初タイトルへあと1勝
ノウルズが頂点シード、PBAピート・ウェバー・クラシック決勝へ

PBA「ピート・ウェバー・クラシック」決勝の顔ぶれが確定

米ミズーリ州セントルイス近郊のBowlero St. Petersで開催されているPBAツアー「PBA Pete Weber Classic」は、日曜のチャンピオンシップラウンド(ステップラダー方式)に進む5選手が出そろった。放送は現地時間3月1日(日)東部16時(中部15時)からThe CWで生中継される。
大会が終盤に差しかかるほど、勝負どころの一投はそのまま“キャリアの物語”を書き換える。今回の決勝は、初タイトルへあと一歩の男、勢いに乗るカナダの技巧派王者候補を倒した実力者初の大舞台に挑む若手、そして地元の後押しを背に再起を狙う男――見どころが明確にそろった構図となった。

 

ステップラダー決勝5人の物語と勝ち上がり

1位シード:ジャスティン・ノウルズ(初優勝まで「あと1勝」)

No.1シードを手にしたのは、ミシガン出身34歳のジャスティン・ノウルズだ。予選は全体4位、平均229.50を記録して上位通過。金曜のマッチプレーではAJ・チャップマン、そしてマット・ルッソを退け、頂点シードをつかみ取った。ステップラダーでは最終戦から登場するため、タイトル獲得まで必要なのは「たった1試合」
本人はこの状況を“特別”と表現しつつ、重圧よりも高揚感を前面に出す。「この瞬間をずっと待ってきた」。プロボウラーとして生きることを子どもの頃から思い描いてきた彼にとって、今回はまさに夢の延長線上にある舞台だ。最後の1ゲームに全神経を注げる優位を、勝利へと結びつけられるか。

 

2位シード:グラハム・ファッハ(2週連続の上位進出、伸びしろを語る)

2位シードはカナダのグラハム・ファッハ。予選10位からの追い上げで、エリック・ジョーンズ、パッキー・ハナハン、トム・スモールウッドを連破し、決勝へ駒を進めた。中でもラウンド24のジョーンズ戦は圧巻で、4ゲーム平均が281超という猛打を披露。さらに象徴的なのは、その爆発が起きたレーン29-30が、決勝ラウンドでも使用されるという点だ。
ファッハは「自分の可能性がどこまでか分からないことが楽しい」と語り、現状に満足しない姿勢を貫く。2025年にキャリア最高レベルのパフォーマンスを見せたうえで、2026年はさらに良いスタートを切っているという実感もある。同じレーンで再び“280台の世界”に近づけるのか。再現性が伴えば、最終戦に届く現実味は一気に高まる。

 

3位シード:トーマス・ラーセン(王者候補EJ・タケット撃破の“驚き”)

3位シードはデンマークのトーマス・ラーセン。ラウンド8でEJ・タケットを相手に、最終第7ゲームまでもつれる激戦を制して勝ち取った。勝利直後の心境を一言で表すなら「驚き」。試合前から「自分は負ける想定、相手は勝つ想定」と割り切り、タケットの土俵に合わせず、自分の武器で勝負する方針を選んだという。
その判断が、勝敗を分けた。強者の型に合わせるのではなく、“自分が勝てる形”を作る。短期決戦のステップラダーでは、この戦略眼が大きな武器になる。上位2人にとっても、ラーセンは最も計算しづらい存在かもしれない。

 

4位シード:ヘイデン・スティピッチ(初のテレビ決勝、復調の証明)

4位シードはペンシルベニア出身25歳のヘイデン・スティピッチ。ラウンド24でリッチー・ティース、ラウンド16でジェイソン・ベルモンテを破るなど、序盤から難敵を倒してきた。さらにラウンド8ではツアーのルームメイトでもあるアンソニー・ノイアーを4-0で下し、決勝進出を決めた。連戦を勝ち抜いた疲労は隠せないが、それでも「この感覚は最高」と手応えを口にする。
背景には、思い通りにいかなかった2025年のルーキーシーズンがある。2024年8月のPBA Tour Trialsで圧倒的な内容を示し、ルーキーイヤー序盤もショー(テレビ決勝)に手が届きかけた。しかしWorld Series of Bowling前に体調面の問題が重なり、流れを手放した。そこから今季のPBA Players Championshipで立て直し、今大会で“突破口”をつかんだ。初めてのテレビ舞台で鍵になるのは、早く平常心を取り戻し、自分のテンポで投げ続けられるかどうかだ。

 

5位シード:マット・ルッソ(地元での再起、キャリアの分岐点)

