PBA ELITE Regional Tourで4人の王者誕生
ボンタ、カスティーヨ、ローJr.、ボーグが各地区を制覇

SouthwestとWestで生まれた4つの勝利

2026年のPBA ELITE Regional Tourで、新たな王者たちが誕生した。

Southwest Region 1では、2026年PBAツアーの新人として大きな存在感を示してきたブランドン・ボンタがスタンダード部門を制し、自身初となるリージョナルタイトルを獲得した。

同大会のシニア部門では、ディノ・カスティーヨが優勝。さまざまな思いを抱えながら戦い抜き、12月に行われるRegional Players Invitational、RPIへの出場につながる大きな勝利をつかんだ。

一方、West Region 1では、ウェズリー・ローJr.とマイケル・ボーグが、それぞれスタンダード部門とシニア部門の頂点に立った。

今回の4人の優勝は、単なる大会結果として片付けるにはあまりにも背景が濃い。

新人王選出直後に初タイトルをつかんだ23歳。

大切な人々への思いを胸に投げ続けたベテラン。

PBAツアーから一度距離を置き、再びボウリングを楽しむことで強さを取り戻した実力者。

そして、予選12位から最終的に優勝まで駆け上がったシニアボウラー。

勝利に至る道のりは違っても、それぞれが「なぜ投げるのか」を感じさせる大会となった。

 

Southwest Region 1でボンタが劇的逆転優勝

新人王選出直後に初リージョナルタイトル

Southwest Region 1のスタンダード部門を制したのは、23歳のブランドン・ボンタだった。

ボンタにとって2026年は、すでに大きな飛躍のシーズンとなっている。

大会直前にはHarry Golden PBA Rookie of the Yearに選出され、その直後にFireLake Bowling Centerで自身初のリージョナルタイトルを獲得した。

予選では第2ゲームに300ゲームを達成。

その勢いを保ったまま、ショーン・マルドナドに次ぐ2位で予選を通過した。

しかし、優勝への道は決して簡単ではなかった。

日曜日の最終ゲームを迎えた時点で、大会首位はマルドナド。ボンタは80ピン差を追いかける状況だった。

そこでボンタが記録したのが268。

最後まで高い精度の投球を続け、勝利ボーナス30ピンも加えたことで一気に逆転。優勝賞金1万ドルと自身初のリージョナルタイトルを手にした。

マルドナドは優勝するため、10フレームでダブルと5ピンが必要だった。

1投目はストライク。

しかし続く投球で4-9スプリットを残し、逆転を許した。

最後までどちらに転ぶか分からない展開の中、ボンタがわずかなチャンスをつかみ取った形だ。

ボンタは試合後、最終盤について、そのペアでラインをつかみ、大会を通じても最高クラスのショットを続けられたと振り返っている。

そして初タイトルについて、「これが初めてのリージョナルタイトル。ひとつ達成できた」と喜びを語った。

 

「恐れない」姿勢が支えた2026年の新人世代

ボンタにとって、今回の優勝と並ぶ大きな出来事が新人王の受賞だ。

本人はまだ実感が湧いていないとしながらも、2026年の新人選手たちを象徴する言葉として「fearless」を挙げている。

世界最高峰の選手たちを相手にしながらも、「まずはツアーに慣れよう」という姿勢ではなかった。

最初から毎週勝つつもりで戦っていた。

ボンタは、その強い意識が新人世代全体の成績につながったと語っている。

また、その背景にはジュニアや大学ボウリングで積み重ねてきた経験があると分析している。

テレビ中継のあるユース大会や、大勢の観客が見守る舞台。

若いうちからそうした環境を経験してきたことで、大舞台に立った際にも必要以上に萎縮せず、自分の投球に集中できる。

トップ選手と戦うことを特別視し過ぎない世代が、PBAツアーで結果を残し始めている。

今回のボンタの優勝は、その象徴とも言える。

Southwest Region 1スタンダード部門では、2位にショーン・マルドナド、3位ザカリー・レシカー、4位ブーグ・クロール、5位AJ・チャップマンが入った。

 

ディノ・カスティーヨ、特別な思いを胸にシニア部門制覇

Southwest Region 1のシニア部門では、ディノ・カスティーヨが優勝した。

今回の勝利は、カスティーヨにとって数字以上の意味を持つものだった。

2026年7月、母親を亡くしたカスティーヨ。

それまでは大会を終えると母親から電話があり、「今日はどうだったのか」と聞かれていたという。

しかし今は、その電話がない。

さらにカスティーヨは、ジェイコブ・バターフ、そしてシニアツアーに関わってきたデイブ・ジョンソンの死にも触れた。

ボウリング界で大切な存在を相次いで失った中でつかんだ今回のタイトルには、特別な思いが込められていた。

本人は、この勝利をバターフやボウリング界全体に捧げたいとの思いを明かしている。

 

