スノッドグラスが大会史4位の快投で首位浮上
日本勢3名もマッチプレー圏内へ
ラスベガスで動き出した、女王決定戦の熱戦
女子ボウリングのメジャー大会「2026 USBC Queens」は、予選第2ラウンドを終え、いよいよマッチプレー進出をかけた最終局面へと入った。ラスベガスのゴールドコースト・ボウリングセンターを舞台に、世界各国から集まった199名の強豪選手がしのぎを削るなか、ひときわ大きな存在感を放ったのが、ジョーダン・スノッドグラスだ。
ミシガン州エイドリアン出身の30歳、右投げのスノッドグラスは、第2ラウンドで267、279、221、266、243という安定感と爆発力を兼ね備えたスコアを並べ、5ゲーム合計1,276ピンを記録。前日の第1ラウンドで積み上げた1,167ピンと合わせ、10ゲーム合計は2,443ピン、アベレージ244.3に到達した。
このスコアは、USBCクイーンズ史上4番目に高い10ゲーム合計という記録的な数字である。大会記録であるキャロリン・ドリンバラードの2,518ピンには届かなかったものの、スノッドグラスはこの快投によって一気に全体首位へ浮上。予選最終ラウンドを前に、今大会の主役候補として強烈なインパクトを残した。
首位争い、カットライン、日本勢の健闘が交差する予選終盤
スノッドグラスが首位に立ったとはいえ、その座は決して安泰ではない。2位には、ウィスコンシン州オグデンズバーグのカーリーン・バイヤーが2,435ピンで続いている。スノッドグラスとの差はわずか8ピン。2023年のクイーンズで3位に入った実績を持つバイヤーもまた、大会史上5番目となる高水準の10ゲーム合計を記録しており、首位争いは極めてハイレベルな展開となっている。
3位にはテイラー・ブルトハウスが2,406ピン、4位にはステファニー・ザバラが2,366ピン、そして初日首位で2度のクイーンズ優勝経験を持つリズ・ジョンソンが2,354ピンで5位につけている。経験豊富なタイトルホルダーと勢いに乗る選手が上位に並び、予選最終ブロックでは首位通過をめぐる争いにも大きな注目が集まる。
第2ラウンドでは、順位を大きく動かすパーフェクトゲームも生まれた。韓国のリュ・ソヨンは第2ゲームで300を達成し、通算2,333ピンで9位に浮上。さらに、カナダのサラ・クラッセンも300ゲームを記録し、2,196ピンで48位まで順位を押し上げた。1ゲームの爆発力が流れを変え、カットライン争いにも直結するのが、この大会の怖さであり面白さでもある。
選手たちが強く意識しているのは、予選通過ラインとなる「63位」だ。予選第3ラウンド終了後、上位63名に加え、ディフェンディングチャンピオンのジョシー・バーンズがマッチプレーに進出する。第2ラウンド終了時点で、63位にはシンガポールのニュー・フイフェンが2,172ピンで入っており、このラインをめぐる攻防は最終5ゲームでさらに激しさを増すことになる。
そのカットライン争いのなかで、日本勢も存在感を示している。第2ラウンド終了時点で、マッチプレー進出圏内となる上位63位以内に、3名の日本選手が入った。寺下智香が23位、近藤菜帆が31位、石田万音が59位につけており、いずれも最終予選を前にカットライン内を確保している。
特に寺下と近藤は、単なる通過圏内にとどまらず、より上位のシードを狙える位置につけている。マッチプレーではシード順も重要となるため、最終ラウンドでどれだけ順位を上げられるかが、その後の戦いに大きく影響する。一方、59位の石田は通過ラインに近い位置にいるだけに、最終5ゲームの一投一投が極めて重要になる。わずかなミスが順位を下げる一方で、ビッグゲームをつくれば一気に安全圏へ浮上できる。まさに集中力と勝負強さが問われる場面だ。