5位シードはニュージャージー出身29歳のマット・ルッソ。2024年のポイントランキングでキャリア最高の7位に入った一方、2025年は64位と大きく後退。本人も「今季が今後を占うシーズンになる」と語っていた。その意味で今回の決勝進出は、単なる好成績以上の価値を持つ。
ルッソは伝説的ボウラー、パーカー・ボーンIIIの薫陶を受けて育ち、数年前に妻ローレンとともにセントルイス近郊へ移住。現在はメアリービル大学女子ボウリングチームのコーチも務める。決勝当日は自宅から約15分で会場に入れる“準地元”の立場で、妻や大学チームの応援を背に投げる。
ラウンド8でノウルズに競り負けたが、敗者の中で最上位だったため5位シードを獲得した。「今回は雰囲気が違った。支えてくれる人たちのために勝ちたかった」。この言葉どおり、初戦から流れを奪いにいく
はずだ。

 

マッチプレー結果が示す「決勝の見取り図」

今回の勝ち上がりを整理すると、決勝へ進んだ5人にはそれぞれ“倒してきた相手”がいる。だからこそ、シード番号だけでは測れない説得力がある。

  • ノウルズはチャップマンを4-1、ルッソを4-3で下し、接戦を取り切る勝負強さを示してNo.1へ。

  • ファッハはジョーンズを4-0、ハナハンを4-2、スモールウッドを4-0。内容で押し切る支配力が目立つ。

  • ラーセンはタケットを4-3。紙一重の展開で最後に取り切った。

  • スティピッチはベルモンテを4-2で倒し、さらにラウンド8ではノイアーを4-0。波に乗った時の強さが際立つ。

  • ルッソはラウンド16でブランドン・ルンクを4-2で下し、ラウンド8でもノウルズ相手にフルゲームの接戦。敗れても「決勝の席」を確保した。

ステップラダーは、最終的には“短い連戦の中で最も早く環境に適応した者が勝つ”方式でもある。ノウルズは最終戦一本に集中できる立場。ファッハは同一レーンでの爆発という“上振れ”ではなく、“再現”を狙えるのが強みだ。ラーセンは相手の強みを消し、自分の勝ち筋に寄せる戦術で上がってきた。スティピッチとルッソは初戦から登場するため、序盤で空気をつかめれば会場全体を味方につける展開もあり得る。

 

Match Play Results

Round of 24

  • No. 17 ヘイデン・スティピッチ def. No. 16 リッチー・ティース, 4-2

  • No. 24 オースティン・グラマー def. No. 9 ライアン・バーンズ, 4-3

  • No. 18 トム・スモールウッド def. No. 15 サンットゥ・タフヴァナイネン, 4-3

  • No. 10 グラハム・ファッハ def. No. 23 エリック・ジョーンズ, 4-0

  • No. 20 AJ・チャップマン def. No. 13 クリス・プラザー, 4-1

  • No. 21 ブランドン・ルンク def. No. 12 マット・サンダース, 4-1

  • No. 14 EJ・タケット def. No. 19 ドム・バレット, 4-0

  • No. 11 トーマス・ラーセン def. No. 22 TJ・ロック, 4-3

 

Round of 16

  • No. 17 ヘイデン・スティピッチ def. No. 1 ジェイソン・ベルモンテ, 4-2

  • No. 8 アンソニー・ノイアー def. No. 24 オースティン・グラマー, 4-3

  • No. 18 トム・スモールウッド def. No. 2 ザック・ウィルキンス, 4-2

  • No. 10 グラハム・ファッハ def. No. 7 パッキー・ハナハン, 4-2

  • No. 4 ジャスティン・ノウルズ def. No. 20 AJ・チャップマン, 4-1

  • No. 5 マット・ルッソ def. No. 21 ブランドン・ルンク, 4-2

  • No. 14 EJ・タケット def. No. 3 パトリック・ドンブロウスキー, 4-2

  • No. 11 トーマス・ラーセン def. No. 6 キャメロン・クロウ, 4-2

 

Round of 8

  • No. 4 ジャスティン・ノウルズ def. No. 5 マット・ルッソ, 4-3

  • No. 10 グラハム・ファッハ def. No. 18 トム・スモールウッド, 4-0

  • No. 11 トーマス・ラーセン def. No. 14 EJ・タケット, 4-3

  • No. 17 ヘイデン・スティピッチ def. No. 8 アンソニー・ノイアー, 4-0

 

焦点は「最後の1ゲーム」へ向けた、勢いと冷静さの配分

PBA Pete Weber Classicの決勝は、ステップラダー方式ならではの緊張感が最大の魅力だ。上位シードほど有利なのは確かだが、短期決戦では一つの読み違い、一度のミスショットがそのまま勝敗に直結する。だからこそ、ノウルズの「あと1勝」は栄光と重圧が表裏一体であり、ファッハの同一レーンでの再現性、ラーセンの自分の土俵に引き込む戦略、スティピッチの初舞台の勢い、ルッソの地元の後押しが絡むほど、筋書きは単純ではなくなる。

放送は現地時間3月1日(日)東部16時から。誰が最初に流れをつかみ、誰が最後の1ゲームを支配するのか。トロフィーの行方だけでなく、各選手が背負う物語の交差点としても、見逃せないチャンピオンシップサンデーになる。

最新の順位表(スタンディング)は、こちらで確認できます。

 👉  PBA Pete Weber Missouri Classic