マット・サンダースが首位浮上
2026 Go Bowling U.S. Openは予選最終日へ
首位交代で大会はさらに緊迫
インディアナポリスのロイヤル・ピン・ウッドランドで開催されている「2026 Go Bowling U.S. Open」は、予選2日目を終えて大きく情勢が動いた。初日トップだったアンソニー・シモンセンをかわし、マット・サンダースが総合首位に浮上。大会は予選最終日を前に、優勝争いとサバイバル争いの両面で一気に緊張感を増している。
インディアナ州エバンズビル出身のサンダースは、ラウンド2で8ゲーム合計1,810をマーク。初日の1,726と合わせ、16ゲーム総計3,536(アベレージ221)というハイレベルな数字で、108人の頂点に立った。しかも2位との差はわずか2ピン。首位に立ったとはいえ、まったく気の抜けない展開が続いている。
一方で、選手たちの視線は首位だけに向いているわけではない。今大会で生き残るために最も重要なのは、36位以内に入ること。予選3日間を終えた時点でこのラインを超えられなければ、次のステージへ進むことはできない。頂点を争う戦いと、脱落を避ける戦い。その両方が同時進行するのが、U.S.オープンならではの厳しさだ。
サンダースの強さを支える安定感と読みの鋭さ
後半にかけて一気に伸ばしたラウンド2
サンダースのラウンド2は、204、216、210、224、247、276、188、245。序盤から大きく崩れることなく試合を進め、後半にかけて着実にスコアを伸ばした。とりわけ5ゲーム目以降の加速が印象的で、難しい時間帯を耐えながら、勝負どころで確実にピンを積み重ねた内容だった。
この日の好スコアにより、サンダースは総合首位へ浮上。だが、本人に慢心はない。現在の順位によって多少は気持ちが楽になる部分があるとしながらも、意識しているのはあくまで「さらにピンを重ねること」。予選最終日もこれまでと同じように、1フレームずつ集中して投げる姿勢を崩さない構えだ。
首位に立つと守りに入りたくなるものだが、サンダースはそうではない。結果にとらわれすぎず、自分のボウリングを徹底する。その冷静さこそが、ここまでの安定感を支えている。
47フィートのロングパターン攻略の裏にあった準備力
サンダースの好調は、単なる勢いではない。ラウンド2で使用された47フィートのロングパターンに対し、彼は公式練習の段階でレーン内側に有効なラインがある可能性を見抜いていた。そこで、そのラインに対応できるボールを事前に準備。結果として、読みが的中した。
序盤の2、3ゲームはレーンが難しく、簡単にスコアを伸ばせる状況ではなかった。それでも焦らず我慢し、状況が整ってきた後半で一気に勝負をかけた。この組み立ては、メジャー大会で勝つ選手に共通するものだ。U.S.オープンのようにコンディション変化が激しく、少しの判断ミスが命取りになる舞台では、技術だけでなく、観察力と忍耐力が問われる。
サンダースはこの日、その両方を高いレベルで示した。だからこそ、この首位浮上は偶然ではなく、極めて説得力のある結果だといえる。
“この会場では強い”という確かな実績
さらに見逃せないのが、ロイヤル・ピン・ウッドランドとの相性の良さだ。サンダースはこの会場について、特別な感覚があると語っている。過去にはここで自身2度目のPBAテレビ決勝進出を果たし、近年のU.S.オープンでも、この建物で継続的にマッチプレー進出を決めてきた。
会場との相性は、トップレベルのトーナメントでは決して軽視できない要素だ。レーンの見え方、空間の雰囲気、投球時のリズム、過去の成功体験。そうした積み重ねが、プレッシャーのかかる場面で選手を支える。しかもサンダースにとってこの会場は地元から比較的近く、心理的な安心感も大きい。
技術的な手応えに加え、環境面でもプラス材料がそろっている。もしこの流れを維持できれば、自身2度目のPBAタイトル、そして悲願のメジャー初制覇も現実味を帯びてくる。
2位はわずか2ピン差 上位争いは超接戦
