バトゥルフ首位快走!
2026 USBCマスターズ予選前半、左腕勢が上位独占
2026 USBCマスターズ、予選前半はバトゥルフが首位快走
2026年PBAツアー(Go Bowling提供)の第3メジャー「USBCマスターズ」は、予選2ラウンド(計10ゲーム)を終え、左腕のジェイコブ・バトゥルフ(Jakob Butturff)が堂々の首位に立った。合計ピンフォールは2,485(+485)。アベレージは248超と高水準で、フィールドを一歩引き離すスタートを切っている。
今大会の序盤を特徴づけるのは、レーンコンディションの対照だ。オイルを引き直さない「バーン(burn)」と、引き直し直後の「フレッシュ(fresh)」の両方が組み込まれ、同じ実力でも対応の巧拙が順位に直結しやすい。バトゥルフは火曜日にバーンスクワッド、水曜日に41フィートのフレッシュパターンで投球し、いずれでも高スコアを並べた。偶然の上振れではなく、条件差を前提に組み立てる強さが、数字に表れている。
強さの根拠、追走集団、そして“カットライン”の緊張
1)首位の理由は「直線」と「調整力」——バトゥルフの設計図
バトゥルフは、自身のボウリングを「できるだけ真っすぐ」、「レーンを無理に広げない」と表現する。オイルの壁や外の反応を過度に追わず、再現性の高いラインを優先する戦い方だ。コンディションが揺れやすいメジャー序盤において、この“保守的に見える攻め”はむしろ合理的で、崩れにくい。
さらに注目すべきは、調整の具体性である。レーンが噛む(フックが強い)と感じれば球速を上げ、逆にタイトなら球速を落として右へ微調整する。重要なのは、変えるのがラインだけではないことだ。スピード調整まで含めて「同じ結果を出すために投球を変える」。この引き出しが、バーンとフレッシュを跨いでもスコアを落としにくい理由になっている。
バトゥルフは31歳。PBAツアー通算8勝を誇り、唯一のメジャー制覇は2019年マスターズだった。もし今大会で2度目のメジャー制覇を果たせば、PBA殿堂入りに向けた「タイトル要件」に近づく。本人も「勝ったことのある大会だから精神的に強くいられる」、「殿堂入りが見える」と語り、今週の意味を明確に意識している。勢いだけではない。勝ち方を知る者の視界の良さが、首位という現実を支えている。
2)2位ベナードの歴史級ブロック、トップ5は左腕が独占
2位につけるのはデオ・ベナード(Deo Benard)。火曜日にはUSBCマスターズ史上2番目に高い「5ゲームブロック」を記録し、一気に上位へ駆け上がった。短期集中で爆発できるタイプが背後にいると、首位は常に追い立てられる。バトゥルフが“安定の首位”なら、ベナードは“破壊力の追撃者”と言える。
そして予選前半のもう一つのトピックが、上位の顔ぶれだ。3位イェスパー・スベンソン(Jesper Svensson)、4位グラハム・ファッハ(Graham Fach)、5位キリアン・キルパトリック(Killian Kilpatrick)まで、トップ5が全員左腕となった。偶然では片づけにくい偏りで、左利き勢がコンディションを早い段階でつかんだ可能性がある。
ただし、これを「左腕有利」と断定するのは早計だ。バーンで手前が枯れれば外が使えなくなり、フレッシュで外にオイルが残れば曲がりが抑えられる。条件が揺れるほど、利き腕の優位よりも「適応速度」がものを言う。上位が左腕で固まっている事実は、彼らの対応が一歩早かった、という読みが最も自然だろう。
3)右腕最上位はバレット——グランドスラムへ「最後の1ピース」
右腕で最上位は6位のドム・バレット(Dom Barrett)。U.S.オープン、PBAワールドチャンピオンシップ、トーナメント・オブ・チャンピオンズの優勝経験を持ち、残るUSBCマスターズを獲ればグランドスラム達成となる。
