900 Global「Viking」が生産終了へ
短命に終わった理由と代替候補、今後のラインナップを考える

900 Global「Viking」が正式に生産終了

900 Globalの「Viking」が、正式に生産終了となった。

Vikingは2025年11月21日に発売されたモデルで、登場からおよそ9〜10か月で現行ラインナップから姿を消すことになる。メーカーによる生産はすでに終了しており、今後購入できるのは市場に残っている在庫のみだ。

ただし、ここで誤解してはいけないのが、「生産終了=使用できなくなる」わけではないという点である。

流通在庫が残っている限り購入は可能であり、Vikingは引き続きUSBC、PBAの競技でも使用できるとされている。現在使用しているボウラーが、そのまま投げ続けることにも問題はない。

では、なぜVikingは比較的短い期間で生産終了となったのか。

そこには単純な性能評価だけでは語れない、発売時期、商品構成、ブランド認知、そして後発モデルとの競合があった。

今回のViking生産終了を追っていくと、現在のStorm Productsがどのようにラインナップを整理し、Storm、Roto Grip、900 Globalの3ブランドを展開しているのかも見えてくる。

Vikingが短命に終わった理由と代替候補、さらに900 Globalの今後を考えていきたい。

 

なぜVikingは約9〜10か月で姿を消したのか

2025年末に集中した「シャイニーボール」が最初の壁だった

Vikingが発売されたのは2025年11月21日。

そして、この発売時期こそがVikingにとって大きな難点になった可能性がある。

同時期にはStormの「Phaze II Pearl」が登場していた。さらに、その前後には「Rockstar Amped」「Next Factor」など、光沢仕上げのモデルが複数投入されている。

つまり2025年末は、ボウラーから見れば似たタイミングで購入候補となるシャイニーボールが一気に増えた時期だった。

そのなかでも特に大きな存在だったのがPhaze II Pearlである。

Phazeという名前には、すでに長い実績と高い知名度がある。

プロショップで新しいボールを選ぶ場面を考えてみれば分かりやすい。

多くのボウラーが知っているシリーズの新作と、まったく新しい名称を与えられたモデルが並んでいれば、前者に安心感を覚える選手は少なくない。

一方、Vikingは新しいコア、新しいカバーを採用していたものの、「Vikingだから欲しい」と思わせる分かりやすい強みを市場に定着させることができなかったと指摘されている。

これはVikingそのものの性能が悪かったという話ではない。

むしろ問題は、選択肢が多い市場のなかで、その性能をどれだけ明確な個性として伝えられたかにある。

現在のボウリングボール市場では、性能だけでなく、

「このボールは何のために存在するのか」

というポジションの分かりやすさも、製品寿命を左右する重要な要素になっている。

 

約9〜10か月での生産終了はどれほど短いのか

Vikingの販売期間は、およそ9〜10か月。

決して長寿命のモデルとはいえない。

しかしStorm Productsの製品サイクルとして見ると、極端に異例というほどでもないようだ。

Vikingが生産終了となったタイミングについては、Storm Productsが比較的早い段階でモデルを入れ替える場合のおおよその最低ラインに近いと説明されている。

つまり、

「まったく売れなかったから突然消えた」

というよりも、

一定期間販売したうえで、より現在のラインナップに適したモデルへ役割を譲った

と考えるほうが自然だろう。

ボウリングボールは、同じメーカーのなかでも常にポジション争いをしている。

強いボール、弱いボール、早く読むボール、走るボール、バックエンドで鋭く反応するボール。

それぞれの役割に似たモデルが増えれば、メーカー側も整理する必要がある。

そしてVikingにとって、その役割を奪う存在になったと考えられているのが「Equinox Hybrid」だ。

 

