USBCマスターズ激動
64人から32人へ、ベルモンテとタケットが勝者側で主導権

USBCマスターズが佳境へ——64人から32人へ、一夜で勢力図が変わった

2026年PBAツアー第3のメジャー「USBCマスターズ」は、マッチプレー初日の金曜日に大きく動いた。出場64選手が優勝を目指してスタートしたものの、夜までに半数が敗退。ダブルエリミネーション方式のブランケットは、勝者側(ウィナーズ)16人敗者復活の挑戦者側(コンテンダーズ)16人が残り、土曜のラウンドで“次のふるい”が一気にかかる。

勝者側の中心にいるのは、マスターズ歴代最多4勝を誇るジェイソン・ベルモンテ。そしてPBA年間最優秀選手3年連続EJ・タケットだ。実績のベルモンテ近年の支配力で押し切るタケット。メジャーの舞台で両者がそろって勝者側に残ったことは、今大会のストーリーを一段と鮮明にしている。

 

ベルモンテは高打率、タケットは“最後の1冠”へ。王者ハインズも挑戦者側で息を吹き返す

ベルモンテ、3ゲーム合計で連続高スコア。平均262超の説得力

ベルモンテは初戦でマヌエル・オタロラ、続く2戦目でカイル・トループを撃破。いずれも3ゲーム合計ピン方式で785、789という高水準のスコアを並べた。6ゲーム平均262超。単発の爆発ではなく、複数ゲームにわたってラインと回転の精度を維持している点が強い。

土曜の勝者側3回戦で迎える相手はマット・ルッソ。勝者側に居続けるほど、試合数・調整負荷・精神的消耗のいずれも抑えられるのがダブルエリミネーションの現実だ。ベルモンテにとって、この一戦は「好調の確認」ではなく、決勝までのルートを太くする勝利になる。

 

タケットは“史上4人目のグランドスラム”へ。残るはマスターズだけ

もう一人の主役、EJ・タケットは、マスターズ制覇が加わればPBA史上4人目のグランドスラム達成となる。現時点の達成者はベルモンテ、マイク・オールビー、ノーム・デューク。そこに名を連ねることは、キャリアの勲章であるだけでなく、「時代を代表した存在」であることの証明にもなる。

タケットはすでに「U.S.オープン」「トーナメント・オブ・チャンピオンズ」「PBAワールドチャンピオンシップ」を制覇し、残るピースはマスターズのみ。ただ、ここ数年は届きそうで届かない。2年前には連続チャンピオンシップラウンド出場の流れがこの大会で止まり、昨年は6大会連続出場の新記録を作りながらも、マスターズ決勝には届かなかった。土曜10時(ET)の相手はネイト・ガルシア。タケットが勝者側を死守できるかどうかが、日曜の景色を左右する。

 

土曜10時(ET)開始:勝者側のカードは“準々決勝級”の濃度

土曜10時(米東部時間)からは勝者側で以下の8試合が行われ、BowlTVでライブ配信される。ラウンドの最初の1ゲームはPBA公式YouTubeで無料配信される予定だ。

  • EJ・タケット vs ネイト・ガルシア
  • フランソワ・ラヴォワ vs ザカリー・レシカー
  • ブーグ・クロル vs トレイ・ブランド
  • スペンサー・ローバージ vs キャム・クロウ
  • デオ・ベナード vs マット・サンダース
  • イェスパー・スベンソン vs ニック・ペイト
  • マット・ルッソ vs ジェイソン・ベルモンテ
  • エリック・ジョーンズ vs ディラン・バウワーズ

勝者側の1敗は、単なる「負け」ではない。以降は敗者復活の連戦を強いられ、コンディション変化の読み直し体力配分も難しくなる。勝者側の強さとは、技術だけでなく、“余白”を確保する強さでもある。

 

連覇を狙うハインズは挑戦者側で復調。300発進が流れを変えた

昨年王者ゲイリー・ハインズは勝者側ではなく挑戦者側で生き残っている。初戦で予選トップシードのジェイコブ・バトゥルフ8ピン差で敗れたが、その後ニコラス・フィッシャー、ザック・ウィルキンスに勝利して土曜へ。とりわけウィルキンス戦では、金曜夜の第2試合をパーフェクト300でスタートし、会場の空気を一気に引き寄せた。

