ベルモンテ初参戦で首位発進
PBAピート・ウェバー・ミズーリ・クラシック序盤戦
ベルモンテ、ついに「ピート・ウェバー・ミズーリ・クラシック」初参戦で首位発進
PBAツアーの一戦「PBA Pete Weber Missouri Classic」で、ジェイソン・ベルモンテが初出場ながら首位に立った。過去2シーズンは家族の事情で大会期間中に帰国していたため、この舞台に立つのは今回が初めてだという。会場はミズーリ州セントルイス近郊のBowlero St. Peters。90名が集うフィールドで、ベルモンテは予選2ラウンド終了時点で総ピンフォール2,839(+439)、平均236超のハイペースを刻み、いきなり主役の座を奪ってみせた。
大会名に冠されるピート・ウェバーは、PBA史に名を刻むレジェンド。ベルモンテにとっても、その名は特別だ。両者のキャリアはメジャー決勝で交錯し、記録は受け渡され、時代は更新されてきた。今大会は、単なるツアーの一週ではない。敬意と勝負心が同居する舞台で、ベルモンテがどんな結末を手繰り寄せるのかが注目される。
上位争いの構図、復調劇、そして勝負を分ける条件
1)2ラウンド終了時点の上位勢:ベルモンテを追う5人のライン
ベルモンテに続く上位には、予選第1ラウンドをリードしたパトリック・ドンブロウスキーをはじめ、ザック・ウィルキンス、パッキー・ハンラハン、アンソニー・ノイヤーが名を連ねる。さらに、キャム・クロウ、トーマス・ラーセン、グラハム・ファックらも好位置につけ、マッチプレーでの「ワンラウンド・バイ(1回戦免除)」が見える圏内にいる。
一方、ディフェンディングチャンピオンのEJ・タケットは合計2,616でカットライン上。平均218という数字自体は決して悪くない。しかし今大会の上位レンジはさらに高い。木曜の最終予選ラウンド(予選第3ラウンド)で一段ギアを上げられるかが、連覇への前提条件になりそうだ。
2)ベルモンテの「序盤は難しい」発言が示す、ツアーの現実
ベルモンテは前週のシーズン開幕戦PBA Players Championshipで37位に終わった。本人は「シーズン序盤は本来の力を出し切れないことが多い」と語り、その背景に移動の重さを挙げている。オーストラリアのニューサウスウェールズ州オレンジから、毎年のツアー初戦へ向かう移動はほぼ丸2日。時差も含め、身体も感覚も「競技仕様」に戻すのに時間がかかる。
それでも彼は、早めに渡米する選択をあえて取らない。半年単位で家を空ける生活の中で、家族と過ごせる日数を削りたくないからだ。トップアスリートの強さは、フォームや回転数だけで決まらない。生活の意思決定まで含めた「プロとしての整え方」が、競技結果に影を落とす。ベルモンテの言葉は、その現実を静かに突きつける。
3)ベルモンテとウェバー:因縁ではなく、記録を介した“継承”
両者の関係を象徴するのが、2013年のPBA Tournament of Champions決勝だ。ウェバーはベルモンテを下し、メジャー通算10勝目で記録に並んだ。だがその“10”は永遠ではなかった。6年後、ベルモンテが11勝目を挙げ、記録を塗り替える。勝負の場で交差し、数字の上でも時代の境目を作ってきた。
ベルモンテはウェバーを「靴ひもを結んだ史上最高の一人」と称え、「ウェバーの名はボウリングそのもの」と言い切る。そして「週の終わりに彼の手を握って終えたい」と続けた。勝つことが最大の敬意になる。過去の偉業を讃えながら、今の自分がその舞台で結果を残す——この二つを同時に成立させようとする言葉に、今大会の温度が凝縮されている。
4)急上昇の主役:アンソニー・ノイヤーの“メンタル再起動”
もう一つの見どころは、アンソニー・ノイヤーの劇的な浮上だ。テキサスで不本意な結果に終わり、ミズーリ初日の第1ラウンドも平均200ちょうど、81位という厳しい位置。それでも本人は「ポケットのコントロールはできていた」と手応えを手放さなかった。
そして次のブロックで、279、203、252、299、279、238。平均258.33という爆発的なスコアで一気に総合5位まで跳ね上がる。きっかけは、ラウンド1後の“思考の切り替え”だったという。大きな結果を見ず、1投だけを見る。さらに本人が「運命」と呼ぶ要素もある。父アンディ・ノイヤーが1994年、St. Petersから約20マイル南東のリッチモンドハイツでタイトルを獲得しているのだ。同じ地域圏で、父の記憶と自分の挑戦が重なる。23歳は「今週はショーに残って、仕事を終わらせたい」と宣言した。
5)勝負を分ける条件:45フィート「Dick Weber」パターンと勝ち上がり方式
全ラウンドは45フィートのDick Weberオイルパターンで行われる。ハイスコアが出やすい一方で、レーン変化への対応が遅れると一気に飲み込まれるタイプの条件でもある。とりわけマッチプレーでは「先に4勝で勝利」が必要なため、1ゲームの取りこぼしが心理的にも大きい。
木曜午前の最終予選(予選第3ラウンド)後、上位24名がエリミネーションのマッチプレーへ進出。各対戦はBest of 7(先に4勝)。さらに、各ブロックの勝者に加え、ラウンド8で敗れた選手のうち最上位シードの1人がステップラダー決勝へ進む。予選の順位は保険になり得るが、最後は階段方式の一発勝負が待つ。積み上げた内容を、最後の数ゲームで証明しなければならない。
6)配信・放送と日程(米東部時間)
2月26日(木):BowlTV
11:00 予選第3ラウンド(6ゲーム)
19:00 エリミネーション・マッチプレー ラウンド24(Best of 7)2月27日(金):BowlTV
12:00 ラウンド16(Best of 7)
19:00 ラウンド8(Best of 7)2月28日(土):BowlTV
20:30 PBAジュニア・ナショナル・チャンピオンシップ決勝3月1日(日):The CW
16:00 PBA Pete Weber Missouri Classic ステップラダー決勝
※現地時間は15:00開始
首位ベルモンテ、追う実力者、そして“最後に勝つ”のは誰か
ベルモンテは初出場とは思えない完成度で首位を走り、本人が語ってきた「シーズン序盤の難しさ」を真正面から覆しつつある。だがPBAの勝負は、予選順位がそのままトロフィーに直結しない。Best of 7のマッチプレーは、流れが一度傾くと取り返しが難しい。タケットはカットライン上から連覇へ向けた反撃を狙い、ノイヤーは“メンタル再起動”の勢いでショー進出を現実に変えにいく。
ピート・ウェバーの名を冠した大会で、ベルモンテは「週の終わりに握手して終える」結末を描くのか。それとも、別の誰かが45フィートの条件を制し、ステップラダーの頂点で新しい物語を完成させるのか。2月26日から3月1日にかけてミズーリで進む攻防は、技術だけでなく、プロとしての選択と集中力までを映し出す一週間になりそうだ。