Vikingに引導を渡したとされる「Equinox Hybrid」

Vikingに代わる有力な候補として、まず挙げられているのがEquinox Hybridである。

両モデルとも非対称コアを採用したハイブリッド系という近いポジションに存在する。

ただし、実戦での扱いやすさには違いがある。

Vikingはレーン手前をきれいに走り、比較的スムーズに曲がる性格を持っていた。

その反面、ハウスコンディションではそのクリーンさが少し強く出すぎる場合があったという。

対してEquinox Hybridは、Vikingよりもやや早い段階でレーンを読み、フリクションに対する反応も少し素早い。

そのため、内外でオイル量の差が大きいコンディションや、いわゆるクリフのあるハウスショットにおいて、より扱いやすいモデルになっていると評価されている。

ここで重要なのは、Equinox Hybridが単にVikingより強いという話ではない。

Vikingが担おうとしていた役割を、より使いやすい形で実現していることがポイントだ。

似たポジションに新しいモデルが登場し、そちらのほうが多くのボウラーにとって使いやすいのであれば、旧モデルの存在意義はどうしても薄くなる。

Vikingの生産終了を考えるうえで、Equinox Hybridの登場は非常に大きかったといえる。

 

「Vikingに近い動き」を求めるならRST Hyperdrive Pearl

一方、Vikingを現在使用しており、できるだけ近い性格のボールへ移行したいボウラーには、Roto Gripの「RST Hyperdrive Pearl」が候補として挙げられている。

Equinox HybridがVikingの役割を発展させた選択肢だとすれば、Hyperdrive PearlはVikingに近いフィーリングを求めるための選択肢だ。

Hyperdrive Pearlは、比較的弱めのカバーに非常に強いコアを組み合わせている。

Vikingも同じように、コア自体は強い一方で、カバーは非常にクリーンで弱めに感じられる性格だったと説明されている。

つまり、

強いコアで形を作りながら、カバーでは必要以上に手前を読ませない。

この組み合わせが両モデルの共通点になる。

そのため、Vikingを使っていたボウラーが「同じような用途で使えるモデル」を求めるなら、RST Hyperdrive Pearlは非常に分かりやすい代替候補となる。

ここには、ボール選びで忘れてはいけない考え方がある。

生産終了したモデルの後継を探すとき、必ずしも同じブランドから選ぶ必要はない。

Storm Products傘下にはStorm、Roto Grip、900 Globalという3つのブランドが存在する。

ブランド名ではなく、

コアの強さ、カバーの強さ、走り方、レーン中盤の読み方、バックエンドの反応

といった役割から考えれば、ブランドをまたいで近いモデルを探すことができる。

 

Vikingの終了で900 Globalのラインナップはさらに少数に

Vikingの生産終了によって気になるのが、900 Globalそのものの今後だ。

現行ラインナップを見ると、900 Globalのモデル数はStormやRoto Gripと比べてかなり少ない状態にある。

Vikingが外れたことで、挙げられている900 Globalの現行モデルは「Viking Conquest」「Vengeance」「Vengeance Returns」の3モデル。

CovertやEquinoxの生産終了以降、900 Globalはおおむね3〜4モデル程度で推移しているという。

Stormには多くのモデルが存在し、Roto GripにもTransformer、Transform Pearl、Gremlin、Hyped、Hustleなど複数のシリーズが展開されている。

それらと比較すれば、900 Globalの選択肢が少ないことは間違いない。

では、これは900 Globalブランド縮小の兆候なのだろうか。

現時点では、そう考える必要はない。

900 Globalは依然としてボールを販売しており、ブランドとして消えていくことを示す内容ではないと明確に説明されている。

むしろ注目したいのは、Storm Products全体としての発売サイクルだ。

近年はひとつのタイミングで大量のモデルを投入するのではなく、Storm、Roto Grip、900 Globalを交互に展開するような発売ペースが見られる。

言い換えれば、900 Globalだけを単独で見るのではなく、SPI全体のラインナップのなかで位置づける必要があるということだ。

 

新規シリーズが定着する難しさを示したViking

Vikingの生産終了には、もうひとつ興味深い側面がある。

それが、新しいシリーズ名を市場に定着させる難しさだ。

900 Globalは近年、VengeanceやVikingなど新しい名称のシリーズを投入している。

しかし、すでに名前が浸透しているシリーズと違い、新規ラインには過去の実績という後押しがない。

Vengeanceはマーケティング面で強く押し出されたこともあり、Vikingより良い販売状況にあるとされている。

一方のVikingは、発売時にそこまで大きな注目を集めることができなかった。

ここには、現在のボウリングボール市場の難しさが表れている。

たとえば「Reality」や「Zen」のような名前には、すでに過去モデルによって築かれたイメージがある。

新作が登場しただけで、

「このシリーズならこういうボールだろう」

という期待を持ってもらえる。

ところが完全な新規シリーズでは、そのイメージをゼロから作らなければならない。

性能が良いだけでは足りない。

名前、性能、用途、実績が結びついて初めて、シリーズそのものがブランドになる。

Vikingは、そこまで育つ前にラインナップから外れることになった。

 

