【実は逆効果】回転を出そうとするほど暴れる
ツーハンド移行者がハマる“回り込み地獄”

記事に入る前に、音声による要点解説をお聞きいただくと、内容が一段と理解しやすくなります。

要点音声解説

本要点音声解説は、「Brad and Kyle」掲載の動画内容を整理・補足して、NotebookLM を用いて生成したものです。

ツーハンド熱は本物だが、「始めれば伸びる」は半分しか当たらない

ここ数年、ボウリング界でツーハンド(両手投げ)は「流行」ではなく「潮流」になった。高回転による破壊力、角度の作りやすさ、映像としての分かりやすさ。SNSや動画プラットフォームでは、ツーハンドの豪快なピンアクションが日常的に拡散され、「自分もやってみたい」「片手投げから切り替えるべきか」という話題が繰り返し起きている。

しかし、ツーハンドの議論で見落とされがちなのは、成功例の裏にある「移行の現実」だ。回転が増えるのは事実だとしても、同時にコントロールが難しくなり、フォームは別物になり、これまでのリズムが通用しない。極端に言えば、移行者は「投げ方を変える」のではなく「競技をやり直す」に近い体験をする。

今回取り上げるのは、ボウリング系動画の内容をもとにしたニュースブログだ。ワンハンドで投げてきた2人が、ついにツーハンドに挑戦し、プロのDarren Tang(ダレン・タン)が提示した「移行者向けの二大原則」をその場で試していく。見どころは、成功ノウハウの切り抜きではなく、うまくいかない瞬間の連続の中で、ツーハンドの本質が浮かび上がってくる点にある。

 

移行者が最初に崩れるのは「回転」ではなく「形」——Darren Tangの2つの処方箋

1. まず露呈する“現場の不利”:親指穴ありのボールでツーハンドを始める難しさ

2人は最初に、何も意識せず“素のツーハンド”を投げる。ここで早速、移行の壁が表面化する。使用しているボールが、ツーハンド仕様ではなく親指穴(サム)ありのレイアウトだという点だ。ツーハンドは通常サムを使わないため、親指穴があるとリリースで干渉が出やすい。動画内でも「ボールが親指の上を転がってしまう」「それが原因で曲がらない」という違和感が語られる。

この時点で重要なのは、ツーハンドが“回転数の出し方”以前に、“ボールを安全に、同じ位置から、同じ形で離せるか”が問われる投法だという事実である。回転を増やそうと意識するほど、身体の外側に逃げ、すっぽ抜けや暴れ球が出やすくなる。ここから、Darren Tangの助言が効いてくる。

 

2. Tip1:バックアップボールは「手を内側に入れる」ための矯正ドリル

Darren Tangの1つ目の提案は、「バックアップボールを投げる」だった。バックアップは通常と逆方向に曲がる投げ方で、一般には“特殊技”に見える。だが、この場面での目的は芸当ではない。移行者に最も多い失敗、すなわち「外から回してしまう(回り込み)」を、構造的に矯正することにある。

ツーハンドは回転数が上がりやすい。その分、横回転(サイド成分)も増えやすい。初心者がありがちなのは、回転を作ろうとして、最初から手を外側に置いて横に回してしまうことだ。結果としてボールは暴れ、レーンの読みは不安定になり、狙いは広がらない。回転が多いのに点が出ない、という“ツーハンドあるある”がここで起きる。

バックアップ練習は、その逆を強制する。バックアップを成立させるには、手が自然と内側に入り、リリースが体の近くを通りやすい。つまり、

  • 手が「ボールの内側」に入りやすい

  • 手が「ボールの後ろ(アップザバック)」に入りやすい

  • ボールが「足首付近」に寄りやすい

という、ツーハンドの基本形が出やすくなる。

動画内でも変化が出る。「体とつながった感じがする」「ボールが足首に近づいた」「曲がり方が前より素直になった」といった手応えが言葉で確認され、投球としても“暴れる球”と“収まる球”の差が目に見えて表れる。ここがニュースとして重要な点だ。ツーハンドの成否は、回転数より先に「内側で支え、後ろから押せているか」に依存している。つまり、回転は“結果”であり、最初に追うべきは“形”なのだ。

 

3. 「回り込み」の怖さが可視化される:良い球と悪い球の落差

練習が進むと、2人は明確に同じ結論へ近づく。内側に入った球は、狙い方向へボールが素直に出ていく。一方で、回り込んだ球は、後半の動きが過敏になり、方向性が消える。ツーハンドは確かに大きく曲げられるが、曲げれば点が出るわけではない

