マルドナード首位(240.50)×タケット追走
メジャー序盤の“勢力図”が動いた
メジャー開幕から「240超」――2026年PBAツアーの主役候補が姿を現す
2026年PBAツアーは早くも最初の12ゲームを消化し、シーズンの空気が一気に「勝負モード」へ切り替わった。舞台はメジャー選手権「PBAプレーヤーズチャンピオンシップ」。しかも今大会は、単にスコアを積み上げるだけでは勝てない。37フィート「Viper」と50フィート「Badger」という性格の異なるオイルパターンを、同じ大会の中で乗りこなす必要があるからだ。
その難条件を最初の2ラウンドで最も鮮やかに攻略したのがショーン・マルドナードである。合計2,886ピン(+486)、アベレージ240.50。シーズン初戦は調整色が濃くなりがちだが、本人は「期待していなかった」と語りながらも、首位に立った手応えを隠さない。「初戦は研ぎ澄ます作業をしていることが多い。そこでリードできたのは良い兆しだ」という言葉は、好調の偶然ではなく再現性を匂わせる。
一方で、王者の影は常に背後にある。2位にはPBA年間最優秀選手3年連続のEJタケット。追う側にも、追われる側にもなる男が、今年も当然のように優勝争いの中心にいる。メジャー序盤のリーダーボードは「形勢」ではなく「資質」を映す鏡だ。今大会が何を要求し、誰がそれに応えつつあるのか。12ゲーム終了時点の事実から整理していこう。
マルドナード首位、タケット追走。勝負を分ける「パターン適応」と「32位ライン」
1)ViperとBadgerは“別競技”――首位の価値は「またぎ」で測れる
Viper(37フィート)は短めの部類に入り、わずかな投球のズレが手前の変化として表れやすい。ラインの選択、回転量、スピードの管理が噛み合わないと、ポケットに寄っても薄い当たりになったり、逆に厚く入り過ぎたりする。短い分だけ展開が速く、修正の精度が問われる。
対照的にBadger(50フィート)は長めで、ボールの動きが手前で抑えられやすい。角度を付ければ良いという単純さはなく、ミスの許容量が狭い上に、ストライクが続きにくい局面ではスペア精度が生命線になる。
この二つを跨いで首位に立つということは、「一発の爆発」ではなく「条件変化に対する再現性」を示す。マルドナードの2,886ピンが持つ意味は、合計値そのもの以上に重い。
2)マルドナードのコメントが示す“良い首位”の条件
マルドナードは首位に立ちながらも、「初戦はシャープにする段階」と語った。これは裏を返せば、ピークを前倒しせず、試合を通じて精度を上げる設計で入ってきた可能性がある。メジャーは長丁場の中で「崩れたときの戻し方」が勝敗を左右する。
“想定より早く結果が出ている”状態で、本人の言葉が落ち着いているのは好材料だ。リードを守るには、攻め続けるよりも、勝負どころでの失点を抑える判断が必要になる。
3)2位タケットは「王者の作法」を見せた――努力の継続を言語化できる強さ
EJタケットは合計2,815ピン(平均234.58)で2位。数字だけ見れば首位との差は小さくない。しかし、メジャーの序盤でこの位置にいること自体が、すでに最大級の脅威である。
注目すべきは、タケットが「成功してきた分、周囲はもっと準備してくる。自分が止まれば、すぐ追い抜かれる」と語った点だ。トップ選手が怖いのは技術だけではない。「自分が標的である」現実を直視し、作業量を落とさないところにある。
さらに火曜日の内容に加え、日曜日のキャプテンズマッチでジェイソン・ベルモンテに勝ったことが、オフシーズンの成果を裏づけたとも言う。メジャーは“調子”より“仕上げ方”が勝つ。タケットは今年もその教科書を提示している。
4)トップ5の輪郭:ブッカー、ロバーツ、ファック――「上にいる理由」がそれぞれ違う
3位ディーロン・ブッカー(2,788)、4位トレバー・ロバーツ(2,774)、5位グラハム・ファック(2,762)が続く。上位が面白いのは、同じ上位でも「勝ち方」が一様ではないことだ。
