
【訃報】女子ボウリング界のレジェンド、フラン・ウルフ・デーケン氏が81歳で逝去
女子ボウリング界を築いた立役者の旅立ち
アメリカ・カンザス州オレイサ出身で、全米ボウリング会議(USBC)および女子プロボウリング協会(PWBA)の殿堂入りメンバーであるフラン・ウルフ・デーケン氏が、2025年10月16日に逝去されました。享年81歳。
彼女は、競技者・運営者・広報者・歴史家として、70年以上にわたって女子ボウリング界に多大な貢献をしてきました。その影響力はアメリカ国内にとどまらず、世界中の女子アスリートに勇気と模範を与えた存在でした。
ボウリング一筋に捧げた人生と数々の功績
少女時代から芽生えたボウリングへの情熱
フラン・デーケン氏がボウリングに出会ったのは、わずか10歳の頃。イリノイ州ウィネトカのコミュニティハウスで初めてボールを手にし、その日から生涯にわたる情熱が始まりました。
高校時代はサッカー、バスケットボール、バレーボールなど、さまざまなスポーツに打ち込んだものの、彼女の本当の才能はボウリングで開花。その後、アイオワ大学へ進学し、1962年にダブルス全国優勝、さらに1964年にはシングルス、チーム、オールイベントの三冠を達成するという快挙を成し遂げました。
プロ選手から支援者へ──新たな道を切り拓く
短期間ながらプロ選手としても活動し、一定の成果を上げたデーケン氏。しかし、「自分がテレビに出るような選手ではないと感じた」と語り、次第に選手を支える裏方の役割に重きを置くようになります。
その後、1976年から1981年にかけてPWBA理事を務め、1981年〜1991年および2001年〜2003年にはPWBAツアー・トーナメントディレクターとして活躍。選手たちが最高のパフォーマンスを発揮できるように、舞台裏の細部まで配慮する運営は、業界内で高く評価されました。
「試合の進行を円滑にすることが、選手の集中力と大会全体の質を高める。私はその仕事にやりがいを感じていた」──2021年、Women’s History Monthの特集インタビューより
施設運営・業界団体でもリーダーシップを発揮
デーケン氏の活躍は運営にとどまりません。ラスベガスのショーボート・ホテル&カジノではグループ・トーナメントコーディネーターとして、またリノのナショナル・ボウリング・スタジアムでは運営責任者としても手腕を発揮。
加えて、USBC殿堂委員会(20年間在籍、うち2012〜2014年は委員長)や、PWBA殿堂委員会、全米ボウリング作家協会(2002年に会長)など、多くの団体で要職を歴任。地域レベルでも、グレーター・リノ、タルサ、オクラホマ州USBCの役員や会長職を担い、草の根から業界全体まで支える存在となっていました。
メディア・ライターとしてもボウリングを発信
情報発信の分野でも存在感を放ち、新聞でのコラム執筆、ラジオ番組でのボウリングレポート、専門紙の発行などを通じて、競技の魅力や最新情報を多くのファンに届け続けました。
彼女の執筆は単なる解説にとどまらず、ボウリングの歴史を記録し、未来へと繋ぐアーカイブのような存在でした。
シニアでも第一線──競技者としての晩年の輝き
引退後も現役選手として活動を続け、1972年から2017年までの38年間にわたりUSBC女子選手権に出場。さらに、マカビア競技大会やトーナメント・オブ・ジ・アメリカズなどで金メダルを獲得し、アメリカ代表として国際大会でも活躍。
また、2001年にはBWAAシニア・ボウラー・オブ・ザ・イヤーを受賞。2005年・2008年にはゴールデンレディース・スーパースーパーシニアで優勝と、年齢を重ねても第一線で競技に臨みました。
数々の栄誉と表彰
その功績を称え、彼女は以下のような多くの表彰を受けています:
PWBA殿堂(1997年)/USBC殿堂(2006年)
BWAA会長賞(1998年・2007年)
レモ・ピケッティ 人道賞(2010年)
オクラホマ州USBC会長特別賞(2012年)
IBMAヘネシー功労賞(2016年)
その他、ネバダ州・タルサ地区・カンザス州など、計6つの殿堂入り
これらは、ボウリング界における彼女の比類なき貢献と影響力の証でもあります。
フラン・デーケン氏の遺したもの
フラン・ウルフ・デーケン氏の人生は、まさにボウリングに捧げられたものでした。
彼女はただ競技を楽しむ選手ではなく、その文化を創り、支え、未来へとつなぐ架け橋となった存在です。その熱意、忍耐力、そして情熱は今後も多くの女性アスリートに受け継がれていくでしょう。
遺族には2人の息子と4人の孫、そして親友であり同じくボウリング界の仲間であったヴァージニア・ノートン氏、ヴェスマ・グリンフェルズ氏がいます。
家族は、花の代わりに、知的・発達障害を持つ人々のための住居支援施設建設プロジェクト「Belong KC」への寄付を希望しています。詳細は以下のリンクよりご覧いただけます。
👉 https://ickc.org/donate
なお、追悼式典(Celebration of Life)は、後日発表される予定です。
📌 関連リンク:
USBC殿堂に関する詳細はBOWL.com/HallofFameをご覧ください。