PBA 25年の歩み
時代を築いた名手たち—ランキング20位から16位まで

時代の変革期を経て

2000年のY2K以降、25シーズンが過ぎたPBAツアー。その間に500人を超えるチャンピオンが誕生し、数々の記録が塗り替えられてきた。
20世紀末には存在しなかった「ツーハンド投法」が世界を席巻し、フィンランドのオスク・パレルマ、そしてオーストラリアのジェイソン・ベルモンテの登場によって、ボウリングのスタイルそのものが革命を迎えた。

世代交代も急速に進み、2015年にはクリス・バーンズパーカー・ボーンIIIノーム・デュークウェス・マロットといった殿堂入り選手がタイトルを手にした直後、イェスパー・スヴェンソンが初優勝。続いてカイル・トゥループEJ・タケットアンソニー・サイモンセンらが次々と頭角を現した。
この年を境に、ツアーは新時代に突入したのだ。

 

第20位 マイク・スコギンス(Mike Scroggins) — 84ポイント

USBCマスターズとU.S.オープンの二冠達成者。
テキサス西部出身のレフティとして知られるスコギンスは、あらゆるコンディションで適応力を見せた選手だ。2000年代に通算7勝を挙げ、2009-10シーズンの年間最優秀選手レースでは準優勝。派手さはないが、地道な積み重ねによって確かな結果を残した典型的な職人タイプである。

 

第19位 ジェイソン・カウチ(Jason Couch) — 87ポイント

TOC三連覇という伝説を持つ男。
カウチの全盛期は1990年代末〜2000年代初頭にかけてであり、今回のランキング対象期間に少しかぶる形となった。それでも、7つの通常タイトルと2つのメジャータイトルを挙げ、その圧倒的な安定感で20位以内にランクイン。
特に彼のトーナメント・オブ・チャンピオンズ(TOC)三連覇は今なお語り継がれる偉業であり、PBA殿堂入りにふさわしい功績といえる。

 

第18位 ジェイコブ・バトゥルフ(Jakob Butturff) — 93.5ポイント

独特の回転軌道を誇るレフティ、”カップド・リストの鬼才”。
バトゥルフは現代ボウリングを象徴するテクニカルなスタイルの持ち主だ。
7つの通常タイトルと1つのメジャーに加え、メジャー大会でのトップ5入りが10回、準優勝が7回という驚異的な安定感を誇る。
彼があと数本ストライクを重ねていれば、すでにPBA殿堂入り資格を満たしていたであろう。
その才能と運命の紙一重の結果が、彼をより魅力的な存在にしている。

 

第17位 ドム・バレット(Dom Barrett) — 120.5ポイント

イギリスが生んだ“ジェントルマン・チャンピオン”。
バレットは、PBAトリプルクラウン(USオープン、PBA世界選手権、トーナメント・オブ・チャンピオンズ)を制した4人のうちの1人であり、欧州出身選手としての功績は特筆に値する。
イギリス出身の彼は、通常大会で47回、全大会で55回のトップ5入りを記録しており、
ベルモンテやタケットと肩を並べる実力者として、PBAツアーの国際化を象徴する存在となっている。

 

第16位 カイル・トゥループ(Kyle Troup) — 127ポイント

“魅せるボウリング”の象徴、そして時代のアイコン。
トゥループは、2000年以降のPBAで最も個性的な選手の一人だ。
アフロヘアと派手な衣装、そして観客を巻き込むパフォーマンス性で知られながらも、その内実は極めて繊細で戦略的。
10の通常タイトル、2つのメジャータイトル、年間最優秀選手賞(Player of the Year)1回という実績を誇る。

特に2024年のU.S.オープンでは、ベルモンテタケットサイモンセンという現代PBAを代表する3名を次々と撃破して優勝。
テレビマッチでの勝負強さを誰もが認める“クラッチ・プレイヤー”であり、PBAプレーオフを複数回制した唯一の選手でもある。

 

変化するスタイル、不変の情熱

20位から16位の顔ぶれを見れば、ボウリング界の進化がいかに急速で多様だったかがわかる。
スコギンスやカウチのような伝統派の技術と精神、バレットが象徴する国際化の波、そしてバトゥルフやトゥループのように個性と実力を融合させた新世代。

彼らはそれぞれの時代の「ボウリングの形」を体現した存在であり、同時に未来への架け橋でもある。
PBAツアー25周年の節目にあたる今、その功績を改めて称えたい。