レイモンド・ティースが悲願のPBAツアー初優勝
2026 Storm Lucky Larsen Mastersを制覇

38歳でつかんだ、長年追い続けたPBAタイトル

イングランドのレイモンド・ティース(Raymond Teece)が、長年追い続けてきた夢をついに現実のものとした。

スウェーデン・ヘルシンボリのOlympia Bowlingで開催された「2026 Storm Lucky Larsen Masters」で優勝し、38歳にして自身初となるPBAツアータイトルを獲得した。

ティースはチャンピオンシップラウンドの準決勝でスウェーデンのカール・エクルンド(Carl Eklund)を235-179で破り、決勝ではフィンランドのトーマス・カイコ(Tomas Käyhkö)との接戦を195-191で制した。

優勝賞金は21,750ドル、20万スウェーデンクローナ。

しかし、今回の勝利が持つ意味は、賞金やキャリア1勝目という数字だけではない。

ティースは兄のリッチー・ティース(Richie Teece)に続いてPBAツアーチャンピオンとなり、兄弟それぞれがPBAツアータイトルを獲得した史上2組目の兄弟となった。さらに、この記録が達成されたのは約半世紀ぶりとなる。

10代の頃から思い描いてきたPBAツアー優勝。

長い年月をかけてようやくたどり着いた今回のタイトルは、ティース自身が語った「遅すぎることはない」という言葉を、そのまま証明するような勝利だった。

 

300ゲームから始まった、初優勝への長い道のり

350人以上が挑んだStorm Lucky Larsen Masters

2026年のStorm Lucky Larsen Mastersでは、8月21日から29日までに27の予選シフトが行われ、350人を超える選手が参加した。

大規模なフィールドの中で、ティースは大会最初となる300ゲームを達成。

その後、予選を総合28位で通過し、Final Step 1への進出権を獲得した。

日曜日の競技には55人が進出。ティースは5ゲームによるアドバンサーラウンドを突破してFinal Step 2へ進み、さらに勝ち上がって、第5シードとしてマッチプレーへの切符を手にした。

予選トップからそのまま独走したわけではない。

28位という位置から、一つひとつ勝ち上がり、最後にタイトルへ手を伸ばした。

大会を通して徐々に順位を上げながら頂点へたどり着いたことも、今回の優勝を印象深いものにしている。

 

前年の悔しさとスウェーデンでの経験が大きな武器に

ティースにとって、この大会の終盤戦はまったく未知の舞台ではなかった。

前年大会でも準々決勝まで勝ち進んでおり、最終的に優勝したショーン・ラッシュ(Sean Rash)に敗れている。

さらにティースは、スウェーデンリーグの名門チーム「Full House」でプレーした経験を持つ。

そのため、Olympia Bowlingの特徴やスウェーデンでの競技環境について、一定の経験を積んでいた。

そして今回は、その経験を結果へとつなげていった。

マッチプレーでは、2024年大会準優勝のテオドール・サミュエルソン(Teodor Samuelsson)を撃破。

さらに、予選トップ通過だったトモ・ガベル・ピンテリッチ(Tomo Gaber Pinteric)も破った。

実績ある選手と予選トップ選手を連続して倒したことで、ティースは一気に優勝争いの中心へと浮上した。

この2勝によって、ティースはカイコ、エクルンド、アルビン・グルストランド(Albin Gullstrand)とともに月曜日のチャンピオンシップラウンド進出を決めた。

 

「キャリアで最も大きな2ゲームになるかもしれない」

チャンピオンシップラウンドを前に、ティース自身も、この舞台がキャリアにとってどれほど大きな意味を持つのかを理解していた。

準決勝と、その先にある決勝について、ティースは「キャリアで最も大きな2ゲームになるかもしれない」と表現している。

そして、自分がコントロールできることだけに集中し、もしすべてがうまくいけば、それは夢の実現になると語った。

ティースにとってPBAツアー優勝は、10代の頃から追い続けてきた目標だった。

長いキャリアの中では思うような結果が出なかった時期もあり、前年にはテレビショー進出を逃している。

それでも挑戦をやめなかった。

ティースは、ここまでの道のりを、長年にわたる夢、努力、そして感情的な苦しみの積み重ねとして表現していた。

だからこそ、このチャンピオンシップラウンドは単なる大会の最終局面ではなかった。

長年追い続けてきた夢に決着をつける、キャリア最大級の2ゲームだった。

 

準決勝では経験の差を見せつける

準決勝の相手は、20歳のスウェーデン選手カール・エクルンド。

若いエクルンドに対し、この試合ではティースの経験が大きく生きた。

ティースはゲーム開始から3連続ストライクを決め、その後もスペアを重ねて安定したゲームを展開。

一方のエクルンドは序盤に2つのオープンフレームを記録し、最初のストライクは5フレーム目となった。

序盤で生まれた差をティースが確実に守り切り、235-179の56ピン差で勝利。

タイトルマッチへの進出を決めた。

もう一方の準決勝では、カイコがグルストランドを255-209で下した。

こうして決勝戦は、イングランドのティースとフィンランドのカイコによる対戦となった。

 