SPI全体では34モデル、ラインナップは安定

900 Globalだけを見ると製品数の少なさが目立つが、Storm Products全体へ視点を広げると印象は大きく変わる。

HustleやTropical Surgeシリーズを含めると、Storm Products傘下では現在34モデルが生産されているとされる。

この数字は、ここ数年の規模感と大きく変わっていないという。

さらに、新製品の発売ペースも月1〜2モデル程度。

大量に新作を投入して市場を過密状態にするわけでもなく、逆に長期間新製品を出さないわけでもない。

一定数のモデルを維持しながら、新旧を入れ替えていく。

現在のStorm Productsは、そうした商品構成を維持していると考えられる。

その視点から見れば、Vikingの生産終了もブランド縮小というより、通常のラインナップ整理のひとつと見るのが妥当だ。

 

次の900 Globalはどのポジションに入るのか

そして最も気になるのが、Vikingが抜けたあとに900 Globalが何を投入するのかという点だ。

Vikingが担っていたのは、比較的強い非対称コアを持ちながら、クリーンに走ってレーン後半で動きを作るポジションだった。

今後については、非対称ハイブリッド、あるいは非対称パール系のモデルが投入される可能性が予想されている。

一方、より弱いシンメトリックモデルが登場する可能性も完全には否定されていないが、900 Globalはここ数年、本格的なエントリーレベルモデルをほとんど投入していない。

そのため、現状の流れを考えれば、Vikingが抜けたポジションを埋めるモデルのほうが自然だろう。

もし次の製品がRealityやZenのような既存の知名度を持つシリーズから登場すれば、Vikingとはまったく違った反応を市場から得る可能性もある。

Vikingの生産終了は、900 Globalの終わりではなく、次の一手のために空いた枠とも考えられる。

 

Vikingの短命さが示した、現在のボール市場の厳しさ

900 Global Vikingは、発売からおよそ9〜10か月で生産終了となった。

確かに短い製品寿命ではある。

しかし、その背景を見ると、単純に「性能が悪かったから消えた」と結論づけることはできない。

Phaze II Pearlをはじめとする光沢系モデルと発売時期が重なったこと。

新規シリーズとして十分な認知を獲得できなかったこと。

そして、Equinox Hybridなど、似た役割をより使いやすく担えるモデルが後から登場したこと。

Vikingの生産終了は、これら複数の要因が重なった結果と考えるのが自然だ。

現在Vikingを使用しているボウラーには、大きく2つの選択肢がある。

Vikingに近い感覚を求めるならRST Hyperdrive Pearl。

Vikingのポジションを引き継ぎながら、よりハウスコンディションへの対応力を求めるならEquinox Hybrid。

単純な「後継モデル探し」ではなく、自分がVikingのどの部分を気に入っていたのかを考えることが、新しいボール選びのポイントになるだろう。

そして900 Globalについても、現行モデル数がStormやRoto Gripより少ないことは事実だが、それだけでブランドの先行きを悲観する必要はない。

Storm Products全体では安定した数のモデルを維持しており、一定のペースで新旧を入れ替えている。

だからこそ今回のニュースで本当に注目すべきなのは、

「Vikingがなくなったこと」ではなく、「その空いたポジションに900 Globalが次に何を投入するのか」だ。

新しい非対称ハイブリッドなのか。

非対称パールなのか。

あるいは、900 Globalを象徴する新たなシリーズが誕生するのか。

Vikingは短い期間でラインナップを去ることになった。

しかし、その退場によって、900 Globalの次の動きはむしろ見えやすくなったともいえる。

ひとつのボールの生産終了は、ひとつの時代の終わりではない。次のボールが入ってくるための入れ替えでもある。

Vikingのあとを埋めるモデルがどのような一球になるのか。

Storm、Roto Gripを含めたSPI全体のラインナップとともに、今後の900 Globalの展開に注目したい。

ボウラーズ・マート

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