リリースに回転を加える正しいタイミングとは
記事に入る前に、音声による要点解説をお聞きいただくと、内容が一段と理解しやすくなります。
要点音声解説
本要点音声解説は、「The Clean Up Crew」掲載の動画内容を整理・補足して、NotebookLM を用いて生成したものです。
世界的コーチ Mark Baker に学ぶ、上達のための本質的な9つのポイント
ボウリングにはさまざまなテクニックがあり、フォームやリリース、タイミングのずれは少しの違いでもボール軌道に大きく影響します。
しかし、どれほど多くの情報があったとしても、結局のところ「どこから直せばいいのか」「何を意識すれば上達につながるのか」が見えていなければ、練習は迷路のようになってしまいます。
今回は、世界でも屈指のボウリングコーチである Mark Baker が、投げ方・ライン取り・ボールの扱い方など多岐にわたる質問に答えた内容をベースに、当教室向けにわかりやすく、体系立てて解説します。
この記事では、特に
「回転を加える正しいタイミング」
という多くのボウラーが苦しむテーマにも深く踏み込みます。
リリースが安定しない、回転が早く入ってしまう、フックが暴れる、スピードコントロールが難しいなどの悩みを抱えている方には、特に参考になる内容です。
【1】ボールスピードを落とす最も安全で効果的な方法
「ゆっくり投げようとしない」ことが重要
ボールのスピードが出すぎてしまうと、フックが出ない、曲がりが先で暴れる、コントロールが効かないといった問題が起きます。
多くの方は「腕の力を弱める」「ゆっくり振ろうとする」などの方法を試しますが、Mark はそれを明確に否定しています。
無理にゆっくり投げれば、腕が途中で減速し、ボールの勢いが失われ、スイング自体もぎこちなくなります。
この「減速のスイング」は最も避けるべきものです。
スピードコントロールの正解
アプローチのスタート位置を、
3インチ(約7.5cm)ずつ前へ出す。
たったこれだけで、自然に歩幅が短くなり、助走全体がゆっくりになり、結果スピードが安定して落ちます。
3インチ前進の効果
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およそ 0.25〜0.5mph のスピード低下
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タイミングが崩れない
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スイングの勢いは保たれたまま
腕で調整するより、はるかに安全で再現性があります。
【2】初心者が最優先で身につけるべきものは「バランス」
フックより先に覚えるべきこと
初心者の多くは「早く曲げたい」気持ちが強く、手首や回転ばかりを意識しがちです。しかし、Mark はこれも明確に否定します。
上達の順番は以下の通りです。
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バランスを崩さず立つ
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ターゲットの上を正確に転がす
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フォロースルーで自然に手が前へ伸びる
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ボールが手から“投げる”ではなく“転がる”ようにする
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その上で曲がりや回転をつける
特に大切なのは「投げる」ではなく「転がす」という感覚です。
低く構えることに意識が向きすぎると、体が潰れ、フォロースルーが制限されてリリースが不安定になります。
まずは姿勢を安定させ、ボールが一定の場所を通過する基礎を固めましょう。
【3】ドリフト(歩行のズレ)は許容範囲内なら問題なし
アプローチで歩く際、完全に真っすぐ進む人はほとんどいません。
多少左へ寄ったり右へ流れたりする動き(ドリフト)は、個性の範囲です。
1ハンドの許容範囲
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左へ 3〜7枚
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右へ 2〜5枚
2ハンドの場合
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多くの選手が左へ 10枚程度
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左へ 15枚を超えると修正対象
重要なのは「毎回同じ量でドリフトしているか」です。
再現性があれば、ズレではなく“自分のスタイル”になります。
【4】相手のラインを壊す戦略は意識しなくてよい
自分自身に集中することが最も強い戦術
一部の競技者は「相手が使っているラインを壊すために先に投げる」といった駆け引きを考えますが、Mark はこれも不要だと言い切ります。
彼は言います。
「私は常に自分のボウリングだけに集中した」
どれだけ相手を考えても、その結果自分の投球が乱れては意味がありません。
レーン変化に対応し、自分に必要な調整を行い続けることこそが、最も再現性の高い勝ち方です。
【5】セカンドシフトで前が枯れてしまった時の対処法
前半が焼けても対応できるボール選択とライン作り
前半のコンディションが多くの投球で消耗すると、フロントエリアが乾き、どんなボールでも早く噛みすぎてしまいます。
こうなると「ロールアウト」状態になり、曲がりが出る前に力が失われてしまいます。
Mark が推奨する対処法は次の通りです。
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パールやハイブリッドなど“走る素材”のボールを使用
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左側へしっかり移動し、残ったオイルを探す
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軸回転を少し増やす(角度を作るため)
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軽量ミッドラインのボールも有効(Hustle など)
要するに、
「前を抜けられるボールとラインで対応する」
という考え方です。
【6】2ハンドのダウンスイングは「雪かき」ではなく「ブランコ」
手の回しすぎを防ぎ、正しい軌道を作る動き
あるコーチが2ハンドを「雪かきをして、最後は握手するように」と表現した、という質問がありましたが、Mark はそのイメージを使わないと回答しています。
2ハンドのスイングは、次のような動きを重視します。
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ティルトしてボールを前へ押し出す
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ボールが自然に後ろへ戻り
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スイングが上へ上がる
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足が支点となり、前へ振り出される
これはブランコ(スイングセット)が動く様子に似ています。
2ハンドは片手に比べ、
手首を大きく回しすぎない構造になっているため、雪かきのように深くひねる動きは不自然です。
【7】最重要テーマ
回転を加えるタイミングは「つま先を過ぎてから」
これこそ、多くのボウラーがつまずく問題です。
そして Mark が最も強調した内容でもあります。
人は、どうしても回転を「早めに」つけたくなってしまいます。
しかし、これこそフックの安定性を奪い、引っ掛け、抜け、軌道の乱れにつながる原因です。
正しい回転の入れ方
自分のつま先をボールが通過した瞬間から回転を加える。
リリースには“ウインドウ”があり、
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つま先の手前 2インチ
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つま先の先 3インチ
このわずか数センチの範囲で回転を入れます。
避けるべきこと
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バックスイングで回転を意識する
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腕が前に出る前に手首を早く返す
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引っかけるように回す
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手で強くひねる
これらはすべて軌道の不安定、力のロスにつながります。
回転とは、
「最後の最後で加える少しの動き」
です。
【8】スピード型のボウラーと“強いボール”の相性
自分の長所を活かすボール選び
レブが少ない、回転が少ないという悩みを持つ人は多いですが、それは裏を返せば「スピードが出せる」という長所を持っているということでもあります。
Mark 自身も晩年はスピード型に移行し、その特性を最大限に活かしました。
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強いボールを使い
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右側のラインを積極的に使用し
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外の摩擦(フリーフック)を最大限に利用し
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大きな力で直線的にアプローチする
スピードがある人は、強いボールと相性が良く、実は幅広いラインを使えるのです。
【9】Mark Baker はまたミネソタに来るのか
2026年3〜4月頃に Bogart’s Entertainment Center でレッスンを予定しているとのことです。
全体のまとめ
今日すぐ練習できる、上達のポイント
ここまでの内容を整理すると、以下の項目が特に重要です。
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スピード調整は、アプローチの位置で行う
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初心者ほどバランスとターゲットコントロールを重視する
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ドリフトは“毎回同じなら”問題なし
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レーンの枯れにはボール選択と移動で対応する
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2ハンドはブランコのように振り、回しすぎない
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回転はつま先を過ぎてから入れる
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スピード型は強いボールを活かせる
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相手よりも“自分の調整”に集中する