ベルモンテがカメレオン予選首位通過
世界選手権でも総合3位へ急浮上
タンは両手投げ転向後の大きな一歩、世界選手権ではロバージが首位
ミネソタ州ミネアポリスのBowlero Brooklyn Parkで開催されている「PBA World Series of Bowling XVII」は、第2のタイトルイベントであるPBAカメレオン選手権の予選を終え、決勝ラウンド進出者12名が決定した。
10ゲームの予選をトップで通過したのは、ジェイソン・ベルモンテ。合計2,318ピン、アベレージ231.8を記録し、堂々の第1シードを獲得した。2位にはダレン・タン、3位にジェイソン・スターナー、4位にジェイコブ・バターフが入り、この4名はシングルエリミネーション方式の決勝ラウンドで1回戦免除となる。
カメレオン選手権は単独タイトルとしての価値を持つ一方で、PBAワールドチャンピオンシップの総合成績にも直結する重要なラウンドだ。チーター、カメレオン、スコーピオン、シャークという4つのアニマルパターンを通じて争われる世界選手権において、今回の結果は大きな意味を持つ。特にベルモンテは、チーター序盤の出遅れから一気に総合3位まで浮上し、改めて長期戦での強さを示した。
PBAカメレオン選手権 予選成績
10ゲームで争われたカメレオン選手権予選は、上位12名が決勝ラウンドへ進出。トップ4には1回戦免除が与えられるため、4位以内に入ることはタイトル獲得に向けて大きなアドバンテージとなる。
予選トップ12
| 順位 | 選手名 | ピンフォール | アベレージ |
|---|---|---|---|
| 1 | ジェイソン・ベルモンテ | 2,318 | 231.8 |
| 2 | ダレン・タン | 2,299 | 229.9 |
| 3 | ジェイソン・スターナー | 2,289 | 228.9 |
| 4 | ジェイコブ・バターフ | 2,274 | 227.4 |
| 5 | カイル・シャーマン | 2,259 | 225.9 |
| 6 | サントゥ・タハヴァナイネン | 2,229 | 222.9 |
| 7 | トビアス・ボーディング | 2,228 | 222.8 |
| 8 | アンソニー・サモンセン | 2,218 | 221.8 |
| 9 | ミッチ・ヒュペ | 2,216 | 221.6 |
| 10 | ブーグ・クロル | 2,208 | 220.8 |
| 11 | デオ・ベナード | 2,201 | 220.1 |
| 12 | ライリー・ウッドワード | 2,196 | 219.6 |
ベルモンテは2位のタンに19ピン差をつけて首位通過。10ゲームで19ピン差という数字は決して大差ではないが、決勝ラウンドのシードを考えれば十分に価値がある。上位4名のなかでも、ベルモンテは最も有利な位置からタイトルを狙うことになった。
一方で、4位バターフと5位シャーマンの差はわずか15ピン。シャーマンにとっては、あと数フレームの内容次第で1回戦免除を得られた可能性があった。5位から12位までも63ピン差に収まっており、テレビ決勝では予選順位だけでは測れない接戦が予想される。
ベルモンテ、カメレオンでまたも存在感
ジェイソン・ベルモンテとカメレオン選手権の関係は特別だ。PBAのアニマルパターンタイトルにおいて、同じパターンを複数回制した選手は限られている。カメレオンではスコット・ノートン、スコーピオンではトム・ドーティ、シャークではEJタケット、そしてカメレオンでベルモンテが名を連ねる。
その中でもベルモンテは、2011年、2019年、2020年のPBAカメレオン選手権を制覇しており、同一アニマルパターンのタイトルを3度獲得した唯一の選手とされている。
ただし、本人の感覚は意外なものだ。ベルモンテは「カメレオンは普段あまり好きではない」と語っている。過去の実績だけを見れば明らかに得意パターンに見えるが、本人にとっては簡単なコンディションではないという。
今回のベルモンテが強調したのは、レーンペアの差だった。良いペアをつかめば250点、260点が見える一方、難しいペアでは170点、180点まで落ちる可能性がある。その中で、打てる場面を確実にものにし、スコアを伸ばせるゲームで一気に稼いだことが首位通過につながった。
ベルモンテの強さは、単にストライクを量産する爆発力だけではない。打てるレーンでは最大限に伸ばし、苦しい場面では失点を最小限に抑える。その判断力と修正力こそが、長年トップに居続ける理由だ。
ダレン・タン、両手投げ転向が結果に結びつく
2位通過のダレン・タンも、今大会の大きな話題のひとつだ。
タンはこれまで長く片手投げで競技を続け、プロ入り後の最初の9年間もワンハンドで戦ってきた。2021年にはBowlerstore.com ClassicでPBAツアータイトルを獲得しており、片手投げでも結果を残していた選手である。
しかし2025年シーズン序盤、タンは両手投げへの転向を決断した。本人は、片手投げではタイトルを争うための力が足りないと感じていたという。けが、考えすぎ、身体面への不安が重なり、トップレベルで戦うためには変化が必要だった。
