ベテラン左腕ジェイソン・カウチ、PBA50バラード選手権で劇的優勝!

膝の痛みを乗り越えた感動の勝利

2025年7月11日、ミシガン州のJAX 60で開催されたPBA50バラード選手権にて、ジェイソン・カウチ(Jason Couch)が見事な優勝を果たしました。左利きのベテランである彼は、長年膝の故障と複数回の手術に悩まされてきましたが、それでも競技への情熱を失わず、精神力と技術で逆境を跳ね返した姿は多くのファンの胸を打ちました。

2024年のPBA50ワールドシリーズ・オブ・ボウリングIIでは、3大会でトップ10入りを果たしており、2025年の今大会ではさらなる高みを目指しての参戦。予選直前に試合出場すら危ぶまれるアクシデントに見舞われながらも、最後には3度目のPBA50ツアータイトルを手にしました。

 

戦略、技術、そして勝負強さが光った大会

▷ 痛みとの闘いと決断

ミシガン入りしたカウチを襲ったのは、突然の激しい膝の痛みでした。水曜日の練習日に目を覚ますと、「歩くのもやっと」という状態だったといいます。何度も手術を繰り返してきた彼の膝は限界に近づいており、5年ぶりに膝用のブレース(サポーター)を購入して装着することで、何とか練習に臨むことができました。

もし無理だったら、すぐに大会から外してくれて構わないと、トーナメントディレクターのトニー・ラニングに電話した」と本人は語っています。

最終的には45分ほどの練習で感触を掴み、本番出場を決断。痛み止めとアイシングを交互に使いながら、プレーに集中しました。

 

▷ 左投げプレイヤーとしてのレーン攻略法

カウチは予選を全勝で勝ち上がり、第1シードとして決勝戦に進出。その過程で、左利き特有のレーンコンディションの変化に対する高度な対応力を発揮しました。

JAX 60のTV決勝用レーンでは、左レーンの方が早く曲がるポイントがある一方で、全体的には右レーンの方がタイト(曲がりづらい)という特徴がありました。また、彼の前に4人の左投げ選手が投球していたため、左側のレーンは大きく変化していたのです。

他の左投げ選手とは異なるラインを使い、外側に出たところから攻めることを選択した」と、ボールリプレゼンタティブのジェフ・ジョンソンと戦略を練り、リスクを取る大胆な判断を下しました。

この決断が功を奏し、レーンの変化に惑わされることなく安定したスコアメイクを実現しました。

 

▷ 決勝戦での流れと勝因

決勝の相手は、2024年のPBA50ワールドチャンピオンであるマリオ・キンテロ。唯一の右利き選手として準決勝で圧倒的な強さを見せていましたが、レーンの左右差が影響し、今回は流れを掴めませんでした。

  • カウチは2-7スプリットをカバーして試合をスタートし、続く3投でストライクを連発

  • キンテロは序盤からスペア続きで、ストライクの流れに乗れず、試合の主導権を握ることができませんでした。

  • 5フレームでカウチは4-7-10スプリットでオープンフレームを記録するも、6フレーム以降は冷静に立て直し、右レーンで2回のパーフェクトストライク

  • 9フレームでは2-4-7スプリットをしっかりカバーし、10フレームでは3連続ストライクでフィニッシュ

最終スコアはカウチ232点、キンテロ184点。技術だけでなく「冷静な判断力」と「勝負どころでの強さ」が光った決勝戦でした。

 

▷ 他の選手たちの見どころ

  • アンソニー・クルーズは第1試合で6連続ストライクを含む235点をマークし、マイケル・ハーターを接戦の末破りました。

  • 第2試合ではブライアン・ホフマンがクルーズとの接戦を194対190で制し、初のTVステージで存在感を示しました。

  • 準決勝ではキンテロが6連続ストライクからの257点と圧巻のパフォーマンス。ホフマンを完全に圧倒しました。

 

1勝に満足せず、次戦へ挑む

ジェイソン・カウチは試合後、次のように語っています。

この勝利は素晴らしいスタート。でも、明日からはまたゼロからのスタートだ。これがこの世界の厳しさ

今後はモナチェリ選手権、さらにペトラーグリア選手権、ホルマン選手権と続くPBA50ワールドシリーズ・オブ・ボウリングIII(WSOB III)。これらの予選ポイントは、最終的にPBA50ワールドチャンピオンシップ出場を左右する重要な指標になります。

毎日を新しいトーナメントだと思ってプレーする。それが結果につながる唯一の方法」と、気を引き締めるカウチ。
今夜は少しだけ祝って、明日にはもう切り替えるつもりだ

経験・戦略・精神力の3拍子が揃ったこの勝利は、今後の戦いへの強い布石となったことは間違いありません。

 

■PBA50 バラード選手権 最終順位と賞金

順位選手名賞金
1位ジェイソン・カウチ$5,000
2位マリオ・キンテロ$2,500
3位ブライアン・ホフマン$2,000
4位アンソニー・クルーズ$1,750
5位マイケル・ハーター$1,500

 

次回のWSOB IIIも目が離せません。果たしてカウチは勢いそのままに、シリーズ王者への道を駆け上がることができるのか?その一投一投に、今後も注目が集まります。