「勝てば偉業」という明確な動機は、終盤の集中力を押し上げる。しかもバレットは大舞台の優勝経験が豊富で、ブラケットの勝負勘にも定評がある。トップ5を左腕が埋める展開の中で、右腕の旗頭がどこまで食い込むかは、今大会の対立軸として見逃せない。
4)タケットはカット圏内、バーンズは圏外——“一投の重み”が増す局面へ
トリプルクラウン勝者でありながらマスターズ未制覇のEJ・タケット(EJ Tackett)とクリス・バーンズ(Chris Barnes)も、今後の視線を集める。タケットは暫定30位でカット圏内にいる一方、バーンズは現時点でカット圏外。
予選残り5ゲームは、順位を上げる時間であると同時に、ミスを許さない時間でもある。特にカット付近の選手にとっては、ストライク1つ、スペア1つが運命を分ける。
5)カットラインは63位、王者は180位でも“出場保証”——マスターズらしい波乱の種
現時点のカットライン(暫定63位)にはメイソン・エドモンドソン(Mason Edmondson)が入り、合計2,177(+177)。首位の+485との差は300ピン以上。序盤に築いた貯金の重さが分かる。
一方で、昨年王者ゲイリー・ヘインズ(Gary Haines)は180位と大きく出遅れている。それでもブラケット戦への出場は保証され、もし64位以下で予選を終えても「第64シード」を付与される。順位表だけを見て「王者は終わった」と判断するのは危険だ。むしろ下位シードからの一発勝負は、勝者が波に乗る契機にもなる。
さらに衝撃的なのが、USBCマスターズ史上屈指の実績を持つ2人——ジェイソン・ベルモンテ(Jason Belmonte)とアンソニー・サイモンセン(Anthony Simonsen)が、ともにカット圏外にいることだ。サイモンセンは+144、ベルモンテは+143で、カットまで35ピン以内。差はほとんど誤差であり、残り5ゲームで十分に逆転可能な距離にいる。
ベルモンテはマスターズ4勝(2013〜2015、2017)で最多記録を保持し、3連覇は史上唯一。サイモンセンはメジャー最年少優勝を成し遂げ、その後も2022年・2023年と連覇、昨年は準優勝だった。実績の塊が当落線上にいる。これこそ、マスターズが毎年ドラマを生む理由の一つだ。
6)今後の日程と視聴情報(日本時間も併記)
予選最終日は木曜日。C→A→Bの順に実施され、Aはバーン、BとCはフレッシュという構成。予選とマッチプレーはBowlTVでライブ配信され、ステップラダー決勝はCWで生中継される。
3月26日(木)※東部時間
- 8:00 Cスクワッド 予選R3(5ゲーム/フレッシュ)
日本時間:3月26日(木)21:00 - 12:30 Aスクワッド 予選R3(5ゲーム/バーン)
日本時間:3月27日(金)1:30 - 18:30 Bスクワッド 予選R3(5ゲーム/フレッシュ)
日本時間:3月27日(金)7:30
決勝(ステップラダー)
- 3月29日(日)東部時間16:00(CW)
日本時間:3月30日(月)5:00
バトゥルフ優勢は確か、しかし“主役交代”はここから起きる
予選前半の10ゲームで、バトゥルフは「高アベレージ」と「バーン/フレッシュ両対応」で頭一つ抜けた。過去に制したマスターズで再び勝てば、メジャー2勝目と殿堂入りへの道が現実味を帯びる。首位は結果であり、同時に物語の中心でもある。
ただし、マスターズは順位表がそのまま結末になりにくい。歴史級のスコアを叩いたベナード、上位を占める左腕勢、グランドスラムを狙うバレット、そしてカットライン付近で牙を研ぐベルモンテとサイモンセン——「勝負を動かす要素」が、すでに盤面に並んでいる。
予選最終日の5ゲームは、週末のドラマに誰が残るかを決める選別の時間だ。バトゥルフの“設計された直線”が最後まで通用するのか。それとも、レジェンドや王者が下位から主役を奪い返すのか。物語が大きく動くのは、ここからである。