転向直後から結果が出たわけではない。昨季の最初のシングルス2大会ではトップ50外に終わった。それでも、その後は16位、PBA Tournament of Championsで12位、ミックスダブルスで3位と、少しずつ上位に顔を出すようになった。
2026年シーズンに入ってからも、最初の10イベントで7度賞金圏に入り、ポイントランキングは23位。ニューヨークで6位、TOCで10位と、直近の成績にも上昇気配が表れていた。今回のカメレオン選手権2位通過は、その流れをさらに強く印象づける結果になった。
タン自身は、両手投げで明確な結果が出るのは2027年ごろだと考えていた。しかし、想定より早く形になりつつある。本人はその理由として「タイミング」を挙げている。片手投げでは休養後に感覚を取り戻すまで数日かかったが、両手投げでは自然に戻れる感覚があるという。
これは技術面だけの話ではない。身体の動きが合いやすくなったことで、精神的な負担も軽くなっている。余計な不安に意識を使わず、純粋にボウリングへ集中できる。今回の2位通過は、タンの転向が単なる試行錯誤ではなく、勝つための現実的な武器になり始めたことを示している。
カイル・シャーマン、腰痛を抱えながら決勝進出
5位のカイル・シャーマンも見逃せない存在だ。シャーマンは今季、PBA Tourのカラーアナリストとしても活動しており、実況のリック・アレンとともにPBA on CWの放送を支えている。選手として投げるだけでなく、放送席からもPBAに関わるシーズンを送っている。
ただ、シャーマンを苦しめているのは二足のわらじではない。最大の問題は腰の状態だ。前週のTournament of Championsでは腰痛のため棄権しており、今回のWSOBでも出場を迷う場面があった。大会前には、4日間で40ゲームを投げることを考えながら、ほとんど歩けないほどの不安を抱えていたという。
それでもシャーマンは、10ゲームで2,259ピン、平均225.9を記録して5位に入った。1回戦免除には届かなかったが、今季初めて選手としてショー進出を決めた意味は大きい。
決勝ラウンドでは、シャーマンはライリー・ウッドワードと対戦する。勝ち上がれば、4位シードのジェイコブ・バターフと当たる山に入る。腰の状態を考えれば、試合数が増えるほど不安は大きくなる。だからこそ、初戦から主導権を握り、余計な消耗を避ける展開に持ち込みたい。
シャーマンのコメントには、プロボウラーとしての覚悟がにじんでいた。「行けるところまで行く」「自分はボウラーだ」という姿勢は、痛みを抱えながらもレーンに立つ選手の現実をよく表している。
決勝ラウンドの組み合わせ
PBAカメレオン選手権の決勝ラウンドは、5月10日にCBS Sports Networkで放送予定。各アニマルパターン決勝では、準決勝ラウンドで複数の試合が同時進行し、その勝者が上位シードに挑む形式となる。
PBAカメレオン選手権 決勝カード
| 試合 | 組み合わせ |
|---|---|
| 1 | アンソニー・サモンセン vs. ミッチ・ヒュペ |
| 2 | カイル・シャーマン vs. ライリー・ウッドワード |
| 3 | トビアス・ボーディング vs. ブーグ・クロル |
| 4 | サントゥ・タハヴァナイネン vs. デオ・ベナード |
| 5 | ジェイソン・ベルモンテ vs. サモンセン/ヒュペの勝者 |
| 6 | ジェイコブ・バターフ vs. シャーマン/ウッドワードの勝者 |
| 7 | ダレン・タン vs. ボーディング/クロルの勝者 |
| 8 | ジェイソン・スターナー vs. タハヴァナイネン/ベナードの勝者 |
最大の注目は、ベルモンテの山にアンソニー・サモンセンが入っている点だ。サモンセンは8位通過だが、実力と爆発力を考えれば、順位以上に危険な存在である。初戦でミッチ・ヒュペを破れば、ベルモンテにとっていきなり厳しい相手となる。
タンの山では、ボーディングとクロルの勝者が挑戦者となる。タンは予選2位という好位置につけたが、テレビ決勝の独特な空気の中で、両手投げ転向後の安定感をどこまで発揮できるかが問われる。
スターナーは3位シード、バターフは4位シードからタイトルを狙う。どちらも予選で高い安定感を見せており、上位シード同士の終盤戦になれば、1投のミスがそのまま勝敗を分ける展開になりそうだ。
PBAワールドチャンピオンシップ成績
カメレオン選手権の結果は、PBAワールドチャンピオンシップの総合順位にも反映される。20ゲーム終了時点では、スペンサー・ロバージが4,600ピン、平均230.00で首位。2位にダレン・タン、3位にジェイソン・ベルモンテが続いている。
PBAワールドチャンピオンシップ 上位20名
20ゲーム終了時点
| 順位 | 選手名 | ピンフォール | アベレージ |
|---|---|---|---|
| 1 | スペンサー・ロバージ | 4,600 | 230.00 |
| 2 | ダレン・タン | 4,520 | 226.00 |
| 3 | ジェイソン・ベルモンテ | 4,516 | 225.80 |
| 4 | キャメロン・クロウ | 4,514 | 225.70 |
