ調整したことで、中指と薬指にかかる力のバランスが改善された。
回転数を増やそうとすると、「もっと指を使わなければ」と考えがちだ。
しかし実際には、指を意識的に強く使うことよりも、無理に力を入れなくても自然に指が働く状態を作ることの方が重要な場合がある。
親指を1/16インチだけフォワード方向へ変更
もう一つ大きなポイントになったのが、サムホールのピッチだった。
それまでは、親指のピッチをほぼゼロに設定していた。
その後、新しいインターチェンジャブルサムシステムへ変更する際に親指を作り直し、そのうち一つを1/16インチだけフォワード方向へ調整した。
つまり、親指の穴をわずかに手のひら側へ向ける設定である。
狙いは、ボールをほんの少し長く保持できる状態を作ることだった。
変更幅はわずか1/16インチ。しかし、親指がボールから抜けるタイミングが変われば、その後にフィンガーがボールへ作用する時間にも影響する。
リングフィンガーのグリップサイズ変更と、このサムピッチの調整を組み合わせた結果、回転数は以前より10%以上増加した。
これは、単純に「指を強く使ったから回転が増えた」という話ではない。
フィッティングが合ったことで、リリースの流れがより効率的になった結果として回転数が増えたと考える方が自然だろう。
ボールが手に合っていないと、さまざまな問題が起こる
今回の内容で特に重要なのが、ボールが自分の手に正しく合っていない状態で投げているボウラーが少なくないという点だ。
代表的な問題としては、
フィンガーホールがきつすぎる
フィンガーホールが緩すぎる
スパンが長すぎる
スパンが短すぎる
ピッチが手の柔軟性に合っていない
といったものがある。
こうした問題を抱えたまま投げていると、ボウラーは無意識のうちにボールを落とさないよう握ったり、指に余計な力を入れたりするようになる。
その結果、リリースのタイミングが乱れ、投球ごとの再現性も低下しやすくなる。
さらに、回転数や球速にも悪影響が出る可能性がある。
たとえば、親指が抜けにくければリリースが遅れやすくなり、反対に緩すぎればボールを落とさないよう握り込んでしまうこともある。
フィンガーがきつすぎれば、指がボールからスムーズに抜けず、無理に引っ掛けるようなリリースになりやすい。
つまり、フィッティングの問題は単なる「投げにくさ」だけではない。
再現性、回転数、球速、リリースの安定性、さらには指や親指への負担まで、ボウリング全体に影響を及ぼす重要な要素なのである。
スパンが合っているかを確認する簡単な方法
フィッティングの中でも、とくに重要なのがスパンだ。
スパンとは、簡単にいえば親指とフィンガーの距離である。
この距離が長すぎても短すぎても、自然にボールを保持することが難しくなる。
ワンハンドボウラーがスパンを簡易的に確認する方法として、まず中指と薬指の第一関節と第二関節の中間付近に印を付ける方法が紹介されている。
その状態で親指をサムホールに入れ、手を無理に伸ばさず自然にフィンガーホールの上へ置く。
そして、関節の中間に付けた印とフィンガーホールの位置関係を見る。
この位置が大きくずれている場合、スパンが長すぎる、あるいは短すぎる可能性がある。
ただし、これはあくまで簡易的な確認方法であり、すべてのボウラーに完全に当てはまるわけではない。
手の大きさだけでなく、指の柔軟性や関節の動き、過去のケガなどによっても適切なスパンは変化する。
それでも、今使っているボールのスパンが本当に自分の手に合っているかを考えるきっかけとしては有効だろう。
スパンが長すぎても短すぎてもリリースは崩れる
スパンが合っていないと、フォームそのものにも影響が出る。
スパンが長すぎる場合、指や親指が無理に引っ張られた状態になりやすく、ボールを保持するだけでも力が必要になる。
その結果、リリース時に手が硬くなったり、親指が抜けにくくなったりする可能性がある。
一方で、スパンが短すぎると、手の中でボールを支えにくくなり、落とさないために握り込む動作が出やすくなる。
また、フィンガーがボールにかかる位置や角度も変わるため、回転方向そのものに影響することもある。
スパンは単純に「指が届くかどうか」だけで判断するものではない。
手を自然に伸ばした状態でボールを保持でき、余計な力を加えずにリリースできるかどうかが重要になる。
ピッチとは「穴の向き」 柔軟性によって適正値は変わる
フィッティングでもう一つ重要なのが、ピッチである。
ピッチとは、簡単にいえばボールに穴を開ける方向のことだ。
同じ位置に穴を開けたとしても、その穴がどの方向へ傾いているかによって、指にかかる負担やボールから抜ける感覚は大きく変わる。
今回のケースでは、本人の指の第一関節があまり柔らかくないため、フィンガーホールにおよそ1/2インチのリバースピッチを設定している。
もし穴が真っすぐに開いていれば、リリース時に指がスムーズに抜けにくくなり、爪の付近や指先に強い負担がかかる可能性がある。
この点は非常に重要だ。
同じスパン、同じピッチが、すべてのボウラーに適しているわけではない。
指がどの程度曲がるのか。
親指をどこまで自然に動かせるのか。
関節の可動域はどれくらいあるのか。
こうした身体的な違いを考慮しながら、フィッティングを決める必要がある。
ボールに手を合わせるのではなく、自分の手にボールを合わせる。
これがフィッティングの基本といえるだろう。
サムピッチは親指の抜け方を大きく左右する
サムピッチも、リリースの感覚を大きく左右する要素だ。
親指の穴がどの方向へ開いているかによって、ボールを保持しやすくなることもあれば、反対に抜けにくくなることもある。
今回のケースでは、サムピッチをわずかにフォワード方向へ変更することで、ボールを少し長く保持できるようになった。
