36年ぶりのコロンバス開催!
PBAオハイオ・クラシックが呼び起こす“初戴冠”の記憶

36年ぶりのコロンバス復活。PBAがオハイオで“物語ごと”熱くなる

2026年PBAツアーは、バックアイ・ステート=オハイオ州で「Pilgrim’s PBA Ohio Classic」を開催する。舞台はコロンバスの名門「Columbus Square Bowling Palace」。この会場でPBAツアーのタイトル戦が行われるのは、実に36年ぶりだ。

1984〜1990年に同センターで授与されたPBAツアータイトルは6つ。いずれも「初優勝者」または「PBA殿堂入り選手」が制したという。会場自体が“初戴冠の匂い”と“伝説の格”を同時にまとっている点が、今回の復活開催を特別なものにする。

さらに今季は、シーズン7戦目を迎えてなお「連覇者ゼロ」。勝者が毎週入れ替わる混戦が続き、勢力図は固まりきっていない。そこに“オハイオ縁の選手たち”が集結し、地元の視線も上乗せされる。会場の歴史、選手の背景、今季の流れ——そのすべてが交差する一週間が、Ohio Classicだ。

 

注目点は4本柱(地元縁/国際決戦/今季の空白/47フィートDragon)

1)父の勝利を知る建物で、息子は渇きを断てるか:カイル・トゥループ

今大会の象徴的なシーンになりそうなのが、ガッピー・トゥループの来場だ。彼は1984年、この建物で「Budweiser Classic」を制している。父が勝った同じ舞台で、息子カイルがタイトルを狙う——それだけで“見たい理由”が成立する。

カイルはここ2年以上、PBAツアータイトルから遠ざかっている。実力者ほど、勝てない時間は静かに重くのしかかる。しかも会場は、父の栄光が刻まれた場所だ。勝てばドラマ、勝てなければ物語は続く。どちらに転んでも、この視線の集中は他の選手の緊張感にも影響するだろう。

 

2)オハイオを“生活圏”で背負う男:クリス・ヴァイプロショップの縁

地元色を濃くするのが、スプリングフィールド育ちで現在も同地在住のクリス・ヴァイ。コロンバスまで車で約1時間という距離感は、応援の熱量を自然に引き上げる。さらにヴァイは、コロンバスでプロショップを2店舗共同経営しているというから、競技者である以前に“ボウリングの現場”と深くつながっている。

その共同オーナーがマイキー・タンダレン・タンの弟として知られ、数シーズン離れていたツアーのレーンに復帰する。復帰直後の選手は読みづらい。感覚が戻りきっていない可能性もあれば、逆に“失うものが少ない強さ”が出ることもある。上位争いに顔を出した瞬間、空気が変わるタイプの存在だ。

 

3)“オハイオ在住のカナダ人”が国際舞台へ:グラハム・ファッハ(Fach)

グラハム・ファッハ(Fach)は2010年代前半〜中盤にUrbana University(コロンバスから約1時間圏)に在籍し、2014年のIntercollegiate Team Championshipでは準優勝に貢献した。現在もオハイオ中部在住だが、出身はカナダ・オンタリオ。この「土地に根を張りつつ、国際派として戦う」二面性が面白い。

ファッハは土曜日の特別企画「PBA USA vs. the World」にも出場する。国際チームはジェイソン・ベルモンテ、ドム・バレット、イェスパー・スベンソンと並ぶ強烈な顔ぶれ。迎え撃つ米国チームは主将EJ・タケットを中心に、アンドリュー・アンダーソン、イーサン・フィオーレ、アンソニー・サイモンセンが揃う。単発マッチであっても、放送と注目が付く“準主役の舞台”だ。ここで勢いを掴む選手が、そのまま本戦の流れを引き寄せることも珍しくない。

 