ストライクが続かない決勝で問われた「崩れない力」

準決勝とは対照的に、決勝戦はストライクが簡単には続かない難しい展開となった。

こうした試合では、一つのミスがそのまま勝敗に直結する。

序盤、カイコが10ピンのスペアをミスしたことで、ティースがリードを奪った。

しかし、ティース自身もストライクを連発できたわけではない。

特に左レーンは難しく、簡単にスコアを伸ばせる状況ではなかった。

それでもティースは、最初の4回のスペア機会をすべてカバー。

ストライクが来なくてもオープンフレームを作らず、リードを維持した。

この試合で重要だったのは、派手にスコアを伸ばすことではなかった。

苦しい状況でもゲームを壊さず、次のチャンスが来るまで耐えること。

タイトルマッチの緊張感の中で、ティースはそれを徹底した。

 

8、9フレームで決めた「キャリア最大の2球」

ゲーム終盤、勝負が大きく動いた。

8フレーム、ティースがストライク。

続く9フレームでも、9番ピンを倒してストライクを奪った。

この連続ストライクについて、大会の記事では、ティースのキャリアで最も大きな2つのストライクと表現されている。

長年追い続けてきたPBAタイトルが、目の前まで近づいてきた瞬間だった。

ストライクを重ねることが難しかったゲームだけに、この終盤の連続ストライクが持つ意味は極めて大きい。

序盤から積み重ねてきたスペア。

カイコのミスによって得たリード。

そして、最も重要な終盤で決めた連続ストライク。

ティースは、我慢する場面と攻める場面の両方で、タイトルに必要なボウリングを見せた。

 

最終フレームは2-7-8スプリット 必要な2本を倒して優勝

しかし、最後まで簡単には終わらなかった。

ティースが最終フレームに残したのは、2-7-8スプリット。

優勝が目前に迫った場面で、決して楽な残りではない。

ただし、この場面で必要だったのは3本すべてを倒すことではなかった。

タイトル獲得に必要な条件を理解していたティースは、必要な2本を確実に倒した。

その瞬間、長年追い続けてきたPBAツアー優勝が決まった。

最終スコアは195-191。

わずか4ピン差。

最後の最後まで勝敗が分からない接戦を制し、ティースは自身初となるPBAツアータイトルを手にした。

 

妻、娘、両親と分かち合った特別な瞬間

勝利が決まったあと、ティースは妻のシドニー、生後7カ月の娘、そして両親とともに優勝を祝った。

家族が見守る中で成し遂げた初優勝。

そこには、もう一つ特別な意味があった。

ティースの兄リッチーは、2017年のPBA Shark ChampionshipでPBAツアータイトルを獲得している。

そして今回、弟のレイモンドもPBAツアーチャンピオンとなった。

これによってティース兄弟は、兄弟それぞれがPBAツアータイトルを獲得した史上2組目の兄弟となった。

過去にはPBA殿堂入りを果たしたネルソン・バートン・ジュニアが18勝を挙げ、その弟ニール・バートンが1980年のABC Mastersを制している。

それ以来となる、約半世紀ぶりの兄弟PBAツアーチャンピオン誕生だった。

単なる個人記録ではない。

兄が先に到達した場所へ、弟も長い年月をかけてたどり着いた。

ティース家にとっても、PBAの歴史にとっても、特別なタイトルとなった。

 

「遅すぎることはない」を証明したレイモンド・ティース

レイモンド・ティースの2026 Storm Lucky Larsen Masters優勝は、単なるキャリア1勝目ではない。

大会最初の300ゲームを記録しながら、予選順位は28位。

そこから複数のステップを勝ち上がり、2024年大会準優勝者や予選トップ選手を撃破。

準決勝では235-179と安定した内容で勝利し、決勝ではストライクが続かない苦しい状況でもスペアを重ねた。

そして8、9フレームという勝負どころで連続ストライクを決め、最後は195-191。

4ピン差の接戦をものにし、38歳で悲願のPBAツアー初優勝を成し遂げた。

そして何より、この優勝を象徴しているのがティース自身の言葉だ。

10代から夢見てきたPBAツアータイトル。

その夢がかなうまでには、想像していた以上に長い時間がかかった。

PBAツアーでは、若くして優勝する選手もいる。

一方で、実力を持ちながら何年もタイトルに届かない選手もいる。

ボウリングという競技において、実力があることとタイトルを獲得することは必ずしも同じではない。

大会の組み合わせ、レーンコンディション、ゲーム展開、そして勝負どころでの一投。

いくつもの要素が重なって、初めて優勝という結果につながる。

だからこそ、ティースが語った「遅すぎることはない」という言葉には重みがある。

38歳まで挑戦を続け、前年の悔しさも経験し、それでも舞台に立ち続けた。

その先に待っていたのが、初めてのPBAツアータイトルだった。

さらに兄リッチーとともにPBAツアーチャンピオンとなり、約半世紀ぶりとなる歴史的な記録にも名を刻んだ。

家族が見守る前で成し遂げた初優勝。

2026 Storm Lucky Larsen Mastersは、レイモンド・ティースにとって「長く挑戦し続けた時間そのものが報われた大会」として、キャリアに深く刻まれることになるだろう。

 

2026 Storm Lucky Larsen Masters 最終順位

1位 レイモンド・ティース 21,750ドル(200,000 SEK)

2位 トーマス・カイコ 14,150ドル(130,000 SEK)

3位タイ カール・エクルンド 10,345ドル(95,000 SEK)

3位タイ アルビン・グルストランド 10,345ドル(95,000 SEK)