もっとも、サンダースの独走という状況ではない。2位にはイーサン・フィオーレと、マレーシアのトゥン・ハキムが3,534で並び、首位との差はたったの2ピン。予選最終ラウンドの8ゲームで順位が入れ替わる可能性は十分にある。
ハキムは今大会ここまでで唯一のパーフェクトゲームを達成しており、一気に流れを引き寄せる爆発力を持つ。対するフィオーレも、首位を射程圏に捉える安定感を見せている。さらに、初日首位だった2022年大会王者アンソニー・シモンセンが3,529で4位、マイケル・デビッドソンが3,500で5位と続き、上位はまさに団子状態だ。
この差であれば、1ゲームのビッグスコア、あるいは1つのオープンフレームだけでも順位は大きく動く。首位争いは、予選最終日まで予断を許さない。
最重要ラインは“36位” 生き残りを懸けた戦い
今大会で選手たちが最も敏感になる順位は、実は首位よりも36位かもしれない。なぜなら、3日間の予選終了時点で36位以内に入れなければ、その時点で大会から姿を消すことになるからだ。
現時点で36位にいるのは、2011年USBCマスターズ王者トム・ヘス。16ゲーム合計3,301(アベレージ206.31)で、まさにカットライン上に踏みとどまっている。こうしたボーダー付近では、わずかなスコア差が明暗を分ける。1投の10ピンミス、1度のスプリット、たった数ピンの差が、次の日に残れるかどうかを決めるのだ。
U.S.オープンの恐ろしさは、上位だけでなく中位にも極限のプレッシャーがかかる点にある。優勝争いの華やかさの裏で、見えないところでは壮絶な生存競争が繰り広げられている。
前年王者EJ・タケットの連覇にも注目
そして忘れてはならないのが、前年王者EJ・タケットの存在だ。タケットは現在16位。トップとの差はあるものの、十分に巻き返しを狙える位置につけている。
昨年のU.S.オープンでは、決勝でアンドリュー・アンダーソンを238-184で下し、3年で2度目の大会制覇を達成。さらに2025年シーズンは4勝を挙げ、そのうち2勝がメジャー大会という圧倒的な実績を残し、3年連続でクリス・シェンケルPBAプレーヤー・オブ・ザ・イヤーに輝いた。実力、実績、勝負強さのすべてを備えた現代屈指のトップボウラーだ。
今大会では、同じロイヤル・ピン・ウッドランドで連覇を狙う。もし達成すれば、1995年と1996年のデーブ・ヒューステッド以来となる、U.S.オープン連覇という快挙になる。首位争いの中心にサンダースがいる一方で、王者タケットの追い上げもまた、大会を大きく揺さぶる要素になりそうだ。
予選最終日の8ゲームが大会の流れを決める
2026 Go Bowling U.S. Openは、ここからが本当の勝負だ。予選最終日のラウンド3を終えれば、108人のフィールドは36人に絞られる。首位で通過するのか、ボーダーで滑り込むのか、それともあと一歩届かず姿を消すのか。わずか8ゲームが、それぞれの運命を大きく左右する。
その後は、勝ち残った36人による追加8ゲーム、さらにラウンドロビン方式のマッチプレーへと進み、最終的に5人がステップラダーファイナルに進出する。優勝者には10万ドルの賞金と、U.S.オープンの象徴であるグリーンジャケットが待っている。賞金総額は27万5,000ドル超。名実ともに、シーズン屈指の大舞台だ。
現時点で最も強い存在感を放っているのは、やはりマット・サンダースである。安定したスコア、的確なレーン攻略、会場との好相性、そして首位に立ってもぶれないメンタル。優勝候補として申し分ない条件がそろっている。
ただし、背後にはわずか2ピン差で追うライバルたちがいる。さらに、前年王者タケットの逆襲、36位ラインをめぐる熾烈な争いも続く。華やかな首位争いと、残酷なふるい落とし。その両方が交錯する予選最終日は、間違いなく大会最大の分岐点になる。
一投の重みが、ここからさらに増していく。2026 U.S. Openは、まさにここからが本番だ。