痛風と手首の嚢胞を抱えながら戦い抜く

カスティーヨは精神面だけでなく、身体的にも万全とは言えない状態だった。

痛風に加え、手首には嚢胞を抱えていた。

金曜日の練習から痛みを押して投球を続け、それでも集中力を失わず大会を戦い抜いた。

本人は、難しいレーンコンディションになればなるほど自信を持てるタイプだという。

さらにFireLake Bowling Centerとの相性も非常に良い。

この会場では、すでに複数の大会で結果を残しており、今回を含めて3つのタイトルを獲得していると語っている。

マッチプレーでは6勝2敗。

優勝賞金4,700ドルを獲得し、RPIへ向けても大きな一歩となった。

シニア部門2位はロバート・ローレンス、3位リッキー・シスラー、4位ブレット・クーパー、5位トニー・ラニングだった。

 

West Region 1|ウェズリー・ローJr.が圧巻の内容で優勝

West Region 1は、カリフォルニア州VenturaのBuena Lanesで開催された。

使用されたのは43フィートのオイルパターン。

そのコンディションを攻略し、スタンダード部門を制したのがウェズリー・ローJr.だった。

ローJr.は予選で、

279、247、234、228、248、248、264

を記録。

序盤から大きく崩れることなく、高いスコアを積み重ねた。

Advancers Roundでは215、176、246、263。

176を記録したゲームこそあったものの、その後のマッチプレーでは1ゲームも200を下回らなかった。

最終的なマッチプレー成績は7勝1敗。

82人が参加したフィールドで優勝し、1万ドルを獲得した。

さらに2位ティム・ケーグルIIには211ピン差をつける圧倒的な内容だった。

3位はベン・ロビンソン。

4位にはアンソニー・サイモンセン、5位にはNorthwest Region 1王者ダラス・レオンが入った。

 

9個目のタイトル以上に大きかった母親の存在

今回のタイトルで、ローJr.は通算9個目のリージョナルタイトルを獲得した。

しかし本人にとって、今回の大会で最も大きかったのはタイトルの数ではなかった。

会場で母親が自分の投球を見ていたことだ。

ローJr.は大会前について、特別な期待を持っていたわけではなく、ただ楽しみたかったと振り返っている。

その中でも、「母親にもう一度自分が投げる姿を見てもらいたかった」という思いがあった。

両親は、自身にとって最大のサポーターだという。

家族の目の前でタイトルを獲得できたことが、9勝目をより特別なものにした。

 

PBAツアーを離れ、もう一度ボウリングを好きになる

ローJr.は2025年、PBAツアーでの競技活動から距離を置いた。

理由は、精神的な休養とリセットが必要だったからだ。

競技を続けていれば、勝敗や結果が常に付きまとう。

高いレベルで戦う選手ほど、そのプレッシャーは大きい。

ローJr.は一度そこから離れ、自分にとってボウリングとは何なのかを見つめ直した。

その後、リージョナル大会で2勝。

海外大会にも出場し、2026 KPBA Andong Cup International Openでも優勝している。

そして現在、本人が何より大切にしているのは「勝つこと」だけではない。

会場に来て、笑顔でボウリングをすること。

ローJr.は、その感覚を取り戻せたことが、現在の好調につながっていると語った。

3月頃から本格的にゲームを整え始めたタイミングでPBA ELITE Regional Tourがスタート。

自身が望む形で競技と向き合うための絶好の機会だと感じたという。

今後も大会に出場し続けながら、競技勘を保ち、12月のRPIに備えていく。

「勝つために楽しむ」のではなく、「楽しめているから強い」。

現在のローJr.の言葉からは、そんな変化が感じられる。

 

マイケル・ボーグ、予選12位からシニア部門優勝

West Regionシニア部門を制したのはマイケル・ボーグだった。

ボーグもローJr.と同じく、マッチプレーを7勝1敗で終えた。

今回が自身2個目のリージョナルタイトル。

優勝後には、「起こったことが信じられない。ボウリング人生の中でも最高の日のひとつ」と率直な喜びを語った。

West地区のトップクラスのシニアボウラーが集まる大会だっただけに、今回の勝利を非常に価値のあるものとして受け止めている。

 