4)今季の最大テーマは「勝者が固定されない」——そして“勝っていない大物”の焦燥

今季ここまでのタイトル獲得者は以下の通りで、同一選手の複数優勝がない

  • ブランドン・ボンタ:PBA Players Championship
  • グラハム・ファッハ:PBA Pete Weber Classic
  • パトリック・ドンブロウスキー:Go Bowling U.S. Open
  • アンソニー・サイモンセン:Groupon PBA Illinois Classic
  • マーシャル・ケント:PBA Indiana Classic
  • ブーグ・クロール:USBC Masters

注目すべきは、このリストにEJ・タケットジェイソン・ベルモンテの名がないことだ。近年のPBA年間最優秀選手(Player of the Year)を席巻してきた2人であり、さらに直近の受賞者であるアンダーソントゥループも今季未勝利。強いのに勝てていない、または勝ち切れていない——その“空白”が複数同時に存在するのが、今季を一段と面白くしている。

ベルモンテは今季、TV決勝の舞台こそまだだが、各週で優勝争いには絡んできたという。タケットはさらに象徴的だ。6大会中4回のチャンピオンシップラウンド進出3つのメジャーのうち2つで準優勝。先週のMasters決勝ではクロールに1ピン差で敗れた。成績が揃っているのに、トロフィーだけが足りない

しかもPBAルール上、POTY投票の対象になるにはシーズン中に少なくとも1勝が必要とされる。ポイントで大きくリードしていても、“勝たなければ資格が満たせない”という現実がある。タケットにとってOhio Classicは、状況を動かすうえで極めて重要な一戦になる。

 

5)47フィート「Dragon」が試すのは、豪快さより“判断の精度”

大会は47フィートの「Dragon」オイルパターンで行われる。ロング寄りの設定では、単純なパワー勝負になりにくい。手前の我慢、奥の曲がりの再現性、レーン移動のタイミング、ボールチェンジの決断、そして何より“ミスを最小化するスペア精度”。積み重ねが順位に直結しやすい条件だ。

フォーマットは火〜木の複数ラウンドで絞り込み、木曜のアドバンサ―(勝ち上がり)2ラウンドを経て、日曜にTVステップラダー決勝へ。予選〜勝ち上がりはBowlTV配信、土曜のUSA vs. the WorldCBS/Paramount+、日曜決勝はThe CWで生中継される。

大会日程(米東部時間)

  • 3/31(火) 11:00 予選R1(6G)/18:00 予選R2(6G)— BowlTV
  • 4/1(水) 11:00 予選R3(6G)/18:00 予選R4(6G)— BowlTV
  • 4/2(木) 11:00 Advancer R1(6G)/18:00 Advancer R2(6G)— BowlTV
  • 4/4(土) 14:00 PBA USA vs. the WorldCBS/Paramount+
  • 4/5(日) 16:00 Ohio Classic決勝(ステップラダー)— The CW

※日本でリアルタイム視聴する場合、米国の夏時間適用期間であれば日本時間は概ね「+13時間」が目安になる(地域・配信の仕様によって差が出る可能性はある)。

 

36年ぶりの舞台が、今季の“未解決”を一気に動かすかもしれない

Pilgrim’s PBA Ohio Classicは、会場の復活そのものがニュースであり、オハイオに縁のある選手たちが物語を立体的にする大会だ。ガッピーが見守る前でカイルが渇きを断てるか地元と現場を知るヴィアが存在感を示すか。復帰のマイキー・タンが波乱を起こすか。オハイオ在住のファッハが国際舞台と本戦をどうつなぐか。

そして最大の縦軸は、「強いのに勝てていない」大物たちの焦燥である。ベルモンテも、タケットも、最後の“勝利”だけが欠けている。タケットにはPOTY投票資格という現実的な条件もつきまとう。47フィートDragonで最適解を最初に掴むのは誰か。今季の“連覇者ゼロ”が続くのか、それともここで勢力図が一気に塗り替わるのか。

36年ぶりのコロンバスは、過去の栄光を飾るためではなく、今季の未解決を前に進めるために戻ってきた。Ohio Classicは、その瞬間を目撃する舞台になる。