ただし、これは誰にでもそのまま当てはまる設定ではない。
親指の柔軟性や関節の動き、手の形、リリーススタイルによって適正な方向は変わる。
そのため、サムピッチを考える際は、「フォワードが良い」「リバースが良い」と単純に決めるのではなく、自分の親指が自然に動く方向と、実際の抜け方を確認しながら調整することが重要になる。
ツーハンドではフィンガーピッチがさらに重要になる
ツーハンドボウラーの場合、フィンガーピッチの重要性はさらに高くなることがある。
多くのツーハンドボウラーは親指をボールに入れず、手のひらをボールへ密着させながら投球する。
そのため、フィンガーホールの角度が合っていないと、指を入れた状態で手のひらがボールから浮いてしまうことがある。
適切なリバースピッチを設定することで、指や関節に無理な負担をかけることなく、手のひらをボールへ自然に近づけやすくなる。
ツーハンドは高い回転数を生み出しやすい投法だが、その分フィンガーへの負担も大きくなりやすい。
だからこそ、回転数だけを追うのではなく、指を入れた状態で自然に手のひらをボールへ置けるかどうかを確認することが重要になる。
マメや擦り傷ができるならフィッティングを疑いたい
長くボウリングをしていると、指や親指にマメや傷ができることを「仕方がない」と考えてしまうことがある。
しかし、フィッティングが合っていないことで、こうした症状が出ている可能性もある。
たとえば、
親指にマメができる
指の爪付近が擦れる
投球後にフィンガーが痛む
親指が腫れる
一部分だけ皮膚が強く削れる
といった症状が続くのであれば、一度フィッティングを確認した方がよいだろう。
もちろん、投球数や皮膚の状態など他の要因も考えられる。
それでも、ボールが手に適切にフィットしていれば、必要以上にボールを握ったり、指で引っ掛けたりする動作は減らしやすい。
痛みを我慢しながらフォームだけを修正するよりも、スパンやピッチ、ホールサイズに問題がないかを確認することが先に必要な場合もある。
スパンが変わると球質そのものまで変化する
フィッティングの変更は、回転数だけでなくボールの回転方向にも影響する。
今回のケースでは、以前スパンが短かったとき、リリース時に手がボールの横へ回りやすくなり、アクシスローテーションが大きくなっていたという。
その後、スパンを適切な長さへ調整したことで、ボールの後ろ側に手を置きやすくなった。
結果として、より効率的にボールへ力を伝えられるようになった。
これは、フォーム改善を考えるうえでも非常に重要なポイントだ。
たとえば「もっとボールの後ろから投げたい」「横回転を減らしたい」と考えてフォームを修正しても、スパンが自分の手に合っていなければ、狙った動きを作れない可能性がある。
つまり、投球フォームとフィッティングは別々の問題ではなく、互いに強く影響し合っている。
フォームを直しているのになかなか改善しない場合、ボール側の設定を確認することも必要になるだろう。
回転数を上げるために「握らない状態」を作る
今回の事例から見えてくるのは、回転数を上げるために必要なのは、必ずしも「もっと指を使うこと」ではないということだ。
むしろ重要なのは、余計な力を抜き、自然なリリースができる状態を作ることにある。
ボールが手に合っていなければ、落とさないように握る。
握れば手首や前腕にも力が入る。
手首や前腕が硬くなれば、リリースの自由度が下がる。
結果として、回転数を増やそうとしているのに、逆にボールへ効率よく回転を伝えられなくなる可能性がある。
一方、フィッティングが適切であれば、強く握らなくてもボールを保持しやすくなる。
その結果、親指が自然に抜け、その後にフィンガーがボールへ作用するという流れを作りやすくなる。
回転数を増やすためには、力を足すのではなく、不要な力を減らすことが重要になる場合がある。
これは多くのボウラーにとって、見落としやすいポイントだろう。
回転数を増やす前に「自分の手に合ったボール」を作る
回転数を上げたいと考えると、どうしてもリリースの強化や手首の使い方、スイングスピードといった技術面に意識が向きやすい。
しかし今回の事例では、リングフィンガーのグリップサイズをわずかに変更し、サムピッチを調整したことで、回転数が40rpm以上増加した。
重要なのは、単純に「この設定にすれば回転数が上がる」ということではない。
自分の手に合ったフィッティングへ近づいたことで、無駄な力が減り、より自然で効率的なリリースができるようになったという点に注目したい。
とくに確認したいのは、
フィンガーグリップのサイズ
中指と薬指の圧力バランス
スパンの長さ
フィンガーピッチ
サムピッチ
指や親指の柔軟性
リリース時の痛みや違和感
といった部分だ。
ただし、最適な数値は一人ひとり異なる。
手の大きさはもちろん、関節の柔軟性、過去のケガ、投球スタイル、ワンハンドかツーハンドかによっても適切なフィッティングは変わる。
そのため、自己判断だけで大幅に変更するのではなく、違和感がある場合はプロショップで相談し、自分の手に合った状態を探していくことが重要だ。
回転数を増やすために必要なのは、必ずしも大きなフォーム改造ではない。
今使っているボールは、本当に自分の手に合っているのか。
スパンは適切なのか。
指や親指に余計な力がかかっていないか。
痛みや擦れを我慢しながら投げていないか。
こうした基本的な部分を見直すだけで、リリースの再現性や回転数、球速、さらにはボールの回転方向まで変わる可能性がある。
ボールをレーンへ投げる前に、まず確認したいのは自分の手とボールが正しくつながっているかどうかだ。
回転数やスコアに伸び悩んでいるボウラーにとって、フィッティングの見直しはフォーム改造より先に検討する価値のある重要なポイントといえるだろう。