世界のトップ選手が集うUSBCクイーンズで、日本選手が3名そろって通過圏内に踏みとどまっていることは、日本のボウリングファンにとって大きな朗報である。予選最終ラウンドでは、スノッドグラスら上位陣の首位争いだけでなく、日本勢がマッチプレーの舞台へ進めるかどうかにも熱い視線が注がれる。
一方、ディフェンディングチャンピオンのバーンズは2,137ピンで88位タイにとどまっている。バーンズが最終的に上位63位以内へ入った場合は、カットラインが1枠拡大され、64位の選手もマッチプレーへ進出する。反対に、バーンズが63位以内に届かなかった場合は64番シードとしてマッチプレーに入り、予選トップ通過選手と初戦で対戦することになる。
首位に立つスノッドグラスにとって、ここまで積み上げたピン数は大きな財産だ。予選残り5ゲームを前に、マッチプレー進出はほぼ確実な状況となった。そのため、彼女は最終予選を単なるスコアメイクの場ではなく、次のステージへ向けた準備の時間として活用しようとしている。
スノッドグラスが特に重視しているのは、38フィートに設定された2026年クイーンズのオイルパターンへの対応だ。どのボールが機能し、どのラインが安定するのか。マッチプレーを見据え、最終ブロックで情報を集めながら、自身のボールバッグと戦略を整えていく構えを見せている。
興味深いのは、第2ラウンドで彼女が選択した攻め方である。スノッドグラスはツアー屈指のパワフルな投球スタイルを持つ選手として知られているが、この日はレーンの右側を使い、ボールを大きく曲げすぎず、比較的ストレートに近いラインで攻めた。力でねじ伏せるのではなく、レーンの変化を読みながら、再現性の高いラインを保ち続けたことが高スコアにつながった。
本人も、右側を使う展開は実は自分の好む形だと語っている。レーンの同じエリアに長くとどまり、状況に応じてボールを弱めていくことで、無理なく安定したスコアを積み上げた。派手な投球だけでなく、冷静な判断と柔軟な対応力を備えていることこそ、スノッドグラスの強さを支えている。
スノッドグラスの悲願と、日本勢の突破に期待高まる
スノッドグラスにとって、USBCクイーンズは特別な意味を持つ大会だ。PWBAツアーで6勝を挙げている実力者でありながら、メジャー大会の中でクイーンズだけは、まだテレビ決勝に進出した経験がない。今回の首位浮上は、その壁を破る絶好のチャンスであり、本人にとっても大きな転機となる可能性がある。
大会はこの後、土曜日に予選最終ラウンドを実施し、日曜日と月曜日にマッチプレーへ進む。マッチプレーは3ゲーム合計ピンによる方式で行われ、勝者側ブラケットと敗者側ブラケットを経て、最終的にテレビ決勝の出場者が決まる。火曜日に行われるステップラダー決勝では、優勝者に栄誉あるティアラと賞金6万ドルが贈られる。
ただし、予選首位はあくまで通過点にすぎない。クイーンズで頂点に立つためには、マッチプレー以降の対応力が不可欠だ。レーンコンディションの変化、相手との駆け引き、ボール選択、そして勝負どころでの集中力。どれか一つが欠けても、タイトルへの道は遠ざかってしまう。
同時に、日本勢3名の挑戦にも大きな期待がかかる。寺下智香、近藤菜帆、石田万音がこのまま上位63位以内を守り、マッチプレーの舞台へ進むことができるか。特にカットライン付近にいる石田にとって、最終ラウンドはまさに勝負の5ゲームとなる。
記録級のスコアで大会をリードするスノッドグラス。首位を追う実力者たち。そして、世界の強豪を相手に通過圏内で戦う日本勢。2026年USBCクイーンズは、予選最終日を迎える段階で、すでに多くのドラマを生み出している。
ここから先は、わずかなピン差が運命を分ける戦いになる。スノッドグラスが悲願のテレビ決勝進出へ歩みを進めるのか。日本勢がそろってマッチプレーへ進出するのか。ラスベガスのレーン上で繰り広げられる女王決定戦は、さらに熱を帯びていく。