ファックは2025年のシーズン開幕戦優勝者として、勢いの波を掴んだときの爆発力が魅力のタイプ。メジャーの序盤は、こうした勝ち筋の違う選手が固まっているほど、終盤の読み合いが濃くなる。
5)ディフェンディング王者フィオーレは7位――“守備力の優勝候補”はまだ消えない
昨年王者のイーサン・フィオーレは7位(2,719)。順位だけなら「首位争いから一歩後ろ」に見えるが、メジャーにおいては危険なポジションでもある。
予選後半からマッチプレーに移る段階で、勝負の単位は“トータル”から“対人”へ変わる。そのとき効くのは、ストライクの量産だけでなく、ミスを小さくする技術と平常心だ。7位は十分に射程圏内であり、王者はまだ盤上にいる。
6)本当の緊張は「32位ライン」に宿る――残り12ゲームが生存競争を加速させる
今大会は予選24ゲーム終了後、上位32名に絞られる。現時点の32位はザック・ワイドマン(2,604、平均217)。ここが現在のカットラインだ。
首位が240台で引っ張る一方、ラインが217台ということは、中団以降の密度が高い可能性を示す。たった1ゲームのビッグスコアで安全圏に入り得る反面、スプリットや取りこぼしが続けば一気に脱落圏へ落ちる。メジャーは“残ること”がまず価値になる。
7)ここからの見どころ:予選後半→マッチプレー→トップ5のステップラダー
大会はこの後、Viperで6ゲーム、Badgerで6ゲームを追加し、計24ゲームの予選を完走する。その後はマッチプレー2ラウンドを経て、最終的にトップ5がステップラダーファイナルへ進出。
予選は「平均と合計」で押し切る競技。マッチプレー以降は「相手より1本多く倒す」競技になる。分岐点は、予選後半の修正力にある。
8)ラウンド2終了時点:上位10名
1位:ショーン・マルドナード 2,886(240.50)
2位:EJタケット 2,815(234.58)
3位:ディーロン・ブッカー 2,788(232.33)
4位:トレバー・ロバーツ 2,774(231.17)
5位:グラハム・ファック 2,762(230.17)
6位:ミッチ・ユペ 2,728(227.33)
7位:イーサン・フィオーレ 2,719(226.58)
8位:ニック・ペイト 2,698(224.83)
9位:ティム・フォイJr. 2,694(224.50)
10位:マット・オーグル 2,689(224.08)
9)今後の主な日程(ETと日本時間の目安)
現地時間はET表記。日本時間(JST)はETより14時間進む想定の換算目安。
2月18日(水)予選R3:ET 12:00 → JST 2月19日(木)2:00(BowlTV)
2月18日(水)予選R4:ET 19:00 → JST 2月19日(木)9:00(BowlTV)
2月22日(日)決勝:ET 16:00 → JST 2月23日(月)6:00(The CW)
予選・マッチプレーはBowlTV、決勝はThe CWでの放送予定とされている。
序盤の順位は“結論”ではない。適応力と終盤の一撃がメジャーを決める
ラウンド2までの事実は明快だ。ショーン・マルドナードが首位。ViperとBadgerを跨いで240超という数字は、メジャーを勝つための必須条件である対応力を序盤で示した形と言える。
しかし、その背後にはEJタケットがいる。追われる王者の危機感と努力の継続は、短期的な波を越えて結果を引き寄せる。
そして今大会のドラマは、首位争いだけで完結しない。32位カットラインの攻防が熱を帯び、予選後半での一度のミスが命取りになる。予選を生き残った者だけが、マッチプレーで勝負の質を変えられる。
マルドナードが逃げ切るのか、タケットが追い上げるのか。あるいは、別の選手が一気に駆け上がるのか。プレーヤーズチャンピオンシップは、ここから先の12ゲームで、物語の輪郭がはっきりと描かれていく。