| 5 | ビル・オニール | 4,508 | 225.40 |
| 6 | ジェイソン・スターナー | 4,507 | 225.35 |
| 7 | パッキー・ハンラハン | 4,486 | 224.30 |
| 8 | ティム・フォイJr. | 4,474 | 223.70 |
| 9 | ブランドン・ボンタ | 4,463 | 223.15 |
| 10 | ライアン・バーンズ | 4,445 | 222.25 |
| 11 | クリス・プレイサー | 4,439 | 221.95 |
| 12 | デオ・ベナード | 4,432 | 221.60 |
| 13 | EJタケット | 4,412 | 220.60 |
| 14 | ブーグ・クロル | 4,410 | 220.50 |
| 15 | トーマス・カユコ | 4,407 | 220.35 |
| 16 | ブレイク・ウォルシュ | 4,402 | 220.10 |
| 17 | ショーン・ラベリー=スパー | 4,400 | 220.00 |
| 18 | トーマス・ラーセン | 4,399 | 219.95 |
| 19 | ニック・ペイト | 4,394 | 219.70 |
| 20 | ライリー・ウッドワード | 4,385 | 219.25 |
世界選手権の順位表で最も印象的なのは、ベルモンテの急浮上だ。チーター最初の5ゲーム終了時点では95位と大きく出遅れたが、チーター2ラウンド終了時点で38位まで順位を上げ、カメレオン終了時点では総合3位まで浮上した。
ベルモンテは、世界選手権で成功するために「1ピンも無駄にしない」姿勢を重視している。悪いゲームがあっても、10フレームでダブルを取ること、10ピンスペアを確実に拾うこと、その積み重ねが大きな差になるという考え方だ。
この発言は、長期戦の本質をよく表している。単独イベントでは1ゲームのビッグスコアが大きな武器になる。しかし世界選手権では、40ゲーム、さらにその先の66ゲームを通じて争われる。打てる時に伸ばす力だけでなく、苦しい時に崩れない力がなければ上位には残れない。
ロバージ首位、タン2位、ベルモンテ3位が示す総合戦の構図
20ゲーム終了時点で首位に立つスペンサー・ロバージは、平均230.00という高水準を維持している。カメレオン選手権単体のトップ12には入っていないが、世界選手権総合ではトップ。この事実は、特定パターンで突出するだけでなく、複数パターンを通じて大きく崩れないことの重要性を示している。
2位のタンは、カメレオン選手権でも2位、世界選手権でも2位。両手投げへの転向が、単一コンディションだけでなく総合戦でも機能し始めている点は非常に大きい。今後のスコーピオン、シャークでも上位を保てれば、タンは今大会最大のブレイク候補となる。
3位のベルモンテは、序盤の遅れを一気に取り戻した。世界選手権を過去に3度制している経験を考えれば、この順位は非常に不気味だ。まだ大会は折り返し前だが、ベルモンテが上位に戻ってきたことで、優勝争いの空気は大きく変わった。
さらに、4位キャメロン・クロウ、5位ビル・オニール、6位ジェイソン・スターナーも首位圏内にいる。13位にはEJタケットも控えており、残りのパターン次第では一気に順位が入れ替わる可能性がある。
今後のスケジュールと見どころ
WSOB XVIIは、この後もスコーピオン選手権、シャーク選手権へと続く。各パターンでトップ12がテレビ決勝へ進み、同時にPBAワールドチャンピオンシップの総合成績も更新されていく。
40ゲーム終了時点で全体の上位3分の1が世界選手権の次ラウンドへ進出。その後10ゲームを行い、16名によるラウンドロビンのマッチプレーへ進む。最終的に66ゲーム終了後の上位9名が、6月13日のテレビ決勝ラウンドに進出する。
つまり、現在の順位は重要ではあるが、まだ最終結果を決定づけるものではない。ロバージが首位を守るのか。タンが転向後最大の結果をつかむのか。ベルモンテが世界選手権4度目の栄冠へ向けてさらに順位を上げるのか。今後のスコーピオン、シャークが大会全体の流れを大きく左右する。
ベルモンテ首位通過で混戦のWSOB XVIIはさらに加速へ
PBAカメレオン選手権予選は、ジェイソン・ベルモンテの首位通過で幕を閉じた。過去に同大会を3度制しているベルモンテは、本人が得意と感じていないカメレオンでも確かな対応力を見せ、再びタイトル候補の筆頭に立った。
一方で、ダレン・タンの2位通過はキャリアの転機を感じさせる結果となった。片手投げから両手投げへ転向した挑戦が、いよいよ大きな成果として表れ始めている。カイル・シャーマンも腰痛を抱えながら5位で決勝に進み、強い存在感を示した。
そして世界選手権では、スペンサー・ロバージが首位、タンが2位、ベルモンテが3位。カメレオン選手権単体のタイトル争いと、世界選手権の総合戦が重なり合い、WSOB XVIIはさらに緊張感を増している。
カメレオン決勝では、ベルモンテが歴史をさらに積み上げるのか、それともタン、スターナー、バターフ、シモンセンらが流れを変えるのか。単独タイトルの行方だけでなく、世界選手権全体の勢力図を占う意味でも、次のラウンドは大きな注目を集めることになる。