本人はバターフ戦について「第3ゲームの10フレーム目で投げ切れなかった」と振り返りつつ、「昨年のように徐々に感覚が良くなっている。良い球が投げられればチャンスはある」と手応えを語る。予選では64位未満だったが、ディフェンディングチャンピオンとして第64シードを得て参戦。“下からの連覇”という難易度の高い物語が、現実味を帯び始めた。

 

“幻の親子対決”はお預け。ボーンIIIは別のブランドンと激突へ

観客が期待していた「パーカー・ボーンIII vs 息子ブランドン・ボーン」の親子対決は実現しなかった。挑戦者側1回戦でスティーブ・ノヴァクがブランドン・ボーンを破り、カードが消滅。62歳のPBA殿堂入りボーンIIIは、そのノヴァクを下して勝ち上がった。

土曜の挑戦者側3回戦でボーンIIIが対するのは、PBAプレイヤーズ選手権覇者ブランドン・ボンタ世代を超えた経験と勢いがぶつかる一戦だ。

 

挑戦者側の主なカード:敗者は即敗退、緊張感は最大値

同じく土曜10時(ET)開始の挑戦者側には、以下のカードが並ぶ。

  • ゲイリー・ハインズ vs ディック・アレン
  • パーカー・ボーンIII vs ブランドン・ボンタ
  • グラハム・ファック vs ジュリアン・サリナス
  • アレック・ケプリンガー vs アンソニー・ノイアー
  • ドム・バレット vs ケイシー・コハガン
  • トミー・ジョーンズ vs ギャレット・メドウズ
  • マイケル・マーテル vs ブレイク・ウォルシュ
  • ダレン・タン vs トーマス・カイヒコ

挑戦者側は「一発アウト」の連続だ。安全にまとめる選択が、かえって首を絞めることもある。早い段階から勝負球を投げ切れるかどうかが、明暗を分ける。

 

波乱:予選1位バターフが敗退、サイモンセンは負傷棄権

最大の驚きは、予選首位で第1シードだったジェイコブ・バトゥルフが早期敗退したことだ。ネイト・ガルシアとギャレット・メドウズに敗れ、姿を消した。さらに、マスターズ3勝のアンソニー・サイモンセンも金曜のうちに脱落。初戦を制したものの、その後に敗戦を喫し、挑戦者側2回戦では第2ゲーム終了後に負傷で棄権している。強豪が消えたことで、ブランケットは一段と読みにくくなった。

 

決勝は3月29日。勝者側の維持が“最大の武器”になる

ここからのUSBCマスターズは、技術差以上に「ルート差」が効いてくる。ベルモンテとタケットが勝者側を守れば、決勝までの試合数と調整負荷を抑えられる。一方、挑戦者側のハインズは勝ち続けるほど勢いが増す反面、失敗の許容量はゼロ勝者側の安定挑戦者側の爆発力——その対比が、この大会を最も面白くしている。

最後に、記事内スケジュール(米東部時間)を日本時間(JST)に換算しておきたい。3月下旬は北米がサマータイム(EDT)想定のため、日本時間は「+13時間」が目安となる。

  • 3月28日(土)10:00 ET(BowlTV)=3月28日(土)23:00 JST
  • 3月28日(土)14:00 ET(BowlTV)=3月29日(日)03:00 JST
  • 3月29日(日)16:00 ET(The CW/ステップラダー決勝)=3月30日(月)05:00 JST

勝者側の山場である土曜10時(ET)のカードは、実質的に“決勝への分岐点”だ。ベルモンテが王者の貫禄を積み上げるのか。タケットが歴史的達成へ前進するのか。あるいは挑戦者側から、ハインズやベテラン勢が物語を塗り替えるのか。メジャーの夜は、ここからさらに濃くなる。

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 👉  USBC Masters

     Qualifying – Round 3

     Brackets