ジョジー・バーンズ、2025年USBCクイーンズ制覇
“誰もが欲しいティアラ”を手にした瞬間──家族と夢を叶えた感動の優勝劇
2025年、ラスベガス。Suncoast Hotel & Casinoで行われたUSBCクイーンズ決勝で、ジョジー・バーンズが見せたのは「勝利以上の物語」でした。
優勝が決まった瞬間、彼女の目には涙が浮かんでいた。母として、コーチとして、そして一人のアスリートとして、自分自身と向き合いながら積み重ねた日々。そのすべてがこの一瞬に凝縮されていたのです。
■ “ボウラーである前に、一人の母であり、コーチである”
「ボウリングだけが私のすべてじゃない。」
そう語るジョジー・バーンズの人生は、多忙を極める日常に彩られています。
競技者としてトーナメントを転戦しながら、育児とコーチングの責任も背負い、限られた時間の中で自分を磨き続ける。そのバランスを取ることは、決して容易なことではありません。
しかし彼女は、年齢を重ねる中で一つの「鍵」に気づいたといいます。
「やりたいことが全部できなくても、自分を責めすぎない。
“自分に優しくする”ことを覚えてから、ずっと前に進みやすくなった。」
■ “今に集中する” という決断が流れを変えた
試合中も彼女は、「先を見すぎない」戦術を貫いていました。
「次の相手が誰かなんて知らなかった。今この試合に集中することが一番重要だから。」
その姿勢が、冷静な判断と安定感をもたらし、勝者側の山にとどまり続けるための鍵となりました。
■ 感情を抑えた戦術的なレーン選び
今回のジョジー・バーンズの勝因の一つに挙げられるのが、冷静に分析されたレーン選びとその活用方法です。
試合前の観察で、バーンズは「左レーンが多くの選手にとって“鬼門”となっていた」ことにいち早く気付きました。ボールが早めに曲がりすぎたり、逆に奥で止まらずに抜けたりと、安定しない傾向が見られたこのレーンは、攻め方を誤ると一気に流れを失うリスクを孕んでいたのです。
彼女は、自分の得意なレーンを選ぶというよりも、相手にプレッシャーをかける“配置”を戦術的に選択しました。
「これは自分の投球の良し悪しじゃない。相手をどこに立たせるか、その判断が鍵だった。」
この言葉が示す通り、彼女は自分の立場だけではなく、相手の心理・技術的弱点をも見据えた“冷静かつ知的な駆け引き”を展開していたのです。
「相手のコンフォートゾーンを削る」──それが彼女の狙いでした。
試合が始まると、その判断は見事に的中。バーンズは右レーンでテンポよくストライクを重ね、相手は左レーンで苦しみ続けました。まるで事前に試合の展開を予見していたかのような彼女のコントロールには、長年の経験と緻密な観察力が光ります。
しかもこの判断は、ただ戦術的なものにとどまりませんでした。彼女の中には「今、自分がどれだけ動揺せずにいられるか」という試される場面があったのです。多くの選手が感情に流され、思考停止に陥る場面でも、バーンズは「感情を切り離し、レーンに集中する」ことに徹していました。
“焦らず、驕らず、動じない”。
それこそが彼女の強さであり、今大会を通じて最も光った資質でもありました。
このように、感情を抑え、状況を支配する力があってこそ、試合の流れを自分のものにできたのです。
■ 9ピンで決まる優勝の瞬間
「どれだけ経験を積んでいても、勝利を決める一投は震える。」
44ピン差をつけて迎えた最終局面。必要だったのは“9ピン”。
そして、彼女は見事にそれを成し遂げた。
「9ピンを倒して、バーンズはラスベガスで最も輝いた女王となった。」
■ 姉ジェスとの「やっと一緒に」叶えた勝利
「今までの優勝には、何かが足りなかった。それは“ジェス”がいなかったこと。」
これまで数々の栄冠を手にしてきたバーンズにとって、姉ジェスが現地で見守る中での優勝は初めて。
その瞬間は、“家族で掴んだ勝利”として、これまでにない感動をもたらしました。
■ 「すべては母に捧げるティアラ」
「母はずっと、私たち姉妹の一番の応援者だった。
この大会を特に楽しみにしていたのも母で、だからこそ、この勝利は母に捧げたい。」
彼女が語ったのは、技術や戦術だけでない、心の原動力。
「誰もが欲しがるティアラ」を、本当に大切な人のために手にした瞬間でした。
■ 【まとめ】
夢は、年齢に関係なく、叶えられる。
「もうすぐ37歳。でも、ボウリングは“年齢を重ねてこそ強くなる”スポーツ。
今回の勝利は、子どもの頃に思い描いた夢の実現。
本当に、夢が叶ったと感じています。」
競技者、母、コーチ、そして姉。
あらゆる顔を持つ彼女の姿は、多くの人に希望と勇気を与えました。
誰もが欲しがる“ティアラ”を、ジョジー・バーンズは真に手に入れたのです。