ボール表面の調整とライン変更が流れを変える

ボーグは日曜日の朝、新しいボールを投入した。

まずまずの反応を得たものの、マッチプレー前にはさらにボール表面を調整。

そして投球ラインを内側へ移動した。

この変更が功を奏した。

レーン上で許容幅を確保できるようになり、多少の投球誤差があってもポケットへボールが戻ってくる状況を作り出した。

さらにピンアクションにも恵まれ、マッチプレーで一気に順位を上げていった。

最終的に優勝し、5,000ドルを獲得した。

今回の内容は、ボウリングにおけるアジャストの重要性を改めて感じさせる。

使用ボールを変えるだけではなく、表面状態、立ち位置、投球ラインを少しずつ変えながら、その時点のレーンに合う形を探し続ける。

序盤の順位が低くても、レーン変化を正確に読み続ければ勝負は最後まで分からない。

ボーグの優勝は、その典型的な例となった。

 

最終ゲームで8-10、それでも最後まで諦めなかった

ボーグは予選終了時点で12位だった。

Advancers Round終了後でも7位。

決して序盤から大会を支配していたわけではない。

それでもマッチプレーで着実に順位を上げ、最終ゲームでは大会首位のマイケル・ホーゲンJr.と対戦した。

先に投げ終えるボーグは、ホーゲンJr.を完全に封じるために9本が必要だった。

しかし、その投球で残ったのは8-10スプリット。

本人は、少なくとも9本は倒せると思っていたという。

それでも8番ピンを確実に処理し、相手の結果を待った。

そして最終的には逆転優勝。

ボーグは試合後、自分が1位まで上がれるとは思っていなかった。それでも実際に勝つことができたから、最後まで諦めてはいけないと語った。

2位はマイケル・ホーゲンJr.。

3位デビッド・レバレッジ、4位リック・メネリー、5位ジム・プラットという結果だった。

 

PBA ELITE Regional Tourが持つ大きな意味

PBA ELITE Regional Tourは、単にリージョナルタイトルを争う大会ではない。

各大会で、PBA Tour Priorityを持たない上位5選手には、12月に開催されるPBA Regional Players Invitational、RPIへの自動出場権が与えられる。

そしてRPIでは、2027年PBAツアーのPriority Statusが3枠用意されている。

つまり、リージョナルでの結果が、そのまま次のシーズンのPBAツアーにつながる可能性がある。

ELITE Regional Tourは、地域大会とPBAツアーを結ぶ重要な競争の場になっている。

若手選手にとってはPBAツアーへの足掛かり。

経験豊富な選手にとっては、再び大舞台を目指すチャンス。

そしてシニア選手にとっても、高いレベルで競い続ける新たな舞台となる。

今回のSouthwest Region 1、West Region 1でも、それぞれ異なる立場にいる選手たちが結果を残した。

 

次戦はCentral Region 1とWest Region 2

PBA ELITE Regional Tourの次戦は、10月3日と4日に開催される。

Central Regional 1はインディアナ州Bluffton。

West Regional 2はカリフォルニア州Tuolumneで行われる予定だ。

今後は各地域でRPI出場を巡る争いがさらに本格化していく。

一つの大会、一つの順位が、2027年の競技生活を大きく左右する可能性があるだけに、残る大会でも激しい戦いが予想される。

 

4人の勝者が見せた、それぞれの「強さ」

今回のSouthwest Region 1とWest Region 1では、4人の選手がタイトルを獲得した。

ブランドン・ボンタは、新人王選出直後に自身初のリージョナルタイトルを獲得。

80ピン差を最終ゲームで逆転する勝負強さを見せた。

ディノ・カスティーヨは、大切な人々への思いと身体の痛みを抱えながら優勝。

精神的にも肉体的にも厳しい状況の中で戦い抜いた。

ウェズリー・ローJr.は、PBAツアーを離れて一度自分自身をリセット。

再びボウリングを楽しむ気持ちを取り戻したことで、圧倒的な内容の優勝につなげた。

そしてマイケル・ボーグは、予選12位から順位を上げ、最後まで諦めず逆転でタイトルを獲得した。

4人の「強さ」は同じではない。

技術で押し切る強さ。

プレッシャーを恐れない強さ。

苦しい状況でも投げ続ける強さ。

そして、競技そのものを楽しみ続ける強さ。

PBA ELITE Regional Tourは、単に勝者を決めるだけではなく、それぞれの選手がどのようにボウリングと向き合っているのかが見える舞台でもある。

12月のRPI、そしてその先にある2027年PBAツアーへ。

今回の勝者たちが、このタイトルをどのような次の結果へつなげていくのか。

今後の戦いにも注目したい。