この場面で彼らが言語化するのが、「肘の位置」と「選べる球筋」の関係だ。肘が外に逃げ、横回転をかける形になると、球筋は単調になり、スピードや回転軸の微調整が難しくなる。反対に肘が内側に入り、手が後ろにあると、回転の種類を“選べる”ようになる。ツーハンドの上達とは、豪快さの獲得ではなく、「選択肢の獲得」であるという整理が、練習を通じて浮かび上がる。

 

4. Tip2:足首を狙うのは「中心線」を取り戻すため

2つ目の提案は、さらに具体的で分かりやすい。「足首に当てるつもりで、ボールをできるだけ足首に近づけて通す」。目的は、ボールを体の中心線に乗せることだ。

ここで出てくるのが、ワンハンドにも通じる普遍的な原則である。「上手いボウラーは、ボールが頭(顎)の下にある」。ボールが頭の外側に出るほど、再現性は下がり、精度は落ちる。顎の下から投げられるほど、同じ軌道を繰り返せる。足首へ寄せる意識は、その中心線の原則をツーハンドでも成立させるための手段になる。

実際、足首に寄せて投げた球は、ループするような“外へ膨らむ動き”が減り、足の進行方向へまっすぐ出ていく感触が出る。球が前へ転がり、ブーメランのような過敏さが弱まる。ツーハンドを「全部曲げる投げ方」から「直線も作れる投げ方」へと変えるスイッチが、足首の近さにあることが示される。

 

5. それでも簡単には揃わない:ステップ、タイミング、持ち方の迷子

動画が面白いのは、コツを理解してもなお、すぐには安定しない点だ。2人は助走のリズムに迷い、ステップ数や初動の速さを試し、立ち位置を変えながら、ようやく“再現できそうな形”を探っていく。近い位置から小さめのステップで入るとコントロールしやすいという発見もあれば、勢いを作るために初動を速くしたい感覚も出てくる。

さらに混乱を深めるのが、ツーハンド特有の「持ち方の多様性」だ。ボールをどこで支えるか、左手をどこに置くか、保持の形だけでスイングの安定感が変わる。動画でも、左手をボールの右側寄りに置いて内側に収めやすくする持ち方を試し、「パワーポジションが強くなる」「体の内側で支えられて安定する」という利点が語られる一方、内側に入りすぎてすっぽ抜ける失敗も出る。

ここで伝わるのは、ツーハンドの「正解が一つではない」という現実だ。ステップが3歩の選手もいれば、状況で歩数を変える選手もいる。肘を曲げるタイプも、まっすぐ振るタイプもいる。だから移行者に必要なのは、誰かの完成形をコピーすることではなく、「中心線」「内側」「足首」という原則を守った上で、自分の再現性が最も高い形を探すプロセスになる。

 

6. Darren Tangが象徴する“移行の価値”:挑戦より難しいのは、結果を出すこと

2人は最後に、Darren Tangがワンハンドで実績を持ちながらツーハンドへ転向し、苦戦を経て結果を残している点に強い敬意を示す。これは単なる賛辞ではない。ワンハンドの成功体験を手放し、別の技術体系へ移るのは、それ自体が大きなリスクで、しかも短期では報われない可能性が高い。動画の中でも、少し形が崩れるだけで球が暴れる様子が何度も映り、「転向して戦えるレベルに戻すこと」の難易度が実感として伝わってくる。

 

ツーハンド移行のニュース性は「派手さ」ではなく「基礎の再定義」にある

終盤、2人はミニ勝負のように一投勝負を行うが、うまくいく球と失敗球が混ざる。球速を出そうとしてタイミングが乱れ、回り込みが早くなり、暴れる。逆に、内側に入れて足首付近を通し、後ろから押せた球は、明らかに反応が良く、手応えが強い。最後まで「簡単ではない」という結論が揺らがないことが、むしろこの動画の信頼性を上げている。

そして、移行者にとっての要点は極端に絞れる。

  • バックアップボールで「内側・後ろ・体の近く」を強制的に覚える

  • 足首に当てる意識で中心線を通し、前へ転がる回転と方向性を作る

ツーハンドの話題はどうしても「回転数」や「曲がり幅」に寄りがちだ。だが、移行の現場で最初に必要なのは、派手さではなく再現性である。ツーハンドは“曲げる技術”ではなく、“曲げても崩れない土台”を作る技術だ。流行が本格化する今、ツーハンドを始める人が増えるほど、こうした基礎の再定義はニュースとしての価値を持つ。

動画の締めは「もっと練習したい」という言葉だった。ツーハンドは、見た目より難しい。しかし、内側に入れて、足首の近くを通して、後ろから押せる形が一度噛み合った瞬間、投球は別物の安定感を見せる。移行の最初のニュースは、ストライクではない。フォームの中心線を取り戻すところから始まる。