2ハンドが安定しない原因は回転過多?
Darren Tang流「手を後ろに保つ」2つの処方箋
記事に入る前に、音声による要点解説をお聞きいただくと、内容が一段と理解しやすくなります。
要点音声解説
本要点音声解説は、「Darren Tang」掲載の動画内容を整理・補足して、NotebookLM を用いて生成したものです。
2ハンドの普及が生んだ「次の壁」は回転ではなくコントロール
2ハンドスタイルは、いまや“特別な投げ方”ではなく、競技志向のボウラーにとって現実的な選択肢として定着した。回転数とスピードを得やすく、レーンを大きく使ってストライクを量産できる一方で、普及とともに目立ってきた課題がある。それが「回転過多による不安定さ」だ。
2ハンドは構造的に横回転が入りやすい。横回転が増えすぎると、オイル上では回っているだけで前に転がらず、摩擦に触れた瞬間に急激に反応して“飛ぶ”。同じ狙いでも、ある投球は曲がらず、別の投球は曲がり過ぎる。結果、ポケットコントロールが難しくなり、外したときの残り方が散りやすい。ストライクが派手に出る日がある反面、スコアが安定しない原因にもなる。
こうした状況に対し、プロボウラー Darren Tang がYouTubeで提示したのが、「手をボールの後ろに保つ」ための2つのシンプルな処方箋だ。ひとつはドリル、もうひとつは試合中の立て直しにも使える“意識(スイング思考)”である。ポイントは、難しい専門理論ではなく、今日から練習に組み込める再現性の高い方法として語られている点にある。本稿では、その内容をニュースブログとして整理し、なぜ効くのか、どう取り入れるべきかまで具体的に解説する。
Tangの2提案が示す「2ハンドの成熟」
1)狙うべきは“曲げる力”ではなく“前へ転がす力”
動画の核心は明快だ。2ハンドの成否を分けるのは、回転数をさらに増やすことではない。むしろ「手が横に回りすぎる状態を抑え、手をボールの下から後ろへ入れる」ことで、前への転がりを作ることにある。
手がボールの後ろに入ると、ボールはエンドオーバーエンド寄りのロールになりやすい。これがもたらす実利は大きい。
レーンの読みが滑らかになる(境目での挙動が極端になりにくい)
ポケットへ入るタイミングと角度が整う(再現性が上がる)
ピン前で前進回転が増える(キャリーが安定しやすい)
ミスの幅(許容範囲)が広がる
2ハンドの普及が進むほど、課題は“パワー獲得”から“コントロール獲得”へ移る。Tangの提案は、その転換点を象徴している。
2)Tip1(ドリル):バックアップボールは「手を後ろに入れる」最短ルート
最初の提案は、バックアップボール(通常と逆方向に曲がる回転で投げる)を使ったドリルだ。ここで重要なのは、バックアップが“遊び技”ではなくフォーム矯正の道具として位置づけられていること。
なぜバックアップが効くのか
バックアップ回転を投げようとすると、手が外側に流れて「スーツケース」的な横回転を増やす動きとは相性が悪い。結果として、手がボールの後ろ側へ入りやすくなり、リリースの方向性が整う。さらにTangは、自分の課題として「スイング最下点で足首とボールの距離が空きやすい」ことに触れ、バックアップドリルがボールを足首へ近づける助けになると説明する。
ボールが身体から離れるほど、通り道の自由度が増える。自由度が増えるということは、毎回微妙に別の場所を通れるということだ。つまり再現性が落ちる。逆に足首に近いほど通り道が“狭く”なり、同じ軌道を通しやすい。これが、安定につながる。
実践のコツ:「外から内へ」段階を踏む
Tangが強調するのは、最初から内側に入りすぎないことだ。2ハンドではスタートから内側に入りすぎると、「内側へ寄せる余地」が残らない。そこで、
構えは“やや外寄り”
スイングの中で徐々に内側へ持っていく
最下点で手を“ひっくり返す”意識でバックアップ回転を作る
という順序で外→内を作っていく。
練習の鉄則:ピンは見ない。目的だけを見る
このドリル中にやるべきことは「ストライクを打つ」ではなく「動作を作る」ことだ。練習のスコアは試合に持ち越せない。持ち越せるのは動作の質だけである。だからこそ、狙う対象をピンから“動作”へ切り替えるべきだというメッセージが強い。
3)Tip2(意識):足首に「当てるつもり」で下ろすと、勝手に形が整う
二つ目はスイング中の意識だ。スイングが下りてきて最下点に向かう局面で、「足首に当てるつもりでボールを下ろす」と考える。
「近づける」では足りない。だから「当てるつもり」
Tangは、「近づける」より「当てるつもり」のほうが実際に近づく、と語る。フォーム修正では、自分では大きく変えたつもりでも、実際の変化は想像より小さいことが多い。だから意識は誇張するくらいでちょうどいい。実際に当てる必要はないが、当てるほどの気持ちで下ろすことで、結果として最下点が十分にコンパクトになる。
足首に近いと、なぜ手が後ろに入るのか
足首に近づけると、肘と手が内側に収まりやすくなる。肘が外に逃げて手が回るのを防ぎ、手をボールの下から後ろへ入れやすい。つまり、目的である「手を後ろに保つ」形が自然に出やすい。
さらに、足首に近いほどボールの通り道が安定し、レイダウン位置・リリースタイミング・回転の入り方が揃う。これはフォームの見た目の話ではなく、スコアに直結する再現性の話である。
競技中の“戻り言葉”として機能する
本人は、改善途上で回しすぎる投球が混ざることも認めた上で、「回しすぎた」と感じたときの立て直しにこの意識を使うと言う。試合中の修正は複雑なチェック項目より、短い合言葉のほうが効く場合が多い。「足首に当てるつもり」は、その条件を満たしている。
4)仕上げの一手:映像で確認しない限り、改善は“起きたつもり”で終わる
動画で特に実践的なのは、感覚と現実がズレる前提に立っていることだ。フォーム修正では「やっているつもり」が最も危険である。意識を変えても、身体は往々にして元の動きに引き戻される。だからこそ、スマートフォンでの撮影を提案する。自分の感覚では大きく変わったはずでも、映像では数センチしか変わっていないことがある。そのズレを可視化して初めて、次の調整ができる。
2ハンドの“次の勝ち筋”は、派手さより再現性にある
Darren Tangが提示した2つのポイントは、2ハンドボウリングの成熟を映す。回転とパワーを得る段階は、多くのボウラーがすでに通過した。これから差が出るのは「同じ球を何度も投げられるか」、つまり再現性である。
バックアップボールのドリルで、手を後ろに入れる感覚と足首に近い通し方を身体に覚えさせる
「足首に当てるつもり」という短い意識で、試合中も形を戻せるようにする
感覚に頼り切らず、撮影で事実を確認して修正を積み上げる
この3点をセットで回せば、2ハンドの“暴れやすさ”は抑えられ、ポケットコントロールとキャリーの安定につながる可能性が高い。2ハンドが当たり前になった今、スコアを押し上げるのは、さらに曲げる技術ではなく、曲がり方を揃える技術だ。Tangの提案は、その方向へ踏み出すための、具体的で強い一歩になっている。