シンガポールのニュー・ホイフェン、PWBA年間最優秀選手に輝く
〜アジア勢の躍進を象徴する歴史的快挙〜

シンガポール人として初の受賞

2025年、シンガポールのニュー・ホイフェン選手(33歳)が、アメリカのプロ女子ボウリング協会(PWBA)で年間最優秀選手(Player of the Year)に選出されました。これは、シンガポール出身の選手としては史上初の快挙であり、アジアのボウリング界における存在感の高まりを象徴する出来事です。

彼女の活躍は個人の努力と才能の結晶であると同時に、国際的な舞台でアジア選手がますます注目される流れを加速させるものとなりました。

 

記録に裏付けられた圧倒的な実力

シーズン序盤から印象的な活躍

ニュー選手の2025年シーズンは、序盤から強いインパクトを残しました。特に、5月末から6月初旬にかけて開催された「サマーシリーズ・クリーブランド」では、「PWBA BowlTVオープン」と「PWBAロックンロールオープン」の2大会で連続優勝を達成。この時点で、年間最優秀選手の有力候補として注目を集めました。

両大会では、スムーズな投球フォームと正確なコントロール、そして強いメンタルが光りました。大会を通して一貫したスコアの安定性を見せ、あらゆるコンディションにも適応できる多様性を証明しました。

 

U.S.ウィメンズオープンで歴史を塗り替える

シーズンを通して最も印象的だったのは、やはり「U.S.ウィメンズオープン」での優勝です。ステップラダー形式の決勝で、246、228、262、290という4ゲームの驚異的スコアを叩き出し、合計1,026点というPWBA再始動(2015年)以降の決勝最多得点記録を樹立しました。

この大会では、他の選手が189点以上を出せなかったほど難しいオイルコンディションにもかかわらず、ニュー選手は卓越したスキルと集中力で圧倒的なパフォーマンスを見せました。

これにより、彼女は通算2回目のメジャータイトル、そしてキャリア通算5勝目を達成。PWBA殿堂入りの資格も得ることとなりました。

 

驚異的なシーズン成績の数々

ニュー選手の2025年シーズンは、数字がその強さを如実に物語っています:

  • 優勝回数:3大会

  • マッチプレー進出:6回

  • 決勝ラウンド進出:4回

  • トップ12入り:5回

  • 出場全254ゲームの合計ピン数:55,464本

  • シーズンアベレージ:218.36(全体2位)

  • 賞金総額:$97,430(年間最多)

これらの結果により、ニュー選手はPWBA史上5人目の「新人賞」と「年間最優秀選手」のダブル受賞者となり、伝説的ボウラーたちの仲間入りを果たしました。これは、アン・マリー・ダガン、リズ・ジョンソン、ウェンディ・マクファーソンら殿堂入り選手と並ぶ栄誉です。

 

国際的な舞台でアジア勢が存在感を拡大

2025年は、アジア勢の躍進が際立ったシーズンでもありました。前年(2024年)はマレーシアのシン・リ・ジェーン選手が同じく年間最優秀選手を受賞。そして2025年は、マレーシアのギリアン・リム選手が新人賞(Rookie of the Year)を受賞。アメリカ以外の国の選手が年間MVPと新人賞を同時に受賞したのは1998年以来2度目の快挙となりました。

ニュー選手もその流れに言及し、次のように語っています:

「この賞は私にとって夢の実現です。シンガポールやアジアの選手たちにとって、希望や励みになる存在になれたら嬉しいです」

「ツアーにはより多くの国際的な選手が加わっており、全体的に若返りも進んでいると感じます。これは、ボウリングというスポーツが国境を越えて広がっている証です」

 

逆境と戦いながら、限界を超えた努力

華々しい成績の裏には、度重なるケガとの戦いもありました。ニュー選手は手術は避けつつも、理学療法士やトレーナーと綿密な計画を立てて身体を管理してきました。

「4〜6週間ごとに評価と調整を繰り返しながら、痛みの軽減や可動域の向上を目指しています。最も大切なのは、一貫して身体と向き合い続けること」

このように、ただ実力があるだけではなく、ストイックなトレーニングと自己管理が、彼女の安定した成績を支えているのです。

 

さらなる飛躍を目指して

2025年シーズンの終わりを迎え、ニュー選手はすでに来シーズンと国際大会への準備を開始しています。課題としては、「シーズン全体を通しての安定性」を挙げ、さらなる進化を誓いました。

「いくつかの大会ではトップ12に入れなかったこともありました。今後はもっと安定した結果を残し、再びこの賞を手にできるよう努力したいです」

次の2026年PWBAシーズンは、4月にイリノイ州ロックフォードで開幕予定。ニュー・ホイフェン選手をはじめ、アジア勢のさらなる活躍から目が離せません。